ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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『ダブル・ベッド』 の感想のときにもこう書いたような…。
いいお話でした。 


雨のように、愛のように
吉田 ナツ 著
ビブロス (2005.12)


【こんな話】
異動で地元へ帰った永井は、職場で 高校時代の同級生・菱谷と再会する。
菱谷は上司の宮内と付き合っていたが、菱谷の苦い恋愛体験を知る永井は、菱谷が 宮内のようにいい加減な男に翻弄されていることが面白くない。
そして、旧交をあたためるうちに、永井は菱谷に惹かれていくのだった。

【ひとこと】
高校時代の永井と菱谷は、特に交友関係はありませんでした。
しかし、永井の友人と菱谷がキスをしているところを目撃、それが原因で菱谷がひどいふられ方をしたこともあり、菱谷のことは永井の記憶に残っていたんですね。

永井には、勉強もスポーツもよくできる 校内の有名人だった菱谷が、家庭の事情で進学もせず、地味な職に就いていることも、またしても軽薄な男・宮内と付き合っていることも、すんなり受け入れることができませんでした。
あのときの、ふられても凛とした態度をとっていた菱谷のことを、特別な思い出として忘れられないでいるというのに、なんでまたあんな奴を好きになってるんだ!? という気持ちがあったんでしょう。

しかし、菱谷は飄々と

「俺が好きになるのって、いつもそういう男なんだよ。暴力夫から逃げない妻、みたいのかな?」

と笑っているもんだから、永井はますますイライラ。
"暴力夫から逃げない妻" って…、自らその例えはどうなんでしょうね。かなりウケました、このセリフ。

そして、ここではまだ、正義感からきていた永井のイライラが、だんだん嫉妬に変わっていくのです。

永井はあっさり告白してしまうのですが、意外だったのは、彼が無理に結果を急いだりしないところでした。
モテるわりには恋愛は下手くそな (私にはそう見える) 永井が、菱谷に関しては忍耐強くて、真っ直ぐなんですよね。
ああ、これがオビにあった 「一生に一度の純愛」 なのか! と実感しました。

結局、ふたりの仲は進展することなく、永井の赴任期間は終了、本社へ戻ることに。
しかし、菱谷が宮内のミスをかばって辞職したことを知り、永井はいてもたってもいられず菱谷のマンションの前まで来てしまいます。
ここの弱気な永井が好きです。部屋の前まで行ったところ、菱谷とはちあわせてしまってうろたえる永井が、すごく意外で可愛いです。

なかなか落ちなかった菱谷も、ここでやっと陥落。
この本は、「泣ける」 がウリみたいなんですが、私はここの菱谷が永井から借りっぱなしのシャツを着ていたことにちょっと泣きそうになりました。
永井のシャツを着ることが、不幸に慣れっこになった菱谷の、ちょっとした幸せなのかなぁと思って。

短編 「ナチュラルウォーター」 は、クリスマス直前のお話。
菱谷視点で書かれているのが、なんだかふたりの秘密を覗いているようでいい感じです。
甘々なんだけど、ベタベタでもエロエロでもない幸せ?なお話です。
この感じが、まさに吉田さんの持ち味です。
(★★★★☆)


宮内は、永井が思っているほどイヤな男ではないでしょうね。
永井をにらみつける宮内が、なんとなく好きでした。
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数年前の年末、具合が悪くなって病院に行ったら、いきなり 「入院してください」 と言われたことがあったんですが、家族があれこれと必要なものを用意してくれているあいだ、私は死にものぐるいでマンガや本を片付けて (隠して) いました。
それ以来、何があってもいいように… と思うのですが、どうしたってしまいきれません、本が。

そこで、このスローガン。
「本は店で買う!」

表紙が恥ずかしいとか言って、ネットでどかどか注文するから購入量が増えちゃうのであって、自分が読みたいならちゃんと自分でレジに出そう! と。

ということで、前振りが長かったですが、今年は未読本があんまりないのです。えっへん♪
でも、やっぱり30冊くらいはあるかな…

その中で、年内に読みたかったものが、これ。
読みたくて買ったのにねぇ。

愛にふれさせてくれ (夜光花)
シャンパーニュの吐息 (夜光花)
悪辣で優しい男 (火崎勇)
プライベート・レッスン (桜木知沙子)
真昼の月/真昼の月 2 (いおかいつき)
なんでも屋のナンデモアリ 1・2 (菅野彰)
セカンド・セレナーデ (木原音瀬)
雨のように、愛のように (吉田ナツ)


でもまだ、何日かありますもんね、頑張ります。


あと、今年も読まなかったなぁ?といま眺めているのがこれ。

君が好きなのさ 全巻 (谷崎 泉)

12冊も、どうしますか。
この本のすごいところは、すべてリアルタイムで購入してるところです! (いばるな)
お正月がチャンスかしら…



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『小説家は懺悔する』 の続編。
前作は私の、ベスト1 in 2005 です。
(感想はこちら


小説家は束縛する
菱沢 九月 著
徳間書店 (2005.12)




