ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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ずっと積んでおいたのが、悔やまれます。もっと早く読めばよかった。


小説家は懺悔する
菱沢 九月 著
徳間書店 (2005.3)
ISBN : 4199003444
価格 : \540


【こんな話】
恋人に逃げられ行き場を失った律 (りつ・24歳) は、その傷も癒えぬまま、小説家 佐々原脩司 (29歳) の家で、住み込みのハウスキーパーをすることになった。別れた恋人についてズケズケと尋ねてきたり、小説のネタに抱いたりと 強引な佐々原に、はじめは反感を覚えた律だったが、次第に佐々原に惹かれていき…。

【こんな話】
律は、コックさんです。雇われ先のレストランの店長さん (男) と恋仲になり同居していたところを、逃げられてしまったのでした。
この店長さんが40歳というので、律は年の離れた人に守ってもらいたいタイプなのかな、と思ったのですが、そうでもありませんでした。店長さんには、奥さんも子どももいて、ウジウジと悩みながらの不倫だったようで、それを律がなだめたりすかしたりしながら、関係を保っていたんだと思います。

親友の克己 (とその兄 匡史) が、手のかかる佐々原 (以下 脩司) を紹介したのもそんな律をよく知ってのことだったんでしょう。

さて、あまり気乗りせず 佐々原宅に出向いた律ですが、悲しいかな、一目惚れしちゃうのです、脩司に。本人にその自覚はないみたいだけど、明らかにそうかな、と。
そして、脩司のほうも、律に "津々" とはいかないまでも、興味をもったようで。

先を読むとわかるのですが、脩司は人付き合いが嫌いだし下手だし、好きな相手ほど "素" で接するから、ぶっきらぼうで冷たくなってしまう人なんです。
最初からずいぶん失礼な態度をとっていた脩司だけれど、あれって律のこと、かなり気に入ってたってことなんだなぁって、あとからわかって嬉しかったです。

そして。律と脩司はカラダの関係をもつわけですが、律がどんどん脩司に溺れていくのに対し、脩司の気持ちはとてもわかりにくいです。本当に最初は小説のネタにするつもりだったのかどうかも、私にはよくわかりませんでした。
でも、律と脩司には、ふたりだからこそわかちあえるものがありました。
大切な人の死が、いつまでも心に影を落としている、という共通項。
簡単には、他人に本心を明かさない脩司が、律に心を許したのは、そのせいだったんでしょうか。
そう考えてしまうと、寂しかったりもしませんか。それがなかったら、どうなってたんだろうって、余計なことを考えてしまいました。

その後、脩司がベストセラー作家であるがゆえのスキャンダルが発生、律が傷ついて、少しのあいだ離ればなれになってしまうのですが、ここでの匡史&克己兄弟がとても好きでした。

匡史は脩司の親友、克己は律の親友、いえ、もう親友以上です。律は 「一生友達」 と表現しています。
ふたりとも、互いの親友のことを、できることなら恋愛対象として好きになりたかった!くらいに考えているんですよね。だから、心配半分・嫉妬半分で、すっごく寂しそうにしてるんですよ。
基本的に、匡史は脩司の味方、克己は律の味方だから、言葉のすみずみに恨み節が入ったりして、なんとも微笑ましいです。

クライマックスは、無鉄砲な脩司にピッタリの演出。
よくある展開に興醒めしないのは、

「いくら俺でも他人のメシの種 つぶしたりはしない
映画が当たろうがこけようがどうだっていいなんて、作ってる奴らの前じゃ可哀想で言えないだろう?」


っていう伏線が張られていたからだと思います。
そんなふうに言ってた脩司が、滅茶苦茶なことを言い出します。未読のかたは、お楽しみに。

最後に。
「死んだ人には勝てない」 という克己の言葉が、心に残りました。
脩司は律に、「生きてる人間の中で一番」 好きだと言うんです。つまり、亡くした恋人のことは忘れられないと。
私はこれ、ずいぶん悲しい愛の告白だなぁと思ったんですけど、裏を返せば、それだけ脩司がバカ正直で不器用ってことなんでしょうね。
そんな不器用なところを律がわかってあげられるのは、やっぱり「共通項」があるからなのかもしれません。
(★★★★+0.5)


旅行に持っていったBL本、両方とも挿絵が高久尚子さんでした。さらに、登場人物の名前が "律" で。すごい偶然。
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いつもありがとうございます。

明25日から27日まで、温泉に行ってきます。
でも、台風が… (涙)



未読本の中から、この3冊を持っていこうと思います。
いちばん上は、BLじゃないですけど。

それでは、また日曜日に♪

本屋さんでガッシュ・コミックスの背表紙を見るたび思い出すのは、『DOUBLE CALL』 の全員サービス。
私の心配は、もはやいつ届くかではなく、この企画がご破算になったときの 「返金」 のこと。私、為替の控え、なくしちゃったんです…
とりあえず、海王社さんはオフィシャルサイトくらい作ってほしいと思います、お願いします。


4877244239僕は君の鳥になりたい
ホームラン・拳

海王社 2005-08-10

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高校生の炯 (けい) が、お姉さんの彼氏を好きになってしまうお話。
(5編+描き下ろし短編1編)

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炯は、可愛くて素直で、本当にいい子です。
お姉さんや、血の繋がっていないお母さんとも仲がよくて、そんなときの炯はとても楽しそうで。
でも、どこか満たされない気がして、足が地に着いていない感じなんです。本当の居場所が見つからないっていうのかな。
炯自身も、何が足りないのか、何が欲しいのかわからなくて、悩んでいるのかなと思うと、学校の先生に要求されるまま、カラダの関係をもつような醒めた面もあって…。

マンガから推測できるのは、父との不和くらいでしょうか。
小さいときに優しくしてもらえなかったことが、今も引っかかっているんですね。

そんな炯が、お姉さんの彼 藤井さんに恋をします。
藤井さんもボクトツな感じのよい青年なので、3人でデート… っていわないか、出かけたりするわけです。これは、辛いです。
おまけに、ふたりのキスシーンまで目撃しちゃって。
妹がお姉さんの彼氏を好きになるのと、状況は似ていても、心理的にはずいぶん違うなぁと思いました。

だけど、想いはどんどん大きくなってしまうんですよね。このあたりからが、ますます悲しいです。
藤井さんとふたりで出かけるはずだった休日を、お姉さんに譲ることになったりするんですけど、もうここがせつなくて。

そうこうしてるうちに、炯があまりにも挙動不審なので、さすがに藤井さんも何か感じはじめます。そうすればお姉さんだって (←かなり鈍い人だけど) 薄々と… ね。

この話が素敵なのは、告白を受けた藤井さんがホイホイと 「俺も好きだ」 などとありがちなセリフを言ってしまわないところです。
ここの数ページが、とても好きです。

さて、ここで脇キャラの話を。
近所に住んでる、炯のおじさんです。官能小説作家で、和服を着て、純日本家屋に住んでるのにドレッドヘアで、たぶんホモな人。
炯のよき相談相手でもあるこのおじさんが、魅力的なんですよ。もう大好き。

