ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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昨日に続いて、 「今年発行されたBL本の中で良かったもの」 です。今日は、小説。


月を抱いた
夜光 花
竹書房 (2004.6)



【こんな話】
恋人だった了のもとから逃げ出して四年。直樹は住む所を転々とし、まるで逃亡者のような生活を送っていた。自分が幼い頃に犯してしまった罪を了にだけは知られたくない。ばれて軽蔑され、嫌われるのが怖い。そんな直樹の思いとは裏腹に残酷な運命は二人を再び引き合わせてしまう。四年前と少しも変わっていない了の甘く激しい求愛と、決して知られてはいけない罪の意識に、直樹は次第に追いつめられてゆく……。
(カバー裏より)

実は、この本については一度感想を書きました。よろしかったら、カテゴリからどうぞ。

【ひとこと】
とにかくせつなくて、読みながら「どうしよう、どうしよう」という感じでした。直樹のどうしたらいいかわからない気持ちが、もう痛いんですよ。そして、了のせっぱ詰まった気持ちもわかりすぎるほどで…(前に書いたのと同じ内容になってしまいそうなので、このくらいにしておきます)。

夜光花さんは、新人の作家さんだそうです。
きれいなお話を書ける人だと思います。文章が丁寧だし、エッチシーンも上手だし。
2冊目に、とっても期待しています。
(おすすめ度 ★★★★★)

麻生海さんのイラストも素敵です。2ページだけど、おまけマンガもついてます。

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「今年発行されたBL本の中で良かったもの」です。
ストーリーがどうの、というよりも、雰囲気が好きな一冊。5つの話が入っています。
装丁もピンクでかわいい。


レシピ

ビブロス (2004.8)



★レシピ
モデルを辞めてカフェ「RECIPE」をオープンしたカイヤ、そして、彼の世話になっている中学生、洸(こう)の話。洸がかわいくてたまらないカイヤが、じりじりと、自分の手を汚さずに(?)洸の気持ちを自分に向けさせていくのです。
カイヤは洸のこと、かなり苛めるんだけど(←精神的にね) "それも愛なの?"なんてヤボなことは言いっこなし。かなり危ないですが、愛はあります。
洸がやっと「好き」っていったのに、なおも冷たい態度をとるカイヤは、ちょっとゾクっとします、カッコいいです。でも、これから洸、いったいどんなことやらされちゃうの!? …と期待が高まったところで終わってます(笑) そこが、この話をより一層不気味にしてるような気も。

★死んでもいい
「レシピ」の洸の叔父 侑仁×潤一の話。叔父といってもまだ大学生で、潤一より6つ年下。その侑仁が、精力を搾り取られて、病院に運ばれちゃったりします。ここがメインでしょう、やっぱり。
エロいわりには、ストーリーは純でかわいらしいです。

★ぼくのすきなおじさん
「死んでも?」で侑仁が運び込まれた病院の先生 春原蓮爾×少年。少年の素性は、読んでのお楽しみ。春原医院は蓮爾の兄が経営してるんですが、外見だけだととても堅気とは思えません。院長室も、すっごいヘンだし、事務長さんもヘン。そして、院長と蓮爾のあいだにもうひとり兄弟がいて、この人も…(苦笑)
最後の少年のセリフがかわいくて好きです。

★ぼくの大すきなおじさん
上の続き。このふたり、20歳以上違うんです。20歳と40歳ならまだしも、13歳と30代っていう設定そのものは、あんまり好きじゃありません。でも、この話にはそれほど嫌悪感ないのはなぜだろう。春原3兄弟がギャグ入ってるからかな。

★デコレーション
レシピのおまけストーリー。ひゃー、怖っ。ピアスの話です。こうやってするんですね(笑)

読むというより、眺めてるだけでいい本。
(★★★★★)



家族が冬休みに入ってしまって、なかなか更新できなくて悲しいです。内容が内容だけに、堂々と作業できないのがツラいところです。
今日は、ガッツガツの年下攻め。


じれったい衝動
うえだ 真由 / うえだ 真由著
竹書房 (2004.12)



【こんな話】
営業一課の賀出友啓(かいでともひろ)のところには、本社勤務の宮前から、毎日のように電話がかかってきていた。文句ばかり並べる宮前に腹を立てた友啓は、営業もしたことがないような奴にあれこれ言われたくない!とつっぱねる。しかしある日、その宮前本人が友啓の課に異動してきたのだ。女子社員だけでなく、男性社員からも熱い視線を浴びる宮前に、イライラを隠せない友啓だったが、接待の帰り道、男性と肩寄せ合って歩く宮前を見かけ…。

【ひとこと】
仕事もできて、カッコもいい。男だったら、そんな宮前に嫉妬するのが普通だと思うんだけど、友啓の場合は「独占欲」が芽生えちゃったんですね。同僚や後輩、上司までもが、宮前をチヤホヤするもんだから、悔しくてたまらない。思わず「宮前とは、俺のほうが付き合い長いんだぞー」って叫んじゃう… みたいな、ね。
いくら電話で毎日話してたっていっても、怒られてただけのくせにね。

ま、それはおいといて。
実は私、宮前の本心が、最後の最後までよくわかりませんでした。文面どおりに受け取っていいのか、それとも裏があるのか。そもそも、どうして宮前はあんなに友啓を焦らしたんだろう。友啓の暴走寸前の気持ちをわかってるくせに、なんて意地悪い。

最初の最初に、「賀出、俺のこと、好きなんだろ」って言ったのからして、なんか気に入らなかったんです。いちばん言われたくないセリフじゃないですか? 特に、男同士だったらぜったいそう思います。そのあと、カラダの関係をもって、恋人同士 "のように" なってからだって、自分からはゼッタイ「好き」って言わないし。

ま、最後は幸せになるんですけど、ホントにホント?信じていいの?って感じで、素直に信じられなかったりします。宮前は、クールなだけの受けではないし、もちろん可愛いだけの受けとも違うし、な?んかつかみどころのない男でした。

だけど、私、友啓もイヤなんですよね、なんかガツガツしてて。焦らされてイライラしてるのはわかるけど、それならあなたもちょっと焦らしてみたらいいのに、って思いました。ホントに、いくら冷たくされても、強気で押していくんですよねぇ、この人。犬よね、M犬。

(★★★☆☆)
読んでるほうは、そんなにじれったく感じません。


是 ─ZE─ 1
是 ─ZE─ 1

志水ゆき
新書館 (2005.1)


身寄りをなくした雷蔵の新しい住まい、それは、紙様とそれを使う言霊師たちが暮らす屋敷だった。人形師の和記(わき)を筆頭に、3人の「紙」と2人の言霊師。言霊師のいない紺を好きになってしまった雷蔵は、彼の言霊師になることを決意する。

…というのが、主人公である雷蔵くんを軸としたストーリーで、サブストーリーとして大物っぽい言霊師&紙様のカップルが登場しています。まだ1巻なので、どんな雰囲気のマンガになるのかもよくわかりません。シリアスかギャグか、シュールな雰囲気でいくのか。
なんだか書くことがないので、キャラ語りなどしてみます。(ディアプラスに連載している分は読んでいないので、ズレたことを書いていたらごめんなさい)

まず、人形師の和記さん。
やはり、この屋敷では権威があります。まだよくわからない人ではあるけれど、飄々としたふうに見えて、実はなんだか淋しそうな人という印象。

そして、近衛×琴葉(近衛が神様)。
私は、近衛がいちばん好きです。カッコつけずにまっすぐに生きてるような気がします。彼は、呪い屋さん(一応仕事)もしていて、その仕事ぶりをぜひ読んでみたいです。琴葉は…、この1巻では「甘いものが好き」ということしかわかりませんでした(笑) このふたりは、お互いをとっても大事にしあっている感じで、これからが楽しみ。

次に、櫻花&紅緒(紅緒が紙様)。
「&」じゃなくて「×」でいいの? ふたりとも女性ですぅ。このカップルの存在意義について考えたかたも多いのではないでしょうか(笑)

さて、これからどうなるのかな?の、雷蔵と紺(紺が紙様)。
自暴自棄になっている紺と、優しくて世話好きな雷蔵、すごくいいコンビだと思います。素直じゃなかったり、なかなか心を開いてくれない子には、あきらめずにどんどん当たって砕けろ!方式がいちばん効くじゃないですか。紺は、普通の人間にはちょっと荷が重いだろうけど、ちょっと天然入ってる雷蔵なら、しつこいくらい圧しまくって、紺の心を溶かしてあげられるんじゃないかな。雷蔵、すごくいいコなんですよ。子どもはこんなふうに育てたいね(なんの話だ・笑)

最後に、サブで登場した、彰伊×阿沙利(阿沙利が神様)。
阿沙利は、もともと彰伊のおじいさんの紙様だったらしいです。彰伊が、言霊師として悩んで行き詰まっていたところを、阿沙利が「傍にいてやる」と声をかけてあげたのがふたりの出逢い。今後、もっと掘り下げて語られるんだと思いますが、興味津々です。彰伊って、メガネかけてるのも手伝って、もっと冷血でエロい男なのかと思っていました。だけど、もしかしたらかなり気弱?寂しがり屋? ちょっと可愛い感じだったんですけど。
(★★★+0.5)

かわいさ余って憎さ百倍、ですか。


Black or white
遠野 春日
ビブロス (2004.11)



【こんな話】
社長秘書の千晶は、尊敬する寡黙で紳士的な若社長・俊一に突然孤島の別荘に攫われ、閉じこめられてしまう。礼儀正しく真面目にふるまう普段の彼とはまるで人が変わってしまったかのように、独占欲をあらわにする俊一に戸惑う千晶。俊一を駆り立てる激しい怒りの理由、そしてその裏に隠された心情と驚くべき事実とは……?(カバー裏より抜粋)

