ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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生徒会室の妖しげな雰囲気にすっかりヤラれた 1巻。
今回は、能勢は下克上できるのか!? それだけが気がかりでした。しかし…
これで完結。
「1」 の感想はこちら


てっぺんのひまわり 2
富士山 ひょうた
フロンティアワークス (2006.4)


今泉 (左) が能勢と親しくしているのを見て、徐々に自分の気持ちに気付きはじめた大野 (右)。
当然 大野は悩むだろうし、能勢も絡んできたりするんだろうなぁと思っていたら、あっけらかんと告白しちゃったのでびっくり。

照れもせずに、
「今泉の顔、急に見たくなって」
ってところと、その見開き、よかったですねぇ。

だけど、そうそう簡単に流されないのが今泉です (相当、動揺してるけど)
やっぱりね、錦成には高校から編入したこともあって、まだまだ男の子と恋愛するのは抵抗あるのです。

今泉を困らせたくなくて、明るく振る舞う大野。
でも、そんな大野の態度が、今泉にとってはどうも納得いかないようで。
だとしても!
「ついてくんなよ 大野!!」
って、ちょっと傷ついた、私。
いや、私じゃなくて、大野も傷ついてた。

ホモの仲間入りするのがイヤなのもわかるし、これからもベストフレンドでいたい と思うのもごもっとも。
でも、この辺りの今泉はちょっと自己中かな、冷たい。

私が感動したのは、屋上のシーンでの大野。
今泉 「これからも 大野と一緒に やっていきたいし」
大野 「さすがにそれは ムシ良すぎ」

へぇ、言っちゃうんだ、こんなこと! 驚くと同時に、感動しました。
彼にとって、今泉にフラれるということは、今後つるむのもナシ、ってことだったんですね。
けじめです、カッコいい。

だけど、今泉が困るのもわかる?
だって、大野のことがキライなんじゃないんだもんね。

結局は、あんな感じで… (どんな!? 笑)
ぶっちゃけ、今泉は大野のペースに巻き込まれちゃったのかな。
でも、友だちとしての 「好き」 と、恋人としての 「好き」 と、別にたいして違わないんじゃない?
とりあえず、今泉にはそうアドバイスしてあげたい。
(★★★★☆)


描き下ろしは、会長の梢と補佐の住吉の話。
このふたり、生徒会を離れても、主従関係だったんですね。
最後のお布団のシーンがよかったです (もちろん、それだけではありませんが)
そして、意外に頑張ってる今泉も (笑)

能勢がただの脇役に終わっていたのは残念でした。もったいない。

読んでくださってありがとう


あれもこれも、気になってしかたなかった7巻。
予想通り、激動の7巻でした。
ひゃー、びっくりした。




BL界において、35歳といえばすっかりオヤジだけど、宮城は大丈夫ですね。
うん、この "35歳" は、正しいと思います。


■純情テロリスト

「いつのまにか 俺が 忍中心に動いているのだ」

ふふ、いつのまにかって…。
とっくの昔にそうだったじゃないの。
早く素直になれればよかったんだけど、やはり17歳の差となると、「理性」 だとか 「犯罪」 とかいう言葉が脳裏をよぎるのはしかたありません。

でも、あの大事な先生の命日を忘れてしまった。
これは、宮城にとって、相当な打撃でした。
"ああ、今週末はお墓参りだったっけ" くらいの忘れ方ならまだしも、カレンダーのマル印を見て、一瞬 何の日かわからなかったのです。

…で、変装?(笑)

宮城に対する忍の態度が、ちょっと今までと違ったかな。
悪態をつきながらも、口から出る言葉が素直で熱い!
そんな涙涙の告白に あっけにとられる宮城が "変装" なのがまたよし。

そして、先生の墓前で。
さすが文学者だけあって、ロマンチストです、宮城。
なんだか、純テロじゃないみたいなひとときをありがとう。

宮城も忍も、心はとっても乙女なのね。そして、インテリ (忍はインテリ予備軍)
ああ見えても、忍はけっこう大人なところもあるので、ふたりの精神年齢は同じくらいかしら。
ヤキモチはほどほどにして、お幸せに… あれ、まだ続くのかしら。

気になった会話が一カ所。
宮 「上條は ホモなんだ」
忍 「やっぱり お前ら そーなのか!!」
宮 「はァ!? 俺はホモじゃねーぞ!!」


自覚なし?


