ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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本を読みながら居眠りしてしまった秀に、座布団をかけてあげる勇太。
優しくしてもらうことなんて、あまりなかっただろうに、それでもちゃんと人に優しくしてあげられる勇太は偉いね。(口絵)


夢のころ、夢の町で。
菅野 彰
徳間書店 (2005.6)
ISBN : 4199003029
価格 : \540



【こんな話】
大学生の秀に当たり屋として出会った、十歳の岸和田の思い出、養子にしたいと秀が父親の元に通った一年間、そして晴れて勇太を息子に迎え、親子の絆を結んだ四年間の京都時代…。勇太にとって、つらくも鮮やかな幸いの日々を描く、「晴天!」の原点。

【ひとこと】
勇太が当たり屋をした話も、秀が苦労して勇太を引き取った話も、さも知ったような気になっていました。でもそれは、思ったよりもずっと壮絶で、少しも美談なんかではなかったことに、ショックを受けました。

大学生なのに、秀はなんでまた、父親になるなんて言い出したんだろう。そんなことができると思っていたんだろうか。
「誰も自分みたいになってほしくない」
そんな理由だけで、あそこまで頑張れるんだろうか。ずっとそう思っていました。

そうしたら、お好み焼き屋さんのババア (by 勇太) がヒントをくれました。

バ 「まともに育ちよったら そんな でけもせんこと 言うたりはせんわな」

きっと秀は、少年の父親になることがどんなに無謀で難しいことかも判断できないくらい、ギリギリまで追い詰められていたんでしょうね。
そして、自分も父親というものを知らなかったからこそ、漠然と、でも強く 「父親にならなければ」 と思ったのかもしれません。

一方、勇太。
岸和田の勇太は、私が考えていたよりも、純な少年でした。確かに生活は荒れていたけれど、心の中までは荒んでいなかったんだなぁと。
その証拠に、他の子は秀を避けるようになったけど、勇太は文句を言いながらも秀の話を聞いたり、一緒にお弁当食べたりしていましたもんね。
それでも、勇太はなかなか、岸和田から 「外」 へ出ようとはしませんでしたが。

私はてっきり、勇太がヤクザの子分よろしく 「俺はここで生きなあかん」 とでも決めているのかと思っていました。
でも、ホントはお母さんが帰って来るのを待っていたんですよね。帰って来るといいなぁ、ではなくて、来ることになっていた。
だから、岸和田を出るわけには行かなかったのです。でも…。
秀の話を聞いて、もう母親を待つ必要もないと気づいたときの勇太が、もっと子どもらしく大泣きしてくれたらまだよかったです。

「俺が驚いたんは、俺が、おかんを…… あの女を待っとったことや……っ」

こんなふうにしか言えない勇太が憐れでした。

人間関係の薄い環境で育つと、かえって密な関係は落ち着かずに不安なのでしょうか。
せっかくふたりで暮らすようになったのに、秀ってば、非行に走った息子におろおろする母親みたいです。沈黙が怖いのか、ずっと喋ってる。
勇太は勇太で、秀が祇園で人探しをしているのを見ただけで不安になってしまいます。秀の関心が、ちょっと他へ向いただけで、自分が置いていかれたような気持ちになってしまったのでしょう。
お膳立ては整っても、なかなか幸せにはなれないもんなんだなぁ、と不思議な気がしました。

でも、このふたり。
秀は勇太のこと、自分より弱い存在で守ってあげなくちゃって思ってて、
勇太は秀のこと、俺がついててやらんとどないなってまうんや、って。
だから、ちょうどいいんです、きっと。
秀が探していたのは、自分が守りたい人、なおかつ、守ってくれる人だったのかもしれません。

(★★★★★)


勇太はしかたなく秀についてきたような顔をしつつも、内心はすっごく新生活に期待を抱いていたんですよね。
だから、学生アパートがあまりに貧乏ったらしくて、まず失望。
さらに、引っ越し先の一軒家がしょぼいのにも、ガックリ。
こういうところ、いかにも関西人だなぁ。
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Comment

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こんにちは、suzuyaです。

感想を拝見しました~!今では、お母さんのコトをあまり口にしない勇太ですが、この作品では実はすごくお母さんに縛られてるというか、待ってるってゆうか、どこかでやっぱり信じてたんだ・・・と、改めて思わされました。
>「俺が驚いたんは、俺が、おかんを…… あの女を待っとったことや……っ」
ホントにおかんのこと、好きだったんだなぁ・・・と。不憫な子です。

で、しみじみ感想を拝見したんですけど、最後の最後で「内心すっごく新生活に期待を抱いていたんですよね」のところで笑ってしまいました。そうそう!どう見てもおぼっちゃまな秀だから、すごいオッシャレーなとこを想像して、ちょっとドキドキしてたんでしょうね~(笑)
ちょっと可笑しい。

また、遊びに参りますねv

suzuya | URL | 2005/07/15/Fri 17:59[EDIT]
新生活に期待、に同感
こんばんは。

レビュお疲れさまです。相互TBいただきましたv
秀も勇太も、新しい生活を始めることで、今までのことを精算できるみたいに、すごく期待してたんじゃないかなー…と思います。でもやっぱり、二人とも何がほんとの愛情か、とか、実感として知らないから、手探りでしか進んでいけなくて、もどかしかったですね…。
外側のお膳立てがそろっても、ほんとうまくいかないものなんですねぇ…。同感です。

ではでは。また。ありがとうございました。
秋月 | URL | 2005/07/15/Fri 20:00[EDIT]
suzuyaさん、こんにちは。

そういえば、勇太のお母さんって、一度岸和田に来たんですよね。
「子供の言い分」でババァからそう聞かされて、勇太はちょっとホッとしたような感じでしたっけ。

勇太、若白髪が多そうだと思いませんか。
苦労しすぎ。

TBありがとうございました。
また萌え話、書きに行きます(大迷惑)
リリカ | URL | 2005/07/16/Sat 02:52[EDIT]
秋月さん、こんにちは。

