ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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今日は、萌えトークvv 女装だったり、兄弟(妹)だったりで、ひょっとして敷居は高いのかもしれないけど、私的には、満足度200%でした。





【こんな話】
雫(しずく)は、吉川伯爵が訳あって他所にあずけていた令嬢・珠子の身代わりとして、吉川家で暮らすことになる。吉川伯爵に疑われず、楽々屋敷に入った雫だが、すぐに異母兄の夏威(かい)に女装がばれ、ニセモノと知られてしまう。夏威は雫に、見逃す代わりに「俺の玩具になれ」と、セックスを強要。夏威はなぜ、雫がニセモノと知っても黙っているのか?
冷たいようで優しい夏威に、自然と雫は惹かれていく…。(上巻カバー裏より)

【ひとこと】
読んでいてドキドキしましたよ?、夏威が白馬の王子様に見えて。BL版シンデレラストーリーかな。

雫はもちろん、夏威にも自覚はなかったのかもしれないけど、「俺の玩具になれ」といった時から、もう雫はただの「身代わり」じゃなかったんですよね。
夏威が、雫のイヤがることをしたり酷くしたりするのは、珠子のこと考えてイライラするのもあっただろうけど、ほとんどが趣味みたいなもんだと思うし(笑)

雫が困ったときに手助けしてくれたり、どっか連れていってくれるときの夏威が、あんまり素敵すぎてですね、雫にすっかり同調してしまいました。お茶の席から連れ出して、包帯を巻いてくれるところとかね、変態の実紀につかまったときに駆けつけてくれるところとかね、BLとはまったく違う感覚で、萌えでした!
だんだん雫が、夏威のことを頼りにするようになるのも、乙女な気持ち半分+打算的な気持ち半分で、自然でよかったです。

ただ、夏威が帽子を買ってくれるところは、ちょっと微妙だったかな。女物の帽子をプレゼントしてくれるってことは、やっぱり雫は珠子の身代わりでしかないのかな?って。
まぁ。最後まで読んだら、夏威はそこまで考えてなくて、単に「雫に似合うから」だったみたいだけど。

鞠子の登場には、雫以上に落胆しました、私。雫の、な?んだ、そんな人がいたんだ、やっぱりね…という乾いたような気持ちが、ひしひしと伝わってきて悲しかったです。でも、そこに絡んでくる、義弟・炯司(けいじ)の屈折した優しさが、あまりにも色っぽくてびっくりしました。
「待たせたね…」に、コロっといってしまいましたよ(笑)

まるで土曜ワイド劇場のようなラストも、なかなかよかったです。まさに、シンデレラストーリーにふさわしいエンディングで、それに、ご都合主義なところもなくて、大満足です。

その後の話「楽園より愛をこめて」は、酔っぱらった雫の相手をする夏威がやっぱり素敵すぎてですね…(以下略)
(★★★★★)

雫が最後まで女の子の格好してるのは、可愛くていいんだけども、少し残念。


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感想文日記
燈香亭
Dogma*
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今回は穏やか。

その、瞬間。
竹内 照菜 著
竹書房 (2005.2)
ISBN : 4812419824
価格 : \600


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「あなたに褒められたくて」
ふたりでイチャイチャしているところに、いきなり行弘の母が訪ねてくる話。

「その、瞬間。」
行弘の実家へ、成湫も一緒に。初めて経験する家庭的な雰囲気と、あきらかに普通でない行弘の家族に、さすがの成湫もタジタジ。

「ダブルトラブル」
乙彦と啓介のラブラブ話。

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【ひとこと】
行弘の家族が初登場です。
お母さんもお父さんも、お兄さんも甥も、純朴ないい人たちです。この面子の中だと、もしかしたらユキがいちばん頭キレるのでは?と思うくらい天然です。
そして、その失礼なくらいの歓迎ぶりに、成湫も嬉しかったり、腹立てたり、大忙し。

あの成湫が、コタツでトランプをしたり、みんなにミカンを剥いてあげたりしてます!
おまけに、ヘンなあだ名までつけられちゃって。お兄さん考案の○○っ○もかわいいけど、お父さんの○ッ○が、もうおかしくっておかしくって。
このシリーズで、こんなに純粋に笑ったのは初めてです。特に、前作は痛すぎたので、今回は買うのを迷ったくらいだったから、半分ギャグで安心しました。前にもちょっと書いたんだけど、こういう成湫が好きです、私。

後半の、鬼の目にも涙…なところ。
涙腺がゆるんでしまった成湫に、私もホッとしました。まさか、芝居じゃないよね?(だって、疑われるだけのことをあなたはしてるから・笑)
そして、それをあたたかく囲むユキの家族もよかった?。

最後は、ちょっと不穏な展開もあったけど、このくらいならオッケー。ていうか、つぶすシーンを少し期待してたのに、ご想像におまかせします…で終わっちゃったのが残念なくらいでした。そう、成湫の相手が同業者なら、私はぜんぜん構わないんです、どんなに残酷でも理屈が通るから。

乙彦と啓介の話は、今までにない感じでよかったです。シリーズ内では、ダメダメなおじさんキャラになっちゃってるんだもの、啓介。
(★★★★☆)

前作の『月を抱いた』がとっても好きだったので、書店で見つけて大喜び。今年に入ってから、ろくに新刊チェックもしていなかったんだけど、そのおかげで感動も二倍でした?。


灼熱を呼べ
夜光 花
竹書房 (2005.2)
ISBN : 4812419832
価格 : \600



【こんな話】
「お前が俺と付き合うなら、もうこんなもの造るのはやめる」
連続爆弾魔事件が世間を騒がせている中、裕也は親友の竜治の部屋で造りかけの爆弾を見つけてしまう。責める裕也に竜治が持ちかけてきた取り引きは、思いもよらないものだった。(カバー裏より)

