ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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これは…、ダメでしょう?


繋ぐ、指先。
竹内 照菜 / 竹内 照菜著
竹書房 (2004.12)
ISBN : 4812418976
価格 : \600




【こんな話】
ミスポリの7冊目です。
あるコンビニ店員(以下、バイト君)が、行弘にひと目惚れ。不幸なことに、彼には少々倒錯の気というか、妄想癖がありました。店に来た行弘を盗撮したり、レジでかわしたほんの少しの会話に欲情したり…。そして彼のとった行動は、行弘に手紙を書くことでした。それも、素直に自分の気持ちを綴ったものではなく、行弘を卑猥な言葉で中傷するような手紙を。
手紙を受け取った行弘は、部下の千葉に相談。どう処理したものか、頭を悩める。と同時に、成湫には話さないでおこうとも思うのだったが、あの六条成湫がそれに気づかないはずもなかったのでした。

【ひとこと】
引きました、今回ばかりは。今まで、成湫がどんな酷いことをしようと(つまり殺人)、さらっと読み流してきた自分が不思議に思えたほど、成湫の行動を受け入れることができませんでした。
バイト君は、一般社会で普通に生活する一介の大学生だったんです。そりゃ、警視庁に行弘宛ての手紙を送ったのは、行き過ぎていたかもしれません。だけど、所詮は素人です。素人相手にそこまでするなんて、いくらなんでも酷すぎやしないですか。
「人を好きになることは自由」だなんて、成湫にとってはきれいごとでしかないんでしょう。でも、殺さなくても!しかも、あんなやり方で…。

実は、本当に殺すとは思ってませんでした。「殺してやりたいほど憎いけれど、俺と同じ、ユキに惚れた男同士ということで、大目に見てあげますよ」とか言って、ボコボコにするくらいに終わるんじゃないかと。だけど、違った。
実際に、成湫がバイト君に手を下すシーンは、読まずに飛ばしてしまいました。だから、詳しい描写は読んでないんですが、それでもどうやって殺したかはわかりましたよ。あんまりだわ。

千葉はいい奴ですね。行弘と千葉が一緒にいると和みます。
バイト君からのラブレター(?)を前にしたふたりの会話で、自分は(成湫と)やましい付き合いはしていない、という行弘に千葉が、
「でも世間はそうは思わないから、こんな変な手紙が来るわけでしょう?」
って言うんです。千葉も言うようになったなぁ?と思うと同時に、行弘もいい加減目を覚ましたら? と腹が立ってきました。極論かもしれないけど、自分たちの恋愛が、そして自分の天然さ加減が、別のところで犯罪を生んでるんですから。
(★★☆☆☆)


私の理想の成湫は、ヤクザとしては極悪非道で結構、人殺しでもなんでもご自由に。でも、行弘に絡むことに関してはてんでダメになってしまう。そういう二面性をもった成湫です。
ええ、今も二面性はあります。だけど、行弘のこと盗撮したり盗聴したり、先回りして行弘の周囲を操作したりしてるわけですから、完全に二面になってはいないでしょ。バイト君撲滅のために、身を粉にして奮闘して、それでも失敗しちゃってダメダメな成湫… そういうのが見てみたいんです
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私の好きな、社会人×学生のお話です。素直に、面白かった!

恋はひそやかに始まる
いとう 由貴
講談社 (2004.11)
ISBN : 4062557673
価格 : \609




【こんな話】
岩瀬秀秋は、5歳のときに母を亡くし、双子の妹・奈緒美と一緒に叔父・俊哉の許で育てられた。叔父に引き取られる前は養護施設で暮らしていたのだが、そこで何度か秀秋の相手をしてくれた優しい "おにいちゃん" の想い出が秀秋の心から消えることはなかった。
そして14年後、叔父の経営する探偵事務所に依頼人として現れたのが、他でもないその "おにいちゃん" 深尾一成だった。驚く秀秋をよそに、仕事の相談は進められ、なんと秀秋が女装して一成の恋人役を務めることになってしまったのだが…。

【ひとこと】
再会モノです。

一成は、百貨店の御曹司。本人に結婚する気はないんだけど、親がうるさい。そこで、「付き合ってる女性がいるように装い、親の目を誤魔化したい」それが依頼の内容でした。
内向的な秀秋は、幼い頃の一成との想い出を支えにしてここまで成長したようなものだから、突然の一成との再会に、胸バクバクなわけです。この反応があまりにも可愛くて、すっかり秀秋に同化してしまいました。

「もう自分のことなんか、忘れてしまったんだろうか」と気分も沈みがちな秀秋なのに、一成は容赦なく冷たい。秀秋が傷つくようなことを言ったりもする。あとから思えば、これは一成なりの予防線だったわけですが、そんなこと考えもしない秀秋は悲しみのどん底に。一成が、アンブロケトゥスを「知らない」と言ったときは、私まで暗くなりました。

一成は、結局はお坊ちゃまなんです。秀秋を傷つけるたびに、反省はするんだけど、結局は感情のままに行動してしまう。トシとってるくせに、なんかよくわかってないんだなぁ。
でも、女装までした秀秋はもう怖いものはナシで、ありったけの思いを一成にぶつけたことで、お坊ちゃまも自分の気持ちに素直になれました。
この場面、去ろうとする秀秋を一成が追う、「信じてくれ!」「もういい!」「待て!」「放せってば!」といったやり取りが、非常に滑稽です。ふたりとも、子どもなんだもん。思わず、ええから早よせい! と言いたくなります。

そして、晴れて二人は恋仲になるのですが、ここからも面白すぎます。私、大っぴらに笑えない場所でこの本を読んでいたんです。でも、思わず吹き出しちゃったところがあって…。

マンションでひとしきりイチャイチャしたあと、一成は「今日はこれ以上、手は出さない」と誓います。でも、秀秋はそんなこと知らないもんだから、どうして離れて座るの? 隣りに座っていい? としつこく迫る。弱った一成がどうしたかというと 「ダメだ、そっちに座りなさい!」なんて怒鳴ってるんですよ。
あはは、もうここがおかしくっておかしくって。

だけど、このあとは、なんだか別人(=ただのエロ男)に。ちょっと違和感あり(笑)
お坊ちゃま、実は経験豊富だったのかなぁ… なんて、ちょっとひっかかったりもして。でも、すっごくハッピーで優しくて楽しいストーリーでした。
(★★★★★)


【ここはぜひ突っ込んでおきたい】
「大人ってすごい」、2回ほど秀秋が口にする言葉です。でも!秀秋だって19歳なのに、ちょっとハードなキスされてこんなこと言うかしら?
ま、そんな秀秋がまた可愛いんですけど。

秀秋が秀秋なら、一成もよくわかりません。両親に秀秋(扮する彼女)を紹介したときも、親の目の前でイチャイチャイチャイチャ…、これは芝居だったのか、本意だったのか。
最後だって、叔父さんや友人に一成とのことを打ち明けたときも、面前でキスしちゃうし。どういう人なんだろう、御曹司。

最後に。叔父さんの俊哉。気になりますねぇ。十中八九、彼はゲイでしょう(断言)
お相手は上原…だよね、やっぱり。

このシリーズを読んだことのない方へ。
異世界トリップものです。でも 「マ王!」のように完全なファンタジーの世界ではなく、半異世界とでもいったらいいのかな。
歴史上の人物がきちんと存在する世界。そこへ、イギリスに住む日本人の少年が迷い込んでしまうお話です。
もう7冊にもなっているので、なかなか手が出せないかもしれないけど、とっても素敵な作品なので、ぜひ読んでいただきたいです。


Flesh & blood 7
松岡 なつき
徳間書店 (2004.11)
ISBN : 4199003223
価格 : \540




【思ったことあれこれ】
やっとプリマスに帰ってきました。
言葉どおり、地に足が着いて、みんなホッと一息。

さっそく、カイトと二人きりになろうとするジェフリーですが…。
ナイジェルが可哀想でしたね。いくら親友でも、そこは譲れないということなのか。
ナイジェルの家でそんなことをするわけにはいかない、とはいっても、一晩くらい一緒に過ごしたって…。
このとき、3人の思いは違っても、それぞれが気まずさを覚えながら別れたでしょ、これがナイジェルの最後の行動に、少なからず影響しているような気がしました。
ナイジェルの心が、もう少し満たされていれば、カイトとふたりでホーの丘へ行ったりしなかったんじゃないかって。ナイジェルは、ジェフリー抜きで、カイトと一緒に過ごしたかったんだと思うんです。
外見とは裏腹に、ナイジェルの内面はすっごく熱いんですね。だから、ジェフリーはあんなに心配していたのかもしれません。

でも…。ホーの丘なんか、行かなければよかったね、本当に。
ビセンテはしつこい。でも、その気持ちもわかる。出逢う順番が変わっていたら、自分がカイトを保護し、ジェフリーから守って闘っていたかもしれないのだから、納得はいかないですよね。(ジェフリーも同じようなこと言ってたっけ。もしかしたら、自分がビセンテみたいになってたかもって)
また離ればなれになってしまったけど、素敵な恋人や仲間を得て、すっかり逞しくなったカイトなら、きっと大丈夫! だから、一日も早く、ジェフリーとナイジェルで迎えに行ってあげてね、お願いします。

さて、読者の10割が気にかけていた、ジェフリーとカイトの初めての一夜。ジェフリーは心からカイトが好きなのね…、安心しました。これだけ。(笑)