【こんな話】
律 (りつ) が脩司の家で暮らすようになって10カ月。
脩司の身の回りの世話をし、ほとんどを家の中で過ごす毎日に、幸せを感じながらもどこか不安を覚える律だった。
そんなとき、律はあるレストランで、昔の男・土屋と再会した。
土屋はそのレストランのオーナー兼シェフで、律に一緒に働かないかと声をかけてくるのだった。

【ひとこと】
前作で、脩司が小難しいことを考えていたので、また面倒なことが起きなければいいけど… と思ったら、脩司は思ったより幸せそうでした。もちろん、律も。
でも、

「幸せ、なんだろうけど」

と律は悩んでいます。
食事の支度をして、洗濯をして、買い物に行って、脩司の 「相手」 をして、それで一日が終わってよいのだろうか。
まるで、専業主婦の悩みみたい… 暇だから、いろいろ考えるようになっちゃったんだと思います。
律が男ということもあるんでしょうね、食べさせてもらっているという状況は居心地が悪いだろうし、脩司と対等でありたいと思うのは、当たり前のことです。

そこで、調理人として働けないかと、求人募集を出しているレストランを訪ねてみると、その店はなんと、律がむかし関係をもったことのある男・土屋が経営していたのです。
前作に出てきた、あの 「夜逃げの妻子持ち」 ではなくて、それよりも前の男です。

この土屋、p.65 のイラスト (高久尚子さん) を見ただけでゾクっときますね。
そして彼の口調がまた…

「コーヒーを飲みなさい。冷めてしまう。ほんの少し砂糖を入れるように」
「明日からここに来なさい… おまえもそう思うね、律」


怖いです、この何もかもわかってるような口調がとっても怖い。
律は自分のことを "流されやすい" と言っているけれど、そうでなくても この土屋にじっと見つめられたら、誰だって吸い込まれてしまいそうです。

律も、何もこの店で働かなくたっていいと思うんだけど、土屋に何度も誘われるうちに、自分が必要とされている快感に目覚めちゃったんですね。
このあたりも、とても主婦っぽい。
人間って、ずっと家にいると、外の世界からの刺激や誘惑に、とても弱くなるんだと思います (なんか 実感こもってるな、私…)

そして、律は脩司に、働きたいこと そして土屋のことを打ち明けるのですが、

律  「いい店だったけど、知り合いがいたからやめとく」
脩司 「知り合いって昔の男かなんかか?」


間髪入れずに、こう突っ込んだ脩司に少しびっくり。
律と暮らすことで、脩司もすっかり落ち着いたと思っていたのに、昔のピリピリしていた脩司がまだ残っているんだなぁ と思って。
それに、律の前では、たいしたことないような態度だったのに、そのあと親友・匡史に探りを入れてるんですよね。

ここ、匡史と弟・克己の連携プレーが、なんだかなぁ… と思ったのは私だけ?

脩司→匡史 「土屋って奴のこと 知らないか?」
匡史→克己 「なんか知ってるか?」
克己→匡史 「神経質な外科医みたいな雰囲気のサド」

へぇ、克己ってば、ちゃんと正直に教えちゃうんだーっ! て、憎たらしいようなホッとしたような気持ちになりました。
まぁ、結局はこれがこの4人の 「絆」 なのかな。
友だちや家族を通り越した存在だから、これでいいんでしょう、きっと。

最後、脩司 頑張りましたね。土屋の店に行くなんて。
初対面がアレだし、このままじゃ、土屋に負けてるって思ったのかもしれません。
土屋の対応も、大人でよかったです、とりあえず。
(★★★★☆)


匡史と克己の出番が少ないのが残念でしたが、それはイコール、もう彼らの手を煩わせなくても、脩司と律ふたりでやっていけるということなんでしょう。

それよりなにより、克己の彼女・千衛子がアタマの弱い子に思えてしかたありません。

オビにある 「今作の主人公、馨&美雪も出演v」 というのは、ドラマCDの 「フロムイエスタデイ」 に出てるということ?
本の 『フロムイエスタデイ』 には出てこなかったですよね?
本を手放してしまったので調べられないのですが、気になるっ!


うつむく視線
高久 尚子 著
コアマガジン (2005.12)



中学校の美術教師・美雪 (よしゆき) 他人に対して心を閉ざしがち。
母親が入院している病院で知り合った 馨 (かおる) の気さくな態度にも、とまどいを隠せなかった。
しかし、馨の言葉と笑顔に何か感じるものがあったのか、美雪は思わず名前を尋ねていた。



美雪と書いて、よしゆき。今、知りました (笑)
こんな後ろ向きな性格で、よく教師になったと思います。
暗いだけでなく、とても脆い感じ。
いつも下を向いている美雪に、馨が

「顔を上げたほうが素敵だ」

と言うのですが、そのあとまるで馨の笑顔に吸い込まれるように 名前を尋ねる美雪が印象的です。
すごく幼い子どもみたいで。

馨の笑顔がまた、不思議なんです。
保育士のように屈託なく笑うときもあれば、何か意味ありげな笑顔のときもある。
そして、眼鏡をはずしたときは、かなり意地悪そうにも見えます。