【ひとこと】
テーマは「10年来の忍ぶ愛」。でも、そんな美しいテーマとは裏腹に、それを遂げるための手段があまりにも…。なんとしても納得がいきませんでした。

もうこれ以上千晶が騙されているところを見ていられなくて、俊一が行動を起こしたのはわかります。でも、本当にこんなやり方しかなかったんでしょうか。拉致するのに殴るのは、まあいいとして、道具とか使うのは? まして、俊一本人でなく他人にやらせるのって…。

千晶を精神的に追いつめて、俊一に縋りつかざるを得ない状況を作りたかったとも考えられるけど、千晶は素直な人間だから、こんなふうに上から押しつける方法でなくてもいいのに、と読んでいて暗くなりました。

でも、千晶の過去に、俊一と長峰がどんなふうに係わっていたかを知ったときは、ちょっとゾクゾクっときました。うすうす気づいていたとはいえ、そこまでとは思っていなかったので、ああ、ずっと千晶のこと、見守っていてくれたんだなぁと、感動もしました。でもでも!じゃあなんで、秘書として雇ったときに最初から優しくしてあげなかったのか、山崎に騙され始めたときにすぐ警告してあげなかったのか、やっぱり不満が残るんです。とくに後者。山崎のやってたことって犯罪でしょう? どうしてすぐやめさせなかったんだろう、うーんわからない。

最後に、忘れてはならない男、長峰について。
俊一が千晶を気にかけているのを傍で見ているうちに、情が移ってしまったに違いありません。ちょっと意味深な行動もしてますしね、肩を抱き寄せたり(×2回・笑)、おでこにキスしたり。これはちょっとびっくりしました。本当は、優しい人なんでしょうね。別荘で千晶にあんなひどいことをしたのは、もしかしたら、千晶を好きになってしまいそうで怖かったからじゃないかしら。だとしたら、少しかわいそうかも。
(★★★★☆)

書き下ろしの続編が、甘?くて好きです。誰になんと言われようと、私はこういうのが好きなんです。これを読まなかったら、★ひとつだったかも(笑)
俊一が優しくて、ホッとします。だけど、こんなに優しくできるなら、なんでもっと早く…と思ってしまうんですよねぇ。

私のためにあるようなお話でした。
まず探偵ものであること。私、探偵とか、警察とか、その類に弱いんです。
そして、不遇な少年(私が言うところの 捨て子系)に、ちょっとトシの離れた男が攻めと来た。
この設定で、面白くないわけがないのでした。


愛とバクダン
中原 一也著
二見書房 (2004.11)
ISBN : 4576041932
価格 : \600




【こんな話】
探偵の竜崎は、親友の深見に頼まれ、少年院上がりの弟 深見謙二朗を雇うことになる。
美しく、色気さえ放つ謙二朗に、竜崎はひと目で心を奪われてしまう。しかし、深見から "弟には絶対手を出すな"と言われた手前、なにもできない。それ以前に、謙二朗自身が複雑な過去ゆえに、男も女もダメというのだからなおさらだ。
はじめは、他人を寄せつけない雰囲気を放っていた謙二朗も、竜崎の下で働くにつれ、しだいに心を開くようになっていったのだが…。

【ひとこと】
無精髭は生えてるし、服装もよれよれな竜崎だけど、実は元四課のスゴ腕刑事さん。だから、いくらひねくれてる謙二朗の扱いだって、本来はぜんぜん平気なはずなのに、すっかり骨抜きにされて、調子狂わされちゃってる。
仕事はバリバリでも、謙二朗のちょっとした表情にくらくらしたり、後ろ姿に妄想を膨らませたりしている様子が、ちょっと情けなくてかわいいんです。謙二朗が伏し目がちにしてるだけで "襲ってください" と言ってるように見えるなんて、病気っぽくて笑えます。

謙二朗の抱える過去は、おぞましくて、可哀想のひと言では済まされないようなもの。
そのうえ、少年院で一緒だった八木沼に更正のジャマをされたり、もっとひどいことをされたり…。実際にこういうことって、あるんでしょうね。

(以降ネタバレ)
でも、竜崎が頼れる男なんですよ! そしてもっと嬉しいのは、謙二朗のほうも竜崎を頼ってる。八木沼につかまって乱暴されて竜崎が助けに駆けつけるところ、八木沼をこてんぱにやっつけてくれるところなんて、「愛」を感じます、惚れます。

だけど、「愛」ゆえに少し行き過ぎなところも。ずいぶんと酷いやり方で八木沼をやっつけるんですが、これ以上エスカレートするとミスポリの成湫みたくなっちゃいそうで怖いです。だって、そのあと初めて関係をもつシーンを含めて、展開がちょっと似てたし。

2つめのお話では、竜崎が危険な目に遭います。ケガをした竜崎を心配する謙二朗と、看病されて嬉しい竜崎(笑)
このあたり、私の好きなパターンなのです。

そして、3つめのお話。これだけ、書き下ろしだそうです。
竜崎の隠し子を名乗る少年が現れて、謙二朗おおいに翻弄されるの巻。これ以上こじれると、読むほうもめんどくさくなる…その一歩手前で、素敵な展開です。

(念押ししますけどネタバレです)
結局、隠し子ではないんだけど、竜崎がじぶんで誤解を解くんじゃなくて、ふたりにとっていちばん効果的な方法で問題が解決するんです。平和主義の私には、この結末はとっても嬉しかった。

中原先生の本は、初めて読みましたが、このかたエッチシーンの書き方が上手なのでは、と思います。若干サドっ気ありの竜崎が、いい感じでした。
(★★★★+0.5)

あとがきを読んだら、この竜崎と謙二朗、『KYOUHAN?共犯?』という作品で、脇キャラとして活躍した二人なんだそうです。今回のお話で、さりげなく出てきた國武だけど、実はあんたもゲイだったとは。それも、なんだかあらすじを見た限りでは、節操なしというか手が早いというか、ずいぶんな感じ…。

でも、「ヤリ手課長とデキる部下のめくるめく社内恋愛!」という煽りを見たら、ちょっと読んでみたくなりました。
ちなみに、竜崎と謙二朗のお話はシリーズになるとかで楽しみです。

★追記★
その後、『KYOUHAN?共犯?』読みました。
よろしければ、右のカテゴリからどうぞ。

登場人物の少ない、ちまちまっとしたお話です(笑) 当事者たちは大まじめでも、端から見てるとなんだか滑稽で…。


書きかけの私小説
火崎 勇
徳間書店 (2004.12)


【こんな話】
新人編集者の中澤貴(たかし)は、兄(至・たもつ)の幼なじみで作家の木辺克哉の担当を命じられた。木辺は、ここ2年ほど新作を発表していなかったが、貴はぜひ彼の小説が読みたかった。というのも、貴にとって木辺は、子どもの頃からずっと想い続けてきた憧れの人であったのだ。「幼なじみの弟」としてではなく、ひとりの編集者として、木辺と対等に向かい合える日がやっと訪れたのだ。

【ひとこと】
本のタイトルと設定を見れば、もうどんな結末かわかってしまうと思うので、もうネタバレしちゃいます。
主人公の貴は、木辺に想いを寄せつつ、内心、もしかしたら兄と木辺は恋人同士なのでは?と疑ってるんです。ここのところを、ちゃんと兄に確認しておけば、こんな面倒なことにはならなかったのにね。

一方、木辺のほうは、至(上記 兄)に包み隠さず相談済み。でも至だって、"お前の弟が好きだ" と告白されて、さらに弟への想いを綴った小説なんてのを見せられても、"じゃあよろしく頼む" というわけにもいきません。そこで、"合意の上でなければ許さない" と、男同士の恋にクギをさしておいたわけです。

だけど!そうやってクギをさしたんなら、もう放っておけばいいのに、過保護な至は、先回りして、貴と木辺を接触させないようにしたりするんですよね、もう大人げない!
社会人になった弟を、ここまで可愛がって構いまくる兄ってどうなんでしょう。おまけに、言ってることは結構トンチンカンなもんで、しまいにはイライラしてきました。

ちなみに、貴が木辺の家に初めて泊まったあくる朝、なんと至は寝床まで迎えに行っちゃうんですよ。で、まだ布団の中にいるふたりに、ブツブツ文句言ってる。これって、ひょっとしたら、過保護というより、自分がのけ者になるみたいでイヤだったのかもしれませんね。

書き下ろしで「二人の私小説」という、その後のお話も入っています。そちらは、当て馬のようで実は違う(笑)北岡という小説家が出てきます。この男が、もう人騒がせの困ったちゃんなんです。だけど、いちばんの困ったちゃんは至ですけどね、多分。

話は、貴視点。貴の心の声とともに進行します。怒ったり困ったりしてる貴が、面白いんです。
(★★★★☆)

1巻から3年の時を経て、大ちゃんも西岡さんもますますカッコよくなりました。


loveholic 恋愛中毒 2
川唯東子
ビブロス (2004.12)
ISBN : 4835216865
価格 : \590




設定は、広告代理店エリート社員 松川大介×若手カメラマン 西岡健太郎。連載開始時、ともに27歳です。
一見そりが合わないように見えるふたりが、実は、よき理解者であることに気づき、一応恋人同士になったのが1巻。ルックスも仕事ぶりも言うことなしの松川が、会社の同僚から仕事を妨害されたところを、西岡が捨て身で助けて。それで立場が危うくなった西岡を、今度は松川がうまいこと取りなして。そんなところが見どころでした。

さて、2巻は。
ヤリ手のくせに、仕事とプライベートを混同しがちな松川が子どもっぽくて可愛いです。
西岡が他の男と仲良さげに仕事しているのが気に入らなくて、ちょっと邪魔するだけのつもりが、少々やりすぎて(かな?)西岡のプライドを傷つけてしまうんですが、この話のおさまりかたがとても好きです。イチャイチャもするけど、仕事について熱く語り合ったりもするいい関係なんです。しかし、松川には海外勤務の話が持ち上がり、また、西岡は、父親が倒れたのを機に故郷で仕事をすることを考え始めて…。さてふたりはどうなるのでしょう。