【ひとこと】
竜治の行動が、つねに予想よりもぶっ飛んでいて、いつになったら落ち着いてくれるのか、そればかり気になっていました、恐かった。生き方に余裕がないんです。いつもギリギリって感じで。
何が彼をそこまでさせるのか? 終わりのほうで、本人が少し打ち明けてくれるんだけれど、もっとなにかありそうです。

一見ヘロヘロに弱そうな裕也が、荒れる竜治に毅然とした態度で接してくれるので、それだけが救いです。だけど、体が絡んでくると、されたい放題になっちゃう。
竜治も、裕也のことが好きなら、もっと優しくしてあげればいいんだけど、「爆発を造らない代わり」の契約だと思ってるから、ついつい乱暴になっちゃうんですよね。
…って、ホントにそうなのかな、実はちょっと自信ないです。なんか、悪意を感じさせるくらい恐い夜もあったし。

だけど、竜治がず?っとテンぱってる状態なのに、裕也は結構ほんわかしてる一瞬があるのが面白いです。竜治への愛を自覚して、小さな幸せに浸ったりして。
そうそう、お約束の、そして私が大好きな "風邪っぴき&看病" も出てきました(笑)

今から思えば、化学室に盗みに入ったあの日、竜治は裕也に恋に落ちていたんですね。あの騒動がなかったら、竜治は犯罪者になっていたに違いありません。
だから、爆弾ひとつくらいで済んでよかった。そういう意味では、喜多村の企てにも感謝するべきで、彼の死も無駄ではなかった…そう思いたいです。

ひとつだけ。
不幸なことに、裕也は失明してしまいましたが、事件後たった1カ月でずいぶん落ち着いているのが少し不自然かな、と思いました。1カ月くらいでは、ショックから立ち直ることはできないのではないかしら。
(★★★★+0.5)

続きが気になります。裕也の眼はもちろん、竜治が心配です! 裕也の留守中、ちゃんとおとなしくしていられたんでしょうか。竜治の心のうちをもっと知りたいし、とにかく彼にはもっと穏やかに暮らしてもらわないと恐ろしくて恐ろしくて…。


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燈香亭
腐女子の漫画・小説・アニメのオタク感想文
kotonone::詞の音

去年読んだときは、まぁ好きかな、という程度だったんですが、読み直してみたら新しい発見もありました。


泣き虫なリトル

木下けい子
大洋図書 (2004.2)
ISBN : 481300959X
価格 : \630



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泣き虫なリトル
秘密
ライカ(BL色薄)
君は僕のもの(連作)
僕は君のもの(〃)
花男(非BL?)

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絵のタッチがそうさせるのか、どうしても登場人物が低血圧でちょっと醒めた人間に見えてきます(笑) 好きなのは 「君は僕のもの」と「僕は君のもの」 。

生徒会長・ひーちゃん(名前わからず)と、(たぶん)生徒会メンバーの司は幼なじみ。威張りんぼのひーちゃんは、司のことを鼻であしらって、やりたい放題やってきたつもりでいたけれど、それは大きな勘違いで、逆に司にいうこときかされてしまって…という話。

これも絵の効果か、ふたりがちょっとすれ違って、意地張ったり、見栄張ったりしてからくっつくまでが、実にさらりと低温度に描かれていて心地よいです。もし、これが誰か違うマンガ家さんの絵だったら… とあれこれ想像してみてわかったのですが、ストーリーそのものは特にほのぼのしてないですよね、これ。

ひーちゃんも司もスゴむと恐いんだけど、核の部分は子どもっぽい、そのギャップがかわいいです。お互い、赤面しちゃったりして、微笑ましいったらありません。だけど、たまに妙に色っぽかったりして。
司のほうが、心持ち強いです。たぶん、中身は昔と変わってないんだろうけど、ひーちゃんに対する駆け引きだけは上手になったみたいです。
(★★★☆☆)

「僕は君のもの」の扉絵、カラーで見たかったなぁ。

ウニ丼。


となりの王子様
桜木 知沙子
徳間書店 (2003.2)
ISBN : 4199002626
価格 : \540



【こんな話】
幼なじみで、今やトップアイドルの蔡(さい)が突然の引退!? しかも周哉(しゅうや)の隣の家に帰ってきた?!! 同じ大学に通い始めた蔡は、どこでもファンに囲まれ注目の的。昔と同じように構ってくる蔡に、周哉は戸惑うばかりで素直になれない。どうしたらこの距離を埋められるんだろう…? そんなある日、蔡に「お前がいるから戻ってきた」と抱きしめられ!?(カバー裏より)

【ひとこと】
ストーリーより何より、蔡がず?っと周哉一筋なことに感動しました。
顔もいいし、頭もいいし、頼りになるし、一般人だったときはもちろん、芸能界に入ってからもきっとモテてモテてしょうがなかったでしょうに。
それにずっとお隣り同士だったらまだしも…。すごいです。

蔡は何かと強引だけど、周哉がまるっきり言いなりにはなってなくて、自分の意見もしっかり言いつつ、程よく身をゆだねてる感じが好感もてます。蔡が、ちょっとカッコよすぎるくらいなので、周哉といるときはもっともっとヘタレな感じになってもいいのに…。多少照れたりはしてるけど、物足りないです。

それにしても、ウニ丼のシーン、美味しそうですね…じゃなくて!
蔡の言うことがいちいち素敵すぎます。
「お前がいるから」
「ちゃんと全部食えるようになったんだな」
よくあるモテ男の定番のようで、実は違います。だって、蔡のように "二人でいるときだけ甘い顔" してくれる人って、結構少ないと思うのです。自分の容姿に自信があればあるほど、人間っていうのは八方美人になってしまうような気がします。

話を戻しますが、蔡に映画の話が来たときも、反対したい気持ちを抑えてわざと冷たく、蔡の背中を押してやるところ、偉いです。読んでるほうはストレスたまるけど、蔡のことだから周哉の本心なんかお見通しなんだろうと思って耐えました。
(でも最後まで読んだら、お見通しってわけではなかったみたいですね)