このふたりを包む、オーラっていうのかな、それが、なんか息苦しいくらいなんですよね。
高久さんの描くエッチシーンは、そんなのが多いです。
読んでるこちらが、色気にやられて息が荒くなっちゃうような…。
(第2話がまさにそう)

さて、この作品で脇カプとして登場するのが、蓮見と流一。
蓮見は大学の助教授、流一は助手… だと思ったら、あれ 「無職」 って書いてありますね。
かすかな記憶をたどると、彼らはいわゆるヘタレ同士で、かなりのあまちゃんだったような気がします。

馨はもう慣れているんでしょうが、美雪はこのふたりにかなり翻弄されています。
でも、そのおかげで美雪は、ひと皮もふた皮もむけて社交的に、そして 可愛く (おかしく?・笑) なりましたね。
小さいひとコマなんですけど、剣道部の顧問になった美雪と生徒の会話があるんです。それを見て、あぁ よかったなぁって思いました。

描き下ろしの 「馨先生と美雪くん」 が…。困った人たちです。
これを読んでから、表紙カバーを取ると 非常にうさんくさい気分になります。
みなさまも、この順番でお願いします (笑)
(★★★★☆)


ドラマCDは、馨が一条さんで、美雪が笹沼さんなんですね。
一条さんは聞いてみないことにはなんとも言えないけど、笹沼さんは私のもつ美雪のイメージにぴったり。

「バスローブ、カッコイイだろう?」
BLに、バスローブはつきものだけど、なかなかこうは言わない。


身代わりの恋人
火崎 勇 著
茜新社 (2006.1)


【こんな話】
よかったら俺の秘書じゃなくもっと別の…、そうだ、愛人にならないか?
派遣社員の赤羽東砂 (あずさ) は、新しい上司・岩波に、着任早々くどかれた。
最悪の事態に、憤慨 そして警戒する赤羽だったが、岩波は上司としてなら申し分のない男で、知らないうちに彼のペースに巻き込まれてしまう。
しかし、派遣期間も終わりに近づき、いざ自分の後任についての話を耳にすると、赤羽は寂しさを覚えるのだった。

【ひとこと】
安っぽい設定と思ってはいけません (笑)
私も最初は、少しそう思ったんですけど。

赤羽は、かなり自分に自信をもっています。
実際、仕事もできるんでしょう。
ただ、人付き合いは苦手なようで、それが派遣社員たる所以です。

でも、無能な上司の下で働きたくないのも、派閥に巻き込まれたくないのもよくわかりますが、ダメな上司に要領よく使われるのも 仕事のうちなのでは?
ちょっと鼻持ちならないヤツ… というのが、赤羽の第一印象でした。

そして、岩波。
この人は、うーん… 話が進んでくると、ちゃんと普通の人に見えてくるんですけど

「よかったら俺の秘書じゃなくもっと別の…、そうだ、愛人にならないか?」

これはどうしたっておかしいです (これに続くセリフが、もっと笑える)
それを平然と聞いている、第一秘書の高野も、もちろんおかしい。
まぁ、高野には別の思惑があったんですけどね。

ところで、このときの赤羽の

自分が知らない 『アイジン』 という役職がこの会社にあるのかとも思った

っていうのは、ボケ? それとも突っ込み?
こんなふうに3人のキャラが不可思議すぎて、安っぽい という先入観は、あっさりと消えてしまいました。

さて。
幸か不幸か、岩波は、このテの話によくありがちな エロ上司ではないのです。
それとなく、攻めてはきますが、赤羽がイヤがれば無理強いはしません。
赤羽も、完璧に仕事をこなす岩波のことを、嫌いになれないんですねぇ。
ずるずるとアリ地獄に落ちていくアリんこのように、どんどん岩波に惹かれていく赤羽。あっというまに
この人はそんなにおかしな人じゃないのかもしれない
なんて思うように。

しかしそんなある日、オフィスで居眠りをして少し寝ぼけていた岩波に、無理矢理キスされてしまいます。
ここ、おぉ 面白くなってきたぞ?! とは思ったんですが、そのまま最後までやっちゃうとは思いませんでしたよー (笑)
うーん、別にいいんだけど… というかこの展開でOKなんだけど… 岩波はこの状況で縛ったりしないんじゃないかと。
そこがひっかかりました。

そして、美少年・秋沙 (あいさ) の登場です。
赤羽と、顔もそっくりなら名前も似ていて。
自分はただの身代わりだったのか、と落ち込む赤羽の独白が淡々としていてとてもせつないです。

オチは、なんとなく予想ついてしまうかも。
ただ、もう出てこないと思っていた (笑) 第一秘書の高野が、乙女ちっくに絡んできたのは予想外でした。
好きよ、高野さん。

みんなで仲良し。
お子さまたちのオフィスラブ v  
(★★★+0.5)


永遠の少年 (推測) 高野さんの話が読みたいです。

「宗教なら間に合ってます」
道を尋ねられただけでも逃げたくなってしまうくらい、物騒な世の中になってしまいました。
きっと、劇的な出会いも激減してるに違いありません、残念だ…


命令を待ってる
火崎 勇 著
ワンツーマガジン社 (2005.12)