■純情ロマンチカ

こんにちは、元・角センパイの恋を応援する会 会長のリリカです…
「角先輩って、攻めかな、受けかな」 なんて話をした、あの頃が懐かしいですね>Aさん
んでもって、あなたが正解でした。彼は、攻めでした。

って、そんなことより!
本当にびっくりしました。
前から、ウサギさんのこと あれこれよく知っていて、あやしいところはあったにせよ、こんな行動をとるとは。
寝ている美咲の口にいやらしく指を入れて、そのあとウサギさんに電話するのを見て、てっきり何か別のネタで脅すのかと思ったくらいです。

なー 美咲。 この人 俺にくれない?

このシーン、ウサギさんがされるがままなのが、印象的です。
彼にとって、美咲に強姦まがいのことをした… というのは、NGワードなんですね。
図星をつかれて放心状態の彼を見たら、美咲もそりゃ不安になるというもの。

別に俺 ウサギさんの事 嫌いってひと言も言ったことねーし

こういうセリフが、上手だなぁと思うのです。
美咲の中に、ウサギさんに対する また違った感情が生まれたでしょうか。

今回の 余裕のなくなっているウサギさんは、『純情ミニマム』 で見た 天使のようなウサギさんに近いイメージで、少し安心しました。
(★★★★☆)

どさくさに紛れていたけど、ウサギ兄からも告白されてましたね、美咲。
角センパイはひとりでも大丈夫そうなので、今度はこっちを応援しようかな。

読んでくださってありがとう


前に書いた、マンガの感想はこちら

Dramatic CD Collection 僕は君の鳥になりたい。Dramatic CD Collection 僕は君の鳥になりたい。
イメージ・アルバム
鈴村健一 羽多野渉
ムービック 2006-02-24

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高校生の炯 (けい) が、お姉さんの恋人を好きになってしまうお話。

小山 炯   鈴村健一
藤井大輔  羽田野 渉
小山 萌   水橋かおり
赤塚凛太郎  伊藤健太郎



マンガの炯と鈴村くんの声、ちょっとイメージ違うなと思っていたのですが、あらま! 素敵でした。
優しいところとか、寂しいところとか、ちょっと卑屈になるところとか、とっても可愛くて守ってあげたい そんな感じでした。

藤井さんは、マンガでは "二枚目90%+三枚目10%" なんだけど、CDだと もう少しぶっちゃけた感じでイイ兄貴風味が倍増してます。
マンガを読んだとき以上に、よく 萌の言動にキレないなぁ とひたすら感心しました。

だって、萌に声がついたら、とんでもない女になっちゃったんだもの。気の毒なくらいに。
でも、女性からしてみれば、萌の言い分はもっとも。
ほんの冗談でも 「強欲な女」 なんて言われたら、弟に敵意を抱いちゃいますよ。

そして、河原のシーン。
「手、はなして」
このセリフがよかったです。
ドラマだけの、状況説明のためのセリフみたいなものなんですけど、これがたまりませんでした。
そのあとのすすり泣きも。

こうして聞いてみると、藤井さんってちょっと古風な感じかしら。
そういえば、炯の髪に花をさしてあげたときも 「失敬」 なんて言ってたし、Hのときも 「殿方」 とか言ってたし、物腰がなんだか昭和初期風?

でも、女の子と別れるときに
「だめな彼氏だった」
なんて言える人、なかなかいないでしょ。
いい人だなぁ。

最後は、萌ちゃんにもらい泣き。
音楽もせつなげで、いいCDでした。

あ、強力な脇キャラ 官能小説家のおじさんも、いい味出してましたね。

読んでくださってありがとう


家に帰ってよく見たら、ラヴァーズ文庫でびっくり。
てっきり、プラチナ文庫かと。




【こんな話】
世界のセレブ御用達のホテル・山水館で働く、新米従業員の天野 心 (こころ・26歳)。
長い研修が終わり、いよいよお客様の世話をする日がやってきた。
しかし、大企業の日本支社長・野矢慎二郎に気に入られ、経験もないのに、部屋付きのお世話係に指名されてしまい…

【ひとこと】
森本さんだから許せる、アホらしい… でも面白いからいいか、そんなお話です。

このお話の舞台となる 山水館は、人里はなれた山奥にひっそりと位置しながら、世界中からセレブが訪れるという、知る人ぞ知る 高級ホテルです。
客室のひとつひとつが離れになっていて、ほかのお客さんと顔を合わせる心配もなく、宿泊客には付きっきりでサービスする "部屋付き" という制度があって…。
ね、BL的に、なんだかとっても都合のよい雰囲気でしょ?