(以下ネタバレ)
仕事は好きだし大切だけど、遠距離恋愛は自信なし。となれば、近い位置にある職業に就いてるふたりにとって、解決策はひとつしかない。…んだけど、最後の最後の提案を、松川は自分では切り出さずに、西岡に言わせようとするんですよね。この恋愛は、今まで松川が主導権を握ってきたようなものだから、彼なりの意地だったのかな。ここんとこ、ちょっと迫力ある松川さんが素敵です。
でも、西岡もヘンなところ慎重な人間だから、気安く松川の人生を左右するようなことは言えないし。このラストが、ああ美しきかなボーイズラブ(笑)という感じでしみじみします、感動。

大ちゃん(松川)は、仕事もできるしカッコいいし、素敵だなと思うけど、実際にこういう男はちょっと勘弁。30?40万もするアットリーニのスーツに、オーダーメイドのジョンロブの靴。それに、マスコミといえども、職場であんなデザイン過剰な時計…(2巻表紙では普通の時計してるけど)。こんな男、同僚から嫌がらせされてもしかたないかも。
一方、西岡は30になっても40になっても子どもの心を忘れない、永遠の少年タイプ。カメラマンに、そういう感性って必要なんでしょうね。でも、ある日突然、「オレ、アフリカにゾウの親子撮りに行こ思うんやけど」とか言い出して、松川を困らせそう。

ふたりで独立、どうなることやら。大阪のおばちゃんたちにいじられて、大ちゃんがいいように崩れてくれるといいんですけどね。
(★★★★☆)

SMです、奥さん!


キャンディ
ひちわ ゆか
ビブロス (2003.10)
ISBN : 483521496X
価格 : \893




【こんな話】
ごく普通の会社員・嘉島匠は、誰にも知られたくない恥ずかしい秘密を、仕事相手の上杉に知られてしまう。その時から、上杉の甘い拘束が始まった。いけないと思いながら、いつか彼を好きになり…。 (bk1内容説明より)

【ひとこと】
表紙の「受けの困った顔がかわいい♪」(イラスト 松本テマリ)なんて思ってよく見たら、手首縛られてるんですね、ふふ。
この世界は詳しくないので、勉強になりました。何がいちばんって、ご主人様から離れているときも、調教され続けているということ。いろんな方法があるもんだなぁ?と。

過激な主従関係の合間に、上杉がのぞかせる優しさがたまりませんでした。
お風呂上がり、"痣や傷をつけたくない" とか "あんまり激しいのは好きじゃない" とか、いろいろと打ち明けるシーンが好きです。
"(もっと激しいのを)してほしいなら考えてみるけど…"ってところ、なんだか可愛いですよね。

そして、なんといっても匠がせつないです。
上杉を好きになってしまったことにとまどい、それが本当の気持ちなのか、SMクラブに確かめに行くんですが、それが上杉にバレてしまうんです。
上杉に激怒されたときの匠の気持ちがね、もう悲しいです、痛いです。ちゃんと説明しなよ?!って叫びそうになりました。
でも、この続きを読むと、このとき上杉はもっと悲しかったんだなぁってわかるんですけどね。

路頭に迷う匠を、上杉が迎えにくるシーンは、テマリさんのイラストも手伝って、胸にしみます。でも、ふたりの想いが通い合っても、結局やることは同じなんだもんなぁ。
なんだかなぁ。奥が深いんだか、考えなしなんだか。

同時収録の「Sweet pain」は、その後のふたり。
相手を気遣いすぎる匠と、ガラにもなく不安症の上杉のお話です。
"よくそんなそっけない態度が取れるよ" で始まる、上杉のぼやき(?)がまたまた可愛いです。強気な攻めがぶつくさ愚痴るのって、好きなのかもしれません、私。

もうひとつ、「MILK」という、上杉のお兄さん(先生)×生徒の話も入ってます。
教え子のあつむクンは、志願奴隷なんですけど、痛い以上に恥ずかしいことさせられてるような気がします。
これはねぇ?、なんか読んでてこっちが恥ずかしかったです、面白かったけど…。

この世界に嫌悪感がある人には、おすすめできません。でも、私みたいに「なんか怖いな」程度の気持ちだったら、ちょこっと立ち読みなさってみては。
(★★★★☆)

あ、これを書かなければ。
SMクラブのバイト君が気になってしかたないんですけど。
続編、というかバイト君の話なんてないですよね?

こちらが息苦しくなるような、辛そうな恋愛でした。


白皙
五百香ノエル
徳間書店 (2004.12)
ISBN : 4199003312
価格 : \540




【こんな話】
新人棋士の嘉山葉司(ようじ・19歳?)の眼中にあるのは、天才若手棋士 藤沢朱莉(しゅり・24歳?)ただひとりだった。朱莉の将棋に惚れ、彼と闘うことだけを考えて将棋の世界に入った葉司を、朱莉もまた宿敵と認めてくれていた。しかしある晩、朱莉は葉司をホテルに連れて行き、「君は私だけのものだ」と押し倒し…。

【ひとこと】
「ヒカルの碁」で、佐為が塔谷名人の碁を「遙かなる高みから打つ一手」と表現していました。葉司も朱莉の打つ手を見て、自分と共通するものを見つけています。こういった勝負の世界では、当事者にしかわからない"気"のようなものが放出されているのでしょうか。
将棋から離れているときの葉司は、礼儀知らずの今どきの若者。先輩の朱莉に対しても、不遜きわまりなし。でも、そんな葉司が、朱莉を前にすると、まったく様子が変わってしまいます。態度から言葉から全部。朱莉も、葉司の前では、普段の冷徹な雰囲気とはうって変わって、熱い男に変貌するんです。
最初のエッチシーン、私は読んでいて怖くて怖くて。やりかたはたどたどしいのに、とにかく喋り倒して、まるで言葉で犯しているかのような朱莉の迫力が、とにかく不気味でした。朱莉の手に溺れ "喜びに叫びそうになる" 葉司もまるで別人のようで。

葉司が、プロに入って初めて負けて、朱莉に見放されてしまう…と自信をなくして故郷に帰るところがあります。誰がどう説得しても戻ろうとしない葉司を、東京に呼び戻したのは、結局は朱莉からの手紙でした。葉司がこの手紙を読むシーンが好きです。イラストも素敵です。

結末も、ふたりにとってはハッピーエンドなんでしょうが、手放しで祝ってあげられない危険な香りがします。それは決して、男同士だからではなくて、まるで薄い氷の上を歩いて行くかのようなふたりがとても苦しそうだからだと思います。
葉司の「将棋はふたりいれば指せる」という言葉が、なんだかすごく不吉に感じられました。

某ミラージュの高耶さんと直江に、ちょっと重なるところがありました。ふたりの想いが通じるまではもちろん、通じあってからもまだ苦しみが続く、そんな愛のかたちがどこか似ています。薔薇の花びらを浮かべたお風呂で心中とか、小指と小指を糸で繋いで自害とか、そんな雰囲気がただよってるんです。
(あまりにも怖い ★★★☆☆)


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ほもほも日記

『可愛気。』 の昴成さんが出てる。


生意気。

鹿乃しうこ
マガジン・マガジン (2002.1)
ISBN : 4896440110
価格 : \650




【あらすじ&ひとこと】
匡史(まさし・高校生 17?18歳)×一八(かずや・鳶職人 23歳)
匡史は眼鏡キャラです。

★生意気。
匡史の家の工事を手がけたのがきっかけで、一八は匡史の妹 奈津子のことを好きになってしまう。しかし、匡史の話では、奈津子は理想が高く、中卒の一八では相手にしてもらうのも無理!? そこで、匡史が家庭教師を引き受け、一八は定時制高校を受験することを決意するが…。

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それぞれ、匡史には「家庭教師」、一八には「奈津子のために受験」という大義名分があるものの、蓋を開けてみれば単なる「(妹に)嫉妬」と「意地」みたいな…。一応、勉強もしてるものの、匡史が欲望ギラギラでそれどころじゃない! それこそ何かに取り憑かれてるような感じで、顔つきから違っちゃってるんです(笑) でも、やっぱり17歳なんだよねぇ、可愛いったら。
最後、草っぱらでヤってしまうのはどうでしょう、人が来ますよ。


★生意気。2
近頃、成績が落ち気味の匡史。それを放っておけないクラスメイトの斉藤(かなりヘン・笑)は、原因が一八にあると踏み、「匡史につきまとうな」と一八の家に怒鳴り込むが…。

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本筋は、年長者として17歳の若者の前途を狂わせてはいけないと悩む一八と、その気遣いを知らずに突っ走ってしまう匡史との心のすれ違い…とでもいいましょうか。エッチは濃いめで、ギャグとシリアス半々。私は、ギャグパートで結構笑いました。何がおかしいって、斉藤くん。優等生にこういう勘違いタイプ、結構いるんじゃないかしら。


★生意気。3
欲望の固まり(笑)の匡史にタジタジの一八。ほんのはずみで、「受験まではもう"しない"」と宣言してしまう。それを聞いた匡史は、「受験なんてやめろ」と詰め寄るが…。

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匡史が一八と会いたいのは、別にヤリたいからだけじゃなくて、ほんとにふたりで一緒にいたいから。一八もそんなのは重々承知だし、自分だって同じ気持ち…なんだけど、やっぱり一度受験する!と決めたからにはなんとしてでもやり通さなくては、ね。
ここで、当て馬(?)キャラとして、『可愛気。』の主人公 昴成さん登場。かわいいエロおやじ風。ケンジと出会ったとき、昴成って「男は初めて」って言ってたけど、こういう未遂みたいなことは結構やってたんじゃん。

★生意気。4

ヤキモチ合戦。そして…。
↑あらすじ、これだけ?(笑)
この話がいちばん好きです。口ベタな一八が、精一杯の告白をします。いいお話です?。最後の、ほっぺたつねるところが好き。
(好き度 ★★★★★)

3作目。


この接吻(ぬくもり)さえもあなたのために
高崎 ともや
リーフ出版 (2004.12)
ISBN : 4434050486
価格 : \893




【こんな話】(カバー裏より)
凄絶な美貌を持つ"花街"の用心棒・伊織と恋に堕ち、淫らな身体に仕上げれらた新太郎。伊織の家での暮らしを再開した二人は、それぞれの事情で離れていた時間を埋めるように、互いのぬくもりを分かち合う日々を過ごしていた。
そんなある日、新太郎は街中で男に絡まれるが、どうやらそれは人違いで…。ヤクザ者たちに追われる、自分そっくりな青年・大吾と知り合った新太郎は、なんとか彼を助けたいと思い、伊織やその友・辰之助とともに、ある作戦を実行するのだが?!?

