ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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ちょっと趣の違った 「捨て子系」 でした。


ふしだらで甘い誘惑
和泉桂 著
フロンティアワークス (2005.7)
ISBN : 4861340829
価格 : \580


【こんな話】
平凡な高校生活を送っていた梁井淳紀 (あつき) は、見知らぬ男に拉致されかけたところを、美貌の男・佐宗慎 (まこと) に助けられる。そして、ある事情から慎のもとで17日間を過ごすことに…。
大胆な男の手練手管に、初めは翻弄される淳紀だったが、今まで一度も受けたことのない他人の優しさに心を奪われて。

【ひとこと】
このあらすじと 「何があっても守ってやると言っただろう?」 という煽りを見たら、どう考えたって私の好きな 「捨て子系」 「拾いもの系」 のお話。
でも、読んでみると、微妙に違うのです。

淳紀は路頭に迷ってもいないし、佐宗も仕事として淳紀を守るように頼まれただけでした。
依頼人は、淳紀のおじいさん。佐宗は、このおじいさんに借りがあり、それを帳消しにするという条件で淳紀のボディガードを引き受けた、ただそれだけ。
(なぜボディガードか… については、ふれないでおきますね)

でも、佐宗はただ護衛をするだけじゃなくて、カラダごと淳紀を自分のものにしようとします。
このときの佐宗は、倦怠感のかたまりというか、心身共にやさぐれていたので、ちょっと淳紀で遊んでやれ、くらいに思っていたんでしょう。
本人も、 "適当に調教するつもりだった" と言ってます。

佐宗 「やめてほしいなら理由を言えよ」
淳紀 「あなたとはしたくないからです」
佐宗 「俺はしたいよ それが理由になる」


これって、会話として成り立ってるんでしょうか…
このやり取りが、気に入りません。


でも、こんなふうに噛み合わなかったふたりも、だんだん惹かれあっていきます。
惹かれるというより、お互いに必要としあう、そんな感じです。
そして、自分の素性を佐宗から聞かされたあたりから、淳紀の気持ちは、愛情に変わっていったんですよね。

この本、この辺りがとても重たいです。
淳紀の気持ちが、せっかく佐宗に向いたのに、今度は佐宗が頑なになってしまうんです。
優しく慰めてくれる佐宗に、淳紀が 「優しくしないで」 と言ったあと

「慣れないことをされたら、動物だって懐く。俺があなたを好きになったら困るでしょう?」

と訊くところがあります。
ここでやっと 「捨て子系」 発動です (笑) って、笑うところじゃないですよね、事実、このセリフにはちょっと泣きそうになりました。
だけど、この問いに佐宗は

「そうだな、それは困る」

と即答。
その後、もう一回同じような会話になるんですが、そこでもやっぱり 「無理」 って言うんです。

淳紀のことを思って、そう言ったのはわかるけれど、淳紀の心の状態を考えたら、そんなこと言えないはずなのになぁ。
この時点で、佐宗は淳紀への愛情を自覚していたんでしょうか。あくまで 「この時点」 で。
あまりにも大人じゃないし、頭が悪いと思います。
これが原因で、佐宗が好きになれませんでした。

それでも、最後はドラマチックで面白かったです。
軟禁されているところに、扉をぶち破って助けに入る… 王道ですね。好きです。

ただ、佐宗の 「お前の愛で縛ってほしい」 というセリフには、ちょっと引きました。
いきなり、臭すぎます。

というわけで、いろいろ総合して考えてみると、佐宗はヘタレなんですね、納得。
(★★★☆☆)


秋に出る続編は、チラっとだけ登場した譲が主人公だそうです。
この人が恋をするの?? 今からとっても楽しみです。
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『有罪』 に続く、罪シリーズその後の3冊。
これまでのあらすじ&感想はこちら





原罪 (2002.9) (ダリア文庫新装版 2004.8.13)
贖罪 (2003.11)
堕罪 (2004.10)
和泉 桂/フロンティアワークス/価格 : \900


■原罪
2作目。穂高が、自分のポリシーを曲げて原稿を書いてくれたおかげで、会社での透也の評価も上がりました。でも、透也は面白くないわけです。"恋人だから原稿をもらえた" と思われたくないばかりに、二人の関係がバレないようにと、そればかりに神経がいってしまいます。
透也の気持ちは、もちろんよくわかります。でも、ちょっと情がないなぁ、と感じました。