クライマックスでは、この自由人のおじさんも大感動の、藤井の一世一代の告白 (?) が見れます。ここも、よくありそうで、ひと味違う展開です。

ホームラン・拳さんならではの、ギャグとシリアスが交互に押し寄せてくる感じが、深刻な場面もさらっと読ませてくれました。
(★★★★☆)



口絵の藤井。
趣味の悪いシャツ (おそらく素材はちりめん) の上に、白衣をはおってます。
医大生なんです、ぜんぜんそれっぽくないんですが。

ヤクザの話の感想を書くのは久しぶりで 『今宵、天使と杯を』 以来。『今宵…』 もよかったけど、この話も心に残りました。


夜が蘇る
英田サキ 著
プランタン出版 (2005.8)
ISBN : 4829622954
価格 : \560


【こんな話】
わけあって警察を辞めた秋津は、小さな事務所で探偵を務めていた。
その事務所を訪れては、秋津にちょっかいを出すのが、ヤクザの久我。
しかし、秋津は同じくヤクザだった情人を亡くした過去をひきずっており、なかなか久我に心を開けないでいた。
そんなとき、久我が秋津の仕事を手伝うことになる。一緒にいる時間が増えたことで、秋津の心は揺れ動かされ…

【ひとこと】
ヤクザ×探偵。
私、受けキャラにメロメロになることって少ないんですけど、秋津にはやられました。

久我が軽口を叩いても、まったく耳を貸さない秋津が、どんなふうにほだされていくのか… と思ったら、そんな話ではなかったんですね。ちょっと予想外でした。
久我のキャラからして、思ったのと違いました。

てっきり、ただの女たらしかと思ったら、秋津のこと、ずっと想ってたっていうんですから。
おまけに、秋津の前の男 羽生の死についてもよく知っていて。

その羽生。
話の中では 「情人」 って言葉が使われています。恋人ではなかったんですよね。愛人というのとも違う。
どんな繋がりだったんでしょう、お互いになくてはならない存在だったのはわかるけれど、もう少し、羽生について知りたかった気がします (同人誌では書かれていたのかしら)

もし久我が、秋津の反応を見ながら、ゆっくりくどくタイプだったら、秋津もなかなか心を開かなかったと思います。羽生のことを思い出して、ますますふさぎ込んでしまいそうです。
でも久我は、いくら秋津に邪険にされても、しつこく食らいついてくる感じです。秋津も、それに抗ってるときは、寂しさを忘れることがあったかもしれませんね。

"久我と一緒にいたら、羽生のことを忘れられる…" と、思ったかどうかは知りませんが、少しは気が紛れたんじゃないかなぁ、と。
それも久我の作戦のうちだったら、すごい。

久我は、鬼畜っぽいように見えて、本当に優しいんですよね。
"死んだ男のことは忘れろ" といいつつ、秋津の迷いを読み取れば、ちゃんと "無理に忘れることはない" って言ってあげられる、懐の大きい男です。
組のNo.2 ともあろう男が、クサいセリフいっぱい吐いて、いつの時代のメロドラマかと思うようなことやってるのを見ると (バスローブの件なんて特に) 本当に秋津のこと好きなんだなぁって、その純愛っぷりが嬉しかったです。

秋津も、久我と心中する決心がついたのに (たぶん)、なかなか素直になれないんですよねぇ。もちろん、「久我の死」 を恐れているというのもあります。
でも "進むのも地獄、戻るのも地獄" なんて寂しいこといわないで、秋津には穏やかな毎日を送ってほしいです。

それに大丈夫、久我は殺してもきっと死なない(笑)
(★★★★☆)


最後に、声出して笑っちゃったセリフ。
「秋津さん、ナッツありますよ。どうぞ」
裕樹、かいがいしい。


その後、英田先生ご自身のサイトで、他のお話を読みました。羽生との関係について、わかった、というほどでもないですが、少しだけ真理 (というものがあるならだけど) に近づいた感じです。


結局、どうだったのか、どうなったのか、すごく気になる。


斜向かいのヘブン
砂原糖子 著
新書館 (2005.8)
ISBN : 4403521126
価格 : \588


【こんな話】
九條の斜向かいに座る主任の羽村は、真面目で無愛想で、人付き合いもあまりしない。
しかも、吸血鬼だそうで。
そんな羽村の目を覚まさせようとした九條は、一緒にランチをとったり、飲みに行ったりするうちに、羽村の意外な一面を知り…。

【こんな話】
「俺、吸血鬼だから」

思いこみの激しい、かわいそうな人の話かと思いました。
でも、思いこみじゃなくて、本当に吸血鬼…? だったのかなんなのか。

前にも、何かの作品の感想で書いたような気がするんですが、BLってある意味、生々しい恋愛ものでしょ (ファンタジー要素もじゅうぶんだけど)
最初から、「これは人外ものです」 ってわかっていればいいんだけど、この本のようにどっちつかずの雰囲気だと、調子が狂っちゃいました。私だけかな。

中学のときに、自分は吸血鬼だと自覚、それ以来、殻に閉じこもってきた羽村。成長をみずから止めてしまったため、純粋なんです。子どもみたい。
そんな羽村のことを、九條は面白がったりからかったりしないで、根気よく説得しようとするんですが、優しいんだか酔狂なんだか、十字架を握らせてみたり、ニンニク料理を食べさせてみたり…。

ここの不毛な会話が、面白いです。
会社では、しかめ面して仕事してる羽村が、九條と一緒だとやけに饒舌なんですよね。羽村は、人が苦手でも、話すのが嫌いなのでもなくて、話さないように自粛しているだけだったのです。
なぜってそりゃ、吸血鬼だからです、へへ。

「営業は楽しいよ。最初から付き合いの幅も決まってるから、楽だ」

羽村は、そんなふうにお膳立てされた人間関係の中でしか、話すことができなかったんですね。私も、人付き合いが苦手なほうなので、このセリフは印象に残りました。

羽村の実家で、彼の過去が明らかになるところ。
正直いうと、それまでは軽い気持ちで読んでいたので、いきなりズドンと蹴落とされた気分になりました。
4?5歳になってから親に捨てられて、それで野犬に襲われるって、そんなかわいそうなことってあるでしょうか。
羽村と九條で布団を並べて寝るシーンが大好きです。

しかし。ああよかった 普通のほのぼのストーリーだったんだ… と思ったのも束の間、一波乱、二波乱。やっぱり吸血鬼なの?
せっかく波に乗ったのに、また調子狂っちゃった私は、吸血鬼ネタは脇において、ふたりのラブな話だけを楽しむことにしました (笑)

