ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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拳はいけません。


そのわけを
榊 花月
竹書房 (2005.7)
ISBN : 4812422442
価格 : \600


【こんな話】
大手デパートに勤める志紀 (志紀) にとって、倉方 (くらかた) の第一印象は最悪だった。
人を見下したような視線、そっけない口調、どれをとっても下請けのデザイナーとは思えない態度の男だった。
しかしある時、酔った勢いで倉方に絡んでしまった志紀は、そのまま倉方に抱かれてしまう。
「お前がしつこいから抱いた」 その後志紀に倉方はそっけなく言い捨てたが、志紀には倉方があからさまに他人を拒否する理由が気になり始めていた。

【ひとこと】
ゲイとしてのキャリアは長いのに、おそらく幸せな思いはしたことがない… 志紀はそんな青年です。
表向きは爽やか好青年でも、心の中では常に葛藤を抱えているような気がします。

この日も、密かに思いを寄せていた同僚が結婚することを知り、ひとり飲みに出かけます。べろんべろんになった志紀は、同じ店で飲んでいた若者3人にヤられちゃいそうになるんですが、普通のバー (ですよね?) でこんなことってあるもんなんでしょうかね。

…という疑問はさておいて。
この窮地から救ってくれたのが、倉方でした。でも、助けてもらったのに、暴言吐きまくりの志紀。
ここだけに限らず、志紀の自虐的な態度は見ていて胸が痛くなります。
この 「俺はどうしようもない人間なんだ」 という感じが、会社での志紀とまったく合わないのにとまどってしまいました。

さらに、仕事にかこつけながらも、倉方に抱かれに行ってしまう志紀にも驚きました。押しが強いっていうの、それとも、不屈っていうの?

「あなたが切れたから」
(「切れた」 は 「キレた」 ではありません。おわかりですよね・笑)

って、そんな恥ずかしいこと、普通言えないでしょ!
だって、仕事も一緒にしてるんですよ!
で 「ここに来たのは、俺と寝たいからか」 って訊かれて、やっと "少し恥ずかしい" なんて言ってる。
遅い!

多分ね、倉方も、デパートのプランナーとしての志紀と、こんな娼婦みたいな志紀のギャップを可愛いと思っちゃったのではないでしょうか。
でも、倉方も志紀以上に、心に暗いものをため込んでいる男でした。
詳しくは書きませんが、これまでの人生で何度か他人に裏切られ、かならずそこに 「死」 が絡んでいたのでした。

「誰も本気で愛せない」 という倉方ですが、愛せないというよりも、愛さないようにしているんですよね。
志紀に 「お前が嫌い」 とか 「淫乱」 とか 「メス豚」 とか 「期待するな」 とか… そりゃひどいことばっかり言うんだけど、カラダの欲望だけで人を抱くような人にはとても見えないから、無理しているのがバレバレで気の毒でした。

そんなとき、倉方のかつての恋人の弟・稜が現れます。
この稜が、どらまちっくに当て馬を演じてくれるもんだから、倉方はヒートアップ。
でも、殴るのはダメでしょう… しかも、拳。加えて、平手打ち…。
倉方の 「俺は、お前に惚れてなんかいない!」 という言葉がはとてもせつないのに、この暴力沙汰で腰が引けてしまった私です (注: 暴力シーンに嫌悪感はありません)

志紀だってせつないですよ。
必死で自分の気持ちを伝えるのに
「俺は最低な人間です。 淫乱なメス豚なんです」
「サカリのついた醜い豚なんです」
なんて口走るんです。
ここは聞いていられませんでした。
そんなこと言わないで?! って心の中で絶叫してました。

倉方の心にある氷の塊が、やっと溶けかかったかなというところで、この話は終わっています。
最後まで甘い言葉は聞けなかったけれど、これが倉方なりの最大限の譲歩ということで。
本来なら、これに書き下ろしがプラスされそうなところですが、このお話自体が書き下ろしなのでしかたありません。
(★★★☆☆)


志紀はMですね。
「あなたがつけた疵は、あなたが癒して」 って、もう演歌ですか。
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Comment

 秘密にする

こんにちは、リリカさん。

>志紀はMですね。

ホント、いっそそうであって欲しいですね。
それなら倉方がいくら辛くあたっても、プレイの一部に・・・(って違うと思う)

志紀のMっぷりが「嗜好」としてのソレではなく「贖罪」としてのソレなので、やりきれないです。志紀ってば、ちょっと男が好きなだけなのに・・・憐れ。

久しぶりの榊花月さんの新作はちょいと衝撃的でしたね~(しみじみ)
suzuya | URL | 2005/08/09/Tue 17:15[EDIT]
>suzuyaさん
こんにちは。

私、乱暴な攻めもわりと平気で読めてしまうほうなんですけど、根津の拳はどうもいただけませんでした。
カーッとなると、何をしでかすのかわからないような気がして…

榊さんの小説って、「紙一重」キャラがよく出てくると思いませんか。
根津がまさにソレで、ホントに怖かったです。
リリカ | URL | 2005/08/09/Tue 22:22[EDIT]
こんばんわ。
このお話、結構ゲイな人普通に出てきますよね。
最初の3人といい…。
志紀、そんなに悩む必要ないんじゃ?と思っちゃったりしました。
こちらからもTB送りますね。


あすた | URL | 2005/08/09/Tue 22:40[EDIT]
>あすたさん
こんにちは。

最初、そのテのバーだと思ってたんです。
でも、よく読んだら「そっち系?」って確認してるし。

たまにはいいけれど、やっぱり私は自信もってホモ道を歩んでる人がいいなぁ。
リリカ | URL | 2005/08/10/Wed 06:41[EDIT]
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