それにしても最後の最後までカッコいい蔡でした。
(★★★☆☆)


塚本と渉の話は、さすがにもう書いてくれないだろうから、どんな感じなのか勝手に考えてます。「春村マドレーヌ夫人」宛ての花束、バカ受けしちゃいました。

私にとっては、ちょっとどんでん返しでした。


愛が足りない
桜木 知沙子
新書館 (2003.12)
ISBN : 4403520782
価格 : \588



【こんな話】
口の悪いクールビューティ刈谷彰吾は、実は義弟の優より大切なものはないというブラコンだった。だが、優の友人兼会社の同僚・樋口と東京へ出張に行った折、ついうっかり肉体関係を持ってしまい、さらに樋口から「好きだ」と告白されてしまった。樋口はイイ奴だし体の相性は合うものの、彰吾が一番大事にしたいのは優だ。ややこしくてまぎらわしい、三角関係(?)の行方は……?

【ひとこと】
彼女にフラれて兄に泣きつく(ほんとに泣いてる)弟、そして、弟が彼女と別れたと知ってホッとする兄…。彰吾だけでなくて、優もブラコンです。それも、いいトシして重症。でも、義理のきょうだいならそれもいいか、とそういう展開を予想して読んでいたら、思ったのとは違いました。

それにしても、樋口が泣けてくるほどいい男でした。出張先のホテルでの、関係をもってしまうまでのやりとりが、手に汗にぎるというか、ドキドキものというか、その雰囲気がなんともいえません。

出張先で、想いを寄せる先輩とせっかく水入らずで過ごせると思っていたら、なんと優から電話がかかってきちゃって、そうしたら先輩は優の話ばっかりになっちゃうし。
血が繋がってないと思うと、余計に許せないんでしょうか。そこで、静か?に嫉妬を燃やす樋口がいいです。顔にも言葉にも、そんな様子を出さないんだけど、じわりじわりと迫っていく感じ。

でも、樋口がそうやって自分の気持ちを押し殺すから、ただでさえ鈍感な彰吾がほんとにボケばっかりかますようになって、樋口がかわいそうでした。何百歩も譲って、カラダだけの関係でいいと言ってる樋口の気持ちが、全然わかってない!
優のことを話題に出すのはしかたないとしても、3人で食事しよう!なんて、そのデリカシーのなさにはもうあ然としました。

だから、樋口の怒り爆発シーンは、拍手を送りましたよ?。
そのシーンの最後に、樋口が彰吾にひと言吐き捨てていくのですが、そのセリフに一瞬涙が出そうになるものの、よくよく考えてみるとずいぶん身勝手で笑えます。

最後は、なんか彰吾だけハッピーエンドみたいなところがあって、ちょっとずるいな、と。でも、ちゃんと言うことは言ってたから許します。ここの彰吾は素敵でした。

そして優。
ほんとに彰吾のことが好きなのかもしれないし、樋口が言ったように一時的な嫉妬なのかもしれないし。私は後者だと思うんだけど、ちょっと一筋縄でいかない感じでしたよね、ラスト。頑張れ?(笑)
(★★★★☆)

この本、とっつきが悪いような気がします。
でも、彰吾と樋口が出張に行くまで、頑張って読んでみてください。で、樋口がどんな人かわかったら、もう一度、最初のほうの樋口を読み直すといいと思います。

むかし(大むかし)『なかよし』で読んだラブストーリーのイメージかな。


ご自慢のレシピ
桜木 知沙子
徳間書店 (2002.9)
ISBN : 4199002405
価格 : \560



【こんな話】
母親が教える料理教室でアシスタントをつとめる裕貴(ひろき・19歳)。その教室に週一で通ってくる、落ちこぼれ生徒の高田のことが、どうも放っておけない。小説家志望だという高田は、何をやらせてもダメな男で、見かねた裕貴は指導がてら夕食を作ってあげることにしたのだが…。

【ひとこと】
高田に対する、裕貴の第一印象は、ただダメな奴。でも、なんだか構ってやりたくなって、実際に話してみると、予想に反してずいぶんしっかりしてる奴とわかって、そしたらどういうわけか、好きになっちゃって…。
裕貴は、19歳にしてはちょっと子どもっぽいんだけど、ひとりで空回りしてたりするのがとっても可愛いです。

いくら高田が10歳も年上でも、料理を教えてあげてるときは裕貴の立場のほうが上。だから、裕貴もちょっと高田のこと、甘くみていたのかもしれません。でも、高田は、裕貴の性格も、考えてることも、ぜんぶわかってたんですよね。(あ、自分のことを好きだというのはわからなかったみたいだけど)
そのへんはやっぱり大人で、口から出る言葉にも、重みがあって優しいです。

"むかし、『なかよし』で読んだラブストーリー" を思い出したのは、夜のブランコのシーン。高田が、優しく静かに、裕貴への想いを話すシーンなんですが、霧につつまれてるとでもいったらいいのかな、すっごくきれいなんですよ?。
ストーリーは、とくに大きな山場があるわけでもなく、よくある話かもしれないけど、すてきな雰囲気のある作品です。

続きの「それからのレシピ」は、少しだけゴタゴタします。この話でも、裕貴はちょっと子どもっぽいかな。でも、子どもっぽなりにいろいろと気をまわして、まわしすぎて疲れちゃうのです。だけど、やっぱり高田はそういうのを全部ひっくるめて理解してくれてて、めでたしめでたし♪です。
(★★★★+0.5)


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B-Life.SS

3編収録されているうち、番外にあたる、ふたつめの「ウインターソング」がよいです。

サマータイムブルース
桜木 知沙子
新書館 (2003.6)
ISBN : 4403520715
価格 : \588



表題作の「サマータイムブルース」は、主人公・隆伸が、高校時代に片想いしていた先輩・鳥居に再会するお話。
隆伸は最初、よき先輩として鳥居を尊敬していたのですが、ある日彼がゲイであることを知ったのをきっかけに、自分の恋心を意識するようになります。そのくだり、隆伸のなかで鳥居が、ただの先輩から恋愛対象に変わるまでの描写が、とっても丁寧に書かれています。迷いながら確信する様子が自然で、きっと実際もこんなふうに感じるのかなぁと思いました。

