ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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逃亡といえば、私は極寒の地を思い浮かべます。
断崖絶壁で北風に吹かれながら 「あなた、私ももうすぐそちらに行きます」 みたいなね…(夫の敵を討って逃亡している設定)
暖かいところだと、すぐ見つかってしまいそうでしょ。


夏休みには遅すぎる
菱沢九月 著
徳間書店 (2005.10)
ISBN : 4199003681
価格 : \560


【こんな話】
大学の後輩・倉島に、突然会社から拉致されてしまったサラリーマンの覚 (さとる)。
行く先も告げずに会社を欠勤させられ、逃避行のように旅立つけれど、倉島は何も教えてくれない。
しかも夜になると 「先輩が好きだった俺はこういう俺じゃない?」 と縋るように求めてくる。
密かに倉島に想いを寄せていた覚は、心が見えないまま繰り返し抱かれてしまうが…!?

【ひとこと】
↑「先輩が好きだった俺は…」 のニュアンスが、ちょっとわかりにくいですか。実際には、

「がっかりしました? 先輩が好きだった俺はこういう俺じゃないって?」

と言ってます。
宿泊先の温泉で、倉島が覚に迫りながら言うセリフです。

想いを寄せていた後輩に、職場からそのまま拉致されて温泉に…
おぉ、これは! とわくわくしていたら、あまりに重い展開に驚きました。

「つきあってほしいところがある」
「追われている」

覚が倉島から聞かされたのは、これだけ。
最初こそ、旅行気分だったものの、しばらくして倉島の様子がおかしいことに気がつきます。
好きだった後輩に抱かれて、それが愛情とは違うような気もするのに、倉島のちょっとした言動に喜んだりホッとしたりしてしまう覚。
うまい言葉が見つからないんですが、覚があんまり必死で、読むのが辛かったです。

一方、倉島。
どっちが本当の倉島なんでしょう。
覚との寮生活で、気性の激しいところは一度も見せたことなかったんでしょうか。
すごく危険な匂いがします。
わざと冷たくしているのか、本当にキレているのか、紙一重なところが余計に怖かったです。

読んでいるこちらも、真相を知らされないまま、ふたりの不毛なやりとりを聞かされるわけで、少々焦れたというのが本音です。


(ネタバレ)
「俺、母親を愛してるんです。外国人でもないのに平気でこんなこと言えるぐらい」

この本で、いちばん印象に残ったのはこのセリフといってもいいくらい。
なんでだろう。家族を愛するって、当たり前で素晴らしいことなのに、このセリフを読んで あぁ 倉島って危ないかも… と思いました。
そうしたら、そこから先の倉島の言動すべてが胡散臭く見えるようになりました。

今回の倉島の逃避行。
原因は、母の死でした。
彼が、いままでの人生で、愛を捧げてきた唯一の女性。
倉島は、いわゆる愛人の子でした。
ひとりで苦労する母親を見て育ったことで、母親に深い愛情をもつようになったのだと言います。

その母が、病床に伏し、実の父と兄を名乗る人物が現れたのが、事の発端でした。

倉島の奇行を、子どもっぽい とか マザコン とか、下世話な言葉で表現することは簡単です。でも、「母親の死」 という現実が目の前にぶら下がっているせいか、そんなふうにしたり軽口を叩いたり茶化したりできません。

…って、そこまで暗い小説じゃないんです、ごめんなさい!
私が語るとどんどん荒んでいってしまいそうなので、このへんにしておきます。

あ、そうそう。
実の父・伊沢氏と、兄・正敬のキャラがいいですね。この小説を、どん底からすくい上げてくれてます。
とくに正敬。
彼の辞書には、「小さい=小さくて可愛いもの」 とあるそうで。
正敬と覚が、コーヒーを飲むシーンに、猛烈にときめきを感じる私でした…
(★★★☆☆)


『小説家は懺悔する』 の続編が出るそうです。
すっごく楽しみ!
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Comment

 秘密にする

こんにちは、リリカさん。

今回、何が怖かったかというとやはりリリカさんのおっしゃるとおり、どちらの倉島が本当か?っていうことだったかも。

>わざと冷たくしているのか、本当にキレているのか、紙一重なところが

覚を縛っちゃう場面では、本人も「すーって、本当にわけなかんなくなって」って言ってますから、きっと本当にキレてたんでしょうね。

こ・・・こわいよぅ。こんな風にキレる素因を持っている倉島を覚は怖くないのかな?と心配してしまいました。

逆に笑えたのは弟が弟なら、兄も兄。兄弟で覚を拉致するところでした。
お兄ちゃんには私もときめきましたv

TBさせていただきました!
suzuya | URL | 2005/11/03/Thu 13:46[EDIT]
>suzuyaさん
こんにちは。

>危険な倉島
覚も、あの状況では冷静に判断できなかったんでしょうね。
きっとあとから、怖がってると思います。
だから案外、正敬を頼りにしてるんじゃないかなぁと。

なんかいっそ、覚も混ぜてもらって3兄弟になっちゃえ!って感じがしませんか?
3人には、仲良くしていてほしいです。

正敬、人気キャラになりそうですね。
彼が「小さくてかわいい」コイビトを可愛がるところ、見たくないですか?ふふ
リリカ | URL | 2005/11/03/Thu 17:26[EDIT]
こんにちは~
>彼が「小さくてかわいい」コイビトを可愛がるところ、見たくないですか?
下のリリカさんのコメントですけど。
私、見てみたいです~
正敬が出てきて、すっかり、彼に興味を持ちました。
間違いなく、”小さいひと”は正敬の好みのタイプ、ですよね。

でも、読み始めた時と、読み終わった後では、印象が凄く変わる作品、だな~と思いました。

そうそう。
小説家は懺悔する、のキャスト決まりましたね~
リリカさんと、私の予想は外れてしまい、メインは、森川智之×武内健、になりましたね。
武内さん、はまだ声を把握してる方、ではないんですが。
BLでは、何度が耳にしたので、ちょっと、楽しみです~

では、お邪魔致しました!
| URL | 2006/04/12/Wed 15:38[EDIT]
凛さんへ
こんにちは、いつも古い記事をほじくり出してくださってありがとう!

やっぱり兄の登場が、この小説を味のあるものにしてるんだなぁと、今更ながら実感。
続編、読んでみたいですね~(小さな恋人編で)

>CDキャスト
森川さんだとなんか当たり前のような…
武内さんてどこかで名前見たなぁと思ったら、アニメの学ヘヴに出てますね。
といっても、うちは見れないけど。

レス遅くなってごめんなさい、見てもらえるかな?
リリカ | URL | 2006/04/13/Thu 20:30[EDIT]
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