【ひとこと】
伊織の愛情が、だんだんねっとりしてきたような気がします。新太郎は学生で、家の外にも自分の世界をちゃんともってるわけだけど、伊織は仕事柄(翻訳)家の中に籠もりがちでしょ。だから、この粘着性はこれからも増すばかりなのではないかしら。
そんな伊織の独占欲を辰之助から指摘されたとき、新太郎が「(伊織に)厳しくしたほうがいいのかな」と言ったのは意外でした。新太郎でもそんなこと思うのね、って。そんな意味で、この3冊目の伊織、私は少し気味が悪かったです。

大吾のために、みんなで一芝居打つところ。
ここが今回のメインなんですが、博打の話なんですよねぇ。うーん、もっと快活な解決策はなかったでしょうか。というのは、せっかく裏家業から足を洗った伊織に、中途半端に後ろ暗い経験をさせたくなかったから。伊織も同じこと言ってますよね。
でも、新太郎が賽(サイ)を振る伊織に惚れ直したって言うならそれでもいいです…

博打の場面に、結構ページ数を割いているので、エッチシーンは前作より減った…かな? そのぶん濃厚になっているような気もしますが、やっぱり1作目『この恋はあなたのために』のエッチシーンが最強だと思います。"萌え"が、そして"華"があります。

ところで、私はやっぱり辰之助が好きです。今回も、賭博でちょっと間抜けな真似をしてみせたりして、どこまでもイキな旦那さんです。辰之助メインの話が読んでみたくなりました。伊織たちのところに顔を出していないときの彼は、いったいどこをほっつき歩っているのやら…、女難に苛まれる辰之介なんて想像するだけで可愛いなぁ。

新キャラ銀次の登場で、次作も楽しみ。伊織と新太郎のイチャイチャ話だけでは、さすがにマンネリ化してしまうでしょうから。
(★★★☆☆)

2作目。


この愛さえもあなたのために
高崎 ともや
リーフ出版 (2001.10)
ISBN : 4434010913
価格 : \893




【こんな話】(カバー裏抜粋)
伊織との2人暮らしは、新太郎にとって大切なものだった。しかし、忙しさのあまり顔を合わせない日が続いたことは、彼に熱を蓄積させた。そのうえ追い打ちをかけるように、居候として伊織の悪友・辰之助を迎え入れることになってしまい…。

【ひとこと】
やっぱりシリーズものは、順番に読まないとダメですね。この2冊目から読んだ私は、伊織よりも先に辰之助に出会ってしまったせいで、後々、どうしても辰之助への同情が捨てきれなくて困りました。

相変わらず、エッチシーンも多いです。新太郎がより積極的になったぶん、前作よりも濃く感じました。個人的には、初々しい新さんのほうが好みだったんですけど。

辰之助はいい奴です。新太郎の相談に乗ってあげるところなんて、なんとも"兄さん"(あにさん)て感じで素敵じゃないですか。留学先に着いてってやろうか、というのだって、3割くらいは本心だったはず。
新太郎のいない2年の間、辰之助が伊織を訪ねたりすることもあったのかしら。ちょこっとそんなシーンも見たかったかな。

2年ぶりの再会で、涙を流した伊織がなんだか儚げでした。見た感じでは、すぐ昔の伊織に戻ったみたいだけど、待つ身だった伊織のほうが、再会してホッとした気持ちが大きかったでしょうね。

伊織のお兄さんが、あまりにも普通の人でした(笑)
(★★★☆☆)

わけあって、続編、続々編を先に読んでしまったのですが、これがいちばん面白かったかな。


この恋はあなたのために
高崎 ともや
リーフ出版 (2000.1)
ISBN : 4795233993
価格 : \893




【こんな話】
平塚新太郎は、学生仲間と繰り出した花街で、橋本伊織と出会う。遊郭の雇われ用心棒の伊織と新太郎は、ふとしたことで意気投合。新太郎が伊織の家を訪れるほどの仲となった。
ある日、いつものように伊織宅を訪れた新太郎は、伊織と女性の濡れ場に遭遇してしまい…。

【ひとこと】
真面目で純情な新太郎が、伊織の手によって、だんだんと淫らに変えられていく様子が、懇々と綴られています。伊織の物腰が素敵です。読んでいて、こっちが溶けてしまいそうです。
とろんとした小説の中では、新太郎のまっすぐさが救いです。好きなものは好き、いいものはいい、いやなものはいや。愛情も嫉妬も、隠さずに表現する、新太郎のそんなところに伊織も惹かれたんでしょう。

伊織は、いってみればエッチのプロなわけですが、恋愛はそうではなくて、新太郎が初恋なんです。心から愛する人と寝たこともなかったんだなぁと、思わせるところはあったけれど、もっと伊織が、新太郎に胸の内を話してくれたらよかったです。愛情表現は十分なんですけど、もう少し何か。

話の流れとしては、新太郎が変わっていくさまに、もっとページ数が割かれてたらなぁ、と。それと、普段の少し醒めたふうな伊織と、新太郎といるときの色っぽい伊織の差を、もっと激しく見せてほしかった。そのほうが、今以上に萌えのあるお話になったと思います。
(★★★+0.5)

濡れ場が4割弱ですって。ライトな官能小説という感じでした。

素敵な脇キャラに出会えました。

largo
榎田 尤利 / 榎田 尤利〔著〕
笠倉出版社 (2004.2)
ISBN : 4773002735
価格 : \900




【こんな話】
音大でピアノを専攻している設楽六実(むつみ)は、桜田凛が大嫌い。大嫌いなんだけど、その演奏から目も耳も背けることができない。ある日、家にピアノを弾きに来ないかと誘うと、六実のことを好きらしい凛は、ピアノを弾く代わりにキスを要求してきて…。

【ひとこと】
六実が凛を嫌いな理由は、ズバリ「自分よりもピアノの才能があるから」。だったら、かかわらなければいいのに、無視してればいいのに、聴かずにはいられない、凛がどれだけの技量をもっているのか知らずにはいられない。この気持ち、よくわかります。私も楽器をやっていましたが、この人にはとてもかなわないなぁと思う人の演奏は、根本的に聴きたくなかったです。でも、聴かないと、もっと実力に差がついてしまうような気がして、聴かざるをえない。そんな経験がありました。スポーツや勉強など、人によってジャンルは違っても、他人の能力を認めたくないという感情は誰にでもあるんだと思います。

ピアノ弾く代わりに、キスさせて。おそらく凛は、ふざけて言ってみたんじゃないかしら。六実にイヤ!って断られたら、それはそれでまた「タラちゃんはホンマにウブやなぁ」くらいの話で(笑) その程度に考えてたと思うんです。だけど、六実は全くそんな余裕ナシなので、OKしちゃった。普通しないでしょ。
それに、ちょこっとキスするだけかと思ったら、結構しっかりやらせてあげてるんだもの。ちょっとびっくり。
結局この頃から、心の奥底で六実は凛が好きだったんですよね。キライキライもスキのうち…っていうのとは違うのかな? キスくらい(?)で繋ぎとめておけるんだったらガマンしよう…ていうほうが近いかな。いずれにせよ、この時点で、もう六実は凛にがんじがらめになってたのかも。

前原(まえばる)との一件もあったりして、六実も凛の存在の大きさに気づき、愛の告白もするわけですが、凛のピアノに関してはまだまだ吹っ切れてないのでは?
きっと、折あるごとに、凛の演奏にノックアウトされることでしょう。また落ち込むこともあるだろうけど、どうぞ二人で影響しあって、お互いを高めていってください。

ところで私、前原がとても好きです。スマートで色っぽくて、少し悪くて、当て馬志願で(笑) 3人の中では、いちばん綺麗なピアノを弾きそうです。傷ついただろうに、そんな素振りも見せないで、六実のこと諦めたふりしてるけど、またちょっかい出してくるかもしません。ちょっと応援してあげたくなりませんか。
この3人って、タイプは全然違うけど、どこか孤独なところがあるでしょ。だから、これからも仲よくつるんでいってほしいです。六実も、ちょっとはサバけて、ときどき前原とキスくらいしてあげればいいのに。…って、私は何を書いてるんだか。
(★★★★☆)

読んでいて、思わず笑いがこぼれてしまう本でした。


業務命令は「駆け落ち」
夢乃 咲実
ビブロス (2004.10)
ISBN : 4835216547
価格 : \893




【こんな話】
ある日、突然上司に呼ばれた池森加津樹(かずき)。ついにリストラかと思いきや、え、本社へ出向?
半信半疑で本社を訪ねた加津樹を待っていたのは、なんと本社の経営を握る財閥の御曹司と偽装駆け落ちをしろ、という業務命令で…。