隆伸は、誰からも好かれる好青年。鳥居も、無愛想で冷たいと思われているけれど、実は優しい人間です。(以下ややネタバレ)
結局は、鳥居も隆伸のことが好きで、ふたりはずっと両想いだったわけだけど、鳥居がマイナス思考の人間だから、悪いほうに悪いほうに考えて、自分でダメにしちゃってたんですね。

再会しても、ちょっとした誤解が重なって、ますます卑屈になってしまう鳥居…、ちょっとウジウジタイプです。本当は私、こういうキャラは大っキライなんだけど、鳥居にはちょっと調子狂わされたかな、思ったのとは違いました。どう違うかって、私の想像をはるかに超えて、弱い人間だったんだもん。おいおい、泣くなよ?っ!って、何度突っ込んだか(笑)
女性から見ると、ちょっと勘弁…な感じの鳥居も、隆伸から見れば優しくしてあげたいって思うんだろうなぁ。


短編「スプリングタイムキス」には、その後、ふたりがドライブに出かける様子が。
これがまた! 鳥居せんぱ?い、しっかりしてくださいよ!って感じです。
タイトルの「キス」だって、ほっぺにチュで、かわいいもんです。


さて、1作目で鳥居の同級生として登場する、淳。この淳と、幼なじみの康祐の話が「ウインターソング」です。この話が、せつないやらあったかいやらで、大好きです。
淳は、女装はしないけど、言葉も見た目も女っぽくて、ゲイであることも周囲にカミングアウト済み。面倒見のよい、男にしておくのがもったいないタイプです。
そして、康祐は、家庭環境にちょっと問題あり、それでも両親や妹のために頑張るけなげな高校生。本人には内緒だけど、年上の幼なじみの淳のことが好きで。

淳のことで悩んだり、友だちにゲイであることがバレて動揺したり、家族が信用できなくなって絶望的になったりする康祐があんまりかわいそうで、ちょっとじわっときます。何もかもハッピーとはいかないけど、最後はほのぼのエンドです。
(★★★★☆)


表紙イラストの物憂げな鳥居は素敵です。このカップルは、隆伸がつねに前向きで引っ張っていかないと、鳥居に引きずられてどんどん暗くなっていきそうです。
とりあえず、先輩はメソメソしないこと(笑)

目当ての本(BL)が何冊も行方不明。家族の本棚に紛れているくらいなら、いっそ紛失していたほうがマシです。

ささやかなジェラシー
桜木 知沙子
徳間書店 (2001.4)
ISBN : 4199001786
価格 : \540



【こんな話】
涼やかな美貌で剣道の腕も超一流。高嶺の花と噂の英介には、密かに恋人候補がいる。長身で見かけは大人っぽいけど素直な後輩・清水。「つきあうかどうかは試してからだ」 人づきあいが苦手な英介は、つい高飛車に条件を出してしまう。デートには行くのに、いつまでも期限をはぐらかす英介。けれど誕生日直前、いつになく真剣な瞳の清水に「会ってください」と迫られて!?
(カバー裏より。最後の一文が、ちょっとニュアンス違うかなぁ?)

【ひとこと】
ずいぶん前の本です。
素直でとってもいい子の清水が、ねばり強く英介をくどいていく様子が好きです。言葉づかいも丁寧だし、先輩の気に障ったら、すぐちゃんと謝る。そんなところが読んでいて暖かい気持ちになります。
英介も、イヤな人間ではありません。人づきあいが苦手で、余分なつきあいはしたくないと思っているのも確かなんだけど、心の奥底ではちょっと人恋しかったりする、顔に似合わず純情な奴…かな? 多分、女の子と付き合っても、うまくいきそうもないので、清水に出会って彼は幸せでしたよ。

清水が押して押して押しまくるのに対し、英介がいかにも迷惑だという態度でふるまう。ふたりの関係はこんな感じ。最初は、本当に迷惑だった(?)英介も、だんだん居心地よくなってきて、オレって幸せなのかも?♪状態になっていくわけです。でも、英介が幸せだからって、清水がそうとは限らなくて、かわいそうに清水は結構ストレスたまっちゃってたんですねぇ。表に出さないから、英介も気づかなかったし、私も読んでてわかんなかった(笑) 

だから、言いたいこと言いあうシーンが気持ちいいです。が、この本「ささやかな試み」と「ささやかなジェラシー」と2編収録されてるんですが、「ジェラシー」のほうでは本心を吐き出していた英介が、いきなりしおらしくなっちゃって気味悪いんですよ。ぶっきらぼうなところが魅力だと思うので、そういうところは失わないでください。

当て馬風キャラは、英介の妹。
付き合ってる彼から、好きな子ができたと言われるだけでも悲しいのに、それが男!しかも自分のお兄ちゃん!なんて、そんなショックなこと。ちょっと同情しました。
そして、いかにも当て馬らしく登場したけど、全く違った柴崎。ぜったいホモだと思ったんだけどね、違った(笑)

(★★★☆☆)

「うざったさといじらしさは紙一重」という表現が出てきます。
これ、とっても上手い表現ですよね。でも理屈じゃない、うざったいと思ったら嫌いで、いじらしいと思ったら好きなんです。きっと。

やっと読みました。続編の発売がすぐそこなので、ちょっとトクした気分。

オンライン書店ビーケーワン:許可証をください!   オンライン書店ビーケーワン:慰安旅行に連れてって!