そこへやってきたのが、野矢慎二郎。
若干23歳にして、アパレルメーカーの日本支社長。
大学は飛び級で卒業、勉強もスポーツもそつなくこなし、7?8カ国語を操り、仕事も… とにかくすごい人物です。
が! 行動や話し方 (話す内容も) は、高校生 いや 中学生並みです。
「?だもん」 だの 「?でしょ」 だの 「?ですよーだ!」 だの… あれ、中学生どころか小学生?
心なんて、「ココちゃん」 なんて呼ばれちゃいます。心がいくら可愛いたって、もう26歳だよ!

その、ココちゃん。
一目で慎二郎に気に入られ、部屋付きに指名されてしまいます。
慎二郎とのちょっとした駆け引きで、業務用の丁寧な言葉ではなく、普通の… いわゆるタメグチで喋らされる羽目になるココちゃんですが、ちょっと崩れすぎかな。外見の可愛さとは裏腹、かなり品が悪いです。
そのギャップが面白いといえばそうなんです。でも、もう少し、26歳の青年らしさのようなものがあってもよかったと思います。

あとは、ご想像のとおり (笑)
部屋付きのココちゃんは 24時間お客様のものなので、慎二郎は好き放題。
お酒飲まされたり、あんな目にあったり、こんな目にあったり、大変です。
こういったバカバカしい話 (いい意味) をイヤミなく書けるのは、森本さんの才能でしょうね。
慎二郎には、最後まで呆れっぱなしですが、不思議と憎めない男です。アホすぎて?

最後、すんなりハッピーエンドかと思ったら、いきなり天然になったココちゃんがけっこう手強かったです。
ああ、楽しかった。

あ! ひとつだけ。
このホテル、山奥なのに地平線が見えるの。不思議じゃない?
(★★★☆☆)


タカツキさんがお仕事を休まれるとのことで、この本は応援する気持ちで買いました。
表紙買いするイラストレーターさんのひとりなので、話を聞いたときはショックでした。
どうかゆっくり休んで、また復帰してくださると嬉しいです。

読んでくださってありがとう



あすたさんのブログに 「(雑誌に載ったとき) ダイバーものだから読まなかった」 とコメントしたのですが、私ってば 其ノ弐で

> さて、ディアプラス ナツ号の続きを読もうっと。
> あとにとっておいた、うえだ真由さんのダイバーもの?です。
> 私は、海も夏も大っキライなので、ダイバー萌えはしないけど… (以下省略)


こんなこと書いてました。
読んだんでしょうか、読もうと思っただけなんでしょうか? 肝心の感想が書かれていないのでわかりません。




【こんな話】
ダイバーの喬一 (きょういち) は、シーズンオフの資金稼ぎとして、人気小説家・光輝 (みつき) の世話をすることになった。片付けはしないし、生活のリズムはめちゃくちゃ、おまけにやたら偉そうな光輝だったが、不思議と喬一はいやな思いはしなかった。
そんなある日、光輝の叔父が訪ねてくる。しかし、叔父を見るなり、光輝は取り乱し、乱暴に彼を追い出すのだった…

【ひとこと】
インドア派がアウトドア派に惚れる確率と、
アウトドア派がインドア派に惚れる確率とでは、
後者のほうが高いと思うんですが、どうでしょうか。
アウトドア人間は、目の前に もやしっ子がいると 山の頂上から朝日を見せてあげたいとか、群れをなして泳ぐ魚を見せてあげたいとか、すぐそんなことを考えるような気がします。

喬一に、いつかダイビングに行こう、と誘われたとき、光輝は
「……そうだな、いつか」
と少し嬉しそうにしながらも、どうせそんな機会は訪れっこないと思っていたのでは。

明るくて開放的で "海が好きな奴はみんな仲間だ!" とでも顔に書いてありそうな喬一と、
素直に人を信じることも 人の好意に甘えることもできなくなっていた光輝。
本来ならこんな両極端なタイプが親しくなるのって、ずいぶん時間がかかると思います。
でも、喬一の観察力 (光輝を見る) の鋭さと、光輝の飾らない性格のおかげで、ふたりの関係はスムーズに滑り出しました。