【こんな話】
ある晩、勤め帰りの市来 (いちき) の前に、「何でも命令してくれ」 という男・大月が現れる。両親を亡くし、親戚に預けられて育った市来は 「平穏」 を愛し 「特別」 な状況を嫌うようになっていたが、自分を好きだと言ってくる大月を突き放すことはできなかった。

【ひとこと】
ふたりの行く末を見届けて、いま思うことは、なぜ大月はあんなできそこないのファンタジーまがいの登場のしかたをしたんでしょうか。
まさに、満を持しての再会だったんでしょう? 事前に、よく考えたんでしょうか。

「俺はお前の願いを叶えるためにやって来た」

って、片膝立てて。
私のような騙されやすい人間相手ならともかく、普通なら即110番されるか、最近は防犯ブザー鳴らされたりとか…

でも、市来の "事なかれ主義" に、救われました。
子どもの頃、事故で家族を失って以来、人とは違う 「特別」 な状態を嫌って生きてきた市来にとって、大月のような不穏分子 (笑) は無視するに限ると思ったんでしょう。

それでも、市来はやっぱり、心のどこかで誰か自分を受け入れてくれる人を求めていたんですね。
大月に自転車をもらったり、食事をしたり、話したりするたび、
「俺は "特別" は嫌いだけど、大月さんにとってこれは "特別" なことではないだろうから、別にいい」
などと、ほとんどヘリクツみたいな理由付けをしている市来は、まるで子どもです。

アイスを買ってきて、と初めて命令したあと、大月の部屋でひとり泣きそうになる市来が可愛くて好きです。

そして。
実は、大月は あの12年前の事故の関係者でした。
大月が自分の傍にいる ちゃんとした理由が欲しかった市来なのに、いざその理由がハッキリしたら、今度は不安になってしまいます。
理由が欲しいのは、市来自身の言い訳であって、本当は大月が 「好き」 って言ってくれるだけでよかったんですよね。

そんな市来を見て、いてもたってもいられなかった同僚の吉村くん。
深夜、市来の部屋の前で待ち伏せしていたのには、背筋が寒くなりました (笑)
その後の行動も、痛々しすぎ! カッコ悪すぎ!
それほどまでに市来のことが好きだった 熱い気持ちは嫌いではないけれど。

うまくオチがつけてあるなぁ、と思ったのは、大月があんな王子様のような現れかたをした原因が、実は市来にあったというところ。
12歳の市来は、両親のお葬式に来た18歳の大月に、すでに命令していたんですね。

「俺が大人になったら会いに来い」

このシーン、イラストで見たかったです。
きっとこのときも、大月は市来の前に片膝立てて座っていたような気がしませんか。
事故のとき、自分を助けてくれた 「大月の目」 が市来の記憶に残っていたように、大月にそんな命令を下したこともデジャヴになってたりしたらいいなぁ、と。

その命令が、というか、12歳の市来が忘れられなくて、アメリカに逃げてみたり ストーカーしてみたり 男を抱いてみたりしてしまった大月も可愛すぎますよね。
18歳の青年が、12歳の少年に恋する… ふふ
まぁ、今だから可愛いと思うわけで、そんなふうにジタバタしているところを想像するとそれなりに気持ち悪いのですが。

市来のいとこ、徹さんの言葉には泣きました。
でも、彼の話を最後まで聞いてみたら、彼は私が思うような人ではなくて。
それでもなんだか諦められなくて、もやもやしていたので、あとがきで隠れ設定を読んで救われました。
火崎さんは 「ごちゃごちゃするのでカット」 されたそうですが、これでは徹さんが気の毒です (笑)
(★★★★☆)


気がついてみれば、市来は男にモテまくりです。
小沢先輩もそうですよね?
人のビールに焼き鳥つっこんじゃう人…
って、こういうことする人を、最近ほかのマンガでも読んだような気がする。なんだっけ、気になるよ?。

某Aさんの感想を読んで、これは読まねば! と。


暮れゆく空は君の味方
窪 スミコ
新書館 (2005.11)


牧は、野球部のエース。
不良に絡まれているところを、同じ学年の南方 (みなかた) に助けてもらって一目惚れ。
人目もはばからず スキスキ言ってくる牧を、最初は鬱陶しく思う南方だったが、部活に打ち込む牧の姿に思わずクラっ…!?



くはー、可愛い!
3ページ読んでは2ページ戻り、5ページ読んで今度は最初まで戻り… (笑)
ふたりの一挙一動が、ホント見逃せないんです。

何がこんなに魅力的なのか、考えてみたんですが、ズバリ! 牧くんと南方くん それぞれのもつアンバランスさが面白いのかなぁと思いました。

牧くんは、県内でも有名な期待のエースです。もう、バリバリに体育会系だと思うじゃないですか。
でも実は、小動物タイプなんですよね。
練習中でも、南方くんの姿が見えようものなら、とたんに舞い上がっちゃって 「南方くん、好き!」 ってなっちゃうのです。
これが、可愛いの可愛くないの、読んでるとつい口元がだらしなくなってしまいます。

しかし!
そんな牧くんなのに、攻め嗜好なんですよねぇ… うーん。
しかも、ムラっときちゃったときの行動力というか、その攻め方が、普段の牧とはかなり違うんです。小動物どころか、野獣系?
この意外性がよかったです。

そして、南方くん。彼も、なかなかちぐはぐな面を見せてくれます。
お家が道場で、空手もかなりのもの、格闘大好きなくせに、牧くんといるとなんであんなに乙女になっちゃうんだろう。
マンガの中では、ウサギになってました。

それに、格闘家なら、あっちのほうだって攻めたいと思うはずでしょう。
でも、最初っから受ける気になって悩んでるし、かと思うと、無自覚に素敵な仕草をしたりするし!

