ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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まるで哲学書のよう。


愛がなければやってられない 菅野彰
菅野 彰
新書館 (1999.4)
ISBN : 4403520081
価格 : \560


人気漫画家の由也と、編集者の耕介。
耕介は由也の担当編集者で、そして、はとこ同士。子どもの頃からずっと一緒で、お互い想いを寄せ合ってきたのが、やっと結ばれた… という話ではあるんです。
でも、そうなったふたりが、幸せいっぱいか… といえば、まったくそんなことはなくて。

耕介としては、年上なのに頼りなくて泣き虫な由也を、ずっと自分が守ってきた、と思っていたんですね。由也のことは、すべてこの自分が知ってると思っていた。
でも、ちょっとつついてみたら、いつのまにか女性にプロポーズしていたり、他の男性と付き合っていたことが発覚したりで、耕介はおおいに脱力してしまいます。
自分の知らない由也を前に、耕介は困惑というよりは、憤りを感じてしまうんですよね。仕事ではいつもズケズケと物を言う耕介も、これに関してはどうも調子が狂ってしまって、悪夢を見たり、由也にあたったり。
ふたり一緒にいて、それなりに甘い雰囲気はあったりするんだけど、耕介がいっぱいいっぱいなのに対して、由也はのらりくらりしてばかりで、読んでいてもスッキリしないものがありました。

それにしても、最後の最後まで、耕介にとっては酷なことばかりでした。
特にせつなかったのは、由也が元恋人に会いに行くのを、追いかけるところ。昔の男と話している由也は、いつものどうしようもない雰囲気とは違って、耕介が見たこともない、優しくてしっかりした大人の男だったんです。

その後、耕介に会った由也は、こう言います。

 こうちゃん(耕介)のことはずっと好きだったよ。
 子どものころから、ずっと変わらないのはわかってた…
 こうちゃんのこと、一番大事に思う気持ち。
 誰と、抱き合っても。


でも、いくら好きでも、恋人同士になるとは思わなかったから 「別のとこで、他の男を好きになった」 って言うんですよ。この感情は、なかなか理解しにくくて、耕介もちっとも納得いってないのだけど 「ごめんね」 「好きだよ」 って言われてしまうと、それでもしかたないのかなぁと、またしてもギリギリまで追い詰められてしまう彼なのでした。
最後のほうの耕介は、言うこときかない子どもみたいで、すごく可愛かったです。

6年も前の本です。
編集が、ヘタレな作家の尻を叩く様子は、「晴天シリーズ」 の大河と秀に少し似ています。
幸せがすぐそこにあるのに、それに甘えなかったり、あえて、辛い選択肢をとってみたりするところも、なんとなく似ていました。
(★★★★☆)


「晴天シリーズ」 の感想を書こうとしても、なかなか進まなくて、ひと休みしようと思ってこれを読みました。でも、ひと休みどころか、もっと考え込むことになってしまいました。
菅野先生の作品は深い。
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Comment

 秘密にする

あ!懐かしい本がッ!と思い、思わずコメントさせていただきました。
改めてリリカさんの感想を拝見していると、耕介って実はすごく苦労人だったのだと、今更ながら気付きました。びっくり。

そうですよね、由也はうすらぼんやりしてる割には、耕介の天敵である上司と付き合っていた時期もあれば、美人マネージャーにプロポーズしてたりもして、ちゃっかりやるこたやっていましたもの。

由也が元恋人と旅行へ行く話、私は元恋人の長江が大変お気に入りだったので、むしろはげしく萌えたのですが、耕介にとってはたまらなかったのだなぁと。泣いてましたもんね、耕介。

視点を変えると、同じ物語でも感じ方が全然ちがうのだなぁと、思い知らされた気がしました。TB送らせていただきますv
suzuya | URL | 2005/07/13/Wed 23:50[EDIT]
こんにちは、suzuyaさん。
TBとコメント、ありがとうございました。
誰も読んでくれないかと思っていたので、すごく嬉しかったです。

私は逆に、suzuyaさんの話を聞いて、そっか由也にウェイトをおいて読んだらもっと萌えられたのかな? とハッとしました~(笑)

>むしろはげしく萌えた
そうですよね、ここの会話って萌えポイントだと思います。
なのに私は、耕介と一緒にさめざめと泣いてましたよ…

ぜんぜんとらえ方が違うのも、また楽しいですね。
これからも御指南よろしくお願いします♪
リリカ | URL | 2005/07/14/Thu 17:26[EDIT]
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