許可証をください!・慰安旅行に連れてって!
烏城 あきら
二見書房 (2003.11) (2004.6)
価格 : 各 \600


化学薬品の中小企業 喜美津化学の品証部勤務・阿久津 弘と、製造部の前原健一郎の仕事ぶりを描いた…じゃなくて、体当たりの恋愛…でもないし、そんな話。もう、こんなに人気だから、あらすじはいいかな。


不思議なくらい、面白かったです。なぜ不思議かというと、BLでなくても、特殊な業界を舞台にしたものって苦手だと思っていたから。
化学薬品なんて興味はないし、品証なんてことばも初耳、製品にボルトが混入するだの、排水が汚染されるなんて話にも、これっぽっちも興味はないのに、ぐいぐいと引き込まれて読んでしまいました。
工場のラインの調査とか、配管チェックのために穴を掘ったりするところが、すっごく面白くて、固唾をのんで見守ってしまった感じです。これは、作者さんの力量ゆえ。

1も2も同じくらい好きだけど、2のほうが心持ち、前原の行動がおかしかったり、弘の可愛さもちょっとアップだったりで楽しかったですね。
前原、裏表はないし、わかりやすくていい男です。本能のまま行動してるようで(いや、実際そうなんだけど)、常に頭のなかで弘の行動を言動を分析しながらコトに及んでるところなんか、かわいくてたまりません。弘を布団に突き飛ばしたあと、逃げられないように、浴衣のすそを踏んづけていたのには笑いました。
弘のスタンスはこれからも変わらないだろうけど、前原のほうは理性が気持ち(欲情?)に追いついたそうで、今後どういう行動に出るか楽しみです。

いま、二見書房さんの新刊案内で『嵐を呼ぶ台風!?<許可証をください!3>』のお知らせを見て大笑い。次作の一大事は、「渇水」だそうです。またしても、こんなテーマには興味のない私ですが、きっとまた、二人の仕事ぶりをわくわくしながら読んでしまうんでしょうねぇ。
(★★★★★)


私は、普通の会社に勤めた経験がないので、小説やドラマに出てくる、"職場の風景" にすごく興味があるんです。今まで経験した仕事が、自分ひとりで最初から最後までこなすものばかりだったので、喜美津のみんなが力を合わせて問題解決してる様子になんともいえない羨望というか嫉妬というか、そんな感情がわいてきます。


私の周りの42歳とはずいぶん違う。


デキる男

海老原 由里・ふゆの 仁子原作
ビブロス (2004.11)
ISBN : 4835216733
価格 : \590



【こんな話】
養父母のもとで育てられた叶内北斗は、20歳を機に "足長おじさん"の白鷺洲雄彦(さぎしま たけひこ)に会うことになった。この日をずっと夢見てきた北斗の気持ちを知ってか知らいでか、アメリカの大企業の超エグゼクティブである白鷺洲は、北斗に手を出してきて…。同名小説のマンガ化。

【ひとこと】
小説を読んだのがずいぶん前なので、マンガで初めて読むような気持ちで読み始めました。読むうちに、ああ北斗が気の毒で可愛かったんだっけ、と徐々に思い出してきたのですが…。
これ、マンガだけ読むと、ちょっと心理描写がぼやけちゃうかなぁ、と思いました。北斗の白鷺洲に対する想いの変化とか、白鷺洲の考えてることとか、もっともっと知りたいかたは小説を読むことをお薦めします。

トラックバックさせていただいたごまくりさん(マイプライベートBL)も書いてらっしゃるように、笑ったり泣いたり怒ったりしている北斗がとっても可愛いです。北斗は、ホテルのベルボーイをしているんですが、冒頭部分で(足長おじさんだとは知らず)白鷺洲を客として迎えるシーンなんて特に。あとは、いよいよご対面?のシーンとか、終盤ちょっと危険な目に遭うところとか、彼の純な気持ちが伝わってきます。

一方、白鷺洲ですが、小説よりも傲岸不遜度はやや低めです。もっと手強かったような気がする(笑)
会ったこともない子どもに、遠く離れた地からずっと援助を送り、果ては自分の後継者として育てる。通ってる大学も辞めさせて、独自のカリキュラムで学ばせちゃうんです。もうこれは、ひとつのプロジェクトともいってもいいですよね。
こんなとんでもないことを考える白鷺洲も、北斗と生活をともにするうちに、だんだんと変化していくわけですが、白鷺洲の目つきが優しくて、そしてときに寂しそうで、本当に素敵です。

小説を読んだときに、かなり邪魔くさかったスティーブが、不思議なものでマンガではすんなり受け入れられました。むしろ、ちょっと大人げない感じが可愛かったりして。アンディも、なんだか夢から出てきた少年のように描かれていて、これならアリかな、と。
ヘンな話ですが、こんなふうに読者にも心境の変化が訪れるのだから、原作者にとってマンガ化というのは、おいしい話でもあるのかなと考えを改めました(今まで、まったく逆だと思っていたので)

描き下ろしの「デキちゃった男」では、数年後の面々が。
スティーブがますますヘンな人になっているようです(笑)
そして、アンディも分別のある大人になりました。でも、アンディにはちょっとお間抜けでいてほしい私です。そして、これっぽっちも変わらない白鷺洲と、最初新キャラかと思っちゃった北斗…。北斗もすっかりエグゼクティブ予備軍になっちゃったのね、少しさびしいわ。
(★★★+0.5)

あはは。


花を撃つ
剛 しいら
大洋図書 (2004.11)
ISBN : 4813010393
価格 : \903



【こんな話】
何者かに銃撃されて引退した父の跡を継ぎ、衆議院選に出馬した息子・聡一朗。しかし、聡一朗のもとにも、脅迫状が届き、SPによる警護がつくことになった。今まで心が休まることがなかった聡一朗は、24時間密着での警護に最初こそ顔をしかめたものの、SP大鞆の優しさに次第に心を開いていく。

【ひとこと】
SPの大鞆が、警護対象者の聡一朗のことを、「痛々しくて見ていられない」というシーンがあるのですが、私にいわせれば、痛々しいのは大鞆!あなたも同じ。
このふたりのいうことなすこと、痛々しいを通り越して、もう信じられないことだらけ、終始「おいおい」という感じでした。