保健室のベッドで、ケガした牧くんがいじけて布団にもぐっちゃったときに、布団をぐっとつかんでいる牧くんの手をチョンってつついたり、一緒に帰る約束もしていないのに 毎日校門で待っててくれたり…
「一番好き」 には、完全にKOされました。

他にも、一緒にお風呂に入ったり、文化祭の準備でお花を作ったり (ふたりだけ花をつくる係にわりふられているのが笑えます) とにかく可愛いのが好きな人はぜひご一読ください。
窪スミコさんには、ちょこっとずつでもいいので、末永くこのふたりを描いていってほしいです。
(★★★★☆)


牧くんとバッテリーを組んでいる、シビアな東条くん (キャッチャーですね) も面白いです。
ちょっとはヤキモチやくのかなと思ったんですが、表向きにはぜんぜんでしたね。
牧くんのこと、長いクサリで適当に遊ばせながらもきちんと繋ぎとめておく様子は、ざっくりと余裕がありそうなんだけど、本当はちょっと面白くなかったりするのかな?

先月買って、とっても気に入ってる本です。
名前をよくお見かけするような気がするんですけど、これが初コミックスなんですね。


ノーカラー
夏目 イサク
新書館 (2005.11)


勉学のみに生きる大学生・坂本は、隣りの部屋に住む飯田章吉に頭を悩まされていた。
ドンチャン騒ぎはするわ、苦情を言ってもやめないわ、やたらに人なつこいわ…
しかしある日、章吉の部屋が爆発、寝泊まりする場所がなくなったと坂本の部屋に転がり込んできて…


章吉×坂本で ヘタレ×ツンデレ予備軍 という感じかな。
人付き合いもしないで本ばかり読んでいる坂本が、章吉のペースに巻き込まれて、勉強どころではなくなっていきます。
章吉に 好き と言われて、怒ったりとまどったりしてるくせに、ここぞというときには坂本が主導権を握っているのが、このマンガのいいところ。
(行動を起こすときの坂本が、カッコいい)

章吉は、カメラマンです。
ネタバレかと思ったけど、表紙でカメラもってるから書いちゃっていいですね。
もとからホモというわけではなく、スランプ状態のときに、坂本の姿に惹かれて思わずシャッターをパシャリ。
もっとお近づきになりたいと、隣りに引っ越してきたわけです。
真性ヘタレなので、この人にまかせていたら、きっとここまで漕ぎ着けることはなかったでしょう。

爽やかで楽しかった?
描き下ろしにひとコマだけ出てくる、坂本兄が最高。セリフがおかしすぎ。
(★★★★☆)


カバー裏イラストの状況やセリフを想像するとおもしろ?い。
さらに、カバーをとってもお楽しみが。

『君も知らない邪恋の果てに』 『愛で痴れる夜の純情』 に続く、花降楼シリーズの3作目。
あの綺蝶と蜻蛉が、ちゃんと話に絡んでいるのが嬉しい。
特に "心の底から悪い人はいない" が信条の人には、ぜひ読んでもらいたいです (笑)


夜の帳、儚き柔肌
鈴木 あみ著
白泉社 (2005.11)



【こんな話】
忍 (しのぶ) は幼い頃、拾われてこの花降楼にやってきた。
やがて、成長した忍は、見世に出るようになったが、おとなしい顔立ちと性格のせいで、思うように客はつかなかった。
しかしある日、ひょんなことから、名家の御曹子・蘇武貴晃 (そうぶたかあき) と一夜をともにすることに。
蘇武は、決まった相手をもたないともっぱらの噂で、もう会うことはないと悲しく思っていた忍だったが、蘇武はその後も忍のところを訪れて…。

【ひとこと】
1作目は、幼なじみとの駆け落ちに失敗、その後、遊郭で再会…
2作目は、色子同士の恋。
こうして考えてみると、この3作目がいちばんオーソドックスなシンデレラストーリーです。

忍。
イラストではこんなに可愛いのに、花降楼ではからっきしです。
お客がつかないと、自分のおこづかいもなくて、食べ物が買えなかったり、身の回りのものが買えなかったりするんですが、ここで1作目2作目とこらえていた気持ちが爆発してしまいました、私。

しつこいようですが、このシリーズは 「売春防止法が廃止された現代の話」 なんです。
その設定は、まぁいいとしても、現代ならば従業員の食事事情くらいはしっかりしてると思うんですよ。

忍がひもじかったり、不自由な思いをしたりするのが、ストーリーを盛り上げるためなのはわかるんですけど、なけなしのお金で漬け物を買ったりだとか、ましてや "明日はお魚を買おう" なんて… 従業員をそんな目に合わせているお店があったら、すぐ通報されてしまうはず。

もったいないです、話はとっても面白いのに。
読んでいると、つい昔の話を読んでるような気になるんです。
でも、そのままぽわーんと雰囲気に浸っていると 「蘇武の携帯電話が鳴り出した」 なんていう文章が出てくる。
すると、えっ、携帯? あっそうか、現代の話なんだっけ… と我に返る。
これって、興醒めじゃないですか??