しかし。
光輝の叔父の来訪で、光輝の過去が明らかになり、ふたたび光輝は心を閉ざしてしまうのです。
そして、慰めよう 元気づけようといくら言葉を尽くしても、光輝に伝わらないことに苛立った喬一は、光輝にキスをしてしまいます。
いつのまにか、光輝のことを好きになっていたんですね。
怒る光輝に、喬一が 「ごめん、ごめん」 って謝るところが好きです。喬一らしくない謝り方だからかな、なぜか泣けました。

何も書けなくなってしまった光輝を、沖縄へ引きずって連れて行く喬一。
自然には、医学もかなわない治癒力があるに違いありません。
あ、でも、沖縄に着いた光輝が、すぐに元気になるわけじゃないんです。
さんざん喬一を手こずらせ、やっと潜った海の中で素晴らしい光景を見て、自分らしさを取り戻すのです。
光輝が亀に手を振るところは、こっちまで幸せな気持ちになりました。よかったね?って。
(クララが歩いた! みたいな気持ちよ)

ここで "よかったね、喬一" と思うか "よかったね、光輝" と思うかで、感情の入れ具合がわかりますね。
私は "よかったね、光輝!" でした。


■書き下ろし 「恋はお熱く」
タイトルがいいですよ、グッ!
光輝視点です。
喬一にとっての一番は 「海」 で、自分は二の次なんだ…
いじける光輝がかわいいなぁ、ラブラブだなぁ、なんて思っていたら、とんでもない大事に。

光輝にとって、喬一の住む世界はとてつもなく広く見えたと思います。だって海、大自然だもの。
でも、都会でひとりで頑張ってきた光輝にはまぶしすぎて、すぐには入って行けない世界。
そんなところに、いろんな感情やら、偶然が重なって、ややこしいことになってしまいます。

その、ややこしくなってる間の、光輝の感情の変化が面白かったです。
怒ったり、反省したり、泣きそうになったり、放心状態になったり…
でも、光輝が素直になれなくても、喬一がちゃんとわかってくれているから安心。

喜田川さん、災難でしたね。
震えていたなんて、可哀想すぎです。
「江坂 (=喬一) 、あんまり先生に乱暴なことするなよ」
このセリフが好きな人、いるでしょ? (=私)
(★★★★☆)


でもさ、喬一は もう少し光輝のこと、考えてくれてもよかったかなぁ。
光輝が思ったみたいに、みんながいるところで特別扱いできないなら、ちょっと目配せしてくれるとか、ねぇ?

読んでくださってありがとう


3人とも、女性にはモテなさそうです。




【こんな話】
菱田が、部下 そして親友でもある牧野に思いを寄せて6年。
一生告白する気はなかったものの、その牧野と同居のチャンスが!
しかし、引っ越し当日、牧野の弟・悦巳から 「おれもここに置いてくれ」 と頼まれて…

【ひとこと】
菱田、牧野、それに牧野の弟の悦巳。

主人公の菱田は、29歳にして課長、社内一の出世頭らしいです。
自他ともに認める 「クールな菱田課長」。
でも、この本には、菱田の外見を褒める描写が出てこないので、クール+メガネなのに、たぶんカッコよくはないんだと思います。
真面目で融通が利かなくて、神経質で、だけど心は乙女、そんな人。

この菱田が、6年越しで片想いしているのが牧野。
見るからに頼りなさそうで、社内結婚したものの、半年で離婚されてしまったお気の毒な人です。
路頭に迷っていたところを、菱田に拾われて一緒に暮らすことになります。

菱田ってば、用意周到なんですよ。
離婚した牧野がひとり暮らしを始めることを見越して、あらかじめ広い部屋へ引っ越したりして。
家賃だって高いのに、牧野には 「気にしなくていい」 なんて言ってる。
本人曰く、頼ってほしいんだそうです。いじらしいような、気色悪いような…

でも、 俺が養ってやる… みたいなことを考えていても、中身はいささか自虐的な恋する乙女なわけです。
一生告白する気がなければ考える必要もなかったのかもしれませんが、どうするつもりだったんでしょうね。何がって、ほら。
だって菱田も牧野もどう考えたって 「受け」 だもの。