聡一朗は、26歳の青年。でも、親の、そして一族のいいなりに育ってきたせいか、本当に世間知らずで子どもなんです。イヤイヤ立候補した選挙とはいえ、もう少ししっかり振る舞ったっていいんじゃないの。根本的にやる気ゼロのへなちょこなので、初対面のSPにちょっと世話を焼いてもらっただけで、すぐ自分のすべてをさらけ出してしまうわけです。
恋は突然訪れるもの…だろうから、それがすぐ恋心に発展しても別にいいんだけど、いいんだけど…。

なんか、大鞆に対する反応が、純情な中学生みたいなんですよ。
ベッドの下に隠したエロ本を見られたぐらいで大パニックに陥ったり、ネクタイ結んでもらっただけでどぎまぎしてるし、「恋人はいますか」なんて聞いちゃうし。

一方、SPの大鞆も、キャラがつかめません。出会いから数日後、聡一朗に誘われた時点では、まだ普通の人だったのに、ふたりの初デート(泊まり)からなんだか様子がおかしくなります。
みなさんにもびっくりしてほしいので(笑)これ以上は書きませんが、常識人から見れば「変態」と呼ばれてもしかたないような大鞆の言動も、世間知らずな聡一朗にとっては、男らしくて素敵だと思えたんでしょうか。

ふたりがあまりにもおかしいので、「聡一朗が脅迫されている」という本筋を思わず忘れてしまいますが、ご安心ください、ちゃんと誘拐される場面も出てきます。
総一朗の救出に大鞆がかけつけるシーンは、ちょっとびっくりしました。必見?(笑)
(★★☆☆☆)

こんなピアノの先生、いいなぁ。


ワンダーガーデン
真先 ゆみ
幻冬舎コミックス (2003.6)
ISBN : 4344802608
価格 : \898



【こんな話】
音大に通う東谷春陽(とうや はるひ)は、仕送りを止められて行き倒れ状態になっていたところを、香流(かおる)と吉祥に助けられる。2人は偶然にも同じ大学の卒業生で、困った春陽に、部屋を貸してくれるばかりか、食事や仕事の世話まで焼いてくれた。特に、吉祥はなにかと春陽のことをかまってくれて…。

【ひとこと】
春陽は、線が細くて可愛らしい、典型的な受けタイプ。
そして、その春陽を拾った2人組が…
その1 香流が、色白の美人さんで、やっぱり典型的な受け
その2 吉祥が、デカくて粗っぽくて、男(春陽)の目から見てもカッコいい攻め

こんな設定を前に、私は激しく勘違いをしてしまいました。
"香流は吉祥を好き、だけど、吉祥は春陽が好き。そこで、悲しみにくれる香流は、ついつい春陽に辛くあたってしまい…"、なんて勝手に話を作っちゃったじゃないですか(笑)

実際、香流と吉祥はまったくそんな関係ではありません。なのに、私の勘違いを裏付けするような展開まで用意されていたものだから、私はその勘違いを終盤まで引きずることになってしまいました。

挙げ句、私の頭の中には、香流=悪い人という図式が。これが、この小説を読むのにどれだけ悪影響を及ぼすか…、読んだ方ならわかりますよね(笑)

実際は、かわいらしい春陽が吉祥への甘ずっぱい(?)恋心を抱え悩み、また、吉祥は吉祥で、強引に圧すか or 一歩引くかの葛藤に苦しむ……、そんないじらしい話なのです。まあ、平たくいえば、ありふれた話かもしれません。
ただ、吉祥がピアノの先生をしているというのが、私の心をくすぐりました。
自由きままにやってそうな吉祥が、普通の音楽教室の所属講師で、小さな子どもにピアノを教えて、発表会で模範演奏を奏でている。その当たり前といえば当たり前な様子に、惚れました。
…って、ぜんぜんBL小説の感想になってなくてごめんなさい。ちょっと風邪でボーっとしてるので、萌えポイントがいつもと違うのかもしれません。

残念だったのは、春陽と音楽との接点があまり書かれていなかったことです。
春陽の両親は、春陽がピアノをやることに好意的ではないんです。だから、仕送りも止められてしまったんですけどね。
春陽自身も、なぜそこまでしてピアノをやりたいかが見えてなかったのも事実で、香流や吉祥たちとのあたたかい生活の中で、自分の本当の気持ちを見つけていきます。その過程が、読みたかったのになぁ。
だって春陽、最後の最後まで、鍵盤にさわりもしないんだもん。もっと早く弾いてほしかった。
(★★★☆☆)

探偵の竜崎と謙二朗の話『愛とバクダン』は思いっきりツボでした。この本は、その竜崎の友人・國武が主役です。といっても、発売はこちらのほうが2年も前です。


KYOUHAN?共犯?
中原 一也 / 中原 一也著
二見書房 (2002.12)
ISBN : 457602194X
価格 : \580



【こんな話】
國武(こくぶ)は店舗内装会社の営業課長。ある日、仕事で入ったラブホテルで、なりゆきから部下の北川を抱いてしまう。一夜の過ちだと、お互いなかったことにするはずが、ホテルにいたところを会社の同僚に見られてしまっていた。
証拠写真をたてに脅迫され、対応を相談しようと國武は北川の部屋を訪れるが、二人はそこでまた関係を持ってしまう。

【ひとこと】
男ざかり36歳、仕事はバリバリこなし、外見もOK。そんな、どこからみてもデキる男!の國武ですが、その行動ぶりにギャップが…。
内装をチェックするために入ったラブホテルで、部下の北川に欲情して、ついついヤってしまったのはまあしかたないでしょう。でも、「なかったことにしよう」と合意したくせに、いざ二人きりになると我慢できないみたいで、ずるずると…。北川のマンションでならまだしも、夕暮れの会議室でもコトに及んじゃってます。どんな会社か知りませんが、ぜったいバレますってば。

間抜けなことに、同僚に脅迫されることになり、國武本人はいたって深刻(たぶん)なんでしょうけど、解決策として出した案がまた…(笑) 北川も、仕事はデキるくせに、國武といっしょでネジが2?3本はずれてるようなところがありますから、しぶしぶながらもその案にのり、そして、とんでもないことに。

その解決に乗り出してくれるのが、竜崎(&謙二朗)です。
はぁ?、やっぱいいわ、この人。國武とこの竜崎と、そしてもうひとり深見、この悪友3人組のシーンがいいんですよ。職種の違う、どちらかというと硬派の部類に入るおっさんたちが、色っぽい話やらくだらない話に興じてる様子が、なんとも魅力的なのです。
いつも3人が会うバーは、深見がオーナーなんですが、ここのバーテンさんと深見の関係が気になります。やっぱりそうなんですよね?