でもね、それを除けば、こんなに幸せ話はありません。
優しくて素敵な蘇武が、売れっ子でもなんでもない忍に目をかけて、最後には身請けもしてくれて、ふたりで幸せになる話… あまりに、オーソドックス過ぎて、他に書くこともないくらいだけど、いい気持ちで読むことができます。

こういう話につきものの、意地悪な同僚 (椿) や、イヤな客 (原) も出てきます。
ですが、最後の最後、ちょこっと名誉挽回してるんです、ふたりとも。
映画だったらホロリくるシーンです。

特に、原。
彼は、蘇武の知人で、嫉妬か嫌がらせか、金に物を言わせて 蘇武と忍の仲を邪魔するのです。
でも、口ではああ言いながら、忍のこと可愛いと思ってたんじゃないでしょうか。
なんだかかわいそうでした。

そして、もうひとつ気がかりなことが。
蘇武の誤解って、解けたのかな。
初めての夜、忍が蘇武を部屋に上げたのは、休ませてあげたかったのと、純粋に一緒にいたいと思ったからなのに、蘇武は 忍の計算ずく みたいなことを言ってたでしょう?
わかってないなぁ、そんなところ、金持ちのボンボンっぽいですよね。

綺蝶と蜻蛉の番外編は、短くてものたりませんが、すっごくラブラブです v (エッチなし)
(★★★★☆)


「小説花丸 冬の号」 の表紙が、綺蝶と蜻蛉です。
2作目がマンガ化されているようで、あんなシーンこんなシーンが樹さんの絵で見れるかと思うと、いてもたってもいられないんですが、私の住んでる市には入荷されてないような…?


1作目2作目の感想は、下のカテゴリ名「鈴木あみ」をクリックしてください。

画伯の孫シリーズ。 『キスは大事にさりげなく』 の続編です。
あのじいさんが、やってくれます。


夢はきれいにしどけなく
崎谷 はるひ 著
角川書店 (2005.12)


【こんな話】
志澤との生活をはじめた藍。
忙しい志澤とはすれ違うばかりで、恋人らしい扱いをしてもらえないことを不安 (不満かも…) に思っていた。
ある日、祖父の命日に墓前を訪れると、そこには美術商の福田がいて…。
(よろしければ、前作のあらすじ&感想を

【ひとこと】
藍が、学校に行きはじめました。
よかった! あのまま、志澤とふたり暮らしでは、今までとたいして変わらなかったですもんね。
藍の周りには、志澤と弥刀のほかに、もうひとり、朋樹という友だちができました。

世間知らずの藍なので、学校生活もなかなか大変のようですが、彼の心を曇らせているのはやっぱり志澤のこと。
藍は、寝不足になっても、どんなに疲れても、志澤にあれこれしてもらいたいのに、志澤は手を出してきません。
ていうか、一緒に暮らしてるのに、1週間に1回しか会えないってどういうことでしょう。

志澤も大変なのはわかります。
志澤グループでは苛めにあってるみたいだし、周りはぜんぶ敵みたいなもんだから、休まる暇もないようです。
でも、藍のことは大好きなのよね。
オフィスの上に住んでるんですよ、ちょこっと顔見に行ってあげるだけで、藍は嬉しいのに。
志澤は頭はいいんでしょうけど、こういうとこ、かなり鈍感ですよね、ダメ。

おまけに、藍の将来を考えて (という名目で) あえて手を出さずにお預け状態を喰らわせてたというんだから、ちょっとねぇ…
前作からの話の流れを考えるとねぇ…

ここで、ちょっと前作を振り返ってみましょうか♪
感動のエッチシーンで、志澤がなんて言っていたかというと

「これっきりでやめられそうにないからな」
「もっといやらしくなっていい」
「初心者コースからはじめよう」


こんな感じ。
やる気まんまんだったくせに。
藍はいつでも、しっぽりと準備万端なのに、志澤ってば…。

さて、話がそれましたが、今回いちばん気になっていた、お稚児趣味・福田がついに動き始めました。
この人が壊れているであろうことは予想できたものの、ここまでとは思いませんでした。
藍の父親・衛への淫行三昧は、単なる執着だったんでしょうか。現在の福田からは、偏執狂の匂いしかしないけれど、当時は愛情があったんじゃないでしょうか。

衛の残した 藍への手紙を読むと、すべてを後悔しているわけではないみたいですよね。だから、当時のふたりに、少しでも何か通い合うものがあったのならいいなと、思いたいです。

しかし… 40年? それ以上? 生涯、変態を貫きとおす福田は、まったく別の意味ですごいと思います。
地獄で安らかに。

そして、面白いやら恥ずかしいやらだったのが、藍の実況中継的セリフ。
崎谷さんにしては、藍の幼児化はほどほどで、言葉もそれほど拙い感じはしなかったのですが、あちらこちらで照れました… 詳しく書きたいけど書けない、ごめん (笑)
志澤も照れてましたよね?