というか、それ以前に、菱田は牧野のいったいどこがよくて好きになったのか、そこからして理解しがたいものがあったんですけどね。


さて、そこへ転がり込んで来たのが、牧野の弟・悦巳です。
アパートを追い出された、とか言ってますが、実は最初っから菱田狙い。
菱田と自分の兄がふたきりで暮らすなんて許せない! というのが本音。
表紙でもわかるように (左) 派手でおしゃべりでちゃらんぽらんな感じ (本当はしっかり者) の、菱田とは正反対のタイプです。

せっかく牧野と一緒に暮らせると喜んでいた菱田は大パニック(傍目には冷静)
あからさまに嫌がっている様子が面白いです。
途中、悦巳が何度も 「そんなに兄貴が好きなのか」 と聞くシーンが出てきます。これ、イコール私の気持ち。
牧野になんの魅力も見出せない私は、悦巳のほうがいいじゃんか! とイライラ。
でも、菱田の気持ちになってみれば、いきなり悦巳みたいな男、虫ずが走るくらいイヤだったのかも。きっとそうね。


さて。
こういうシチュエーションだと、菱田がだんだん悦巳にほだされていって… という展開が予想されます。
でも、この話はちょっと違う。

悦巳がご飯を作ってあげても、看病してあげても、告白しても、菱田はなびいていかないんです。
いや、本当はなびいてるのかもしれないんだけど、本人が自覚していないうえに、いちいち 「俺の好きなのは牧野だ」 って口に出すもんだから、ほとんど進展しません。

相変わらず 牧野は牧野で、本当に情けないというか、ふがいないというか、どうしようもないというか、まるっきしダメなのに、それでも菱田が好きだっていうならしかたないです。
でも、その牧野が、別れた奥さんを追ってアメリカに行ってしまったあたりで、やっと菱田の中で何かが変わりました。
それはまぎれもなく、悦巳効果で。


実は菱田は、両親 そして兄との間に、確執がありました。
ある意味、泣き寝入り&逃避状態だった菱田が、それを断ちきるために悦巳を連れて里帰りします。
これも、悦巳効果。明るくて自分の思う道を歩んでいる悦巳に勇気をもらったんだと思います。
笑えるのは、菱田の兄も、悦巳マジックでいきなり人が変わっちゃったところ。
人間、腹を割って話してみないとわからないものです。それには、まず自分から歩み寄らなければ。


この話、いつのまにか、菱田が悦巳を好きになっているところが自然で好きです。
菱田も悦巳も無理してないから、きっと長続きするね。

でもって… なんの疑問ももたないまま、受けな菱田はどうなんだろう。
牧野と万が一付き合うことになってたら、どうするつもりでいたんだろう。
最後まで気になる私でした。
(★★★☆☆)


仕事で倒れた菱田の看病をしながら、枕元で悦巳が告白するんですよ。
悦巳のセリフはそりゃいい感じなのに、菱田はムードのかけらもなくて 「頭は大丈夫か」 なんて言ってます。
でも菱田も、本当は心の中で、嬉しいって感じてる。ここが好き。

読んでくださってありがとう


このあいだ、花丸文庫に初お目見えだった秀さん、プラチナ文庫もお初です。
プラチナ文庫にしては、純情系というか清々しいお話です。




【こんな話】
槇は情報誌の編集者。
同僚に誘われて入ったレストランで、かつての恋人・芳沢に再会する。
高校時代、半年ほど付き合った芳沢を、槇が冷たく突き放したことが尾を引いているのか、ふたりの再会は険悪ムード。
気分の晴れない槇は、その翌日、再び店に芳沢を訪ねるのだが…

【ひとこと】
昔の男と再会する話なら、何度も読んだことがあるし、レストランを舞台にした話だって、編集者が主人公の話だって、ちっとも珍しくないはずなんですが、何かが違いました、この話。

仕事もバリバリこなせば、外見も文句なし、最初の数ページを読むだけで、槇は文句なしにカッコよくて、男らしいオトコなんです。
表紙も口絵もろくすっぽ見ていなかった私は、当然のように槇が攻めだと思っていました。
いま思えば、"硬い骨を持つ男" がどうとかいうところで気がつくべきでした。
バーの店長さんとの会話で 「俺を抱いた…」 「初めて抱かれたとき…」 というセリフをさらりと読み流しそうになったところで、ええっ!? この人受けなのー!? って (笑)