続編の 「隣りのヘブン」 では、羽村がホントに可愛い!
九條は、いつ羽村を取られるか、ヒヤヒヤの毎日でしょうね。
ほら、結構ホレっぽいでしょ、羽村って。
(★★★☆☆)


砂原先生のお話は、少し前に「小説ディアプラス」で読んだ、高校生の再会モノに続き、2回目でした。どっちも面白かったので、今までの作品も買ってみようかなと思ってます。
何かオススメありますか、よかったら教えてくださいませ。


二宮さんが挿絵、というのが意外に思えたんですけど、読んでみたらそっちはOKで。
その代わり、榊先生がこういう話を書いたことが、ちょっと意外でした。


ごきげんカフェ
榊 花月 著
新書館 (2005.8)
ISBN : 4403521134
価格 : \588


【こんな話】
高校生の陽 (みなみ) が、中学のときから通っているカフェ 「レイン・ツリー」 。
店長のレンは、10歳も年上で、背が高くて、カッコよくて、優しくて、それでいてちょっとミステリアスなところがあって。陽は、そんなレンが大好きだった。
しかし、ある日のこと、陽は、レンが店の裏で青年と抱き合っているところを目撃してしまい…。

【ひとこと】
行きつけの店長さんに抱いている感情が、ただの憧れではなく恋とわかったとき、それは失恋の瞬間で…。
ここまでで、全体の3分の1。この先、どんな人間模様が描かれていくんだろうと思ったら、意外や意外、陽が芸能界に首を突っ込むお話でした。

とはいっても、陽が自分で行動を起こしたのではなく、同じくカフェの常連である みゆきが勝手に スーパーボーイフレンドコンテスト に応募したのが始まりでした。
みゆきは、同人でホモマンガを描いているのですが、この人がどうしたってうるさい。彼女を好きになれるかどうかで、この小説をどのくらい楽しめるかが決まると思います。私はダメだった?。

そして、そのコンテストで知り合ったのが、またまた強烈なキャラ、朝倉姉&弟。
弟のコンテストに姉がついてきたわけですが、弟は関西弁、お姉ちゃんはそれを隠したいのか それともなんかのマニアなのか、バカ丁寧口調です。
このお姉ちゃんが、すっごく面白い。ヤル気なしの弟に 「いったいどういうおつもりなのですか!」 なんて怒ってる。
私が思うに 「サクラ大戦」 とか好きなタイプです。

この本、もちろん陽とレンが主役なんでしょうが、中盤はこの若者たちが中心になっています。
陽とみゆき、この朝倉姉弟、そして、やっぱりカフェの準常連?で陽の同級生 日下部がうまく絡んで、ワイワイやるシーンは、とっても楽しいです。5人の趣味・嗜好が一致してるわけじゃなくて、少しずつ、かすってる感じ (芸能界だったり、イイ男だったり、ミステリー小説だったり、ホモだったり、萌え談義だったり)
でも、楽しいんだけど、なんか物足りないというのが本音。
なんでかなぁ、レンが蚊帳の外っぽいからかしら。

結局、陽の失恋は勘違いだとわかるのですが、そこで一役かって出たのが玲二。上記あらすじで、レンと抱き合っていた青年です。
玲二は俳優で、前にレンと一緒にモデルをやっていたのでした。ここの玲二の話が、とてもいいんです。そして、玲二の雰囲気も。イラストもいいですよねー。
もっと出番が欲しかったです。

ほら、カフェに来たとき、あのときに陽と話せばよかったのにと思います。
そうしたら、こんないざこざにならなくて済んだのに。

そして、陽とレンのハッピーエンディング。
ここのエッチシーンって、必要でしょうか。
キスして、お茶飲みながらお話して、イチャイチャして… そういうのがよかったなぁ。

「第一印象から決めてました!」 みたいな情熱的なレンもかわいかったけど v
(★★★☆☆)


「なんであの人、三年連続、紅白歌合戦で同じ曲歌ってんの?」
これ、榊先生がそう思ってるんだよね、きっと(笑)


恋人から 「オレ、実はカツラなんだ」 とか 「オレ、本当はシークレットブーツ履いてるんだ」 って打ち明けられたとします。
でも、そのときに腹立たしいのは、髪の毛が少ないことでも、背が低いことでもなくて、自分が騙されていたことですよね、きっと。
人間、一度好きになった人を、そんな簡単に嫌いにはなれないのです。
そんな (どんな) お話。


てのひらの涙
火崎 勇 著
プランタン出版 (2005.8)
ISBN : 4829622946
価格 : \580


【こんな話】
シナリオライターの成宮は、パーティ会場で都築という男性に出会い、ひょんなことから彼と 「下心つきのお友達」 として付き合うことになった。都築のもつ大人の雰囲気に、瞬く間に溺れていく成宮。
しかし、都築から、自分たちのことを口外しないように言われたり、ある部屋の扉を開けることを禁じられたりするうち、不安でたまらなくなり…。

【ひとこと】
主人公の成宮は26歳。
でも、恋愛レベルでいったら、中学生くらい。
"大人の男性" 都築にナンパされてホイホイ着いていっちゃって、迫られて、キスされてるのに、ぼけーっとしてる。

本人は、パニックに陥ったから動けないと思っていたみたいだけど、そんなふうには見えません。むしろ乾いたスポンジのように、キスだろうがなんだろうが、どんどん吸収して受け入れてしまっている雰囲気です。
そんな態度が誘っているように見えたのか、遊び慣れてると勘違いまでされてしまう成宮。明らかに初心者っぽいのにね、都築もちょっと見る目がありません。

ぎくしゃくとした出会いながら、ふたりのあいだに漂うほのかな色気がGood v

さて、すっかり骨抜きにされた成宮ですが、都築との関係に次第に暗雲が…。
仕事先の人間に都築の話題を出すな、と釘を刺されたり、マンションの鍵を渡されながらも、この部屋だけは絶対に開けるな、と言われたり。
せっかくカッコよかった都築なのに、これを聞いたら、なんか了見が狭くて子どもっぽいんだな、と少しがっかりでした。

それでも、純な成宮は、すっかり気落ちしてしまって。
好きと言ってほしくてたまらないのに、言ってもらったら今度はその言葉を信じることができない…
ご飯も食べられなくなって、すっかり痩せちゃうんです。
かわいそうではあるんだけど、もうちょっとしっかりしなさい!と叱咤激励したい気持ちのほうがやや大きかったかな。

(以下ネタバレ)
しかし!
都築は子どもっぽくて、当たり前だったのです。
だって、まだ大学生、20歳だったんだもん!