志澤 「悪かった。……言いにくいことを言わせて」

には、大笑いでした。

最後に。
朋樹くんは、やっぱり弥刀に食べられちゃうのかしら。
完結編では、ぜひ高永さんの描いた朋樹が見たいです。
(★★★★☆)


私、前に
>志澤の義弟とか、絡んでくると面白いかなと。
>頭も性格もキレ気味の、とびきりの美青年でありますように…。

って書いたんですよ。
もう、ガッカリするやら、腹立たしいやら。

『FLOWERS』 の感想 を書いたときに、凛さん(ブログ)と秋月さん(ブログ)に背中を押してもらったので (人のせい) 宮本佳野さんの本をドカっと購入。
人間関係のうまくいかないところ、めんどくさいところに、敢えて切り込んでくる… そんな作風に、思いっきりどんよりさせてもらっています。
癒されないけど、悪くないです、こういう気だるさ。


手をつないで、空を
宮本 佳野
ビブロス (2005.7)



スランプ中の小説家・晴也が拾った真希 (まき) は、人と接するのがヘタでいつも一人ぼっちの少年。
ほっとけなくて同居を始めるが、気付くとお互いに強く惹かれはじめ…
ところがHの免疫ゼロの真希は、晴也の想いにとまどってしまって!?
(カバー裏あらすじより)


このあらすじは、少し違うかしら。
「Hの免疫がゼロ」 だったからじゃないと思います。
ま、それはさておき。

晴也は、文学賞を獲るほどの小説家。
ただ、受賞後、なかなか次が書けなくて、今のような状態になってしまったのでした。
プレッシャーや人目を避けて、田舎暮らしをはじめるってことは、ある意味、晴也にも少なからずプライドがあったんでしょう。
自分の本心は、担当編集者の八木沢 (旧友・カラダの関係はあるけど恋人じゃない) にも話してなさそうなのに、ひょっこり出会った真希には

「みれんがましいよなァ さっさと物書きなんか 見切りつければいいのに」

って話してる。
ここの晴也が、すっごく寂しそうなんだけど、反対にこの時点で、晴也 (と真希) の運命は決まった!みたいなね、そんな気がしました。


潔癖性の真希に対しては、

「いつも 気にしてんの 大変だね」

って、相手の心に踏み込むでもなし、突き放すでもなし… で。
こんなふうには、なかなか言えないなぁと、ここは晴也というより、このセリフを書いた佳野さんに感心。


そして、真希。
真希にとって、初めて親しくつきあった人間が、晴也でした。
だから、もしかしたら 「晴也だから」 好きになったんじゃないかもしれません。他にも、同じように親切にしてくれる人がいたら、その人を好きになってたんじゃないかな、悲しいけど。

でも、スランプで心が晴れなかった晴也のような人間に出会ったからこそ、お互いに癒しあうことができたんですよね。
真希は、晴也を慰めることで、自分の存在意義を知ったのだから、これはラッキーな出会いでした。


それにしても、八木沢。
私、けっこう好きだったので、"あのシーン" は悲しかったです。
ずっと晴也のことを想ってきて、晴也も自分のことを同じように好きでいてくれてるって思ってたんでしょうね。
ふたりが電話で、謝罪しあうところは、気だるさ最高潮…
あー、これが佳野さんだ!って。


気になること。
ラスト、真希を見つめる晴也の視線、なんであんなに寂しいの?
幸せいっぱいなはずなのに…
最後のひとコマがこんなで、『FLOWERS』 同様スッキリしない私でした。
(★★★★☆)


畑の会話に大笑い。

花降楼シリーズ (?) の第2弾。
前作 『君も知らない邪恋の果てに』(感想) とは違い、ほぼ遊郭街の中でのお話なので、現代設定もさほど気になりません。


愛で痴れる夜の純情
鈴木 あみ著
白泉社 (2004.10)


【こんな話】
男の遊郭・花降楼。
そこでトップを争っているのが、蜻蛉と綺蝶だった。
プライドが高く、客に笑顔すら見せない蜻蛉と、誰とでも親しみやすく、客とも友だちのように接する綺蝶。
何かと正反対で、ろくに言葉もかわすことのないふたりだったが、吉原に来たばかりの頃はふたりで過ごすことも多かったのだ。

【ひとこと】
前作で、年季の明けた綺蝶がどうして花降楼を出て行かないのか… と、主人公の蕗苳が不思議がるシーンが出てくるのですが、綺蝶は蜻蛉の年季が明けるのを待っていたんですね。
花降楼に来たばかりの頃、屋根の上に腰かけてふたりで約束するんですよ、指きりして。
「一緒にあの門を出て行こう」
このエピソードとイラストだけで、かなり満足。