槇の意外性は、これだけじゃ終わりませんでした。
同僚が発掘したレストランで舌鼓を打ち、シェフに会ってみれば、苦々しい別れかたをした昔の男・芳沢で。
なんと、これをきっかけに、カッコよかった槇が、いきなりダメ男になってしまいます。
芳沢に会った衝撃で、次の日は一日中仕事も上の空なんです、またまたびっくり (でも、かわいい)

高3のとき、槇が芳沢を捨てたのは、決して嫌いになったわけではなく、芳沢との熱い日々 (?) に怖じ気づいて、つい遠ざけてしまったんですよね。驚いたことに、ふたりが付き合ったのはたった半年。なのに、12年たった今でも、槇にはそれを超える恋愛体験は訪れていない。後半にわかることですが、芳沢にとってもそれは同じでした。
そう考えると、やはりこれは、運命的な再会だったのかも。

せっかく再会したっていうのに なんでアイツはあんなに冷静だったんだ… とか、いま恋人はいるんだろうか… とか、ぐちゃぐちゃ考えた末、もう一度店に会いに行こう! と結論を出す槇ですが、何が面白いって "昨日の今日" なところ。
普通、また会いに行くとしても、1日か2日おきますよね?
かわいいな、もう。

しかし!
厨房から出てきた芳沢は、超不機嫌+無愛想。

「なんだ、あんたか」
「用があるならそこでさっさと言え」
「こっちには話なんかねぇよ。帰れ、性悪」 (芳沢萌え語録)

昔話のひとつでもできるかと思っていた槇もさすがにカチンときて、小学生レベルの口喧嘩が始まってしまいます。ああ言えばこう言う で、ここは何度読んでも笑えます。

でもって、槇はここでもカッコ悪い (でも、かわいい)
喧嘩してお腹すいちゃったんでしょうね、お腹が鳴ってしまって、芳沢に賄い飯をごちそうになることに。
でも、この賄い飯に、槇の大好物のキノコがなにげなく入ってたりしてね、あれれ芳沢くん怒ってたんじゃないの? って感じなんです。
そして、そのあとまた、ごちゃごちゃ話しているうちに ××××… (笑)

ただ、とりつくしまのなかった芳沢も、本心からそんな態度を取っていたわけではないので、だんだん行動がぎくしゃくしてきます。ぎくしゃくっていうのはヘンかな。
槇と会えて嬉しいけれど、でも素直に喜ぶのも悔しいし、実際 腹が立っているのも確かだし、でも先輩は相変わらずかわいいし (←と思ったかどうかはわからないけど) 右手と右足が一緒に出ちゃうような、そんな雰囲気の芳沢です。この人もかわいかったんですねぇ。

この頃になると、槇も覚悟がすわってきて、思ったことを素直に口に出せるようになります。そうなれば、もう安心。

最後は芳沢が熱いです。
いちばん感動したのは、
芳沢がレストランを開いたのは、槇のためだったという事実。
この告白にしびれました、しかもここ、耳元で囁いてるんですよね。
もう、ここ大好きで p.191 と 192 は、コピーしてみんなに配って歩きたいくらいです (あと p.199とか)

槇は オン・オフのギャップ、芳沢は 本心と口調のギャップが、ツボでした。
(★★★★☆)



読んでくださってありがとう




好きになってはいけない と思うこと自体、もう好きになっているのだと思います。




【こんな話】
親友・三田村の恋人を3週間預かることになった矢崎。
最初は乗り気でなかった矢崎だが、少年・啓の予想外の素直さや美しさに惹かれていくのを止めることはできなかった。
そして、啓もそれは同じで。

【ひとこと】
★「恋をしてはいけない」
この話がせつないのは、ふたりとも "この人を好きになってはいけない" と思うだけでなく、それをちゃんと守っているからだと思います。
どちらかが、 「いいじゃん、言わなきゃバレないよ」 なんて人間だったら、まだラクだったのかもしれません。

啓の表情や仕草にドキっとしたり、啓の言葉に心があったかくなったりするたびに "好きになってはいけない" と思い直し、 "大丈夫、まだ好きになったりしてない" と確認する矢崎。
矢崎が日を追って、啓に心を奪われていく様子が、悲しいほど丁寧に書かれています。