リリーのエピソードは、とっても嬉しかったです。
カイトも勇気100倍になりましたね。それに、リリーが元の世界に帰りたがっていなかったのも嬉しい。ヒッピー気質なのも Good♪
(★★★★★)


海斗「ガンズ……じゃなくって、ストーンズ」

BEGGARS BANQUET
Rollong Stones
originally released in 1968


友だちに貸してもらって、あんまりよかったので、自分でも買ってしまった本。


幸福(しあわせ)のカテゴリー

西村しゅうこ
コアマガジン (2002.6)
ISBN : 4877345396
価格 : \680




【こんな話】
大手新聞記者の土屋は、自分の書いた記事のせいで、友人の深沢を自殺に追い込んでしまった。その後、会社を辞めて小さな通信社を始めた土屋は、二年間かけて、福沢の息子征久(ゆきひさ)を捜し出す。深沢への償いの思いもこめて、征久の面倒をみようとする土屋だったが…。

【ひとこと】
高校を中退している征久と土屋は、ちょうどひとまわり違うくらい。このくらいのトシの差カップルがやっぱり好きな私です。

いきなり知らない人間に「俺のところで働かないか」と言われたら。
普通なら、こっちが相手を疑いますよね。この人 信用して大丈夫なのかな、とか、なんか裏があるんじゃないか、とか。
でも征久は逆なんです。「あんた、人のこと疑ったことないの?」って。自分のことを信用していいのか、って訊くんですよ。
死んだ父親を悪く言う元同僚や近所の人、手の平を返すように冷たくなった友人たちが、彼をそんなふうにさせてしまったんですね。
ある程度は覚悟してたとは思うけど、土屋の受けた衝撃は大きかったはず。この青年をこんなふうにしてしまったのは自分なのだから。

その後、しばらくは父親の真似事をしていた土屋の感情が、愛情へと変わっていくのですが、実はここのところがよくわからない私です。
土屋に遠慮して出て行こうとする征久を引きとめて、「一生面倒をみたい」 と体を繋げてしまうんです。これは、引きとめるための手段だったのか、それとも父親のように接しながらも、だんだん可愛くてしょうがなくなって、違う目で見るようになってしまっていたのか。
私の読み方が足りないんでしょうけど、みなさんはどんなふうに思ってらっしゃるのか知りたいところです。

そのあとは、邪魔が入ったり(←女性)、事件があったり、ちょっと誤解があったりで、ハラハラするけれど、単行本だから大丈夫。ハッピーエンドです。
ただ最後のページで、無理に「幸せのカテゴリー」という言葉を使わなくてもよかったんじゃないかな。それがなくても、じゅうぶん表現できてると思うから。

描き下ろしのミニストーリーが可愛いです。高校生男子の水着姿にクラっとくる30間近(推測)の男が…、ふふ。
いたって、真面目なお話なんですけどね。
(★★★★★)

ミスポリで、成湫の悪行三昧をフォローする、マンションの大家 乙彦と弁護士 刈谷のお話です。最近は、もうお笑い担当みたいになっている大家さんだけど、ここでの二人はクールです。大人の恋。



夜しか泳げない
竹内 照菜 / 竹内 照菜著
オークラ出版 (2001.3)
ISBN : 4872787374
価格 : \880




【こんな話】
不動産屋を営む乙彦は、元左翼系ゲリラ。危ないところを、組長の息子 成湫に助けてもらってから足を洗い(洗ってないか・笑)、成湫の傍に身を置いていた。そんな乙彦が裏の仕事を依頼しているのが、弁護士の刈谷啓介だった。

【ひとこと】
夜しか泳げない、というのは、すなわち、陽の当たるところでは暮らしていけないという意味。過去と一緒に戸籍さえも捨ててしまったような自分と、啓介とは住む場所が違うからと、どんなに愛情をほのめかされても、からかってるかのようにはぐらかす乙彦が、不憫なような焦れったいような。

でも、表向きはそんなでも、啓介のことを心から愛してしまっているから、啓介に害を加える奴は、どんなことをしてでも(もちろん犯罪でも)潰す。すごく残酷なんだけど、報復してる様子が、ひどく悲しいんです。成湫がユキのために復讐してる図は、恐怖8割強+せつなさ2割弱って感じですが、乙彦の場合はただひたすら悲しいの。
でも、その想いは、どんなに我慢しても大きくなるばかりだったし、啓介だって乙彦を好きになる以上は腹を決めていたんだろうし、結ばれるべくして結ばれた二人という気がします。

このお話には、まだ大学生の成湫も出てきます。
ユキに出逢った頃です。"ユキは綺麗で上等だから" 自分にはふさわしくないと、好きになることさえあきらめようとしている成湫に、乙彦は自分を重ねます。そして、そのあとで泣くんです。不安そうな成湫を見ていたら、自分も心細くなってしまったんでしょうね。でも、ふと我に返れば、啓介にそっけない態度をとってしまう。
私には、わかりにくい感情だったけれど、胸がつまる思いで読みました。なのに…
このあとちゃっかり、ユキを同じマンションに住まわす作戦が始まっちゃってるんですよね(苦笑)

最終的に、啓介も "夜の海" に身を投じることになるわけだけど、こんな官能的なふたりの行く末がミスポリで描かれていると思いきや…(以下省略)
それに、円陣闇丸さんが描くクールで色っぽい二人は素敵すぎて、本編で成湫にいいようにされている、ちょっと情けないふたりとは同一人物と思えなかったりして。

【ヒトリゴト ダカラ キキナガシテネ】
ご存知のように、ミスポリ(竹書房 刊)ではイラストをめぐって騒動がありました。小説はストーリーが勝負とはいえ、イラストのもつ影響力というのはかなりのものです。新しいイラストレーターさんによる改装版も出るとのことですが、Fさんのイラストでミスポリと出会った読者にとって、既にできあがってしまった成湫&ユキのイメージを取りのぞくことは容易ではないのです。たとえ、それが他人の作品を真似たイラストであったとしても、与えられた読者に選択肢はなかったのだから。

私は、ミスポリの5冊目と一緒に、この「夜しか泳げない」を買い、今までと違う方のイラストを同時に2種類見たことで、ちょっと救われた気がしました。
(★★★★☆)

シリーズで刈谷をよく知ってから読んだほうがいいかもしれません。

ちょっと辛口になってしまうかも。


恋はある朝ショーウィンドウに
金丸 マキ
徳間書店 (2004.10)
ISBN : 419900324X
価格 : \540



今日は辛口。

【こんな話】
ブティック店員の流星(りゅうせい)は、バーで男に声をかけられる。失恋してヤケになっていたこともあり、そのまま関係をもってしまったが、翌朝、一晩限りと思っていたその男 鮎川が、店まで訪ねてきてビックリ。
流星が好きになったという鮎川は、何度も店を訪れ、たくさんの洋服を買っていく。
連日、強気でおしてくる鮎川に、調子を狂わされながらもつっぱねていた流星だったが…

【ひとこと】
3日連チャンで、バーで出会う話だ…(笑) ま、それはいいとして。
読んでいて、なんか前にもあったなぁ、このイライラした感じ…とひっかかっていたら、思い出しました!
某メイドシリーズの稔に似てるんだ、流星って。

強気の受けキャラが嫌いなわけじゃないんだけど、あまりに反抗的でうるさすぎるとダメです。
相手の愛情を、なかなか受け入れられないのはしかたない。ただ、キャンキャン吠えたらダメ。受け入れられないなら、じっと悩んでて欲しいんです。
鮎川が店に来るたび、機関銃のように喋りまくる流星に、いいから早く素直になれ!とひたすら念じる私でした。

さて、こういうキャラが素直になるには、「病気になる」 これが定番。流星が風邪をひいて、束の間かわいらしくなるところでは、やっと一息。
しか?し!一晩過ごして夜が明けて、風邪が治ってみりゃ、また大騒ぎしてるじゃん、この男。
このあたりが、何度寝てもゴチャゴチャとうるさいメイドの稔に似てるんですよ?、ふぅ。

しまいに流星の元恋人 佐藤が出てきちゃったときは、もう本を閉じそうになりましたが、その後の展開はせつないです。これでもかと、こじれます。
でも鮎川が大人だったから(流星よりふたつも下なのに、ぜんぜん大人!)流星も素直になれたんだと思います。
これからもお幸せに。

最後、タイトルの本当の意味がわかって、じんときました。
(★★★★☆)


オビのセリフにひと言。
「そんなふうに煽られたら、やさしくなんてできないよ?」
これは鮎川のことば。私、ちょっと愛想尽かした感じの冷たい台詞だと思ってたんです。だけど、ぜんぜん違いました。甘々シチュエーションでした?、うふふ。

表紙がゴージャス。

桔梗庵の花盗人と貴族
遠野 春日
大洋図書 (2004.11)
ISBN : 4813010385
価格 : \903



【こんな話】
(bk1の内容説明より)
芦名子爵家の嗣子・胤人と資産家の息子・千葉重貴(しげたか)は最初から互いに反感を抱いていた。だが、友人の悪戯により胤人(つぐと)がそうとは知らぬままいかがわしい店に入った日、背徳と官能に縛られた二人の新たな関係が始まる…。

