ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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久我先生の時代もの… あ、もしかしたら初の江戸弁?
と思ったら、やっぱり関西弁でした。


落花の雪に踏み迷う
久我 有加
新書館 (2005.6)
ISBN : 4403521088
価格 : \630




【こんな話】
母は街一番の美貌を謳われた芸妓。
その母に生き写しの廉は、客として花街にやってきた学生・達臣と出会い、急速にひかれあう。ふたりは街を出て共に暮らそうと誓いあうが、約束の日、達臣は現れなかった。
桜の花弁舞う中、廉はいつまでも待ち続けた ──。
その日から二年。達臣を忘れ、街で生きることを決めた廉は、娘を買いに訪れた寒村で、鉱山社長となった達臣と再会する…。
(カバー裏あらすじ)

【ひとこと】
人生に、こういう行き違いってたくさんあるんだろうなぁ、と思いました。
この物語に出てくる人は、いつも、そのときに自分ができる精一杯のことをやってるんです。だけど、それぞれがよかれと思ってとった行動が、少しずつすれ違って、誤解を生んで、気がつくとみんな傷ついている…。
それはもう、読むのが嫌になるくらいで、ずいぶん泣かされました。

自分を捨てた達臣を、2年かけて忘れて、やっと "人買い" として新しい人生を送る決心がついたのに、訪れた村で廉を待っていたのは、その達臣でした。
あんなに憎んで、もう忘れたはずなのに、やっぱり会えば大好きで、しかも、話を聞けば、自分のことを捨てたわけではないと言う。でも、いまの達臣は、村民をはじめ、あちこちから恨みを買う、卑劣な鉱山社長 ── 廉とは敵対する立場になっていて…。
ここの辺りの、揺れ動く廉の気持ちが、かわいそうでたまりません。

一方、達臣も同じくらい、いやそれ以上に不憫です。
父親に軟禁されながら、廉に手紙を送っても返事ひとつ来ない。それじゃ早く一人前になって迎えに行かなければ、と急ぐあまり、周りも見ずに突っ走って、性格が歪んでしまったのでしょう。
でも、本当は達臣が悪い人間でないのは、彼の友人や女中さん、秘書の様子を見れば一目瞭然で、こうなる前はいい人だったんだなぁと思うと、余計に悲しくなりました。

これを、ハッピーエンディングと呼んでいいのか、実はよくわかりません。達臣と廉は一緒になれたけど、辛い道を辿った人も少なくないからです。でも、達臣がこれ以上、非情な言動をとらないことだけは確かで、そうしたらこれは、やっぱりハッピーエンドなのかな。
(★★★★★)

久我先生は、ストーリーも文章もしっかりしてらっしゃるから、よくありがちな 「あれ、このセリフ、誰が喋ってるの?」 なんてことや、最後まで読んで 「ん? あの人はどうなっちゃったんだろ」 ということは、まずありません。でも、その丁寧さゆえに、登場人物の気持ち(特に、廉)が、これでもかこれでもかというほど伝わってきてたまりませんでした。

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Comment

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久々の感動
このお話、ものすごくよかったです。感動しました。気持ちは同じなのにすれ違う2人の姿がとっても悲しかった・・・特に、桜の木の下でうなだれている廉の絵が、キュンとしました。
時代の表現の仕方もすっごくよかったですね!
ごまくり | URL | 2005/06/20/Mon 15:04[EDIT]
私も~>ごまくりさん
うん、あの絵がすごく寂しかったです。

遠回りしちゃったけど、幸せになれてよかったですよね。
あとでコメントしに伺いますね。
もう感想は読ませていただいたのです。
リリカ | URL | 2005/06/20/Mon 20:41[EDIT]
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