啓もまた、矢崎のことを好きになっていくのですが、矢崎視点で書かれた話ながら、啓の矢崎に対する気持ちの変化が、これまた痛々しいのです。
たいていは無意識、あるときは意識的に、行動や言葉尻に矢崎への気持ちを込めている啓がいじらしくてたまりません。
出会ったばかりの、それも3週間一緒に暮らすだけの人間に、恋人の三田村にも話していない本心を打ち明けるところがもう泣きそうでした。

私が好きなのが、矢崎と啓が車の中で、お互いの気持ちを知りながらも牽制しあっているところ。
まるで、導火線を火がじりじりと伝っていくかのようなこのシーン、なんて上手に書くんだろうと思いました。
お互いすごく好きで、やっと抱き合うことができたのに、ふたりがちっとも幸せそうじゃないのが嘘っぽくないというか、吉田さんぽいというか。
こんな結末で筆を置くのは、とても勇気の要ることではなかったでしょうか。


★「夜が明けていく」
本編の終わりで、三田村のところへ帰った啓は、程なく実家へ戻ることに。
これは、その2年後の話。

裕一 ("啓" というのは本名ではありませんでした) には、自分で自分を許せない過去がありました。
まず、父親から性的虐待を受けていた姉を救えなかったということ、
また、家を出て、カラダを売るような仕事をしていたということ、そのあいだに、母親を死なせてしまったこと…
そしていちばんに、三田村を裏切って矢崎を欲しがったこと。
そんな自分を許せないから、矢崎と幸せになるわけにはいかない、と。
結局、"好きになってはいけない" 状態の繰り返しなのです。

"懺悔すれば神様は許してくれるけれど、自分は後悔していないから懺悔できない"
と話す裕一ですが、最後の "矢崎を欲しがったこと" を除いては、じゅうぶん後悔していたはずです。
だったらそれだけでも 牧師に話を聞いてもらっていれば、少しは裕一の気持ちも和らいだのかなと思ったのですが、裕一にとってはこれらの出来事がすべて繋がって枷となっていたから、部分的に許してもらうこともできなかったんですね。

最後は、矢崎の押しで。
「これは強姦だから、気持ちよくなっても君が悪いんじゃない」 って。
このやり方はちょっと…
強姦という言葉を使うことで、俺も同罪だから… というつもりだったのでしょうが、下手をすれば 裕一に 「俺のために矢崎さんが罪を犯してしまった」 とより一層の重荷を背負わせてしまったかもしれません。
終わりよければ… ですけどね。

裕一はもう、逃げも隠れもしなかったでしょうから、もう少し待ってあげてもよかったのでは。
そんな小細工なしでも、矢崎の 好きだ好きだ愛してる! という言葉だけで、いつかは裕一も気持ちを切り替えることができたと思うのです。
矢崎が何度も裕一のところに通って、一生懸命説得して、晴れて結ばれるまでのじれったい過程を、吉田さんの文章で読みたかったです。
(★★★★☆)


読んでくださってありがとう



待ってました? の木下けい子さんの新刊。





高校時代からの親友、友坂と野田 (左 メガネ)。
野田には、とっかえひっかえ彼女がいて、それどころか、いまも複数の女の子と付き合っていて、それをたしなめるのが友坂。
そんな関係の二人。

でも、友坂は、自分の知らない "恋愛" を野田が知っているのだと思うと、どうしても落ち着かない。
その落ち着かない気持ちが、野田への恋心だと気づくのに、それほど時間はかからなくて…

そんな話。


               ■□■□■


映画やテレビ、小説やマンガで、これが男の友情か! と思うことはよくありますが、女の友情というと、いまひとつピンときません。
私が薄情なんでしょうか、女には 「友情」 という言葉すら似合わないような気がします。

友坂と野田の間には、誰も入れない雰囲気があります。
読み終わって、この雰囲気は、野田が一方的につくっていたんだと確信しました。
野田が友坂に、自分の恋愛の話をしなかったのも、ふたりの関係に余計な登場人物を入れたくなかったからじゃないでしょうか。
無意識だからしかたないけど、野田はずるい。


そーでもないぜ
俺は友情を大事にするんだぜ
だから 友坂の方が大事よ?
(by 野田)

このセリフには、きっと愛はなくて、言葉どおり友情オンリーなんですが、妙な色気を野田が放出しているせいで (←私的感想) 友坂は困ってしまいます。
「大事」 って言われて嬉しいような、余計に悲しいような。
なんともいえなくせつないシーンです。


そして、友坂の気持ちが野田にバレるときがきます。
ここの野田の行動が、よくわかりませんでした。
なんであんなに追求したのか。
「好き」 とでも言わせたかった?