【ひとこと】
ありえない話…でもないのかな。御曹司には、決まった婚約者がいたのだけど、その結婚には権力がらみでいろいろな問題があるらしい。そこで、なんとか先方から断ってもらおうという作戦です。

この御曹司(匡史・まさふみ)が、不思議なテンポなんですよ。世間知らずでのほほんとしてるんだけど、妙に肝が座っているというか、チャンレンジ精神旺盛というか。「駆け落ちごっこ」をしていればよかったはずなのに、だんだん本当の駆け落ちみたいになっていく過程でも、ひたすらのほほん。真のお坊ちゃまというのは、こんな感じなのかも…。
加津樹は素直な青年だから、そんな御曹司の行動ぶりに、いちいち驚いたり困ったりしてて。これがまた面白い(そして可愛い)。

でも、いくら本当の駆け落ちのようでも、これは業務命令。終わりのときはやってきます。ここまでがあまりにも、ぽよよんとしたストーリーなので、後半の展開には少々胸が痛みます。でも、その先には、壮大な(壮大すぎる)エンディングが待っています。

(さらにネタバレ)
加津樹は幸せ者です。ちょっとうらやましい。よっ、玉の輿!
財力にものをいわせた…ことになるのかもしれないけれど、御曹司はとっても真剣に加津樹とふたりで幸せになる方法を見つけてくれます。でも彼が真剣になればなるほど、なんだか笑いがこみ上げてくるんですよね。やっぱりお坊っちゃまはお坊っちゃまなのです。

ちょっと古いけど 「スプーン一杯の幸せ」 そんな感じのお話です。いい人がたくさん出てきます。
(★★★★+0.5)

仕立てのよいスーツを着て、ビラ配りやサンドイッチマンをするとは大物です。初めてのキスに至る経緯も大笑いでした。

少々ワルだけど可愛い男なら、鹿乃さん。
これは、バツイチの鳶職人 茂木昴成(こうせい・27歳)をめぐる人々のお話です。昴成は、『生意気。』に出てきた脇キャラ(とはいえ、インパクト強し)ですが、あちらを読んでなくてもぜんぜん平気。


可愛気。

鹿乃しうこ
マガジン・マガジン (2004.11)
ISBN : 4896440676
価格 : \650




【あらすじ&ひとこと】
★可愛気。
昴成×ケンジ(コンビニ店員くん)
昴成はケンジの憧れ。単なる店員とお客さんの間柄だったのが、ケンジの姪が昴成の息子と同じ保育園に通うことになり、お近づきに。昴成には、そんな気は毛頭なかったんだろうけど、ケンジのいきなりの告白(←面白すぎ)に…。

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ページ数のわりに、充実したストーリーです。タイトルどおり、ふたりともかわいいんです。見かけによらずマジメな昴成がカッコいい、そして色っぽい。ケンジの話を聞いてあげている昴成の真剣な顔が、素敵です。


★可愛気。2
ヤス×旬次(ふたりとも、昴成の職場の人です。年下攻)
ヤスは普通にカッコいい男。一方、旬次は、硬派で無口で感じ悪くて、で、ちょっと昴成にホレてて。それに気づいたヤスが、ちょっかい出したのがきっかけで、二人はヤってしまうが、抱かれてるときの旬次が昼間の無愛想な旬次とうって変わってすっごく可愛いもんだから、ヤスはメロメロになってしまい…。

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どの時点で愛が芽生えたのかな…なんて野暮なことはいいのか。エロいお二人(笑) 仕事では威張ってる旬次が、顔赤らめちゃったりするところがたまりません。裏表紙の旬次には、思わずクラクラっときます。


★可愛気。3
ヤス×旬次の続き。
旬次が好きなのは、やっぱり昴成なんじゃないか…と、悶々とするヤス。そんなある日、旬次の過去を知る男が訪ねてきて…。

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昴成と旬次は小学校の頃からのつきあいなんですって。そりゃあ、ヤスがかなわない、と思うのもしかたない。こうなったら、カラダで繋ぎとめるしかない!頑張れ!>ヤス
本当のところは、私もよくわからないけど、ヤスが思ってるよりは、旬次はヤスのことが好きだと思います。(わかりにくい文章でごめん)


★可愛気。4
戻って、昴成とケンジの後日。
ヤスがヤスなら、ケンジも昴成の過去があれこれ気になる気になる気になる…。昴成のイチバンになりたい、と思うケンジだけど、もう既にイチバンになってるんじゃないのかなぁ。う?ん、わからん。
(★★★★☆)

あ、最後の話は、あらすじ書いてませんね、ごめんなさい。
鹿乃さんのマンガは、エッチもババーンって感じだけど、ストーリーやせりふ回し、ギャグとシリアスの使い分けが上手いので、「ヤってるだけ」の露骨なストーリーになりにくいのではないかしら。

『野蛮人との恋愛』・『ひとでなしとの恋愛』 に続くお話。これで完結です。


ろくでなしとの恋愛
菅野 彰
徳間書店 (2003.8)
ISBN : 4199002766
価格 : \540




【こんな話】
柴田守が結川貴彦と同居して一年が経った。子どもを生んだ美奈と籍だけは入れて、守は父親になっていた。依然として不安定な貴彦に、何をしてあげたらいいのか、どうしたいのか迷いながら、守は貴彦と二度目の関係をもつ。
(カバーのあらすじ、ニュアンスが少し違うような気がするんですが)

【ひとこと】
この本は、後ろから読んだ、といったほうが正しいかも。戸籍のうえだけとはいえ、守は結婚してしまったし、貴彦もすごく不安そうだし、なんだかとんでもなく絶望的な結末になりそうで、とても普通に最初から読んではいられなかったんです。だから、チラチラと先のほうのイラストを見たり、会話を盗み見したりして。

貴彦をもとの生活に戻してあげたいと思いながらも、そのまま自分のそばに置いておきたいとも思う、そんな矛盾に悩む守は、すっかり弱ってしまったように見えて悲しかったです。でも、玲子さんに、(貴彦と)二人でもやっていける、と言ってもらって少し自信がついたのかな、守は自分が変わりつつあることを認めて、貴彦もそんな守を見て変わろうと思って…。玲子さんの話や、守と貴彦の気持ちは、少し難しくて、私なりの解釈でしかないかもしれないけれど、ふたりが離ればなれにならなくてよかったです。

…と思ったのも束の間、もうひとつのお話「ひとでなしとろくでなしとその息子と。」は、また後ろから読むはめに(笑)。

美奈が死んで引き取った息子の歩(あゆむ)との3人暮らしは、少々不自然ながらもとてもいい雰囲気でした。よくありがちな話のように、貴彦がお嫁さん(おかあさん)みたいになっていないのにもホッとしました。
でも、やっぱり世間は許さない、というか、守の母がそんな状況を放っておくはずもなく、歩を引き取ると言ってきます。菅野先生の作品は、こういうところが容赦ないです。ご都合主義や夢物語では、ぜったいに片をつけてくれない。後半は、ずるずると泣かされっぱなしでした。

決してハッピーエンドではない終わりかたです。守はともかく、貴彦がまだまだ後ろ向きだから。でも、あと書きに、"守や貴彦たちの未来は、読者がこうなるだろう、こうなったらいい、と思ったようになる"とあったので、好きに想像することにしました。私が思い浮かべるのは、三階建ての新居の陽当たりのよい部屋で穏やかに過ごす3人です。そして、歩は仁と陸に剣道を習って、ときどきは守と貴彦も一緒に道場に行って…。
彼らが手放しで幸せにはなるのは難しいだろうけど、まったく想像できないわけでもないかなぁ、と思います。もう、"ひとでなし"でも"ろくでなし"でもないんだから、きっと大丈夫よね。
(★★★★★)

歌舞伎町の彼が、悲しかった。でも守が泣いてくれたのが救い。
それと、陸!大学卒業できなかったんだね(大笑)

『野蛮人との恋愛』の続編です。BL×B.L.Peopleの企画も兼ねて。


ひとでなしとの恋愛
菅野 彰
徳間書店 (2001.9)
ISBN : 4199001972
価格 : \570




【こんな話】(カバー裏より)
大学病院に勤務する柴田守は、将来有望な若手外科医。独身で顔もイイけれど、他人への興味も関心も薄く、性格がおつりのくる悪さ。そんな守はある日、怪我で病院を訪れた大学時代の後輩・結川(ゆいかわ)と出会う。かつての礼儀正しい後輩は、社会に出て様子が一変! 投げやりで職を転々とする結川を、守はさすがに放っておけず、なりゆきで就職の面倒を見るハメに…!?