以上が、「KYOUHAN 1」のストーリー。
そして「2」では、一難去ってまた一難、またしても國武&北川に危険が降りかかります。でも、元を辿れば、國武がいつものように見境なく欲情してしまって、街角(外です外)であんなことこんなこと始めちゃったからなんです。で、少々危険な目にもあって、その事実を真剣に受け止めてるはずなのに!またまた会社(こんどは資料室)でしてるんですから。
ほんと、しかたない人たちです。

書き下ろしの「SOUL KISS」は、フィーチャリング北川慎一。
國武と似たり寄ったりとはいえ、まだかろうじて普通の部類に属していた彼が、ヘタレになる瞬間というか、向こう岸へ行ってしまう(笑)お話です。
(★★★★+0.5)

ハードボイルドな雰囲気にごまかされてるけど、実はイイ年した男の一途な愛…というか、もう止まんない!って感じの攻めに、心から笑える作品です。竜崎と國武が似た感じなので、深見もきっとそんな恋をしてるんじゃないかなぁ。深見とバーテンさんの話が読みたいです。
…って、まだそうと決まったわけじゃないんでした。

オビに「禁忌に燃え上がる」ってあるんですが、そんな感じではないです。可愛らしいお話。


恋より甘く愛より熱く
真崎 ひかる / 真崎 ひかる著
ワンツーマガジン社 (2005.1)



【こんな話】
いたって普通の高校生・樹(たつき)は2年前に酔った義兄の皓史(こうし)に抱かれてしまったことがある。だけど大学を卒業と同時に家を出た皓史はその時のことを覚えていなくて……。ある日、ひょんなことから皓史と同居することになった樹は戸惑いながらも、次第に秘めていた恋心を抑えることができなくなって?。

【ひとこと】
皓史は、樹よりもひとまわり上のカメラマン(本ではフォトグラファー)です。私、カメラマンという設定、あまり好きじゃないんです。好きな人を自分の手で写真に残したい、といった雰囲気が、どうにも気取っていたり熱すぎることが多くて。
この作品にも、撮影の場面が出てきます。でも、皓史はむっつりスケベ(本人談)で、外見はたぶんカッコいいんだろうけど、気取ったこというような男じゃなかったので、私も大丈夫でした。

みんな素直になろうよっ!
最近、こんな気持ちになる本ばっかり読んでます。
好きなら、ちゃんと態度や言葉にあらわしてほしいです。
ふたりが同居することになったときも、手放しで喜べとは言わないけれど、皓史がひと言「よろしくな」って笑ってくれるだけで、樹だってモヤモヤしなくてすんだのに。
かわいそうに、樹はあれこれ気をつかっちゃって、気の毒でした。
よくあるじゃないですか、こういうの。「一緒にいたら、壊してしまいそうで怖かった」みたいな展開。皓史もそんなこと言ってます。好きだから、これ以上一緒にいたらいけないと思って家を出たって。それもわかるけど、皓史は樹の気持ちに気づいていたんだから、壊しちゃったってよかったんですよー、もう。

そして、毎回同じような感想を書いて申し訳ないんですが、当て馬として登場する、皓史の友人・勇海(いさみ)のほうが、優しく満たしてくれそうで好きです。話の流れとしては、一回くらいヤってしまってもよかったような気もしますがどうでしょう。

でも、この当て馬作戦も100%成功とはいえなくて、結局は、樹が行動に出たからハッピーエンドになったんですよね。12も年下なのに、偉いなぁ樹は。

続編も収録されています。
手錠でつながったイラストがあるんですけど、それが可愛いんですよ?、必見。あとがきで、真崎先生もそうおっしゃってます。
そして、おまけについてきた小冊子ですが、なんかヘンな大人に囲まれてる樹が心から気の毒になりました(笑)
(★★★★☆)

素直で可愛い受けが好きな方はぜひ。

あのセリフさえなかったらなぁ。


恋になる
榊 花月 / 榊 花月著
白泉社 (2004.12)



【こんな話】
ピアニストとして将来を嘱望されていた高校生の在瀬 律は、交通事故に遭いピアノが弾けなくなってしまった。それ以降、将来になんの希望も見いだせずにいたが、ある日病院で鷺沢潤哉という男と出会う。恋人と死別した過去を持つ鷺沢に律は少しずつ惹かれ始めていたが、鷺沢はかつての恋人をいまだ忘れられずにいた……。(カバーあらすじ)

【ひとこと】
ただの友だちや知り合いだったのが、悩みを相談したり(聞いてあげたり)、お互いに慰めあったり、同情しあったりするうちに、キスしちゃったり寝ちゃったりすることはよくあることだと思うし、別に悪いことだとも思いません。むしろ、そんなふうに始まる恋は多いのではないかしら。
鷺沢と律も、それ。

律が「つきあって」って言って、鷺澤がOKしたときは、まだ恋じゃなかった。
鷺沢にとって、元恋人に似ている律はじゅうぶん慰めになったし、律は律で、鷺沢なら自分のそばにいてくれるという確信があったから告白した。
お互い、本当に好きかどうかは問題ではなかったんですよね、きっと。