友坂には、野田と寝る気なんかなかったはずです。
でも、野田が誘うから…
野田はどうして誘ったんでしょうか。
同情ではないけど、かといって愛情でもないし、なんとなく "セックスしないと" って思ったのかな。
今夜 野田と寝ないと、この先、友だちでいることも難しくなってしまうとでも思ったんでしょうか。
そんな気がしました。


友坂のバイト先の店長さんが、ゲイなんです。
てっきり、いい加減な奴と思っていたこの人が、実に深い人でした。
今まで店長に気を許していなかった友坂が、店長に心を開く瞬間っていうのかな、
この人なら自分の気持ちを理解してくれる… と、新しい世界(ゲイの世界?)に一歩踏み出す瞬間っていうのかな、
そのシーンが印象に残りました。
セリフはないけど、泣けます。


その後。
「?(5)」 での開き直った友坂が、とっても可愛くて、でもこんな状態いつまで保つんだろうと思っていたら、野田…
せっかく友坂が頑張ってるのに、なんで手首なんか触るのよ。

なんで… どきっとしたんだろ (by 野田)

これが、恋だといいんですけど。
覚悟を決めてほしいです>野田
続きが楽しみ。
(★★★★+0.5)


なんか、野田への不満だけで終わっちゃった… (笑)
会って一喝入れたいな、野田。

読んでくださってありがとう



「さあ恋におちたまえ」 の3巻が、5月に出るんですね。





田舎で農業に従事する少年 和葉・18歳。
野菜を育てることに、男のロマンを感じている。
ある日、東京でレストランを経営する本郷が、和葉の家の野菜を仕入れたいと商談にやって来るが、ひょんなこと (家族の陰謀?) から、和葉の身柄と引き替えに契約成立の運びとなってしまう。

大家族ゆえ、もとより居場所のなかった和葉は、意を決して上京。
しかし、本郷は和葉の家に来たときの、優しくて仕事のデキる男とはまったくの別人だった。
本郷の理不尽なわがままに振り回され、給料さえもらえない和葉は、実家へ帰ろうとするが、そのたびに本郷は真剣に引き止めてきて…。

そんなお話です。


                 ■□■□■

面白かったです。

ただ、本郷のわがままが過ぎるというか、笑って流しきれないところがありました。
あとのほうで 「ほとんど一目惚れ」 と言っているので、ああそうだったんだ… と思ったものの、読んでいるときは本郷の真意がよくわからなかったです。
単なる嫉妬から、せっかく張り切っていたフロアの仕事をやめさせたり、給料も渡さないで好き勝手連れ回しているところなんて、本気でムっとしましたもん。

もっとも、お金を渡さなかったのには理由があって、和葉が自分の給料で布団を買ってしまったら、一緒のベッドで寝れなくなってしまうから… だったんですけどね。それを聞いても、あら 可愛いとこあるのねぇ? なんて、まったく思わなかった私。序盤は、本郷のこと嫌いだったかも (笑)
多分、本郷が美形すぎるからいけないのかな。
あと、本郷が常に エロモード (おバカモード) か怒ってるかのどっちかで、普通の状態のときがあまりないのも原因?
デキる男という気がしないんだもの。

そんなわけで、和葉を猛烈に応援しながら読みました。
いそいそと東京に出てきた和葉が、しょげたり怒ったりオドオドしたりする様子は、面白いんだけれどそれ以上に痛々しくて、ヘラヘラ笑っていられないんですよね。
本郷に釣れていってもらった高級ホテルで、和葉がエレベーターとエスカレーターを間違えるところがあるんですが、ここすごく巧いと思いました。
和葉の舞い上がってる気持ちが、本郷にそれを指摘されることで シュンってなっちゃって、でもそのすぐあとにもっといいことがあって和葉の機嫌も戻って…。いいシーンです。

魅力的な脇キャラは、レストラン1号店の店長さん・山咲。
本郷のこと好きなのかなと思ったり、やっぱり違うなと思ったり、あれやっぱり好きなんじゃ?と思ったり…
よくわかりません?、表情が読めません?!

この続きが、Chara Selection 7月号に載るそうで、今度は山咲の恋が描かれていますように。
(★★★★☆)


読んでくださってありがとう


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