ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ずっと積んでおいたのが、悔やまれます。もっと早く読めばよかった。


小説家は懺悔する
菱沢 九月 著
徳間書店 (2005.3)
ISBN : 4199003444
価格 : \540


【こんな話】
恋人に逃げられ行き場を失った律 (りつ・24歳) は、その傷も癒えぬまま、小説家 佐々原脩司 (29歳) の家で、住み込みのハウスキーパーをすることになった。別れた恋人についてズケズケと尋ねてきたり、小説のネタに抱いたりと 強引な佐々原に、はじめは反感を覚えた律だったが、次第に佐々原に惹かれていき…。

【こんな話】
律は、コックさんです。雇われ先のレストランの店長さん (男) と恋仲になり同居していたところを、逃げられてしまったのでした。
この店長さんが40歳というので、律は年の離れた人に守ってもらいたいタイプなのかな、と思ったのですが、そうでもありませんでした。店長さんには、奥さんも子どももいて、ウジウジと悩みながらの不倫だったようで、それを律がなだめたりすかしたりしながら、関係を保っていたんだと思います。

親友の克己 (とその兄 匡史) が、手のかかる佐々原 (以下 脩司) を紹介したのもそんな律をよく知ってのことだったんでしょう。

さて、あまり気乗りせず 佐々原宅に出向いた律ですが、悲しいかな、一目惚れしちゃうのです、脩司に。本人にその自覚はないみたいだけど、明らかにそうかな、と。
そして、脩司のほうも、律に "津々" とはいかないまでも、興味をもったようで。

先を読むとわかるのですが、脩司は人付き合いが嫌いだし下手だし、好きな相手ほど "素" で接するから、ぶっきらぼうで冷たくなってしまう人なんです。
最初からずいぶん失礼な態度をとっていた脩司だけれど、あれって律のこと、かなり気に入ってたってことなんだなぁって、あとからわかって嬉しかったです。

そして。律と脩司はカラダの関係をもつわけですが、律がどんどん脩司に溺れていくのに対し、脩司の気持ちはとてもわかりにくいです。本当に最初は小説のネタにするつもりだったのかどうかも、私にはよくわかりませんでした。
でも、律と脩司には、ふたりだからこそわかちあえるものがありました。
大切な人の死が、いつまでも心に影を落としている、という共通項。
簡単には、他人に本心を明かさない脩司が、律に心を許したのは、そのせいだったんでしょうか。
そう考えてしまうと、寂しかったりもしませんか。それがなかったら、どうなってたんだろうって、余計なことを考えてしまいました。

その後、脩司がベストセラー作家であるがゆえのスキャンダルが発生、律が傷ついて、少しのあいだ離ればなれになってしまうのですが、ここでの匡史&克己兄弟がとても好きでした。

匡史は脩司の親友、克己は律の親友、いえ、もう親友以上です。律は 「一生友達」 と表現しています。
ふたりとも、互いの親友のことを、できることなら恋愛対象として好きになりたかった!くらいに考えているんですよね。だから、心配半分・嫉妬半分で、すっごく寂しそうにしてるんですよ。
基本的に、匡史は脩司の味方、克己は律の味方だから、言葉のすみずみに恨み節が入ったりして、なんとも微笑ましいです。

クライマックスは、無鉄砲な脩司にピッタリの演出。
よくある展開に興醒めしないのは、

「いくら俺でも他人のメシの種 つぶしたりはしない
映画が当たろうがこけようがどうだっていいなんて、作ってる奴らの前じゃ可哀想で言えないだろう?」


っていう伏線が張られていたからだと思います。
そんなふうに言ってた脩司が、滅茶苦茶なことを言い出します。未読のかたは、お楽しみに。

最後に。
「死んだ人には勝てない」 という克己の言葉が、心に残りました。
脩司は律に、「生きてる人間の中で一番」 好きだと言うんです。つまり、亡くした恋人のことは忘れられないと。
私はこれ、ずいぶん悲しい愛の告白だなぁと思ったんですけど、裏を返せば、それだけ脩司がバカ正直で不器用ってことなんでしょうね。
そんな不器用なところを律がわかってあげられるのは、やっぱり「共通項」があるからなのかもしれません。
(★★★★+0.5)


旅行に持っていったBL本、両方とも挿絵が高久尚子さんでした。さらに、登場人物の名前が "律" で。すごい偶然。
スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

こんにちわ、リリカさん。

このお話、甘くて痛くて切なくて大好きです。
でも私的にツボなのはブラザースの、恋人でなくただの友達でもなく家族でもない情を持てる心の広さでした。
お互いの立場からの会話がおもしろいですよね。