【ひとこと】
↑の "いかがわしい店" というのは、おわかりのように、同じ嗜好の人間が相手を探すお店ですが、そこで思いもかけず出くわした相手に弱みを握られて虐められる、というのは、昨日の本とまったく同じシチュエーションですねぇ。

中年男に絡まれている胤人を助けたとき、重貴は、このまま胤人をほっとけない、って思ったというんです。日頃から疎ましく思っている胤人とはいえ、見て見ぬふりはできなかったって。なのに、もう?やりたい放題ですよ。
遠野先生のイメージする重貴は、どんな男なんでしょう。私は、"スカートめくりする男の子" といった印象を受けました。
好きな子のスカートをめくるんじゃなくて、そうだなぁ、優等生で学級委員の女の子をちょっといびってやれ、みたいなね。そしたら、あらら、好きになっちゃったってやつ。
読んでいる側としては、重貴が酷いことをしながらも、しょっちゅう胤人にクラっときちゃってるのが救いでした。

意外だったのは、胤人が重貴に別れを告げたときのこと。
私、ここで重貴がここまでショックを受けていたとは思っていませんでした。
だって、胤人が終わりにしてくれ、って言ったあと、何も言わずに部屋を出て行っちゃったでしょう。だから、なんとも思ってないのかなって。でも違ったんですよね。
あそこの胤人が本当にかわいそうだったから、ちょっと嬉しかったです。

ラスト。
あれこれと言葉にしなくても、お互いの想いを確認しあえる二人が素敵でした。
重貴の言葉に素直に頷く胤人と、今までのことを謝罪する重貴、そこに挟まってるイラストもなんともいえなくて、あ?よかったなぁって。

さて、脇キャラについて。
誰に腹が立ったって、楢崎でしょうか。
胤人をそんな店に誘っといて、特に反省する様子もない。枕詞は "悪びれることを知らない男" ですから…。
なんか、出てくるたびに(数回しか出てこないけど)妙に気に障りました(笑)

あと、弟の宗篤。
案外、すごい変態かもしれませんよ、この人。兄がめちゃくちゃにされるところが見てみたい、なんてしらっと言うんですから。
こっそり桔梗庵まで跡をつけていって、一部始終を覗き見していそうです、怖っ。
(★★★★☆)

ジャンルは、私の好きな、捨て子系。
表紙イラストも、ちょっと妖しくて素敵。


金の鎖が支配する
桜木 知沙子
徳間書店 (2004.3)
ISBN : 4199002995
価格 : \560



こんな話】
(裏表紙より抜粋)
専門学校講師をしている各務(かがみ)は、教え子の河本に毎晩のように抱かれていた。
親友への禁じられた想いを隠す代償として…。

【ひとこと】
話は、各務が教え子の河本と、あらぬところで出くわすところから始まります。
そして、ゲイであること、親友の北嶋に惚れていること、そして、その北嶋が結婚することになって傷ついていることを弱みに握られ、河本のマンションに軟禁されてしまいます。

あとになって河本は、このときの自分を「ただの気紛れだった」「いい遊び道具ができたって思ってた」と振り返るんです。
でも、思えばこの頃から、河本はマンションでの一人暮らしを淋しく思ってたんじゃないかな。
派手で、不真面目で、ぜんぜん勉強しなくて、夜もほっつき歩いてばっかりで、イイのは顔だけ!みたいな男の子なんだけど、実は辛い過去を抱えてて。
強がって生きてるんですよ←ツボ

まず、最初にふたりの気持ちが通い合ったのは、河本が風邪をひいて寝込んだとき。
ひどい目にあってるくせに、かいがいしく看病する各務には、泣けます。
そして、河本が少しだけ自分の身の上話をするんです。
小さい頃、いつもひとりぼっちで、病気になっても誰にも構ってもらえなかったって。
そんな話を聞いて、各務が「偉かったね」っていうところがなんとも好きです。

各務も河本に、身の上話をします。
両親にありのままの自分をさらけ出さなかったことへの後悔とか、自分がゲイだと気づいた経緯だとか。
河本はそれを聞いて、疎遠になっている母とやり直そうという気になるんですが、もうこの辺までくると、最初の頃のおっかない河本はどこにもいなくて、優しい顔をするようになっていて、読んでいてほんわかします。

そして、私のいちばん好きなところ。
河本に合コンの誘いが来てるのを知った各務が、言っておいでって言うんです。
でも、各務の心中は穏やかじゃなくて、行ってほしくないって思ってる。
それを自分では自覚してないんだけど、「せつなく思う」とは認めてる。
で、自分も親友(北嶋)と飲みに行くから、なんて作り話をしてごまかす。

そしてですね、
各務が足取りも重くマンションに帰ると、合コンに行って家にはいないはずの河本がいて…。
ここがドラマチックなんです?。
リビングのドアが勢いよく開いたところから、流れるように場面が展開していきます。詳細は書きませんが、ひとつだけ。
この時点で、軟禁されて数ヶ月経ってるはずなのに、このとき二人は初めてキスするんです。今まで、そんなことにはまったく触れられてなかったので、読んでびっくりしました

最後、お互いの気持ちを言葉にするシーンの会話がまたいい感じです。
軟禁ものだけど、乱暴な雰囲気はほとんどないので、苦手なかたでも大丈夫かと。
(★★★★★)

秋月さんのサイト "月と凌霄花" で、榎田尤利先生の作品についてのレビューを読ませていただいたのがきっかけで、ここ2週間くらいのうちに、もう7冊も買ってしまいました。今日は、その中の一冊。イラストが、紺野けい子さんです。


放蕩長屋の猫
放蕩長屋の猫
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5. 1
榎田 尤利
大洋図書 (2001.12)
ISBN : 481300878X
価格 : \903



【こんな話】
まひろと遊真(ゆうま・年下)は、つきあって三年半の恋人同士、下町の "放蕩長屋" で暮らしていた。浮気癖のある遊真は、ここ最近遊んでばかりいて、まひろはなんとなくそれを許していた。
でも、まひろの我慢にも限界があって…

【ひとこと】
つかみが弱い というか、とっかかりがない というか、話に入り込むまで少し時間がかかりました。
ストーリーが、二人がぎくしゃくし始めたところから始まっているからなのか、落ち着かないんですよ。

まひろは29歳、遊真は27歳。
年下とはいっても、27歳のいい大人が、わがまま放題やってるのにかなり腹が立ちました。かと思えば、まひろは自分の感情を抑えこんでまで、そのわがままを許してやってる…。

遊真は、浮気したってまひろにはバレないだろう、バレても許してくれるだろう、程度にしか考えてないんです。でも、だからといって、まひろのことを軽んじたり、甘く見たりしてるわけでもない。
あくまでも、いちばん大切な人は、まひろで、浮気はただの遊び。悪気がないから、よけいダメだと思いました。バカなんです。

私自身、まひろを少し甘くみていたので、ついにキレはじめたときの彼の冷たさにはちょっとびっくり。興奮して遊真を責め立ててるわりには、冷静なところもあって、意外でしたね。怒らせたらめんどくさいタイプです。

普通はこのあたりで、優しくて頼りになる友人が出てきて、二人の中を取り持ってくれたりするんだけど、この話は脇キャラが一癖も二癖もあって、やきもきします。
まひろのことが好きな幼なじみの春彦も、昔まひろのことを好きだったやっぱり幼なじみの千鳥(女)も、手放しで二人を応援してくれるわけじゃないし、まひろを勘当中のお父さんも頑なだし。
おまけに、遊真の浮気相手(女)まで、ヘンに絡んでくるし。

結局、ふたりのが元通りになったのは、遊真なりに一生懸命努力したおかげかな。
ま、自業自得ではあるけれどね。

ラストで。
まひろが、これからの二人について、永遠の恋について考えるシーンがあります。
永遠なんてありえないと思いながら、「永遠に、お前だけだよ」と言葉にしたあと、

"変わらない思いなどない。けれども変わっていく可能性に気を取られて、今この瞬間の大切なものを失うのは、間違いなく愚かなことなのだ。"

って、まひろは考えるんです。これ、深い。
実は、この話はそんなに好きじゃないです。だけど、ここはすごく心に響きました。
(★★★☆☆)

たけうち先生のファンタジーです。前後編。


ウスカバルドの末裔
たけうち りうと
講談社 (2004.10)
ISBN : 4062557401
価格 : \578



【こんな話】
庭師の息子カノンは、父の使いで王宮を訪れた際、王ランキアに出逢う。
ランキアはカノンを気に入り、カノンも王を慕い、カノンは王のそばで暮らすことになった。
ランキアには弟アリルがいた。豪奢で放蕩なアリルは、ある思いから兄の暗殺を企てる。

アリルの企みは失敗に終わったが、その罪を問われ、アリルは流浪の刑に処された。
生涯、旅をし続けなくてはならないという重刑だが、アリルはその旅に、兄のお気に入りであるカノンと、楽士バルを同行させることにした。
初めは、何かとカノンに冷たくあたっていたアリルも、旅が進むに連れ、心を開くようになり…。

【ひとこと】
ランキア王と、弟のアリル。
傍目には、穏やかに暮らしているように見えるこのふたりが、実はとても孤独で寂しいのです。
ランキアは、アリルが可愛くて大事にしてあげたくて、政治やその他の面倒なことから彼を遠ざけていたんです。でも、そんな兄の好意を、弟は「自分を排除しようとしている」ととってしまっいました。
ランキアは、自己満足に浸っていたのかもしれません。もっと単純な方法で、弟への愛情を表現していれば、こんなことにはならなかったのに。
ハッピーエンドを信じていた私には、悲しすぎる展開でした。