綺蝶は、艶っぽい外見とは裏腹、気前のいいダンナさんタイプです。
どうせお客と寝なくちゃいけないんだったら、楽しまなくちゃ、と割り切れるんですね。
でも、本当に楽しんでるように見えても、綺蝶だって彼なりに思うところがあるわけで、この本ではそんな裏側もチラリとうかがい知ることができました。

そして、蜻蛉。
花降楼で働く覚悟はしたものの、とても綺蝶のように愛想をふりまくことはできません。
おまけに、綺蝶がお客をとるたびに嫉妬までする始末。まさしく "お姫様" です。
嫉妬したなら、そう綺蝶に言えばよかったのに、蜻蛉は素直な子じゃないですからね、ふたりの仲はだんだん疎遠になってしまいました。

うーん、蜻蛉がもうちょっと素直になって、優しく可愛く綺蝶に接してくれればよかったのになぁ、と思いました。これは、もう最初から最後までずっと。
ただ、救いなのは、綺蝶がちゃんとわかってくれていたことかな。蜻蛉が素直になれないのなんか、ちゃんとお見通しでしたよね。

最後は…

ひとあし先に身請けされた綺蝶が、男性の装いで蜻蛉をさらいに来るという "お姫様" にぴったりのエンディングでした。
乙女な私は (?) いくつになっても、こういうのが好きです。
(★★★★☆)


3作目は 『夜の帳、儚き柔肌』 。
別カップルの話ですが、綺蝶と蜻蛉のお話も入ってます。
感想は、下のカテゴリ名「鈴木あみ」をクリックしてください)

梅太郎さんの 『頼光くん ごめん』 を読んでいたら、この本の感想が書きたくなりました。ストーリーが似てるんじゃなくて、"昔好きだった人" が出てくるってだけなんですけど。


リバティ☆リバティ!
高永 ひなこ
幻冬舎コミックス (2005.5)


【こんな話】
大阪弁です。

ちょっとワケありで、東京の大学を辞めて地元に帰ってきた至 (いたる)。
酔いつぶれてゴミ捨て場に埋もれていたところを、カメラマンの鉱喜 (こうき) に救出された。
しかし、鉱喜が自分を撮影していることに気づき、反射的にそのカメラを放り投げて壊してしまう。

弁償のため、鉱喜のところに居候することになった至だが、文句を言いながらも世話を焼いてくれる鉱喜に、だんだん心惹かれていくのだった。
しかし、鉱喜にはクルミという、昔好きだった人がいて…。


【ひとこと】
至は、小さくて可愛いんだけど、芯はまっすぐ、そしてしっかりというタイプ。
自分の思っていることを、ちゃんと話せるところが素敵な子です。
東京で悲しいことがあって、大阪へ帰ってきた至ですが、鉱喜に拾ってもらってラッキーでしたね。
もしかしたら、凹んだまま、二度と立ち直れなかったかもしれないのに、カメラを弁償する!という立派な生きる目的ができたんだもの。本当によかった。

いっぽう、鉱喜。
高永さんによれば、ヘタレだそうだけど、そうかなぁ、普通だと思います。
カッコいいし、真面目だし、優しいし、なのに長らく女っ気がないのは、本当にモテないのか、それとも クルミひと筋だったからなのか…。

クルミには昔から変わらない彼氏がいるし、鉱喜も今はなんとも思ってないって言うし、それは嘘じゃないと思います。でも、至としてはやっぱり気になるから悩みに悩むんですよね。
でも、その悩みかたも可愛くて、クルミを真似してお化粧してみたりとかね、あ?可愛いんだホント。

そんな至に、鉱喜は
「クルミはクルミやし 至は至や お互い似てへんし 似てんでええから」
って。いいセリフだ。

でもね、こんな幸せそうなシーンだけどね、鉱喜はそう言いながらアタマの中で
"ずいぶん長いこと 自分から想うばかりで 想われる心地良さを 忘れてた"
みたいなこと考えてるんですよ。
え、それってずっとクルミを好きだったってこと? ちょっと話が違うじゃん… と少しムカ (笑)

でも、しかたないですよね。
よほどひどい別れかたをしない限り、想い出の中の人はどんどん美化されていくんじゃないでしょうか。
至が、鉱喜の想い出の中にいるクルミと張りあおうとしても、それは無理な話です。

だけど、その想い出の持ち主 (ここでは鉱喜) にとっては、想い出の中の人 (クルミ) といま目の前にいる人 (至) は、まったく違う次元に存在するものであって、ヤキモチなんてやかれても困っちゃうってことなのかな。あ?、ややこし!
鉱喜も至のこと、嫌いじゃないというか、むしろ好きなんだけど、どうしても前に進めない、進み方が思い出せないって感じで…
…あれ、こんなこと言ってる鉱喜って、やっぱヘタレなのかしら。

エッチはないけど、笑いあり涙ありで、大満足の一冊でした。
(★★★★☆)


※クルミがめっちゃええ人やねん、ほんま。 …やけどな (笑)
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