もっとこの人のお話、読みたいんですけど寡作な方ですね(泣)
アキ | URL | 2005/08/30/Tue 07:57[EDIT]
こんにちは、リリカさんv

特に気にしていなかった本が、びっくりするくらい面白かった!って事ありますよね、まさにこの本がそうだったんですが、私の場合。

匡史と克己の兄弟ですが
>できることなら恋愛対象として好きになりたかった!
確かにそのとおりかも~!
自分ならもっと幸せにしてあげられるのに~、とさぞかしモヤモヤしてたと思います。でも恋愛対象じゃないからこそ出来ることがあるんですよね。

佐々原の気持ちって掴みずらかったんですが、心配していた以上に律のことを好きだったのが判明した時にはリリカさん同様ほっとしました(笑)

重苦しいはずのお話なのに、妙に甘い印象が残っている不思議な物語でした。
suzuya | URL | 2005/08/30/Tue 11:24[EDIT]
>アキさん&suzuyaさん
>アキさん
こんにちは。TBありがとうございます。
実は、昨日の朝、TB送らせてもらったんですが、2回やったのに反映されなくて。
(かと思うと、違う作品のTB送っちゃったりして、ホントすいません…)
またあとでやってみますね。

ブラザース。
すごく魅力的な人間関係でした。
私もこんなふうに心配してもらったり、心配してあげたりしたいなぁと思うものの、女性には成り立ちにくい関係かなぁとなんとなく思いました。

このかたの本、『のらいぬ』 とコレしか読んだことないんです。
『のらいぬ』 もいたく感動して、たしか★5つだったような。


>suzuyaさん
こんにちは。

匡史と克己。
そうそう、モヤモヤしてるんですよね。
律と呑んでるときの克己のおもしろくなさそうな表情はおかしかったです。
あと、「これから佐々原、殺しに行こうか?」とか(笑)
匡史も、律にだけちょこっと意地悪してるのかと思えば、佐々原にも大嘘ついてたりとか。

律が女だったら、「悪い男にひっかかって可哀想に」って感じの話になりがちだけど、BL界だと佐々原みたいな男は、極上扱いですよね(笑)


おふたりとも、ありがとうございました!
リリカ | URL | 2005/08/31/Wed 02:57[EDIT]
こんばんは、リリカさん、魚住です。
遅ればせながら感想を読ませていただきました。。

この本はほんとうにいろいろと考えさせてくれる、素敵な本ですよね。
リリカさんの感想を読んでさらにまたあれこれ思いを巡らせました。

私は克巳が大好きですが、
彼女がいるのでもう二度と会えないんですよね。。
ふいに男のひとを好きになって、
続編で帰ってきてくれないものでしょうか。
匡史もいいですよね。。ああ、惜しいです。

トラックバックさせていただきました。
ありがとう 魚住
魚住 | URL | 2005/10/07/Fri 21:48[EDIT]
>魚住さん
魚住さん、こんにちは。

>(克巳)ふいに男のひとを好きになって
ね、そう思います。
克巳の彼女や、匡史の奥さんのことが、会話の中に自然にとけ込んでいて、それを読むたび、残念でたまりませんでした…

克巳は克巳で、律が普通に女の子と付き合ってくれれば安心できるのに… とでも思っているのかもしれません。
佐々原のこと 姑チェックみたいにしそうだし。

いつも埋もれている記事をほじくり出してくださってありがとう。
私もトラックバックさせてくださいね。
リリカ | URL | 2005/10/08/Sat 10:52[EDIT]
こんばんは~
TB・コメント有難うございました!

私、この本に登場したキャラたちの印象が、変わりました、読んで行くうちに。
最初、興味本位の脩司と簡単にHした律、がどうも、よくわからなくって。
でも、徐々に、この二人は一緒にいるべき、なんて思ってて。
いい意味で、裏切られた感じ、がしましたね~

>「生きてる人間の中で一番」 好きだ
こういう台詞って、切ないですよね…
嬉しいですけどね、そういって貰えると。

束縛する、も読みましたよ!

では、お邪魔致しました…
| URL | 2006/03/24/Fri 22:32[EDIT]
凛さんへ
こんにちは。

確かに、最初のほうの律って壊れてましたね。
でも私、こういう不安定な受けって大好きで、おまけにこれはトシの差もあったので、すっごく好きでした。

ドラマCD、誰でしょうねぇ…
リリカ | URL | 2006/03/26/Sun 08:10[EDIT]
Track Back
TB*URL

*BL 「小説家は懺悔する」菱沢九月先生
 きっともう、この心臓は二度と死なない。  [続きを読む]
★LOVELY TALES :BL読録 2005/10/07/Fri 21:28
Copyright © 小夜すがら 其ノ壱. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。