"何故兄が来るまで待てなかった"
待てなかったのではなくて、"待た"なかったのか、待ちたくなかったのか、それとも待つ必要がなかったのか。
アリルは満足して死んでいったのかもしれないけど、ランキアの思いが行き場所をなくしてしまったようで、かわいそうでした。

主人公(カノン)のことも書かなくてはね。
カノンとバル、不思議な関係でしたね。
バルにはフィアナの封印(?)がまだわずかに残っていて、息子のカノンと一緒でないと、水をうまく扱えないってことですよね。
能力を制御できないで困っているバルは、ちょっと不憫な(でもかわいい)感じ。
でも、これからはずっとカノンと一緒だから、それもいいんじゃない?
水のトラブルを診て廻ってるなんて、水道局の人みたい(笑)

旅が終わって。
カノンが村に帰ると言い出したのは、アリルへの思いやりでもあるのかな。
最期のときアリルがバルに、"カノンを大事に"って言ったから、バルと一緒にいることを選んだんだと思います。
ランキアもそれをわかっていて、許してあげたんですよね。
カノンが庭師として、ふたたび王の前に現れるのは15年後。
先は長いけど、それまではバルが王都を訪れて、カノンの近況を歌にして聞かせてあげることでしょう。
(★★★★☆)

このかたの描く、悩める青少年はいいですね。


どうして涙が出るのかな

山田ユギ
幻冬舎コミックス (2004.6)
ISBN : 4344804171
価格 : \620



【こんな話】
泉谷は普通の中学2年生。
ある日、同級生の早川に突然キスされて仰天。
じぶんのことを好きだという早川に、腹が立つやら気になるやら。
しかし、泉谷があれこれ考えをめぐらせているうちに、早川は、転校していってしまった。
その後、ふたりは高校で再会することになるが、程なく早川は再び姿を消してしまい…。

【ひとこと】
泉谷をさんざん煽っておきながら、なんのことわりもなく目の前から消えてしまう早川。
泉谷にしてみれば、タヌキに化かされてるようなもんです。
いくら家庭の事情があったにしても、泉谷の気持ちの変化に気づかなかったにしても、早川の行動はあまりにひどいんじゃないの? そう思いました。
でも、よくよく考えてみたら、高校生の「好き」って、こんな感じですよね。
大学生や社会人なら、遠くまで会いに行くこともできるけど、高校生にはお金も自由もない。しかも、男の子だったら余計あっさりでも仕方ないのかもしれない。
大人の強引な愛(特にBL)に慣れきってしまったせいで、なかなかそれに気づきませんでしたよ…。

タイトルは「どうして涙が出るのかな」だけど、泉谷が泣く気持ちも、早川が泣く気持ちも、「どうして」どころか、痛いほど伝わってきます。
いちばん好きな涙は、早川の舞台を見て、泉谷が流す涙かな。

社会人になって、泉谷も強くなりました。
会いに来てくれた早川に、「帰れ」だの「(会社に)来たら絶交」なんて強気なことが言えるのも、早川のこと、信じてあげられるようになったからだよね。
よかった。幸せになってください。
エピローグ、よかったです。

あ、表紙も素敵です?。(ふたりの)結婚式…だよね?
早川じゃなくて、泉谷が花くわえてるのが嘘っぽくてオツです。
口絵は、この服装この立ち位置のまま、泣いてる早川の鼻を泉谷がふいてあげてる絵なんですけど、これもまたよし!
ちょっとバンデージ(@何でやねん!)を思い出しますね。
(★★★★★)

エッチは最後にほんのチラっと出てくるだけなので、苦手なかたもどうぞ。

ところで、竹脇 蓮くんが気になるのは私だけですか。
氷帝学園の忍足侑士をまっ白くしたようなこの人。
滝口が、同学園テニス部の部長に見えてしかたありませんでした(笑)



毎日晴天!シリーズは大好きだけど、読むとなんとなくもやもやした気持ちになります。
それは、たぶん私がひとりっ子だから。
私、きょうだいって全然わかんないんです、どんなものなのかも。
だから、これを読むと、うらやましいやら、悔しいやら、悲しいやら、心がざわざわします。
小さい頃に感じた、きょうだいに対する憧れとか、羨望とかが、次々と思い出される感じ。
それは、決していい気分じゃないんだけど、やっぱり読んでしまう。
ひとりっ子のかたで、そんな人はいませんか。


花屋の店先で
菅野 彰
徳間書店 (2002.2)
ISBN : 4199002189
価格 : \560




【こんな話】
花屋の龍兄と明ちゃんの、その後の物語。

【ひとこと】
明ちゃんのことだから、きっとそうだろうと思っていたけれど、やっぱりまだまだ初々しいお付き合いをしてたのには苦笑。
でも、そこに、龍兄の"本気"を見ました。

かなりラブラブな話を期待していたのに、それどころか、むしろ暗いです。
大河や丈はもちろん、やや軟化してきたとはいえ真弓も、まだまだ2人の交際には反対で、今回もひょんなことから大騒動になっちゃうし。

「結婚しないのは、明信がいるからじゃない」

そんなことをハッキリ言う龍が、最初は理解できませんでした。
そこへもってきて、明ちゃんが 「龍兄には結婚して父親になってほしい」 なんて言い出すのがまた悲しくて、先を読むのがイヤになったくらいです。
読み進めていって、二人の思うところを知ったあとも、納得したようなしないような…
でも、赤ちゃんに対する思いを引きずる龍兄は、ある意味、男らしくて素敵だと思います。
そういうこと、いい加減に済ませてしまったり、忘れてしまったりする人は多いから。

明ちゃんの本心は…?
明ちゃん自身も、どうしたらいいのかわからないんじゃないかな。
もしかしたら、龍兄とこんなことになってしまったことも、まだ思案中かもしれない。
でも、丈もいままで思ってたことを明かしてくれたんだから、明ちゃんも今度こそ素直になって、自分の気持ちに正直に生きてごらん…って思います。

丈が、とにかく痛々しかった。
「オレの…うちの明ちゃんじゃなくて、龍兄の明ちゃんなのか?」
ってところ、そして、花屋の店先で、
「帰ろ…明ちゃん」 って手を差し出すところでは、もう涙々。
ほんとに、帯刀家のきょうだいは仲がいいんだなぁって、妬けます。

しかし。
私からすると、なんの解決もつかず終わってしまったような感じで、スッキリしません。
だけど、龍兄の 「おまえを待つよ」 ということばを信じつつ、2人の幸せを祈っていこうと思いました。
菅野さんも、この続きを書く予定はないっておっしゃってます。
願わくば、このシリーズが終わるときに、さらっと二人の近況にふれてくれたら嬉しいな。
そのときに、一緒に花屋さんをやっててくれたら、もっと嬉しい。

同時収録は、「末っ子の珍しくも悩める秋」。
高校卒業後の進路に迷う真弓が、大河の出版社や明ちゃんの大学、丈のジム、勇太の仕事場など(秀の仕事ぶりも一応見学)を訪ね歩くお話。
お笑いポイントはあちこちにあるものの、こちらも上記の「店先」と同じく、もの悲しい話になっています。
高3なんて、まだまだ自分の行く先が見えてなくて当たり前だと思うんだけど、らしくもなく深刻になる真弓。 真弓には、兄たちや勇太が、やたらしっかりしてるように見えてしまうんでしょうね。
迷ってるうちがいいと、年寄りな私は思います。
大河だって、まだまだ若いんだもの。まだまだ、たくさん悩んでいいんだよ。

お気に入りは、出版社に大河を訪ねるシーン。
「最近、寂しい」 と打ち明ける大河がせつないです。まだまだ、真弓の世話をしたいし、ずっとずっと一緒にいたいんです。決して
「元気でいてくれりゃ充分」
だなんて思ってないの。それが真弓にもわかるから、なかなか結論は出ないのです。

もうひとつの好きなシーンは、最後のほう、龍兄の花屋に、期せずして4人集まってしまうところ。
龍兄にからむ勇太がかわいい。んでもって、ラストの優しい勇太も大好き。
(★★★★☆)


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"からくれないのロマンセ"と読みます。王朝ロマンセシリーズ外伝です。
bk1に、秋月先生のコメントがあります。


王朝唐紅ロマンセ
秋月 こお
徳間書店 (2004.6)
ISBN : 4199003088
価格 : \660



これが学園ものだったら。
品行方正な優等生くんが、どうしようもない不良の先輩に、いいように振り回されている……
そんなところかな。
もちろん、優等生くんは藤原国経、先輩が在原業平です。
つかみどころのない業平に、かわいそうな国経は、怒ったり泣いたり、もう大忙しです。
そして、気の毒なのが、心が(カラダも)通い合ったあとも、「自分は次善の策」と割り切っているところ。
本当は、業平の気持ちはどうだったんでしょう。
国経にかくまってもらったあたりから、千寿への気持ち35%、国経への気持ち65%くらいに変化してたらいいんですけど。
それとも、国経が千寿と似てるのを、照れ隠しに利用してただけで、ほんとは「次善」じゃなくて「最善」だったならいいのに…。