成宮に 「大人っぽい」 と言われて、本当のことが言えなくて、そのままズルズルときてしまったのでした。気持ちはわかるけど、やっぱりお子様です。
でもね、出会ったとき、成宮は都築に 「30歳前後に見える」 ようなこと言ってるんですよね。
30歳にも見えてしまう、大学生…(笑)
これを踏まえたうえで、この本の表紙イラストを見ると、都築がとんでもないエロオヤジに見えてくるから不思議です。

正体がバレてからの都築は、今どきの若者に早変わり。
やんちゃ年下攻め、かな?
最初のほうの都築は、いったいなんだったんでしょう。読み返すと、その 「似非ジェントルマン」 っぷりが痛々しいです。

一粒で 二度恥ずかしい 都築かな  by リリカ
(若い人には元ネタがわからないかも、というか、それ以前につまらない・笑)

(★★★☆☆)


終わりかたが乙女っぽくて、背中がむずむずしました。一歩間違えたら、成宮はキモい…
芸能界描写は少ないので、業界ものが苦手なかたもどうぞ。

硬派ヘタレ攻め。
タイトルも、話も、イラストも、ぜんぶ素敵でした。


風でなくても
火崎 勇 著
ドリームメーカー (2005.7)
ISBN : 4861170427
価格 : \893


【こんな話】
高校の後輩で元恋人の遊馬 (あすま) が、藤吾 (とうご) の会社の新しい部下としてやってきた。
5年ぶりの再会に変わらない自分の想いを自覚させられる藤吾。けれども藤吾を振った遊馬は再会しても頑なな態度を崩そうとしない。
そんなある日、高校の後輩から思わぬ遊馬の話を聞いて…。
(「遊馬」 は苗字。「藤吾」 はもちろん名前で野々宮藤吾。以下 野々宮)

【ひとこと】
いいお話でした。

野々宮と遊馬は、高校の陸上部の先輩と後輩。
野々宮が卒業するときに、遊馬に告白したのでした。

この告白が、とても好き。
爽やかで、すっごく気持ちがいいんです。

『俺もいい先輩だと思ってました』 なんて間の抜けた返事はするなよ。
返事は 『一回くらいなら』 か 『気持ち悪いんで辞退します』 のどっちかだ。


"一回くらいなら" というのは、野々宮が 「一度だけ抱き締めさせて欲しい」 と言ったからなんですが、さすが陸上部のキャプテン、カッコよすぎます (このときは、まだヘタレではない)
そして、これに対する遊馬の返事も、もうなんともいえません。
ここまで読んだだけで (たった27ページ) なんていい話なんだろう… とため息が出たくらい(笑)

しかしその後、ふたりは、遊馬の音信不通が原因で別れてしまいます。
でも、こんなふうに、付き合いはじめたふたりが、少し離ればなれになったくらいでダメになるはずがないのであって、遊馬には音信不通にならざるをえない事情があったのでした。
(以下ネタバレ)

「風みたいに走る遊馬が好きだ」

野々宮にこう言われて、遊馬は本当に嬉しかったんでしょうね。
でも、嬉しかったからこそ、事故で走れなくなったとき、この言葉が 「走れない遊馬は好きじゃない」 という意味に変換されてしまったのです。
そんなことあるわけないのに。

一方、野々宮。
赴任してきた遊馬に、必死に気を配る野々宮が滑稽で悲しいくらいでした。感情に流されないように、ひとつひとつ自分に言い聞かせながら、遊馬のために自分は何をしたらいいのかって、ずっと考えてる。
そんな野々宮が、昔を懐かしむお年寄りのように見えたのは私だけですか。
彼の視点で話が進んでいくせいか、この本まるまる 「回想録」 のような雰囲気でした。


書き下ろしの 「風をつかまえて」 は、その後のふたり。
野々宮のヘタレ全開です。

遊馬のためを思って、会う回数を減らそうとする野々宮と、
それを、嫌われたと勘違いする遊馬。
そして、野々宮が結婚するという噂が流れ、遊馬が野々宮のマンションにおしかけるシーンが…。

許さない…っ!

遊馬の予想外の激しさに、思わず涙が… 出なかったのは、きっと野々宮の慌てっぷりが可愛かったからでしょう。
たぶん、遊馬は 「2005 マイベスト受」 になると思います。
(★★★★+0.5)


この会社、カッコいい人ばっかりなんですよ。
外川もさることながら、私はイラストの福井に惚れました (p.151)
他の挿絵も (もちろん表紙も) とても素敵です。
イラスト : 朝南かつみ さん

ちょっと趣の違った 「捨て子系」 でした。


ふしだらで甘い誘惑
和泉桂 著
フロンティアワークス (2005.7)
ISBN : 4861340829
価格 : \580


【こんな話】
平凡な高校生活を送っていた梁井淳紀 (あつき) は、見知らぬ男に拉致されかけたところを、美貌の男・佐宗慎 (まこと) に助けられる。そして、ある事情から慎のもとで17日間を過ごすことに…。
大胆な男の手練手管に、初めは翻弄される淳紀だったが、今まで一度も受けたことのない他人の優しさに心を奪われて。

【ひとこと】
このあらすじと 「何があっても守ってやると言っただろう?」 という煽りを見たら、どう考えたって私の好きな 「捨て子系」 「拾いもの系」 のお話。
でも、読んでみると、微妙に違うのです。

淳紀は路頭に迷ってもいないし、佐宗も仕事として淳紀を守るように頼まれただけでした。
依頼人は、淳紀のおじいさん。佐宗は、このおじいさんに借りがあり、それを帳消しにするという条件で淳紀のボディガードを引き受けた、ただそれだけ。
(なぜボディガードか… については、ふれないでおきますね)

でも、佐宗はただ護衛をするだけじゃなくて、カラダごと淳紀を自分のものにしようとします。
このときの佐宗は、倦怠感のかたまりというか、心身共にやさぐれていたので、ちょっと淳紀で遊んでやれ、くらいに思っていたんでしょう。
本人も、 "適当に調教するつもりだった" と言ってます。

佐宗 「やめてほしいなら理由を言えよ」
淳紀 「あなたとはしたくないからです」
佐宗 「俺はしたいよ それが理由になる」


これって、会話として成り立ってるんでしょうか…
このやり取りが、気に入りません。


でも、こんなふうに噛み合わなかったふたりも、だんだん惹かれあっていきます。
惹かれるというより、お互いに必要としあう、そんな感じです。
そして、自分の素性を佐宗から聞かされたあたりから、淳紀の気持ちは、愛情に変わっていったんですよね。

この本、この辺りがとても重たいです。
淳紀の気持ちが、せっかく佐宗に向いたのに、今度は佐宗が頑なになってしまうんです。
優しく慰めてくれる佐宗に、淳紀が 「優しくしないで」 と言ったあと

「慣れないことをされたら、動物だって懐く。俺があなたを好きになったら困るでしょう?」

と訊くところがあります。
ここでやっと 「捨て子系」 発動です (笑) って、笑うところじゃないですよね、事実、このセリフにはちょっと泣きそうになりました。
だけど、この問いに佐宗は