でも、そんなふうに始まった関係だからこそ、普通の恋人同士よりも思いやりをもたないといけないんだと思いました。律が、遺品のペーパーウェイトをさわったときの鷺沢のキツい態度とセリフは、あまりにもデリカシーなさすぎでした。律はこの先、何かあるたびに、このときのことを思い出すんじゃないでしょうか。すごく悲しかったと思います。
忘れられない過去があるという点でふたりは同じだけど、律が抱える問題がピアノという「物」なのに対して、鷺沢の「恋人の死」というのはあまりにもウェイトが大きいです。律は本当に、過去もひっくるめた鷺沢のすべてを愛していけるのかしら。ちょっと疑問です。

脇で登場する小説家。彼が、ゲイである必要はないような気もするけど、鷺沢よりもこの人のほうが律には合ってるような気がします。いきなりさらわれて襲われたのに、また自分から電話をかけて会いに行ってしまうくらいには魅力のある人らしいので。
この人に拾われるエンディングもアリでしょう。

「会いにいく」という短編も入っています。
タイトルを見て、律が鷺沢に会いにいくのだと思いきや、鷺沢視点なんですね。鷺沢は、それこそウジウジ言わせたらキリがないキャラなので、読んでいて居心地悪かったです。どうせなら、かわいらしい律のひとりごとを読んだほうがよかったわ。
(★★★☆☆)

なつかしい人たちも出てきました。


教えてよ
桜木 知沙子
新書館 (2004.12)



【こんな話】
利仁は歯学部の5年生。不真面目がたたり、口腔外科学の再試験に学年でただひとり落ちてしまった。留年をかけた再々試を前に途方にくれる利仁だったが、「担当講師の永野と一晩過ごせば単位がもらえる」という噂を耳にして…。
(「教えてよ」「言わせてよ」「みつめてよ」の3編を収録)

【ひとこと】
感情を表に出さない永野を前に、心臓をバクバクさせたり、うっとり見とれちゃったり、衝動を抑えきれなくなる利仁がかわいいです。うっかり告白しそうになって、まだ言っちゃダメだと思い直したり、先生はきれいですと言いそうになって慌てて口をつぐんだり…、今までさんざん女の子と遊んできた利仁が、すっかり永野にメロメロで、読んでいてニヤニヤ笑いが止まりませんでした。

だけど、そんなかわいい利仁に、永野はなんてそっけない。
よかれと思ってやってるのはわかるけど、利仁はまだまだ子どもだから、もっといい子いい子してあげてよ?って感じでした。
永野の気持ちと、いま深い関係になってはいけない理由を、ちゃんと説明してあげれば、利仁も早く安心できたのに。でも、そうなったら最後、利仁のことだから有頂天になって勉強も忘れて突っ走ってしまったんじゃないか、とも思うし。
よくよく考えれば、永野のやり方は利口だったんですね、きっと。

それにしても、こんな状況の中で、利仁はよく勉強を続けられたと思います。偉い、のひと言です。私だったら、即留年、いや退学させられてるところです。私は結構、公私混同な人間なので、とてもじゃないけどこんな生殺しみたいな状態は…。
もしかしたら、遊び人を返上して真人間になった利仁にとっては、ストイックな状況も気持ちよかったりしたんでしょうか。

最後のほうで永野が、「寝ない理由」について話すところがあります。ここが好き。この言葉で利仁は、自分と同じくらい(それ以上?)永野も自分のことを想ってくれてるんだって安心できたんじゃないかな。
(★★★★☆)

かなりまどろっこしかったです。

謹賀新年。
いつも読んでくださってるかたにも、初めてのかたにも、今年がよい一年でありますように。
去年の買いもの納めは「小説ディアプラス」でした。初買いは何になるかな?


雨がやんだら
小川 いら
フロンティアワークス (2004.12)


【こんな話】
ドイツ語の翻訳を手がける雨宮郁は、月に一度、恋人に会いに出かける。一年半前に仕事で知り合った高橋とは不倫の関係だ。ある日、高橋に別れ話をされている現場を、知り合いの薬剤師・雑賀徹志に見られてしまう。
(カバー裏より抜粋)

【ひとこと】
気が弱くて、後ろ向きで、思ったことの半分も言えない…、郁のような受けは好きです。そんな郁をひっぱり回す雑賀も強引すぎなくてホッとしたし、展開のわりに修羅場もなく、穏やかに流れるストーリーがとってもよかった。

郁は、自分がゲイなことをマイナスに思っていて、自分をダメでつまらない人間だと思ってる。そんな郁に、不倫なんてとてもじゃないけど無理です。
自分の気持ちを初めて受け止めてくれたのが高橋だ、って郁は思ってるみたいだけど、本当にそうなのかな。だって、高橋には妻も娘もいるんでしょう。それは彼が、男性だけでなく女性もOKということ。郁は、女性はまったくダメなわけだから、この時点で高橋は、郁の抱える悩みの半分しか共有してあげられないってことですよね。

一方、雑賀は強い。本当に芯から強いのかどうかはこの本では明らかにならなかったけど、少なくとも上っ面を取りつくろうことはできる人間です。郁にストレートに気持ちをぶつけたり、街中で手を繋ぎもする。でも、雑賀は昔っから、人前で男性同士手を繋いだりできる人だったのかしら? もしかして郁を元気づけるために、やってみたのかな、なんて少し思いました。雑賀だって、最初っから前向きなゲイではなかったんだろうから。

高橋との別れのシーン。
水族館、と聞いて思わず、奥さんと娘さんを連れてきちゃったりして!って思ったんです。そしたら、ほんとに娘を連れてきちゃった(泣) ショックです。汚いと思った。でも、娘を連れてでも来なければ、彼は郁と別れる自信がなかったんですね、きっと。郁と同じくらい、高橋も別れたくないと思っていたのが救いでした。そして、それが郁にも伝わって本当によかった。
(★★★☆☆)


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