でも、自分の将来を捨てても、業平のために行動しようとした国経に、業平が
「俺はこれ以上、お前を巻き込みたくない」
って言うでしょう。
普段の業平じゃ、ぜったい言わない。
だから、さらっとあんなことを言い出したときは、ああ このふたりはもう大丈夫なんだなぁ?って嬉しかったです。

あ、ちなみに、業平が国経の屋敷にかくまってもらうところは、
先生やら他校の不良グループに目をつけられて行き場をなくした先輩を、優等生くんが助ける感じ?(笑)
推薦入学がダメになろうが、内申書を書いてもらえなくなろうが、「僕は在原センパイのためなら何でもします!」ってね。
読んでみたいわ、「唐紅高校物語」。サブタイトルは、"後輩の心、先輩知らず" で。

藤原家が最強だった時代、自分の思うように生きられないゆえのクシャクシャとした気持ちが、ああいった挑戦的な態度や、女あさりのような行動に向けられていたと思うと、業平も可哀想な人でした。

先生がおっしゃってるように、本編を読んでなくても大丈夫です。
むしろ、本編が読みたくなって、それはそれでいいことです。
(★★★★★)


本物の業平の話を少し。
この話にも出てくる、国経の妹 高子。
実際の業平は、高子のおかげで出世してるんですね。
高子が東宮に入内して、その子ども(陽成天皇)が即位した年(高子は皇太后)から、業平はどんどん偉くなっていきます。
その頃、もう業平は50歳のおじさんだけど、高子が業平のことをまだ気にかけていたのだったら素敵です。

その高子はなんと、出入りの僧侶と浮気して、后位を剥奪(っていうの?)されてしまいます。
幼い頃、業平と出逢ったことで、情熱的な性格になっちゃったんでしょうかね(笑)
そしてそして、高子の息子 陽成天皇は、かなりSMちっくな人だったらしいですよ。
鞭で女性を叩いたり、女性を縄で縛ったりしたそうです、きゃっ!
こちらも皇位剥奪です、そりゃそうだろう。

高校の古典の先生が、こういった話をよくしてくれました。
そのときに教えてもらった、業平の辞世の歌はいまでも覚えています。

つひにゆく 道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを

涙が出そうな歌です。享年56歳。
ちなみに国経は80歳まで生きました。
今とは違う、そんな時代、80年はさぞかし長かったでしょうね。

12月に発売されるゲーム S-TRIPPER(ストリッパー)の原作、というので読んでみました。(注:S-TRIPPER は18禁です)


SWEETEST-TRIPPER
内田 一菜
オークラ出版 (2004.5)
ISBN : 4775503278
価格 : \650



【こんな話】
出版社でバイトしている日比野岳生(たける)は、連載小説のあんまりな結末に激怒。
作家である久遠和実の家に怒鳴り込んだ。
抗議の甲斐あって、無事書き直してくれることになったのだが、わけもわからぬうちに、カラダを奪われてしまう。和実はバイだったのだ。
いきなりの展開に、最初は腹を立てていた岳生だが、前々から和実のファンだったこともあり、なんとなく付き合うことになってしまう。

【ひとこと】
ゲームは18禁なので、スチルのエロ度は、もちろん高いです。
でも、単にエロ度で比較するなら、このコミックスのほうが上のような気がします。
(ひとつだけ、うへぇ?と思ったイラストがありました。生々しかった…)
「motto」「ヌーディスト」も読んでみたのですが、内田先生のエッチシーンには妙な迫力があります。
なんていうのかな、目が釘付けというか、金縛りにあった気分というか(笑) 本当に。

主な登場人物は、岳生と和実、そして、ゲームにも登場する、逢田真之介、そして、倉橋光世(こうせい)。
岳生は、行動からもわかるように、単純な男の子。でも、真面目で優しくて可愛い子です。
和実は、う?ん、この本読んだだけではわかりません。
一応、岳生のこと、可愛がって大事にしてるんですけどね。
だって、ゲームは、このふたりが別れたところから始まるんですよ。
岳生が、傷心旅行に出かけるんですって、男ばっかのミステリーツアーに!(大笑)
そして、真之介。S-TRIPPERのキャラ紹介では微妙だったけれど、マンガを読んだら好感度up!
岳生を傷心旅行に誘うのも、この人。岳生に気があるのに、バレないように頑張ってます。だけど、バレてるの。可愛いなー。
そして光世は、久遠の元恋人。なんか、暗い過去を背負ってるようで。

内田先生によれば、マンガ→ドラマCD→コミック→ゲームの順で、話が繋がっているそうです。
確かに、これを読んだら、ゲームをせずにいられないかも。
だって、こんなにラブラブなふたりが別れちゃうなんて、気になるじゃん。
(★★★★☆)

S-TRIPPER に興味をもったきっかけは、岳生の声をあてる荻原(おぎはら)秀樹くん。
夏に出かけた「フルハウスキス」のイベントで、ひと目惚れしてきました。
といっても、遠くてほとんど見えなかったんだけど、それでも、人柄のよさが伝わってきて大好きになりました。
先日も、とあるイベントで逢って見てきました。ほんと、素敵です?

◆内田一菜 先生を含む3人で構成されたユニットの bunny hole studio のHP
http://www.bunnyhole.jp/
一部、18禁コンテンツあり

◆荻原秀樹さんのHP quaalude(クエールード)
http://www3.plala.or.jp/quaalude/
顔も見れる

ストーリーも、麻生海先生の表紙も、本当によかった。


月を抱いた
夜光 花
竹書房 (2004.6)
ISBN : 481241623X
価格 : \600




【こんな話】
直樹には、人に話したくない、話してはいけない過去があった。
それが原因で、恋人の了からも行方をくらましていたのだが、4年たったある日、残酷にも再会してしまう。意外なことに、了は、いまでも直樹のことを愛していた。むしろ一度、逃げられたことで、その愛情は激しさを増していたのだった。直樹も、それを拒まなくてはいけないことがわかっていながらも、話をしたり、体に触れられたりすれば、流されざるをえなかった。

そんなとき、直樹たちの故郷で騒動がおきていることを知る。
帰らなければ… 隠し通してきた秘密がばれてしまう…直樹は、再び直樹のもとを離れ、ひとり故郷へ向かった。


【ひとこと】
よく、人妻が不倫相手の男性からストーカーされた挙げ句殺される…とか、会社の金を使い込んで窮地に追い込まれ自殺する…とか、そんな事件を耳にするたびに、きまって「どうしてこうなる前に、誰かに相談しなかったんだろう」と思います。と、同時に「でも、誰にも言えなかったんだろうなぁ」という、悔しいような諦めのような気持ちになりませんか。

この本もそんな感じ。
とにかく、直樹の秘密が気になって、本を置くことができませんでした。
花に水やりながら、スパゲティ茹でながら、ずっと本を持ってました(笑)

了の愛は、熱いけれど、決して重たくはないんです。でも、了に言えない秘密を抱えている直樹には、辛くしてしかたない。
一方、了のほうも、再会できたものの、またいつ逃げられるかわからない不安を抱えているわけで、ふたりの苦悩ぶりが痛いほどです。

そして、またしても直樹に逃げられた了が、実家まで追いかけてくるあたりからの展開が…。
怒り狂った了が、直樹をホテルに連れ込んで、これでもかと傷めつけるんですが、読んでるこっちが、もういい加減気が済んだのでは…という感じで、なかなか終わらない(笑)
直樹も心の底では、了のことを思っているから、強姦ではないんでしょうけど。
その後、またこっそりとホテルを出る直樹。今度は、決死の覚悟で、過去と対峙しに行きます。可哀想ですよ、どうしたらいいかわからない気持ちが、すっごくよくわかる。

ぜんぶ打ち明けてしまいたい、でもそうしたら、大切なものが壊れてしまうから言えない…、そんな
状態に追い込まれたら、十中八九、最悪な結末を迎えることになると思うんですよ、私。
でも、直樹は了に拾い上げてもらえて本当によかった。息もつかずに読み進んで、最後になって、やっと大きく息をつけたような気がしました。

最後、ふたりの会話がもっと聞きたかったです。
(★★★★★)

満点。おすすめ。

今日は、表紙買い(イラスト:奈良千春さん)の『不条理な男(講談社X文庫ホワイトハート)』です。
この先生の小説は、ちょっと苦手な私。この話も、少しクセがあります。
もう、すっごくヘンな話です(笑) でも、続きが気になってしかたない、助けて?。
ぜひ、続編をお願いします。


不条理な男
不条理な男
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5. 1
樹生 かなめ
講談社 (2004.11)
ISBN : 4062557665
価格 : \609



【こんな話】
室生家十八代 室生邦衛は、自分がルール、惚れやすく飽きやすい(老若男女、モノ問わず)…etc.
お坊っちゃまというより、「お殿様」な男。
その幼なじみ、滝沢秋人(あきと)は邦衛と同居しながら、同じ大学に通っていたが、何かというと邦衛に行動を支配されていた。
いつも自分の傍を離れるな、自分以外の人間と出かけるな、挙げ句の果てには、自分以外の人間と話をするな…
なんとも不条理な話。それでも、文句を言いつつ、それを受け入れている秋人だったが…。

【ひとこと】
邦衛ってば、人前じゃ自分のこと「俺」って言うくせに、秋人の前だと「僕」なんです。
そこが、お殿様のようでいてやっぱりお坊っちゃまなのね、という感じ。
この「僕」のお陰で、邦衛が好きになりました。