【ひとこと】
前作の、仁と陸の恋話とはガラっと変わって、シリアスで重い話です。

前作 『野蛮人…』 での結川は、言葉づかいも丁寧で、言うこともクールで、すごく紳士的だったんです。そんな結川が、別人のように荒れていくのを見て、かかわりたくないと思いながらも、手をさしのべてしまう守。結川に救いの手はもちろん必要だったけれど、それと同じくらい、守もずっと誰かに手を差し出してほしかったんじゃないかなぁ、と思いました。

どんどんと堕ちていく結川に、最初守は呆れ、憐れむだけです。しょうがない奴だ、と、こんな奴かまってられない、と。でも、過去にがんじがらめになっている結川の姿は、実は自分とそっくりだったんですよね。

でも、守には決定的に違うところがありました。結川が、自分を責めて、周囲に謝罪の気持ちを持つようになっていくのに対し、守は昔も今も自分に嘘をついて、ごまかして、気づかないふりをして「俺ぁ悪くない」という態度のままなのだから。
守は、結川を見て初めて、自分という人間を客観的に見ることができたのかもしれません。だから、結川を放り出すことは、自分のこれからの人生をも投げてしまうように思えて、彼を放さなかったのかなぁ、と。守が、「自分のことを憐れんでほしい」って言ったでしょう。泣けました。

そんなふうに考えると、悲しいかな、坂本には、結川を助けることはできなかったでしょうね。坂本は、結川をただ庇護するだけで、もっとダメにしてしまったかもしれないから。

父親に悪態をつきながらも、実は父を慕っていた結川。それはそのまま、守と仁の関係にもあてはまっていて。守が、弟の才能を羨んでどうしようもなく憎む反面、本当は弟が大好きなのだ、と告白するところが、あまりにも思いがけず、嬉しかったです。
(★★★★★)

でも、結川は幸せでしたよね。だって、彼を取り巻く人々が、みんないい人だったでしょう。ほら、歌舞伎町の子もいい子だったじゃないですか。彼の 「戻れるところがあんなら戻れよ」 というひと言にホロリときました。

私の好きな「捨て子系」です。でも、本当はどちらが捨て子なんだか。守のほうこそ結川に拾いあげてもらったのかもしれませんね。

BL×B.L.TB企画参加



「クリスマスを連想する一冊」がテーマです。
もしかしたら、主旨から少しズレてるかもしれません、ごめんなさい。でもこの季節になると、街中で大きなクリスマスツリーを見かけるたびに、どうしても思い出しちゃうんです、この話を。


Double call 2

緋色れーいち
海王社 (2004.10)
ISBN : 4877243739
価格 : \610




2巻の後ろのほうに収録されている 「聖しこの夜に…」という話がそれです。どんな話かというと…

(ご存知ない方、登場人物は全部、プロ野球選手です)
堀田と秋吉が、まだキス止まり、しかもクリスマスはパチンコ屋でデート、という話を聞いた千堂は、「それは愛されてませんね」とバッサリ。ショックを受ける堀田に、「ホテルで食事した後、部屋に誘え」と悪知恵を授け、ご親切に部屋のホテルまで手配してくれます。

しかし! そんな作戦とは知らない秋吉は、堀田を馴染みの居酒屋へ連れて行こうとします。焦った堀田は、「このままじゃ不安なんです!」と部屋をとってあることを告白。
結局、秋吉は堀田のことを、ちゃんと考えてくれてて、"二人にしては"ラブラブな夜を過ごします。秋吉は、本当は街頭の大きなツリーを、買ってあげたかったみたいです。でも、それはあんまりなので、大きなクマのぬいぐるみをプレゼントしたのでした。

と、こんな話。ホテルに部屋をとってある、と聞かされたときの秋吉さんが可愛い。クリスマスということすら忘れてたのに、いきなり「今夜は一緒にいて」なんて言われて驚くのはわかるけど、そんな顔しなくても(笑)。
この話は平行して、千堂と塔馬のクリスマスの話でもあるんですが、いつもどおり濃厚なこのふたりよりも、堀田と秋吉の爽やかな(ウブな?)雰囲気が、クリスマスのキラキラしたイメージと重なっていいんです。

それにしても、堀田と秋吉さんはどうなるんでしょう。
なんだか、このふたりのこと、誰も応援してないような気がするのは私だけですか。別に、イチャイチャしなくてもいいんです。人生の良きパートナー(なんか古い表現)として、いつまでも二人で歩いていってくれれば。

今回の復刊で、まんまと作戦に乗せられて、ぺろりと「DOUBLE CALL」買い直しちゃった私。緋色先生、早く堀田を幸せにしてくれないと、また古本屋に売ってしまいそうです(酷い)。

この企画は、もう一度リベンジするかも。

BL×B.L.TB企画参加


どこまでも純真な陸に、癒してもらえます。


野蛮人との恋愛
菅野 彰
徳間書店 (2000.12)
ISBN : 4199001662
価格 : \540




【こんな話】
帝政大学と東慶大学の剣道部は、40年来のライバル同士。そして今まさに、帝政のルーキー柴田仁(じん)と、同じく東慶の仙川陸(りく)は、伝統の交流試合において一戦交えようとしていた。
実はこのふたり、そろって東慶大附属高校の出身で、なんと恋人同士なのだが、つまらない痴話喧嘩が原因で、仁がよりによって宿敵帝政大に進学してしまっていたのだった。

【ひとこと】
好きだ好きだ好きだ?と、いつも言葉にも態度にも表してる陸に対して、一歩ひいて「しょうがねぇなぁ?」というスタンスの仁。ふたりが喧嘩中のところから話が始まるので、てっきり仁の愛情のほうが少ないかと思いがちですが、なんのなんの。

明るくて可愛くて純粋で、誰からも好かれている陸と違って、生真面目で頑固で融通のきかない仁は、陸のそばにいればいるほどどんどん不安になって、自分から去ろうとします。そんなふうにひとりで悩んでいるときだって、仁は、自分が陸のことをどのくらい好きで、どのくらい必要としてるのかを考えないようにしてるんだから、ほんと素直じゃないっ!
みんなは陸のこと、おかしいだバカだ言うけれど、実際わからずやなのは仁なんですよね。

帝政と東慶はライバル同士だし、二人の恋愛には先輩たちも大反対。なもんで、陸が仁の寮に電話しても、取り次いでももらえないんですよ。厳しい?。そこで、陸が仁に携帯電話を渡すんです。でも、陸が何回電話をしようと、仁は出ない。何が彼をそこまで頑なにするのか、ちょっと理解しがたいけど、そこがまたこの話の面白いところでもあります。

結局、ちょこっと仁が素直になりさえすれば、よかったんです。で、素直になったらなったで、今までの仁では考えられない行動を起こすところもよかった。本人は、けじめと思ってるらしいけど、はたから見たら、単におめでたいだけだったのかも。

ふたつ目の話、「野蛮人とその後の恋愛」は、基本的にはギャグかも。でも、だんだん性格がこなれてきた(崩れてきた?)仁が微笑ましいです。そして、脳天気でなんにも考えてないような陸が、実は誰よりも仁のことをわかってくれていることがわかって嬉しかったです。

あ?、本当なら、ここまで書くあいだに、仁の兄のことを書かなければいけなかったのに…。仁には、不仲な兄・守がいるんです。仁にとっては、ただでさえ疎ましい存在なのに、帝政大に進学したせいで敵視されるわ、陸との恋路を邪魔されるわ、の大災難。でもこの兄弟も、陸のおかげで、少しだけ歩み寄れたのかな。陸の力はすごい。
(★★★★☆)

そして、物語は仁の兄・守のお話に続きます。

設定を見ただけで、あ v これだ! と思った本。


Steal your love
妃川 蛍
リーフ出版 (2004.12)
ISBN : 4434050451
価格 : \893




【こんな話】
人気俳優 如月柊士(しゅうじ)は、ホストクラブLIEGEで、高校時代の同級生 不動師眞(かずま)と再会した。優等生で生徒会長まで務めていた師眞がいま、ナンバーワンホストのカズマとして、柊士の前に現れたのだった。忘れたつもりでいた男を目の前にして、柊二は苛つきを抑えきれない。しかし、酔いつぶれて目が覚めてみると、なんと師眞の腕の中にいて…。

【ひとこと】
真面目だけが取り柄の生徒会長と、チャラチャラとモデルのバイトなどしていた男が、ずっとお互いを忘れられないでいたんですって。だから、話の雰囲気がどんなに色っぽくて艶っぽくても、このお話は "男の純愛" なのです。
あるいは、人知れず壁にぶち当たっていた柊士が、師眞という理解者を得たことで、精神的にどんどん強くなっていく、サクセスストーリーともいえるかもしれません。

柊士がどんなに強がっても、師眞のほうが一枚も二枚も上手でしたね。あとから聞いてみれば、再会した晩、酔っぱらった柊二が思いの丈をぶちまけてしまっていたのだから、しかたないんだけど。
それにしても、師眞の接し方は男っぽくて素敵です?。優しく慰めてあげるのはHのときだけで(笑)辛辣なこと言ったり、ときにはわざと冷たくしてみたり。でも、ちゃ?んと柊士がついてくるのが、健気というかなんというか。

羽柴事件(反転→大物俳優 羽柴が、口添えをしてやるからと、カラダを要求してくる事件)のあたりからは、なんだかもう私、ふたりにメロメロでした?。ああ、せっかく反転したけどもう書いちゃうわ。
師眞は、柊士の出たドラマや仕事をちゃんと見ていて、今までずっと心の中で応援し続けていたんです。すっかり自信を失っていた柊士にとって、こんな嬉しいことはなかったはずです。高校時代は、お互い "どうせ自分なんか相手にしてもらえない" と、近づくこともしなかったふたりが、すべてを吐き出すシーンがよすぎです。師眞はあくまでも男っぽく、そして、柊士はなんだか可愛らしく。
このふたり、Hのときも、想い出話したりなんだかんだで喋りっぱなしなんですが、それがまたいい感じ。ふたりとも、仕事を離れて "素" で。

おまけのショートストーリーは、バカップル話です
(★★★★+0.5)

2002年刊行の作品集です。


夏時間
国枝彩香
竹書房 (2002.8)
ISBN : 4812457033
価格 : \590





5つの話が入っています。

■夏時間
高1の少年が、母の死をきっかけに、母と関係のあったらしい男を訪ねる話。つかみどころのない男に、少年はもの悲しい気分になるが、ある日意外な一面を見せられて…。

(ひとこと) こういうのも恋としてアリなのかな。何年か経って、智はまた男を訪ねるような気がしました。でも、きっともう、そこに家はなくて会えないんです。でも、もし会えたら、一緒に暮らしてほしいな。最後の1ページがいい。

■熱帯夜
義理の兄弟の話。新しい母の連れ子としてやってきた義兄 望を、特別な感情をもって見るようになった貴章は大学進学を機に家を出る。父が死に、婚約者も亡くした貴章は、久しぶりに実家へと帰るが…。