「そうだな、それは困る」

と即答。
その後、もう一回同じような会話になるんですが、そこでもやっぱり 「無理」 って言うんです。

淳紀のことを思って、そう言ったのはわかるけれど、淳紀の心の状態を考えたら、そんなこと言えないはずなのになぁ。
この時点で、佐宗は淳紀への愛情を自覚していたんでしょうか。あくまで 「この時点」 で。
あまりにも大人じゃないし、頭が悪いと思います。
これが原因で、佐宗が好きになれませんでした。

それでも、最後はドラマチックで面白かったです。
軟禁されているところに、扉をぶち破って助けに入る… 王道ですね。好きです。

ただ、佐宗の 「お前の愛で縛ってほしい」 というセリフには、ちょっと引きました。
いきなり、臭すぎます。

というわけで、いろいろ総合して考えてみると、佐宗はヘタレなんですね、納得。
(★★★☆☆)


秋に出る続編は、チラっとだけ登場した譲が主人公だそうです。
この人が恋をするの?? 今からとっても楽しみです。

タイトル長?い!
今のところ、少女マンガ誌でもいける内容…かな。
(画像は1巻)

私立翔瑛学園男子高等部倉科先生の受難
志野夏穂
ビブロス (2004.10)
ISBN : 483521658X
価格 : \590


【こんな話】
母校 翔瑛学園高校に、新任教師として舞い戻ってきた倉科怜司。
赴任早々、実行委員会の顧問を押しつけられたばかりか、その後も災難続きで…

【ひとこと】
好きなマンガです。でも、最初の頃は、なかなかキャラが把握できなくて困りました。
ストーリーよりキャラで読ませるマンガなので、人物紹介&語りでも。
軽いネタバレあり、登場順です。

■倉科先生
不器用で一生懸命、言葉が足りないけど実はとっても優しい。
そして外見も、かわいいの? 眼鏡です。
浅野にいきなりキスされて、好きになっちゃったのか、気になってるだけなのか…
憤慨していたようだけど、もともとは自分が誘ったようなもんだということを忘れないように。
「天然」 という皮をかぶった、とんだ節操なしのような気もするし、意外なところでモラリストなような気もするし (でもきっと流される)。
ワタシ的には、浅野とうまくいってほしいのですが。

■2年 浅野 (実行委員長)
空手部です、カッコいい?。
硬派ではありますが、本人が思っているほどには硬派ではないような。
倉科先生に、カッコいいカッコいい連発されて (もう何回言われたか!) 赤くなってるところもかわいいけど、いちばんイイのはボケーっとした顔です。
キス事件のとき、屋上で互いにボケーっとしあう、浅野と先生は笑えます。似た者同士かも。

■2年 秋山
人当たりがよくて、ホントに優しい。小学生の弟の面倒をよくみてあげる、いいおにいちゃんでもあります。
でも、その明るさのせいで、きっと損をしてます。外面と内面のギャップに、苦しむタイプ。
幼なじみの浅野のことは、どのくらい好きなんでしょう。
てっきり、倉科先生狙いかと思ったのに。←作者の思うツボ
秋山があんまりいい子なので、浅野のこと応援できなくなってしまいました?

■2年 坂本
基本形はおっとり、第一変化形はピーピーうるさくて、第二変化形でブラックに。
面白いキャラながら、まだあんまり活躍していないのです。
ストーリー進行のために存在している感じ (憐)

■1年 室澤&木村
一緒にしちゃってごめん。
私は、この室澤くんがかわいくてかわいくて! 特に、テスト直前の彼♪
脇キャラですが、上記 坂本よりは見せ場があります。
一方、木村くんは、2巻で生徒会長の里村に目をつけられてからが、本領発揮です。

■御法川先生
存在自体、ありえません (笑)

■2年 井之上 (生徒会 会計)
坂本と仲良し… らしい (だって仲良しのシーンが出てこない)
基本形はクールだけど、第一・第二変化形は坂本と似たようなもの。
これからに期待。眼鏡。

■2年 里村 (生徒会長)
この人が出てきたときは、また邪魔くさいのが増えて… と思ったんですが、1年の木村くんに手を出すという設定が非常によし。2巻最後のデートの話は、今まででいちばん面白かったです。
でも実際に面白いのは、デートしてるふたりじゃなくて、それを尾行してる坂本&室澤コンビですけど。

それにしても、私がこのマンガの感想を書く日が来ようとは。
連載途中から読んだときは、誰が誰だかサッパリわからなかったのです。
(★★★★☆)


ドラマCDが出ます。
某ホスト部のドラマみたいになるかな。倉科先生役が、緑川さんだし。

ヘビも触手なの?


不確かな抱擁
夜光花
竹書房 (2005.7)
ISBN : 4812422450
価格 : \600


【こんな話】
昔から、北斗の周りには不幸な出来事が多かった。職場の倒産や家事、死者が出ることもあった。
また、北斗には、7歳より前の記憶がなかった。母の死が原因らしいのだが、自分の過去に何かあると確信した北斗は、母の故郷である八ツ島へ渡る。
しかし、ふと気がつくと、北斗は野外に放り出されており、島に入ってからのことをまったく思い出せないのであった。


【ひとこと】
北斗は神子です。
母の故郷・八ツ島では、お祭りのときに神子を生け贄として捧げる慣習があり、北斗はまさにその犠牲となるために、この島を訪れたことになってしまいました。

それをなんとか阻止しようとしてくれたのが、克哉です。
強面の男が、黙々と "人のカタチをしたもの" すなわち、北斗の身代わりとなる人形を彫っている。もうそれだけで、この話の怖ろしさがわかります。
克哉のような人間だったら、祭りをぶっつぶす! くらいのことは言いそうなのに、そんな後ろ向きの対策しかできないのですから。

私は、この克哉の口調が好きでした。
海の男みたいな感じ? 荒っぽくて、優しいこともあまり言わない。限られた人だけが、その言葉尻ににじんだ優しさを知っている… そんな男です。
接触恐怖症で、ろくに人付き合いもしたことのない北斗が、なぜか (理由はあとでわかります) 克哉にだけは触れられても大丈夫で、態度にはあまり出さないけれどそれが嬉しくてたまらない克哉は、エッチで可愛いです。

北斗が弱気で、あっちへフラフラこっちへフラフラという感じのせいか、このふたりが一緒にいると、ずいぶん歳の離れた兄弟のような雰囲気です。実際は、克哉が5つ上なだけですが、こんなふうに不器用に 「受け」 のことを守ってくれる 「攻め」 はとても好き。