読みながら、このまま(邦衛と秋人は)色恋沙汰なしで終わっちゃったりして…と不安になりましたが、秋人の邦衛に対する気持ちが、予想以上に熱かったので満足(笑)
でも考えても見てください。
自分の好きな男が女の子とデートするのに、お前も来いって言われるんですよ。
ホテルにまで着いてこいって言われてましたよ…
そんな傍若無人ぶり、ただの幼なじみじゃとても相手にしてられないけど、かといって、好きな男にそんなこと言われるのだって、どんなに辛かったか。

でも、邦衛の心の内をわかってあげられるのも、やっぱり秋人だけでしたね。
無表情で言葉足らずな邦衛だから、今までもこれからも誤解されまくって生きていくんだろうけど、秋人が傍にいれば大丈夫です。

さて、この話。登場人物が多いです。ボーイズラブにしては珍しく、女性もいっぱい。
でもなんといってもおかしいのは、ふたりの友人 立良(たつよし)です。
最初に「続きが気になる」って書いたのは、コイツのせいもあったりします。

良くも悪くも樹生先生らしいのが、果てしなく続く不毛な会話。
もし途中で放り投げちゃいそうになったら、あるいは、もう放り投げちゃったよというかた、あとのほうになると邦衛のかわいさがアップしますから、もう少しこらえて。
実は私も、このまま終わったらなんだかな?と思いながら読んでたんですが、それまでとは違う邦衛を知って嬉しかった人間ですから。

あー、でもやっぱり気になるなぁ、続き。
やっぱり邦衛が攻めなんでしょうか、とよからぬ期待。
だって、秋人も支配欲に目覚めちゃったみたいだから。
いずれにせよ、ちょっと甘くなったふたりが見たいです(立良カップルも)
…って、ぜんぜん甘くならなかったりしてね、あはは。

奈良千春さんの表紙が、また素敵です。
秋人の充血したような目、"言いたいことはいくらでもあるけど言う気力が残ってねぇや" みたいな口元…。読んでから改めて見ると、笑えます。
(★★+0.5)


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月と凌霄花
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完結しましたね?、『凛 -RIN-!』(画像は3巻)。
「2」が、あんなふうだったので、続きが気になるような、もうどうでもいいような気分でしたけど、最後はやっぱりほっこりした気持ちになれました。


凛(RIN)! 3

穂波ゆきね・神奈木智
徳間書店 (2004.12)
ISBN : 4199602674
価格 : \560



【こんな話】
最初だけね。

弓道部の高校二年生、桂(かつら)は極度の上がり症。
そんな桂の全校公認(!?)の秘密兵器――それは兄の親友で幼なじみの草(そう)!! 人目も気にせず草に抱きしめられると、なぜか一瞬で緊張が治まるのだ。でも甘えてばかりもいられない…。
草からの自立に悩む桂に、親友の香一(こういち)が突然、「俺じゃ代わりになれない?」とキスしてきて!?
(『凛 -RIN-!』裏表紙より)

【ひとこと】
まず、「3」について。
草と香一の絡みがよかったです。

まず、屋上でのシーン。
伝説の主将になること、そして、桂が好きとあらためて告げる香一。
ここの香一はカッコいいのですが、私の中の彼はこういうキャラじゃなかったので、少しくすぐったかった。
飄々としていて、先輩に挑戦的な態度も本気なのか嘘なのか、そんな彼が私の理想なので、こんなふうにハッキリ言われてドキドキしました。

2回目は、道場で久しぶりに会うシーン。
"桂がお世話になってます"とすっとぼけた挨拶をする香一。これこれ、私の好きな香一だ(笑)

3回目は、香一が図々しくも、草の家を訪ねちゃうシーン。
桂を好きな理由を、香一が話します。惚れ? vv
このお茶の間シーンに限っては、草より香一のほうが一枚上手ですよね。

いちばんの香一は、「好きだよ 桂」。本もってる方、p.149ですよ!
ここで、外野(草と高遠)がうるさくしないのがいいです。
まぁ、今さら言うこともなかったんでしょうが。
香一語りは、これくらいにして、と。いちばん好きなキャラなんです(これだけ書いてればわかりますって)

高遠(たかとお)との出会いは、んー…、ちょっと気に入らない。
普通に、弓道部を視察しに来る、じゃダメでしたか? あ、でもそれが再会でないと、ダメなのか… う?ん。

大和や草が大学に進学したら、なんだかんだ理由つけて、3人で(大和・草・高遠)で遊びに来るんでしょうねぇ、しょっちゅう。
そのときには、伝説の主将になって、見せつけてやるんだ、香一!(笑)

それにしても、やっぱりいちばん激しい性格なのは、草だね。
クールな顔して、子どもの頃から培ってきた、桂に対する独占欲はすごい。
大学生になると暇だろうから、桂の下校時刻に合わせて校門で待ってたりするかも。

いわゆる、"萌え"みたいなものは少ない話ですが、この雰囲気は「凛!」ならではの世界だったと思います。
(★★★★☆)

ドラマCDでは、草は鳥海くんだそうですね。それを知って、「ああ、やっぱり草って、そういうキャラだったんだ」と妙に納得したりして。

あとがきのイラストが素敵です。
芝生の上で、お昼寝する草を、じーっと見つめてる桂。
こんな絵が描けたらなぁ。

昨日の続きです。


何でやねん! 2
久我 有加
新書館 (2004.10)
ISBN : 4403520944
価格 : \588



【こんな話】
土屋と相川がお笑いコンビ バンデージを結成して、早9年。
ルックスのよさも手伝って、超売れっ子へと急成長したふたりは、お笑い番組や舞台だけでなく、個人でドラマの仕事までこなしていた。
秒刻みのスケジュールに、ふたりともボロボロ。おまけに、下積みもせずスターになったふたりに嫉妬する者もいて、ストレスもピーク。
しかし、優しいマネージャーや親切な先輩らに支えられ、そして何よりも、土屋は相川が…そして相川は土屋がいれば、どんなことでも耐えられた…のだが。
(ご注意、ここから激しくネタバレします)

そんなある日、小学校時代に相川がいじめられていたことが、週刊誌の記事になってしまう。
頭では、そんなこと笑い飛ばせばいいとわかっていても、頭の中が昔の嫌な思い出でいっぱいになる相川。
そのうちに、お客さんの笑い声に恐怖まで覚えるようになり、
「土屋に迷惑をかけたらあかん」
自分が相方でなかったらよかった…と自分を責め、仕事を辞めることを決意する相川だった。

【ひとこと】
相川の頑張りが痛々しいほどです。
疲れてもそんな様子は見せないし、不安に思うことがあっても土屋には隠していて。
ついに仕事中に倒れてしまった相川に、土屋は、
「しんどかったな。気付けんでごめん」
って謝るんだけど、気がつかなくて当たり前です。
相川は、"相方として精一杯頑張らないと、土屋に迷惑がかかる" っていうんで、本当に頑張りすぎてたから。

でも、実は、土屋も同じだったんですよね。
自分がそれこそストーカーみたいに誘って、トラウマがあるのも知ってて、コンビを組んでもらったことに負い目があったわけです。
ふたりの互いを思いやる優しさに、ちょっと圧倒されました。

相川が、
「もう仕事できんかもしれん」
ってつぶやいて、土屋が、
「ええよ、一緒にやめよ」って即答するところは、もう感動。
土屋がやりたい「漫才」とは、他ならぬ "相川と一緒にやる漫才" であって、相川なくしては絶対成り立たないものだったんですよね。
相川と土屋も泣いてたけど、私もずいぶん泣きました。

最終的に相川を立ち直らせたのは、(このあたり、賛否両論あるかもしれませんが)私は、高校時代の友人 優勝が訪ねてきてくれたからだと思います。
会って話すのは久しぶりなのに、優勝はふたりのこと、ちゃんとわかってくれてて、相川に "もっと土屋に甘えたらいい" ってアドバイスしてくれます。
「1」でも優しかった優勝だけど、大人になってもっと優しくなりました。

もちろん、コンビ解消はなし、気持ちも新たに再スタートです。
お互いに、程よく頼ることを覚えたふたりはもう怖いものなし、そんな感じです。
最後、ちょっと甘過ぎです?、あてられました?(笑)
(★★★★☆)

もうひとつ収録されている短編が、よいです。
この視点は、久我先生ならではなのです。


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月と凌霄花

家族が関西人だったり、私自身も関西に住んだことがあるせいか、大阪弁には抵抗もないし、むしろ好きなほうです。
でも、小説の中で登場人物が大阪弁をしゃべるのは、なぜか苦手で。
そんな私が、この本はまったく平気でした。とっても勢いのある本です。


何でやねん! 1
久我 有加
新書館 (2004.5)
ISBN : 4403520898
価格 : \588



【こんな話】
高校の入学式早々、「俺の相方になって」と土屋から言い寄られた相川。相川と漫才がしたいのだと言う。
どんなに邪険にしても諦めない土屋に、相川は「俺は笑われるんは嫌や」と断る。
実は、相川は東京の小学校に通っていたときに大阪弁をからかわれたことがトラウマとなり、笑われることに抵抗があるのだった。