(ひとこと) 「お帰り」の望の顔が怖くて、幽霊の話かと思いましたよ、ホントに。望が本当にしたかったことって、なんだったんだろう。貴章にずっと自分のことを忘れないでいてほしかっただけ? お父さんが、望に真相を話さなかったとしても、彼は由美さんを殺したんだろうなぁと思いました、なんとなく。

■神様の言うとおり
■Sweet Little Devil

続きもの。アパートのお隣り同士、泉とテツヤの恋(?)のお話。ギャグです。テツヤのひとりHを目撃してしまった泉は、無理心中を迫られた挙げ句…。

(ひとこと) とにかくおかしい。普通の(可愛め)少年泉と、ゴツいけど中身は超乙女なテツヤ。セリフも面白いけど、表情を見てるだけで笑えます。ひとつ目の話を読んでいたときから、「どっちが…なんだろう」と思っていたことが、ふたつ目の話のオチでした。アハハ。

■眠る男
達也と直紀は、子どもの頃からの仲。高3のとき、タイムカプセルを埋め、21世紀の幕開けと同時に掘り出す約束をするが…。

(ひとこと) え?ん、寂しいですぅ。あとがきで、「シリアスとギャグの差を埋めるためにこの作品を書いた」とありますが、ぜんぜん埋まってません!
とっても好きな作品だけど、悲しすぎました。

こんな感じです。くどくどと説明されなくても、すんなりとストーリーが頭に入ってくるのは、このかたのセンスと表情の巧さだと思います。カラーの原画、見てみてみたいなぁ。
(満足度 ★★★★+0.5)

いいお話でした。

この胸をどうしよう
高遠 琉加
イースト・プレス (2004.12)
ISBN : 4872575083
価格 : \893




【こんな話】
架(かける)と耀一(よういち)は幼なじみ。7歳のとき、耀一が架に親切にしたのがきっかけで一緒にいるようになった。人付き合いが苦手で友だちもいなかった架にとって、耀一の存在がすべてだった。そして、高校に上がり俳優としてデビューした耀一は上京。架も東京の大学に進学し、ふたりは一緒に暮らし始めた。そして、男の恋人をもつようになった耀一は、相手に振られるたびに、架を抱きしめて眠り、気持ちを癒すようになり…。

【ひとこと】
タイトルや表紙、あらすじで、弱気な受け視点のたどたどしくもほんわかした純愛モノかなと思っていました。でも読んでみたら、展開はかなりシビアだし、最後には小さなどんでん返しもあったりして、ちょっと裏切られました。いい意味で。

架と耀一の出逢いは、まるで昔の日本映画を見ているようです。ふたりの会話が聞こえて、もらい泣きしてしまいそうなくらい。祖母とふたり、息の詰まるような暮らしをしてきた架が、物心ついて初めて触れた優しさが耀一だったわけです。こんな出逢いかたをしたら、離れられなくなって当然かもしれません。

月日が経つにつれて、耀一の「守ってあげたい」という気持ちは、「束縛したい」に似たものに変わっていきます。そして、架のほうも、ますます耀一以外の人間を遮断するようになっていきます。
極端にいえば、耀一は架に「俺以外の人間とは付き合わなくていい」と思っているし、架は架で「耀一さえいれば、他に誰もいなくても大丈夫」と思ってる…。そんな関係、18、19歳になって不自然きわまりないですよね。薄気味悪いです。

そんなふたりを変えてくれたのが、脚本家の桜庭とプロデューサーの北見。架と耀一の、痛々しいほどの執着を放っておけなかったんでしょう。ちょっと荒っぽいやりかたに、読んでるほうはイライラしたり、ドキドキしたり、泣いたり、落ち着きません。この本のタイトルじゃないけど、こっちが「どうしよう」っていう気分でした。でもこの桜庭と北見、味のあるいい男です(特に北見)。

これからのことを考えたくなくて、離れ離れになるのが怖くて、頭のどこかでこれではいけないとわかっていながらも迷い続けてきたふたりが、ようやくお互いがホッとできる恋愛にたどりつけて、本当によかった。
今までは、耀一が架を守ってきたけれど、実は架のほうが強い人間なんです。だから、これからはまた違った関係を築くことができるんじゃないかな。頑張って。
(★★★★★)

すべてを知ってから読み返すと、いろんな再発見があって楽しいですよ。

読んでくださってありがとう


オリジナルはネット小説だそうです。設定が、某小説に似ているのですが、音楽に関係ある話は好きです。


Love melody
妃川 蛍
ワンツーマガジン社 (2004.12)
ISBN : 490157969X
価格 : \900




【こんな話】
今日は趣向を変えて、登場人物を紹介したいと思います。

和音   音楽雑誌編集者。ピアニストを断念した過去あり
京介   新人ミュージシャン
TAKUYA 人気グループMUSEのギタリスト。京介の友人
KAORU  同 ボーカリスト。 TAKUYAの恋人。
蓮沼   音楽雑誌編集長
曽我部  和音の大学時代の同級生

編集部に届いた新人アーティスト 京介のデモテープを聴いて衝撃を受けた和音(かずね)は、特別な想いを胸にインタビューに臨んだ。しかし、取材後、京介は和音を自宅に連れていき、なんの言葉もなしに彼を抱いたのだった。


【ひとこと】
このお話は、2000年7月から1年半にわたり、ホームページで連載されていたそうです。あとがきによれば、あまり手直しされてないようなので、控えめに意見させていただきますね。
まず戸惑ったのは、登場人物についての描写が少ないこと。年齢もハッキリは書いてないし、容姿などについても、もうちょっと突っ込んで書いてくれたらイメージも膨らんだかなぁと思うんです。中盤、蓮沼という男が、和音にちょっかい出してくるんですが、この蓮沼が特にイメージできなくて困りました。イラストはあったけど、ちょっと違う感じがして。

そして、登場人物だけでなく、ストーリーの伏線や裏付けにもページを割いてほしかったなぁ、と。
実は、京介と和音が会うのは、これが初めてではなくて、子どもの頃に二人が出場したピアノコンクールで、京介は和音とその演奏にひと目惚れしていたという過去があるのです。ここ、すごく大事なエピソードだと思うんです。この出逢いがあったがゆえに、京介は、取材で再会した和音をいきなり抱いてしまったわけですから。
コンクールのときの和音の様子は、京介視点で書かれているんですが、もっともっと読みたかったです。京介は和音に対しても、「その話はまたあとでな」のひと言で片づけてしまっていて、本当に残念でした。

ネット小説ということもあるのか、わりと起伏のないストーリーです。和音と京介はきれいに書かれていて、これだったら、エッチシーンももっとさらっと書いて、とことん王子様とお姫様の話!みたいにしたほうが雰囲気出たかもしれません。マンガにしたら、ぜったいイケそうです。あさと先生の絵はピッタリだったし。

…って私、文句ばっかだ。

クライマックスは、ピアニストを断念してから、音楽(ことにピアノ)に対して後ろ向きになっていた和音が、京介の音楽を通して、「もう一度弾きたい」という情熱を思い出すところ。昔のようには弾けなくても、京介や蓮沼、そして曽我部たちが、和音の奏でるピアノを心で受け止めてくれたのが、嬉しかったです。

本屋さんでもらったオマケの小冊子には、TAKUYAが和音に「ピアノ教えて」と頼む小咄が載っていました。これも、マンガで読んでみたいかな、ギャグでした(だよね?)

そして本編のほうは、続編も出るとのこと。
蓮沼の過去が明らかになる、とありますが、それはどうでもいいので、曽我部のその後をお願いします。私のイメージは、千秋真一(のだめ)をグレーにした感じです。悪い奴じゃなさそうです、むしろ可愛い。
(★★★☆☆)


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B-Life.SS

続編。表紙がたまらん。


ハッピーハーレム
高岡 ミズミ
ハイランド (2003.8)
ISBN : 4894862824
価格 : \893




【こんな話】
(前作を踏まえた上で)
すっかりラブラブ、濃厚な毎日を送る巽と七生だったが、七生としては今ひとつ巽に信用されてないような気がしてしかたない。そこで、巽に黙って債権回収へと出向いてみたりするのだが、顧客に言い寄られるわ、襲われるわ、わいせつなビデオは撮られるわ…。
勝手なことをした、と怒る巽に、七生もついにキレて、ハッピータイムを辞める!と事務所を飛び出していくのだが…。

【ひとこと】
引き続き、七生のジレンマが原因で、いろいろな事件が起こります。ろくなことがありません。だけど…
どうして、この人たちはすぐ、撮りたがったり、撮られたがったりするんでしょうか。そんなに人前でやりたいんでしょうか。そんな変態な人たちに囲まれたお陰で、七生もすっかり感化されちゃって 「撮ってもらおうかな」なんて言い出す始末です。
結局は、巽が七生を撮るんですが、こういうのも「愛の証」なんでしょうか。

で、七生のジレンマ。
いくら毎日「愛してる」「可愛い」なんて言われても、七生だってハッピータイムの一員として仕事がしたい! その気持ち、わかります。
でも、適当にあしらわれてると思っていたのは誤解で、巽はカタギの七生を自分の世界に入れていいものかどうか、ずっと迷っていたのでした。それなら、ちゃんと最初から説明してくれればよかったのに、巽が中途半端な態度を取るから、七生がとんでもない目に遭っちゃったじゃないの!
こういうところ、巽は潔くないというか、案外子どもっぽいというか。七生が必死に巽にすがりついてるように見えて、実は巽のほうががんじがらめになってるところがいいですよ。ざまあみろ、という感じ。

巽が七生を撮影することになるまでのやり取りは、何度も読んでしまいました。女の子みたいに感情をぶつける七生と、強面のくせに可愛いこという巽の会話が最高です。
巽のいる世界に、一歩足を踏み出した七生。彼としては一大決心なわけだけど、最後の最後まで、藤乃宮(巽の実家)の組員からは、「姐さん」なんて呼ばれてました。お気の毒。
(★★★★☆)