この作家さんは、謎を秘めたお話がお好きなんでしょうか。
策もない、逃げ道もない、もうおしまいだ… そんな切羽詰まった状況や絶望感を描くのが、とてもお上手だと思います。
今回も、北斗が母の死の真相を知るまで、ストーリーが二転三転し、目が離せませんでした。

そして、もうひとつ。
この方は、やはりエッチシーンが上手いです。
でも今回は… ちょっと "人ではないもの" が出てくるんですよね…。
「触手」 が苦手というわけではないんです、ただ "人間じゃない" ことがどうにも許せなくて。
だけど、上手なものは上手です、すごくエロいです、蛇。

最後に。
和巳さんは、成仏できたでしょうか。
よく考えてみれば、この人こそ気の毒なのです。
化けて出ずにはいられなかった気持ち、すごくよくわかります。
…って、化けてはないよね。
(★★★+0.5)


『灼熱を呼べ』 の続編が出るとのこと。
楽しみです。

拳はいけません。


そのわけを
榊 花月
竹書房 (2005.7)
ISBN : 4812422442
価格 : \600


【こんな話】
大手デパートに勤める志紀 (志紀) にとって、倉方 (くらかた) の第一印象は最悪だった。
人を見下したような視線、そっけない口調、どれをとっても下請けのデザイナーとは思えない態度の男だった。
しかしある時、酔った勢いで倉方に絡んでしまった志紀は、そのまま倉方に抱かれてしまう。
「お前がしつこいから抱いた」 その後志紀に倉方はそっけなく言い捨てたが、志紀には倉方があからさまに他人を拒否する理由が気になり始めていた。

【ひとこと】
ゲイとしてのキャリアは長いのに、おそらく幸せな思いはしたことがない… 志紀はそんな青年です。
表向きは爽やか好青年でも、心の中では常に葛藤を抱えているような気がします。

この日も、密かに思いを寄せていた同僚が結婚することを知り、ひとり飲みに出かけます。べろんべろんになった志紀は、同じ店で飲んでいた若者3人にヤられちゃいそうになるんですが、普通のバー (ですよね?) でこんなことってあるもんなんでしょうかね。

…という疑問はさておいて。
この窮地から救ってくれたのが、倉方でした。でも、助けてもらったのに、暴言吐きまくりの志紀。
ここだけに限らず、志紀の自虐的な態度は見ていて胸が痛くなります。
この 「俺はどうしようもない人間なんだ」 という感じが、会社での志紀とまったく合わないのにとまどってしまいました。

さらに、仕事にかこつけながらも、倉方に抱かれに行ってしまう志紀にも驚きました。押しが強いっていうの、それとも、不屈っていうの?

「あなたが切れたから」
(「切れた」 は 「キレた」 ではありません。おわかりですよね・笑)

って、そんな恥ずかしいこと、普通言えないでしょ!
だって、仕事も一緒にしてるんですよ!
で 「ここに来たのは、俺と寝たいからか」 って訊かれて、やっと "少し恥ずかしい" なんて言ってる。
遅い!

多分ね、倉方も、デパートのプランナーとしての志紀と、こんな娼婦みたいな志紀のギャップを可愛いと思っちゃったのではないでしょうか。
でも、倉方も志紀以上に、心に暗いものをため込んでいる男でした。
詳しくは書きませんが、これまでの人生で何度か他人に裏切られ、かならずそこに 「死」 が絡んでいたのでした。

「誰も本気で愛せない」 という倉方ですが、愛せないというよりも、愛さないようにしているんですよね。
志紀に 「お前が嫌い」 とか 「淫乱」 とか 「メス豚」 とか 「期待するな」 とか… そりゃひどいことばっかり言うんだけど、カラダの欲望だけで人を抱くような人にはとても見えないから、無理しているのがバレバレで気の毒でした。

そんなとき、倉方のかつての恋人の弟・稜が現れます。
この稜が、どらまちっくに当て馬を演じてくれるもんだから、倉方はヒートアップ。
でも、殴るのはダメでしょう… しかも、拳。加えて、平手打ち…。
倉方の 「俺は、お前に惚れてなんかいない!」 という言葉がはとてもせつないのに、この暴力沙汰で腰が引けてしまった私です (注: 暴力シーンに嫌悪感はありません)

志紀だってせつないですよ。
必死で自分の気持ちを伝えるのに
「俺は最低な人間です。 淫乱なメス豚なんです」
「サカリのついた醜い豚なんです」
なんて口走るんです。
ここは聞いていられませんでした。
そんなこと言わないで?! って心の中で絶叫してました。

倉方の心にある氷の塊が、やっと溶けかかったかなというところで、この話は終わっています。
最後まで甘い言葉は聞けなかったけれど、これが倉方なりの最大限の譲歩ということで。
本来なら、これに書き下ろしがプラスされそうなところですが、このお話自体が書き下ろしなのでしかたありません。
(★★★☆☆)


志紀はMですね。
「あなたがつけた疵は、あなたが癒して」 って、もう演歌ですか。

"哲学" しました。不思議な読後感です。
この "寂しさ" は何?


Fool for you
藤崎一也
幻冬舎コミックス (2005.6)
ISBN : 434480578X
価格 : \693


【こんな話】
宗吾は、猫のような不思議な瞳をした転校生・古瀬とつきあい始めて1カ月。少しずつ距離を縮めていくふたりだが、関係はまだ微妙なままで…。

【ひとこと】
話は、古瀬が宗吾のあとをつけまわすところから始まります。つけまわす、といっても、ストーカーとは違うんですよね。
宗吾のイトコが 「追っかけ」 と表現していますが、これもまた違う気が。
音も立てずに、ただついていくのです。宗吾に気づかれても、隠れるでもなく、おそらく見失っても焦って探すこともしない… そんな感じです。

宗吾も、そんな古瀬をうるさがったりせず放っておくのですが、あるとき 「なんで付きまとうか」 って訊くんです。
そして、古瀬の答えが… 

ここでうまく説明できない私は、ふたりの気持ちがわからないのかもしれません。
ふたりの関係は、本文中でもいわれているように、まさしく 「微妙」 です。深くつながっているようで、希薄にも見える。

そして、それはこのマンガに出てくる、他の少年達との関係にもいえるのかなぁ、と思いました。
毎日毎日つるんでいるけれど、ある日突然誰かがいなくなったとしても、少し時間がたてば、また何事もなかったように平凡な毎日が訪れるような。
そんなことを思いつつ読んでいたら、むしょうに悲しくなりました。

ただ、どんなにふたりの関係が 「微妙」 でも、ふたりがお互いを特別に思っていることだけは確かです。
だって、宗吾も古瀬もふたりきりのときは、少し別人のようだから。
ふたりでいるときだけ、宗吾は違う優しさを見せるし、古瀬は違う可愛さを見せるのです。

宗吾が、友人たちに古瀬のことを尋ねられ、のらりくらりとかわすところが気持ちいいです。
(★★★★☆)