そんなことは知らずに、土屋は相川をお笑いライブに誘うのだが、帰り際、なんと東京で相川をいじめた主犯格の女に出会ってしまう。
思わず席を蹴って退場する相川だが、後日、その女が土屋と一緒に、それも楽しそうにしているところを目撃してしまい、ショックを受け…

↑これが1のちょうど半分くらいまでのあらすじ。
相川の「ショック」、これこそまさに嫉妬。もちろん、土屋も同じ気持ちですからね。
その後、土屋とは真っ正面からぶつかり、そしてがっちりと和解(=両想い)するわけです。

【ひとこと】
一応、土屋×相川です。なぜ、"一応"かというと、性格的には土屋のほうがフニャフニャでなよなよしていて、相川がボクシングジムに通うほどの剛健だから。
そんな二人が初めてエッチするとき、お互いに乱れて、何も考えられなくなったような段階になってから、相川が、
「抱くのか、抱かれるのか」
って、考えるところがあるんです。そして、そのあと、"針の先ほどしか残ってない理性で" 「どっちでもええ」って。

ここが、リアルで好きです。
どちらかが経験者ならいいけど、ふたりとも初めてだったらやっぱり迷うでしょう?(推測でしかないけど)
とまどうだけのシーンなら何回か読んだことがあるような気もするけど、こういうシチュエーションは初めてでした。
「抱くのか抱かれるのか」のひとことが、私をずしんと説得してくれました。
ああ、やっぱり迷うんだ!って(笑)
久我先生に感謝です。

土屋が優しいんです。
それも、女の子がもってるような優しさです。
相川が立ち止まってしまったときも、いい子いい子しながら引き上げてあげる、そんな優しさが涙を誘います?。ちょっと泣きました。
(★★★★☆)

さて、土屋の一生懸命なアタックが実を結び、無事コンビを組むことになった二人。高校生コンビ、バンデージとして活動を始めます。

続く


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月と凌霄花

マンガ『純情ロマンチカ』を知らずして読めば、 "ちょっとエッチだけどすごく優しい作家さんと純情な男の子の甘々なラブストーリー" でしかないのだけど。


純愛ロマンチカ
藤崎 都 / 中村 春菊
角川書店 (2004.11)
ISBN : 4044455139
価格 : \540



【マンガを読んだことないかたへ】
受験生 高橋美咲の家庭教師 兼 恋人は、兄(孝浩)の友人で、今をときめく直森賞受賞作家の宇佐見秋彦。
実は秋彦は、孝浩のことが好きだったのだが、紆余曲折を経て(マンガ読んで!)美咲に心動かされ、恋人同士となったのだった。

さて、その秋彦のサイドジョブが、ボーイズラブ小説の執筆。
しかも、登場人物の名は、秋彦と美咲。そう、秋彦は自分の妄想を小説にしたためていたのだった。彼曰く、小説は「趣味と実益と妄想」であって、それを「現実化」したいと思ったことは一度もないそうなんだけど…

【ひとこと】
小説の中の秋彦は、「料理が得意」なんだそうですよ?、実際はリンゴひとつ剥けないくせして。
ガジガジに焦げたオムレツを焼きながら、きっと心の中では、「美咲に上手いモン食わせてやりたいなぁ」とか思ってたんですね。
「現実化したいとは思わない」なんて、嘘です嘘。可愛いじゃないですか、ウサギさん。

でも、ただ自分がいいカッコするだけの妄想小説でもなくてですね、
付き合うのをやめるという美咲に一日だけ付き合ってと頼むところとか、親元へ帰ることになった美咲を呼び戻すところとかは、秋彦の素直な気持ちが吐露されてるような気もして(苦笑)うふふ、えへへって感じです。

でも、美咲からしてみれば、こんな小説が世の中に出回ってるなんて、もう耐えられないっていうのもわかります。
だって、小説の中の美咲が「秋彦さん…」って口にするだけで、私たちはいちいち面白いんだもの(笑)
たとえば、
"本当は自分でそんなことをするなんて恥ずかしくて堪らなかったが、秋彦が望むならそれも仕方がない。"
↑こんなの読んだら、キレるのも無理ないよね、あはは。

まあ、宇佐見としては、美咲は今のままでもじゅうぶん可愛いけど、もっと可愛い美咲も見てみたい…そんなところでしょうから、あんまり怒らないで、美咲。

さて、マンガのほうはこれからどうなるんでしょう。
私的には、別にこのまま時間が進まなくてもかまわなかったりします。
ふたりが、ケンカしたり仲よくしたり、でもってエッチもしたりして、3歩進んで2歩下がりつつ進んで行ってくれればそれで。
それにしても、4巻の「受賞おめでとうございます」「ありがとうございます」の見開きはよかった vv 今まででいちばんよかった。


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毎日が妄想日

鹿住 槇さんの話って、どうしてだか嫌いな人が出てこないんです。
ライバルも、当て馬も、外野キャラも、なにかしらイイところがあって憎めない…
…いつもそんなふうに思っていたから、この本のあとがきを読んで笑っちゃいました。ご本人自ら、それが"私の基本パターン" って書いてらっしゃる。そうだったんですね。


君からの逃げ道
鹿住 槙
プランタン出版 (2004.8)
ISBN : 4829653701
価格 : \580



【こんな話】
親友の俊樹から、突然告白された勇太は、
「俺は男なのに!」 と逆上、思わず絶交を言い渡してしまう。
それを境に、俊樹は勇太のことを完全に無視し始めて…。
絶対許す気なんかなかったのに、なんでこんな気持ちになるんだろう。「俺、もしかして…」
'97年刊行のノベルスの文庫化。表題作のほか、後日談「君につづく道」を収録。

【ひとこと】
ちょっとイライラしたかな。
まず、まったく聞く耳をもたない勇太に、大いに疲れました。
なぜ、 "男からの告白 イコール 自分が女役" って方向に考えがいっちゃったのでしょうか。
彼が、「女扱いするな!」とキャンキャン吠えれば吠えるほど、なんだか余計に女々しくて、不憫になりました。
勇太のほうに、自覚症状があったからこそ、あんなふうにキレちゃったんじゃないかと思います。
一方、自らの思いを押し殺そうと、勇太との一切の接触を断つストイックな俊樹。
こちらは、もっと疲れました。もっと穏やかに、勇太を想う方法を見つけてほしかったです。

ふたりとも妥協しないのだから、どんどん事態はややこしくなるばかり。
俊樹は、彼女(実はダミー)を作っちゃうし、それを受けて勇太も、先輩(もちろん男)と付き合い始めちゃうし。
好きでもない相手と惰性でデートするだけでも疲れるだろうに、そういうときに限って、街でばったり出会っちゃったりするんですよね。
その重苦しい雰囲気が、読んでて苦しいったら。

さて、こんなとき、鹿住作品には、かならずナイスな救世主が登場します。
今回は、ふたりとは中学のときからの付き合いの、カンちゃん。
カンちゃんが、忍耐強くふたりの仲をとりもってくれたことに、ひたすら感謝です。
どっちにも加勢することなく、あくまでもフェアに話を進めていく様子に惚れた人も多いのでは…(それは私)
カンちゃんの荒療治に、さすがのふたりも陥落。やっとハッピーエンドです。

イライラさせられるものの、会話中心に話が進んでいくので、それほどストレスは溜まりません。頭の中で、高校生がゴチャゴチャもめてる様子を想像しながら、「ああ、しょうがねぇな?」くらいの気持ちで楽しむのがよいかと。
(★★★☆☆)

表紙のイラストは、勇太と俊樹…ですよね?
俊樹と春日野先輩(当て馬)が、似すぎです!
p.65のイラストを見て、俊樹が助けに来てくれるんだ!と勘違いしたのは、私だけではないはずです(断言)


もう、古本屋さんでしか手に入らないのかもしれません。


おとなり
おとなり
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5. 1
月村 奎
白泉社 (1998.12)
ISBN : 4592870816
価格 : \540



【こんな話】
久保田和菓子店と洋菓子屋の「ら・てらす」はお隣り同士。しかし、ワケあって店主同士はいたって険悪ムード。一方、それぞれの息子 久保田博樹と、芳野 哲は親に内緒で、コソコソと友だち付き合いを続けていた。
ふたりは同じ高校に通ってるんだけど、博樹は特待生で哲は普通クラス。
ちょっとおバカで頼りない哲が、博樹はなんだかほっとけなくて…

【ひとこと】
まず本編の「千里同風」。
博樹と哲、そしてもうひとりの友だち勇二、3人の子どもっぽい会話が楽しいです。コロコロと笑い転げる声が聞こえてくるみたい。
なかなか自分の気持ちに気がつかない博樹が、ある日、女の子と一緒にいる哲を目撃しちゃうんです。パニック(嫉妬だよね)に陥る博樹が、自分を正当化しようとしてあれこれ分析しようとするんだけど失敗、自分の本当の気持ちを知ることになります。そこが、いかにも優等生。

親同士は、顔を合わせればケンカばっかり。そんなドタバタの中、博樹が唐突に告白します。笑えますよ?、ココ。
博樹はヘンに冷静だし、コクられた哲のリアクションも面白い。
ふたりの父親も、ますますヒートアップしちゃうし。

エッチはしません。博樹はともかく、哲がまだまだそういう感じじゃない(=個人的な意見)
でも、キスはします。そこが、すっごく可愛くて、何回も読み直してしまいました。

