ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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寮です。めくるめく、ドミトリー v ライフ!と言いたいところなんですが。
そうだなぁ、ねずみ色の雲で覆われたイギリスの空を思わせるような… そんなお話でした。

私立桜丘学園高等寮
橘 紅緒
大洋図書 (2005.6)
ISBN : 4813011039
価格 : \903



【こんな話】
私立櫻丘学園高等寮で暮らす烏丸旭(あさひ)には、その気になった男を弄ぶという悪い噂があった。そんな旭の前に、端正な容姿と雰囲気から 『王子』 と呼ばれ、憧憬される寮生・伊達洸貴が現れる。それまで、誰とも均等な距離を保っていたはずの伊達だったが、旭には好意を隠すことなく接してくる。
初めは伊達を避けていた旭も、少しずつ頑なだった心を溶かされ、やがてつきあうことになるのだが…!?
(カバー裏より抜粋)

【ひとこと】
暗く、淡々とした雰囲気は、息苦しくさえありました。
天井が低くて、湿った匂いのする寮や校舎のイメージは、最後まで変わらないままでした。

旭は、通学圏内に家がありながら、家庭の事情で寮に入っています。でも、彼の寮での生活と、家庭の事情を比べてみて、果たして寮に入ることが、どれだけ旭にプラスになっていたのか、理解に苦しみます。
いくら旭が友だちを作りたくても、相手は旭に惚れてしまう。そして、躰を求めてくる。旭はそれを 「裏切り」 と解釈し、みんなから距離を置いて殻にこもる。
寮長の姫城と、同室の三尾が、彼の唯一の救いだったわけです。

そこへ現れたのが、"王子" 伊達です。伊達は、クールです。みんなに同じように接する代わりに情も薄い。そんな伊達が、旭にだけは執着するわけです。そして、「つきあってほしい」 と。

ここで、ひとつだけピンとこなかったことがあります。
それまでの旭は、伊達のことを、どんなふうに思っていたんでしょう。
"自分と係わることで汚されてほしくない、不可侵な存在" とは言っているのです。でも、その 「不可侵な存在」 から告白されてから、彼の恋人になるまでの気持ちの動きが、もう少し知りたいのです。

旭と伊達が、幸せそうにしている様子は、読んでいるこちらまでホッとするのですが、そのままそ?っと終わるわけではありません。さらにどんよりと重くなっていきます…。

この作家さん、描写がおそろしく丁寧です。
寮の部屋の様子はもちろん、校舎の様子まで、頭の中に描くための情報を、しっかり盛り込んでくださってます。
人の動きにしてもそう。どちらの手でどちらの頬を掴んだのか、とか、誰が誰の隣りにいてどっちの方向を見ていた、とか、とってもよくわかるのです。
あと、歩く廊下の色が変わることで、別の棟へ移動したことを示したり…。
緻密すぎて、少ししんどくなったところもありましたが、こういうのは嫌いではありません。

ハッとさせられたのが、
"上ばきを履いて下駄箱に靴をしまわなかったから、忘れものでも取りに行ってすぐ帰ってくると思った" というセリフ。
ね、懐かしい。あまりの懐かしさに、うっかり泣きそうになりました。

次作が楽しみな作家さんです。
(★★★★+0.2)

櫻丘寮には、いい子もいれば、すっごく憎たらしい子もいます。もちろん、中立な子も。
三尾くんのあたたかさに和んで、松嶋のイヤらしさに首を絞めたくなり…(笑)
普通だったら、仲直りしちゃいそうなシチュエーションもそのまま素通りで、イヤな奴は最後までイヤな奴のままです。
そういうとこ、よかったです。寮って、そんなもんだと思う。
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