すすめてくださってありがとう>Mさん
何度も読みたくなりますね。
(BL×B.L. の 【TB企画】旅の友 にトラックバックさせていただきました。まさにぴったり)


BL×B.L. 【TB企画】旅の友


いつも、どこか男臭い いおか先生の小説。
今回の主人公 真二も、ページから汗の匂いが漂ってきそうな奴でした。


好きこそ恋の絶対
いおか いつき
幻冬舎 (2005.7)
ISBN : 4344806042
価格 : \540


【こんな話】
諏訪内真二は、白バイ隊から捜査課に人事異動され刑事となった25歳。配属されて最初の事件の担当検事は、先輩刑事から敵視されている 高城幹弥 (みきや) だった。しかし事件を二人で調べるうち、真二は高城と親しくなりたいと思い、休日を一緒に過ごすことに。やがて真二は、正義感あふれる高城に惹かれ始め……。

【ひとこと】
ああ、真二は高城に巡り会えて、よかったです。こういうタイプは、どうせ年上の女とかに騙されて、人生を棒に振ってしまうに決まってます。

山奥から出てきたわけでもないのに (神奈川県出身) このボクトツさ。自分にも他人にも正直で、いつもありのままの自分で勝負してる。まさに、男の中の男、という感じです。
でも、女性の目から見ると、そんなわかりやすいところがカッコ悪かったり、清廉潔白さがモノ足りなかったりするものです。
だから、真二はこっちの道を選んで正解だったと思うのです。

一方、高城はというと、これまた一見わかりにくそうで、非常に単純で可愛い人です。
仕事中は鉄仮面をかぶっていますから、表情もひんやりクールだと思うんです。でも、真二と食べたり飲んだりしてるときの高城の笑顔って、きっと乙女っぽいんでしょうねぇ。
高城がニヤっと笑ったり、フッと笑ったり、吹き出したりするたびに、その表情を思い浮かべては嬉しがる私でした。しかも、仮面をはがしたら関西弁なんて… おいしすぎです。

関西弁まる出しで取り乱してる様子は、30歳を前にして早くも 「オヤジ」 の素質ありです。
ここのイラストが笑えます。奈良さん、ナイス!

しかし、真二の前向きなこと。もう、こっちが恥ずかしい?。
好きになったら即行動、どんなふうに落とそうか、なんてこれっぽっちも考えません。
酔っぱらってべろんべろん状態のまま、高城のマンションに乗り込んでいったかと思うと、話が済んだとたん、寝ちゃうし。
起きたら起きたで、ちょっとお茶でも飲んでからにすりゃいいのに、いきなり 「好きです」 って…。
この恥ずかしさはねぇ、女性には耐えられません、きっと。

だ・け・ど! 高城だから大丈夫。ホントはとっても動揺してるのに、平気な風を装ってるところが、なんとなく艶っぽくてよござんす。
でも、高城はどの辺りから、真二のこと好きだったんでしょうね。乙女な彼のことだから、
「俺が今一番会いたいのが高城さん」
のセリフにやられちゃったのかもしれません。これ、居酒屋さんでの会話のひとコマなんですけど、よくよく読んでみると、高城が誘導尋問して、真二に言わせてるようなもんですね。検事ならではの高等テクなんでしょうか。

ゴツゴツしてるのに、とっても甘いお話でした。
他の登場人物も、いい人ばかりで、読んでいてホッとできます。
(★★★★☆)


「俺、犬だったらよかったのに」
可愛いなぁ、真二。
それと、ベッドを動かそうとしてる高城もv

シュークリーム。しっとりタイプと、カリっとタイプと、どっちが好きですか。
私は、しっとりタイプで、中はカスタードクリームだけのがいいです。


彼のあまい水
神奈木 智
幻冬舎 (2005.7)
ISBN : 4344806026
価格 : \540


【こんな話】
高3の百合沢 史希 (しき) は浮かれていた。久住迅人 (くずみ はやと) という7歳年上の恋人ができたからだ。パティシェである久住の店でラブラブな時を過ごす二人。そんなある日、史希は久住を押し倒したが、問題発覚。史希も久住も 「攻め」 だったのだ!

【ひとこと】
「攻め」 だったのだ! … というのが、面白いかと思って買いました。でも、読んでみたら、肝心の 「問題発覚」 の部分が恥ずかしくって恥ずかしくって。
「今、おまえ何しようとした?」 のあたりから、背中にイヤな汗かきながら読みました。

この出来事だけでも、ぎくしゃくしてしまった二人なのに、お互いの元カレ (カレでいいの?) がもう本当に余計なことをしてくれます。
史希は、久住に告白する際、ついうっかり 「男を好きになったのは初めて」 と言ってしまうんですけど、実はその前にクラスメイトの望と付き合っていたんです。どうしてウソをついたかというと、まさか久住がゲイとは思わなかったから。もっともです。
でも、望がわざわざそれを暴露しに来ちゃうわけです。

悪気があってのことじゃないので、久住もちゃんとわかってくれたものの、一難去ってまた一難… 今度は久住の元カレ 重夏 (しげか) が、しゃしゃり出てきます。実は、重夏は義弟なんですが、このあたりがまさに人生いろいろで、久住と史希はこのまま破局して終わりなんじゃないかと、何度思ったことか。

とにかく、久住も史希も意地っ張りすぎです、「なんとかなるさ」 って考えることができないんですよね。そして、お互いそれがわかってるから、余計にたちが悪い。
でもね、久住が史希のこと、すっごく好きなんです。久住自身もびっくりするくらい。
もちろん、史希も久住のことが好きなんですけど、やっぱり高校生だもんね、突っ走ることしかできなません。そこで、久住がいろんなところで折れてくれるのです。
最後は 「受け」 に転向だってしちゃうし。

その、久住の 「受け」 初体験の模様(笑)がまた、読んでて恥ずかしいです。
ほんの数ページながら、身もだえするくらい恥ずかしかったです (ちょっとおかしい私)

神奈木先生が、あとがきで "タイトルに輪をかけた甘いお話" とおっしゃってるんですが、ほんとに。
二人のキャラそのものは、まったく甘くないんです。なのに! というか、だからこそ… なんでしょうけど。
(★★★☆☆)


望が、可愛いです。
続編があったとしても、はた迷惑なヤツでしかないんでしょうが、気になってしかたありません。

誰が好き?


御所泉家の優雅なたしなみ
神奈木 智
徳間書店 (2005.7)
ISBN : 4199003509
価格 : \620



【こんな話】
天涯孤独な身の上から一転、由緒正しい名門 御所泉家の遺産相続人に指名されてしまった晶 (あきら)。その次期当主になる条件は、三ヶ月後に控えた一族お披露目の式までに、完璧な紳士になること ─。そんな晶の教育係に指名されたのは、容姿・才能いずれも劣らぬ名家の嫡男の三人。同時にそれは、晶の後見人選びも兼ねていて…!?