もう一編は、「Every Jack has his Jill」というお話。
これは、哲の兄ちゃん(哲たちの高校の先生)と博樹のお兄ちゃんの話です。
要するに、こっちも結ばれちゃうんです。
哲の兄ちゃんという人が、もう鬼畜一歩手前みたいな男なんですよ。
博樹のお兄ちゃんは、こんなんで本当に幸せになれるんだろうか、かなり不安です。
根っからのMなんでしょうね、きっと<博樹のお兄ちゃん
月村さんっぽくない作品だな、と思う反面、こういう話が下品に終わらないのは、やっぱり月村さんだからなのでは、と結論。
「千里…」で、哲の兄ちゃんがチラっと口にするひと言が、こっちの話にもちょっとリンクしてて、あら?という感じ。
(★★★★☆)

あー、また買ってしまいました。


Double call 6

緋色れーいち
海王社 (2004.11)
ISBN : 4877243801
価格 : \610



『Double call』の復刊も、6巻まできました。
実はこのマンガ、古本屋さんに売ってから、そう月日もたっていないのに、また買い直しています。
どこが好きなのか、自分でもよくわかりません。
とりあえず、表紙の描きおろしは反則、と言っておきます。

4巻を買ったときに、「これでプレゼント*も応募できるし、もう終わりにしよう」と誓ったのに、表紙の犬崎(↑写真)が「つべこべ言ってないで買え」って脅すから…
ちなみに、1と2が出たときは、堀田(2巻表紙)が「買ってくださいね」って。
3と4のときは塔馬(4巻表紙)が「よし、偉いぞ」って褒めてくれました(病院に行け)

友人宅で、1巻を読ませてもらったのが出会いです。
しょっぱな、シャワー室でのいきなりの展開に、なんでよ!?と突っ込みつつも、帰りに自分で本を買って帰ったんだっけ。

今はそれなりにわかってるつもりだけど、初めて読んだときは、誰にも感情移入できませんでした、誰にも。
スポーツ界なのに爽やかさが足りないし(笑)、塔馬の飄々とした雰囲気が許せなかったし、堀田の秋吉への想いもいまひとつ理解できなかったし。
特に塔馬なんて、蒼一郎とのエピソードを読むまでは嫌いでしたから。

好きキャラは、少数派?なのかな、堀田です。
塔馬と秋吉のキスシーンを目撃したとき、堀田がどんな気持ちだったか…。
でも、「千堂がかわいそうだっ!」って、塔馬をひっぱたいて涙流すでしょう、あのシーンが好きです。

さて、ダブコといえば、ドラマCD…なんですよね、やっぱり。
石田くん演じる千堂は、もう伝説になってるようで。
でも私、聴いたことないんですよ。というか、ドラマCDはあんまり聴かない主義。
自分の頭の中で、勝手に音声つけるからいいんです…といえば潔いけど、ホントは、超々々照れ屋で聴いていられないだけかもしれません。
それに、ちょっとトラウマみたいなものもあって。
これに関しては、また日をあらためて書きたいと思っています。

*注 復刊される1?8巻のオビについている応募券4枚で、「特製ミニBOOK&特別編集CD 応募者全員サービス」に応募できます。
また、緋色先生の直筆色紙(好きなキャラを描いてくださるそう)が5名に当たります。
私は、塔馬を描いてもらいたいなぁ。あれだけ文句言っといてよくも…(笑)

10月28日の続きです。


妖魔なオレ様と下僕な僕
椹野 道流
イースト・プレス (2004.3)
ISBN : 4872574311
価格 : \893



【こんな話】
「3」は、ロンドン編。
お屋敷に取り憑いた霊を祓います。が、依頼主の秘書が、正路に手を出してきて…
本のオビにも書いてあるので、ここにも書いてしまいますが、"司野のヤキモチ大爆発の巻。"

「4」は、京都編。
司野が、壺から脱出したときに親切にしてもらった、忘暁堂の店主夫人のお見舞いにと、京都を訪れる二人。
そこで、司野は宿敵 陽炎(かぎろい)に出会う。陽炎に意外な事実を知らされた司野は?そして正路は? サイキックバトル編(やや嘘)。

【ひとこと】
(3)
「もっと僕を好きになって」「わかった」と答えてもらったものの、ほんとにわかったんだかどうだか。
そんな不満たらたらの読者も、「3」の最後の司野に満足したのでは。私はとっても嬉しかったです。

依頼主の秘書 クリス、最初っからあやしかったですよ?、ね?
でも、万が一、正路にちょっかい出すようなことがあったとしても、正統派でくるだろうと油断してたら、いきなり変態なオッサンになってしまって絶句。
「可愛いペット」だの「おこぼれに預からせてくれ」だの…もうやめてちょうだい。
司野が助けに来てくれたときの予想もはずれました。またおんぶしてもらって、ホテルに帰るのかなぁ?なんて期待してたら、司野ったら妖魔に戻っちゃったように正路を痛めつけるし。

でも、そのぶん、そのあとの展開が暖かかったです。
「2」で、司野の(正路を好きだと思う)深層心理の20%が明らかにされたとすると、「3」では50%くらい見えてきました。
正路の辰冬への嫉妬心も、一応はわかってもらえたのかな。よかったね>正路

(4)
お見舞いに行っても、あいかわらずぶっきらぼうな司野には大笑い。
でも、「照れる」という感情があるなら、「好き」という感情もあってしかるべしと思うんだけど、どうなんでしょう。
辰冬との想い出の場所を巡りながら、知らず知らずに内にこもってしまう司野。
その横に、つかず離れず寄り添う正路。ここでも、とりたてて親密度が増した気がしないのが焦れったいです?。
こうなると、どんなに司野に邪見にされても諦めずに食い下がる、正路のド根性にすがるしかありません。

宿敵 陽炎が現れたことで、司野が正路を頼らざるをえないシチュエーションが出てきたのは、お互いにとってよかったですよね。
どの巻でも、正路が必死に言葉を探しながら、司野に自分の気持ちを説明するわけだけど、司野もだいぶわかってきた?ていうか、もう正路の気持ちも、自分の気持ちもわかってるんじゃないの?
それでいてわからないふりしてるだけじゃないの?
そんな意地悪な考え方もしたくなるでしょ、4巻ともなると。
(★★★★★)

「普通」って辞書引いてみたら、
"ひろく一般に通じること(広辞苑)" とありました。
わぁ、曖昧。じゃあ、「一般」て何よ、って言いたくなります。
たとえば、以前は私、自己紹介に「普通の主婦です」って書いてました。
普通の主婦って? 家事をして、奥さま友だちとおしゃべりして、それで?
だとしたら、家事もさぼりがちで近所にママ友だちもいない私は、ぜんぜん普通じゃないじゃないかもしれない…、なのに、自ら「普通」と書いてしまう。不思議。



普通の男(ひと)
榎田 尤利
光風社出版 (2003.11)
ISBN : 4415088589
価格 : \500



【こんな話】
夜のコンビニで、花島光也(はなしまみつや)と的場宗憲(まとばむねのり)は出会った。ふたり同時に、赤飯おにぎりに手を伸ばしたところを、的場が譲ってくれたのだった。
そんな二人が再会したのは、なんと花島が再就職した出版社。
厳しく、親身に指導してくれる的場に、花島は信頼を寄せていくが、その気持ちがいつしか「普通でない」ものに変わっていくのだった。それは的場のほうも同じで。「普通」という言葉に翻弄されるふたりの行く先は…

【ひとこと】
興味深かったのは、榎田さんの主語の使いわけ。
三人称で進められるお話だけど、章ごとに視点が変わります。
的場に視点が寄っているときは、主語は、宗憲と花島。
反対に、花島に視点が寄っているときは、光也と的場。
ファーストネームのほうの気持ちを軸にして、書かれているんです。
なんでもないことなのかもしれないけど、私には新鮮でした。

言葉を大切にする作家さんだから、好きな言い回しはたくさんあるけれど、ふたりがコンビニで出会ったときに花島が的場の顔を見て、「目もとの笑い皺は若い頃からあるような気がした」っていう表現、
これが好きです。そういえば、初対面の相手の歳を予想するときに、そんなふうに思うよなぁ?って。

このふたり、お互いを大事に想いはじめたのは、たぶん同じ頃だと思うんです。
そして、それを最初に表に出したのが、花島。ここで、花島は泣いてしまうんですが、そこで抱きしめたいと思う本能を押し隠す的場に、不満半分、安堵半分。
でも、それでいいんです。さんざん「普通」にこだわってきた的場が、ホイホイと花島と抱き合ってしまっては、私の気持ちがおさまらないですから(笑)

この時点で、ふたりは両想いなわけです。でも、それを知ってるのは、的場だけ。
花島は、一生この想いをひた隠しにしていくつもりなのだから、今度は的場が一歩踏み出すしかない!
最後、的場が「本能 vs."普通"の概念」のバトルに打ち勝って、花島に歩み寄る数ページは読ませます、手に力が入ります。

結末は、わりと中途半端です?。こんな終わりかたをされると、いつもはかならず続きを読みたくなるものだけど、的場と花島のその後を知りたいかと聞かれると、実はそうでもないです。
たぶんそれは、「普通」から抜け出して試行錯誤しながら進んでいくふたりのことを、そっとしておいてあげたいからかもしれません。
(★★★★+0.5)

でもって結局、的場はコーちゃんにいろいろ教えてもらったのかなぁ(笑)


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