>手探りでしか進んでいけなくて
あのままふたりで暮らしていたら、どうしてたでしょうね。
もっと親子らしからぬ親子(恋人寄りの関係)になっていたような気もします。

帯刀家で暮らすようになってよかったですよね。
ふたり頼りすぎずに、ちょっとでも普通の父子のようになれたら素敵です。

ありがとうございました♪
リリカ | URL | 2005/07/16/Sat 03:11[EDIT]
TBさせて頂きました♪♪
リリカさん、今晩は☆
イキナリですがTBをさせて頂きました♪

二人を取り巻くナニからナニまでが壮絶でココまでの葛藤を経て親子になったのね、って、痛々しいやら愛しいやらで読了直後は暫くボ~ッとしてしまった程です。
あらゆる事項に対し、勇太は経験のないコトでもちゃんとその先を想像出来て、秀は想像力そのものが稀薄なのかも知れない…と、漠然と考えてしまった巻でした。

今後も、出没を繰り返すと思いますがヨロシクお願いします☆
たかい★あきこ | URL | 2005/07/17/Sun 23:54[EDIT]
こんにちは、あきこさん。
来てくださって、ありがとうございます。

>勇太は経験のないコトでもちゃんとその先を想像出来て
そうですね、勇太は小さい頃から、お利口さんですよね。
秀は、今日を生きるだけで精一杯なところなんでしょう、きっと(笑)

また遊びに行きますね。


リリカ | URL | 2005/07/18/Mon 03:53[EDIT]
リリカさん、こんにちは。感想拝見しました。
強調されている部分については、どれも私も心に残った言葉だったので、しっかりと拾い上げていらっしゃるなぁ、と感じました。お好み焼き屋のババアもいい人ですよね。
勇太は登場時から達観してたけど、今回の作品を読んで、私も思っていたより純な心を持っていたんだなぁと思いました。やってることは当たり屋だったりするんだけど、子供らしさがちゃんと感じることが出来たことが嬉しかったんです。それに、母親に対しても本編の方でも強く語られる父親のことも、絶望感を感じつつもすっぱり切ってしまえない優しさがあって。その心があったからこそ今に繋がっているんでしょうね。
・・・なんだか取りとめがなくなってしまいましたね(苦笑)
最後に。TBさせていただきました。調子に乗って他の作品もv
今後もお邪魔させていただくと思いますので、よろしくお願いいたします。
とき | URL | 2005/07/18/Mon 10:44[EDIT]
リリカさん、こんにちは。
TBとコメントありがとうございました!
遅くなりましたがこちらからもTBさせていただきました。

お好み焼きやのババアは本当にいいですよね。
この人の存在が、幼かった勇太にほんの少しだけ暖かさを与えてくれていたような気がします。
伊達に歳食ってないぞ、という重みのある言葉が真理を突いてます。

今後もお邪魔させていただくと思いますので、よろしくお願いします♪

さくら | URL | 2005/07/18/Mon 17:23[EDIT]
リリカさん、こんにちは。
非常に遅ればせながら、TBさせていただきました。

リリカさんの感想の、秀があれほど勇太の父親になりたいと願った理由のくだり。
私も長年腑に落ちない気分だったので、感想を拝見して「あぁそういう事なのか…!」とストンと胸に落ちてきました。

リリカさんはじめ、たくさんの方の感想を拝見できるっていうのは本当に勉強になるというか、内容をより掘り下げることができる気がして、すごくすごく嬉しいです。
いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
瑛巳 | URL | 2005/07/18/Mon 17:34[EDIT]
ときさん・さくらさん・瑛巳さんにレスです♪
■ときさん
コメントありがとうございます。
そうですよね、勇太は思ったよりもずっといい子でしたよね。
もっと秀のこと、罵ったりしてるんじゃないかって想像していたのです。
それに、「子供の言い分」でも、母親や養父のこと、心からは悪く言ってなかったりで、勇太の優しさというか心の広さのようなものがひしと感じられました。
「誰がお前を…」のTBもありがとうございました。
またいらしてくださいね、私もお邪魔させていただきます。

■さくらさん
こんにちは、TBありがとうございます。
「子供の言い分」でちょっとだけ覗いた岸和田の風景やババアを、より鮮明に焼き付けられた感じでしたね。
ババアに対しては、態度も言葉遣いもサイテーの勇太だけど、「長生きしろや」とか言ってたじゃないですか、家出したときに。なんか、そういうのいいですよね。
ババア、いい人ですよね。真弓に対して、しきりに照れてたのが可愛かったです。
…って、「子供の言い分」の話ばっかりになっちゃいました、ごめんなさい~♪

■瑛巳さん
お世話さまです♪
秀が殴られたのは聞いていたけれど、あそこまで暴力ふるわれてたとは思わなかったんです。
なんか鬼気迫るものを感じて、ひょっとしたら秀自身、なんにもわかってないんじゃないかって。
私の解釈があってるかどうかは、菅野先生のみ知るところですが、みなさんとこうして話し合うのはとっても楽しいです。
これからもよろしくお願いしますね~。
もちろん萌え話も。
リリカ | URL | 2005/07/18/Mon 20:40[EDIT]
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夢のころ、夢の町で。
夢のころ、夢の町で。(毎日晴天!11)菅野彰 /cut 二宮悦巳キャラ文庫 2005-06-25★★★★★☆☆☆☆☆  [続きを読む]
HeartJungle 2005/07/18/Mon 10:43
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