【ひとこと】
えっとですね、おそらく読んだかたのほとんどが、想像していたのと違う、と感じるのではないでしょうか。

ファミレスでバイト中のところを、名前も知らない男に拉致された晶。行き先は、やはり名前も知らない男の葬式。そして、晶は、自分がその由緒ある家の遺産相続人となっていることを聞かされます。平凡な青年になぜそんな話が…? 実は、少し前に亡くなった晶の母親が、やむごとなき家のお姫さまだったのでした。

最初はとまどっていた晶も、3人のイイ男 じゃなかった… 教育係に挑発され、当主となる決心をします。この教育係が、表紙にズラと並んだ男たちで、左から

桐生院 皇 (こう) 俳優
冷泉 司 (つかさ) アンティークディーラー
東條 雫 (しずく) 作家

です。そして、あらすじにもあるように、この中のひとりが晶の後見人になるわけなんですが、この後見人 ─ 別名 「鞘(さや)」─ というのが、なかなか難しい設定でした。
ただのお世話係ではないんです。というのは、「鞘」 となった人物にだけ、御所泉家の門外不出のお宝が明かされるというのです。

実は私、この 「鞘」 をすっかり "晶の恋人" だと、思い込んでしまっていたようです。教育係=恋人候補 のような気がして。そのせいか、その後のストーリーがどうもしっくりこなかったんです…。

でも、教育係の3人も、それぞれに 「鞘」 への認識が違ったみたいですね。

皇 「俺を鞘に選べば、俺は一生おまえ一人のものだ」 と
司 「鞘になっても、冷静に役目を全うすることができないから、俺を選ぶな」

とでは、まったく正反対です。
どちらの意見ももっともだけど、ハッキリと 「お前が他の男といるのは嫌だ」 って言ってくれる皇のほうが、私にはわかりやすいかな。

そして、特に目立ったアプローチをしなかった 雫。
上のふたりと違って、雫だけは晶のことを、恋愛対象として見ていたのかどうか、いまいちハッキリしません。もしかしたら、熱くなる皇と司を見て楽しんでいただけかもしれないし、ひょっとしていちばん晶を好きだったのは雫かもしれないし。

私は雫がいちばん好きです。不思議な人なんですよ。御所泉家の庭に、"はなれ" の小屋なんか作って、そこでご飯食べたりしてるんです。人ん家の敷地で!(笑)
優しくて、穏やかで、面倒見がよくて…、きっと雫がいちばん 「鞘」 に向いてると思います。

さて、最後に主人公の晶について。
この小説、設定を聞いただけでなんだかワクワクするでしょう。だけど、読んでみるとそうでもなくて、少しがっかりしました。
本が分厚いわりに、恋愛要素が少ないっていうのもあるんですが、晶の性格があんまり面白くないんです。最初は可愛げもあったのに、肝がすわってからは、気味が悪いほど堂々としちゃって、3人に対する口のききかたもすっごく偉そうなんですよ。

まぁね、当主だから、実際偉いんだけど。もう、最後の最後まで、というか、終わりになるにつれてどんどん偉そうになっていきました。
晶はもっと、運命に翻弄されてほしかったです。使用人頭の滝山さんに苛められるとか、脱出しようとして監禁されるとか…

これ、続きがあるんでしょうか。だったらぜひとも、メイドのまみちゃんメインで、何かお願いします (違)
晶の部屋でまみちゃんが仕事をしているところに、皇が来てムダ話をするシーンがあるんですけど、ここが好きです (p.164です、よろしく)
(★★★☆☆)

それにしても、御所泉家の家宝そのものに興味があるのって、アンティーク商の司だけなんじゃないかしら。そもそも、門外不出のお宝ってなんなんでしょう。箱を開けたらまた箱で、どんどん開けていったら最後に 「残念でした!」 って書いた紙切れが出てくるとか… そんなお宝だったら許しません。

やっぱりファンタジーには、お姫さまが出てきてほしいんですが、このマンガにはお姫さまどころか、女性がひとりも出てきませんね (笑)
でも、やまねさんの絵が素敵だから、別にいいです。


クリムゾン・スペル 1
やまねあやの
徳間書店 (2005.7)
ISBN : 4199602925
価格 : \560



【こんな話】
王家に伝わる紅い魔剣の呪いで、魔獣に変身!?
王子バルドは忌わしい呪いを解いてもらうため、美貌の魔導士の供として、旅に出ることに。
でも夜ごと魔獣に変身するたび、ハヴィに犯されていることを、バルドはまだ知らない!?
解呪の手がかりを求めて、二人の旅が始まった!

【ひとこと】
普通に考えると、攻めのほうが魔物ですよね。でないと、危険すぎるような。
この話、攻めのハヴィは魔導士ですが、それでも危険です。初めてH (といっていいのか疑問) したときは、かろうじてハヴィが優勢なんですけど、その後は、バルドに噛みつかれたり、ひっかかれたり…。
でも、そんな思いどおりにいかないところがいいんでしょうか (たぶん違う) すっかりバルドに惚れ込んでしまいます。

一方、バルド。最初は、典型的な王子さまと思っていたら、どんどん可愛くなっていきます。ハヴィに、精気を吸い取られちゃってるからでしょうかね。いいんだか、悪いんだか。
魔物になってるときは、バルドとしての意識はまったくないので、ただの凶暴な獣なんですが、一度だけ、魔物と人間が半分ずつ入ってる状態になるんです。ここが、カッコいいです!
ほんの一瞬だけで、またすぐ魔物100パーセントになっちゃうんだけど、将来的には常にその 「半生状態」(?)でいてくれるといいなぁ。
いっそ調教しちゃってください>ハヴィ

途中、霊獣のルルカが仲間に加わります。原型はウサギ風で、必要に応じて人間のカタチになるんですけど、登場キャラとしては、このルルカ人間バージョンがいちばん好きでした。舞踏会に行くような格好していて、髪は三つ編み。バルドのこと、いろいろ面倒みてくれて、いいヤツです。ハヴィはルルカを恋敵として見ているみたいですが、ルルカは何も考えていないのかな、きっと。

最後は、ハヴィとバルドがいい感じを醸し出していて、今後が楽しみです。
でも、呪いが解けたら淡白になっちゃって、さっさと国に帰っちゃったらどうしましょう… つまらなすぎます。やはり理想としては、さっき話した 「半生状態」 ですよ。

描き下ろしが面白かった。触手マニアのあなたも、きっと大満足です☆
(★★★☆☆)

魔物バルドは、カラダに斑紋が出るんです。これが、少し気味悪かったです?。
NARUTOのサスケにも、呪印が出るでしょ。あれも、苦手。
Copyright © 小夜すがら 其ノ壱. all rights reserved.
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