後半、七生がやらしすぎ。

ああ、もういい男でした。


ハッピータイム
高岡 ミズミ
ハイランド (2002.4)
ISBN : 489486164X
価格 : \893




【こんな話】
ある晩のこと、小島七生(ななお)は、仕事の失敗の憂さを晴らすべく酔っぱらっていた。しかし、気が大きくなって、止めてあった車に思い切り蹴りを入れたところを、持ち主に見つかり、金貸し屋 ハッピータイムに連れて行かれてしまう。100万の借金を負うことになった七生だが、そこの代表を名乗る巽(たつみ)は意外にも優しく、無利子で100万貸してくれると言い…。

【ひとこと】
こういう話は、"ここの受けの健気さがどうの"とか、"このシーンでの攻めの気持ちがこうの"とか、そんなことはどうでもよくて、ただ楽しみながら読んで「あ?、面白かった」でいいです。ベタな展開も、BLの王道っていうか、さすがっていうか。

七生は、本当に可愛くていい子なんです。
ハッピータイムなんて、麗らかな名前がついてるけれど結局は金貸し屋だし、巽は組長の息子だし…で、普通だったらオドオドしてしかるべきでしょ。でも、彼は、巽だけじゃなくて、従業員のタケオや出入りしてるマリちゃん、そして、変態監督の中田にだって、自然体で接することができる。そこが、立派だし、読んでいて気持ちがよかったです。

でも、そんなふうに裏がない真っ直ぐな七生だから、巽がひたすら大事にしてくれるのが面白くなくて、自分は必要とされてないんじゃないかと悩んでしまう。ここは、ちょっと同情します。前の職場でも、いいのはルックスだけで仕事は全然ダメとさんざん罵られてきただけに、自分が干されてるような気持ちになっちゃったんですよね。巽としては、カタギな七生を危険な目に遭わせないようにと配慮しただけなんだけど…。
やっぱり男だもんね、大切にされてるだけじゃ納得いかないよね。ちゃんと評価されたいに決まってます。
この悶々とした七生の気持ちは、次作「ハッピーハーレム」にも持ち越されていきます。

で。
とにかく、巽が素敵です。血縁にひとり欲しいです。どんな窮地に陥っても、助けてくれそう…。
でも、仕事では自信満々で堂々としてる彼も、七生のことになるとメロメロで、わがままおじさんみたいなところもあって可愛いです。仕事中、七生とイチャイチャしたくなると、従業員のタケオくんにお財布渡して「出かけてこい」って言うんです、要するに人払い(笑)
ここが、巽ぽくて好きでした。

そしてそして、やまね先生のイラストが素敵。マリちゃんにもらったシャツを着てみたところとか、歩と話してるときの横顔なんて、もう!
(★★★★★)


明日は続編の「ハッピーハーレム」(感想はこちら)について。

1と2まとめて。作家さんが描きたいことの7割くらいしか理解できていないような気がします。


Voice or noise 2

円陣 闇丸
徳間書店 (2003.6)/(2005.1)
ISBN : 4199602208/4199602690
価格 : \560




【こんな話】
振一郎の愛犬 フラッピーの様子がおかしい。そこで、獣医の池上が紹介してくれた「動物と話ができる」という成澤を訪ねるが、追い返されてしまう。一度は諦めた振一郎だったが、偶然に成澤と再会すると、成澤のところには、"言葉を話す猫" アフトがいた。
動物と話ができる成澤(大学助教授)と、同じ素質をもつ振一郎(連載開始時 中3)のお話。

【ひとこと】
難しいマンガです。

成澤がこのマンガの中で話をする動物は、猫のアフトと犬のフラッピー、あとはカラスくらい。きっと本当は、どんな動物とも話ができるんだろうけど、いまはそれをシャットアウトしている状態です。彼の言葉を借りると 「自分の中で線引きしている」。
どの程度、動物たちの言うことに耳を傾けてやって、どこからただの鳴き声として聞き流すか。確かに難しそうです。

そして、振一郎にも成澤と同じ能力があることがわかります。彼もまた、行き詰まります。近所の犬や猫、伝染に止まっているカラスも無視できなくなり、気になって気になって。挙げ句、カラスにストーカーされる始末。
このカラスのストーキングは、成澤の仕業なんですけどね。成澤が、振一郎から目を離すなって、カラスにストーカーを頼むんですよ。
うーん。ここを読んだとき、このマンガの位置づけ ?ファンタジーなのか違うのか? 大いに迷ういました。これは未だにわかりません。

私、最初はアフトがあんまり好きじゃありませんでした。関西弁だったからかなぁ、オヤジっぽかったからかな。でも、成澤と振一郎が気まずくなったときに、ズバズバと成澤を叱咤激励するシーンを読んだら、かわいくてかわいくてたまらなくなりました。なのに! 交通事故に遭って、言葉を忘れちゃうなんて。

それだけでもショックなうえ、この辺りから話がだんだん難しくなります。成澤の振一郎に対する気持ち(接し方)もわかりにくいし、アフトの複雑な想いも難しいし…。

もちろん、ぜんぜん理解できないわけではないです。お互いを意識しはじめてぎくしゃくしている二人、そういう視点からならわかります。でも、この先、どうなるのか。振一郎は、能力を伸ばしていってもいいのか、とか、成澤はこの先どんなふうに動物と付き合っていくのか、とか考えてるとキリがありません。

私は、雑誌を読んでいないので、今はどうなってるのか知りませんが、2巻の終わりでちょっとだけラブな歩み寄りが。だけど、ここでまた理解力に欠ける私は、疑問!
3回キスしてるでしょ?(キスってほどじゃないけど)
1回目は振一郎からで、あとの2回は成澤からキスしてるんですよね? 違う?
3回目のキス直前の成澤の表情はいいですね。彼の気持ちが痛いほどわかります。
結局なんだかんだ言って、私の大好きな先生と生徒(教え子ではないけど)の話で嬉しいです。

脇キャラでは、やっぱりタカハシのにいちゃんですか。先日の「キャラコレ EXTRA」にも笑わせてもらいました。登場したときは、黒い眼鏡キャラ?と思ったけど、とりあえず今はギャグ担当でいいのかな?
(★★★+0.5)


面白かった!


棒投げ橋で待ってて
小林 典雅
二見書房 (2004.12)
ISBN : 4576042181
価格 : \600



【こんな話】
小児科で看護士を務める森 雨市(ういち)のところに、美貌の青年が訪ねてきた。それは、15年前にたった一日だけ一緒に遊んだことのある、新宮桜里(しんぐう おうり)だった。聞けば、財閥御曹司かつ正真正銘のお坊ちゃまの桜里は、7歳の雨市と遊んで以来、雨市のことが忘れられなかったらしい。過保護に扱われる毎日に嫌気がさし、世間の常識を身につけたいという桜里は、雨市と一緒に暮らすことになったのだが…。

【ひとこと】
今日は、ネタバレしません♪
「恐れ入りますがティッシュをいただけませんでしょうか」
桜里はこんな青年です。電車にも乗ったことがなければ、ハンバーガーも食べたことない。そんな桜里と、まったくの庶民の雨市、二人の会話がとにかく面白いです。でも、こんな具合でどうやってラブラブになるの?と思っていたら…。

雨市と同じ病院で働く、ドクター佐川。彼は少々マニアックなところがあって、しかもバイ(って言ってるけどホントは男だけだと思う)。その佐川が、雨市が夜勤のときを狙って、桜里を飲みに誘い酔わせた挙げ句、ホモビデオを見せちゃったから大変。
そのビデオ、用務員さん×教頭先生っていう鬼畜モノで(笑)物知らずな桜里は、それが普通の性交渉だと思いこんじゃうわけです。

で、すっかり勢いづいちゃった桜里は…… えへへ。
もうすっごくおかしいんです。ここに書いちゃうのはもったいない!
とりあえず、桜里は雨市を落とすことができて、ハッピーエンド。

ここからは、「棒投げ橋?2」。
続編では、桜里の両親に二人の仲を認めてもらいに行きます。両親も二人の兄も、桜里を溺愛してるばかりか、相当な変人で、雨市は、それはとんでもない目に遭うんです。もう絶句しちゃうほどハチャメチャな展開です。
だけど、この作家さんは限度を知ってる方だな、と思いました。"これ以上暴走したら読者が引く" 一歩手前で止めてる感じ。意識してそうしてるのか、無意識なのかはわかりませんが、これからもこんな感じでお願いしたいです。
最後のオチもGoodです。

そして、書き下ろしがひとつ入ってます。書き下ろしといっても、この話がいちばん長かったりします。
これは、桜里に例の用務員×教頭の変態ビデオを見せたドクター佐川と、なんと桜里のお兄さん不律(ふりつ)がメインです。もうこの二人が強烈すぎて、本編カップルを忘れちゃうほどです。
桜里と雨市の仲を引き裂くために、佐川を訪ねたきた不律が、あんなことこんなことさせられる(注:エッチなことじゃないよ)うちに、ムニャムニャ…なお話です。
やっぱりもったいなくて書けません。

何がツボって、一見、庶民サイド(雨市と佐川)がイケイケで、令息サイド(桜里と不律)が純愛と思うでしょう? それが、あまりにもお坊ちゃまなせいでタガがはずれてる。そこが面白いです。
ちなみに、両方とも年下攻めなんですけど、そんなカテゴリではとても括れない(笑)

見返しの部分で、作者さんが「エロいエッチが書けない!」と書いてらっしゃるのですが、全然OKだと思います。メインカップルの話では、ちょっと描写が淡々とし過ぎてるかなぁ、とも思ったけど、無駄にエロくする必要もないのでは?
(★★★★+0.5)


棒投げ橋がなんなのかは、序盤でわかりますよ。
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