透也 「これまで自分が積み上げてきたものを たった一度の恋にかまけて 投げ出すことなどできはしない」

普通、大好きな相手だったら、「かまけて」 なんて言わないでしょう?
そんな透也の冷たさが、穂高には寂しかったんですね、気の毒です。穂高は不器用だから、なおさら。

この話から、当て馬として、天野という年下の作家が登場します。カッコよくて、優しくて、素敵!
そして、この天野に向ける、穂高の嫉妬がスゴイ! のですが、透也はそこんとこ、気づかないんですよねぇ。

でも、♪苦しくったって?、悲しくったって?、穂高先生は、引き続き鬼畜三昧です。


■■贖罪
3作目。ついに、透也と穂高がつきあっているのでは、という噂が流れはじめます。そこで穂高は、透也のためを思って、担当を変えるように要請してきます。でも、その思いやりが、透也に伝わるはずもなく… 嗚呼、もう泥沼です。
さらに、透也が当て馬・天野とお試しで付き合ったりと、あれこれ面倒なこともあって、読むのが辛かったです。
もう透也、なに考えてるの! という感じで、前作に引き続き、穂高がかわいそうでたまりません。

穂高 「俺のことを 心のない男だとでも思っているのか。 俺が何をされても平気だと 思っているのか」

こんなセリフを穂高に言わせるなんて。
確かに、あの言動からだったら 「心のない男」 と思われてもしかたないような気もするけど。


■■■堕罪
ラブラブ vv の完結編。
しょっぱなから、大きなバラの花束を持って、透也の部屋を訪れる穂高。カッコいいんだか、カッコ悪いんだか。
そのほかにも、今までにない穂高が見れて、面白いです。こんなふうに優しいところがあるなら、こんなふうに笑えるなら、なぜもっと早くそうしてくれなかったんでしょうね…
この話は、ところどころに穂高視点で語られるところもあるので、このシリーズを読むなら、やはりこの4冊目まで読んでほしいです。

ふたりで旅もします。穂高のリクエストで、浴衣の下に下着をはかないで散歩させられる透也は、もはや滑稽でしかありません。おまけに、そんな姿なのに、転んでひっくり返りそうになったりもします(笑)
それでも、ムードは最高潮で、野外でやりたい放題、やられたい放題のふたりなのでした。

(★★★+0.5)

『原罪』 『贖罪』 までは、文庫の復刊が決まっています。
ひょっとしたら、書き下ろしが入るのかしら。だけど、このシリーズはもうお腹いっぱいです、私はこれで大満足。

ノベルズの復刊。
この「有罪」のあと、「原罪」(8月復刊予定)・ 「贖罪」(11月復刊予定)・ 「堕罪」(?) とぜんぶで4作品あります。
友人から借りて、うしろ3冊は読んでいたので、今回お話の発端が読めてひと安心です。


有罪
和泉 桂
フロンティアワークス (2005.5)
ISBN : 4861340756
価格 : \580




【こんな話】
蒼山書房に勤務する桜井透也(とうや)は、心から敬愛するミステリー作家・穂高櫂の担当を命じられる。会社の業績不振から、予定よりも早く次作を、と頼む透也に、穂高は原稿と引き替えに肉体関係を要求してくる。

【ひとこと】
このシリーズを読むたびに考えたのは、誰がどんな罪を犯したのか、ということです。

透也には、婚約者がいて、穂高と肉体関係を持つようになっても、しばらくはまだ、彼女と結婚するつもりでいたんです。でも、次第に穂高の存在が大きくなり、最終的には、穂高から愛されているという確信もないのに、自分から婚約を解消してしまいます。

肉体関係を強要するというのは、いってみれば犯罪です。でも、透也は上司にすら相談しなかったんです。理由として、

・穂高の編集担当として、彼に見捨てられたくなかった
・穂高のファンとして、彼に見捨てられたくなかった
・快楽に溺れた

が考えられるんですが、私は結局は "快楽に溺れた" んじゃないかと。今日こそは拒否しようと思っていても、ひとたび気持ちよくなってしまったら判断力がともなわなくなっちゃったんだと思うんです。
そこへ、穂高の作品を愛する気持ちとか、本物の穂高をもっと知りたいと思う気持ちがプラスされて、だんだん愛に変わっていったんですよね。

これって、有罪? 違うような気がするんだけどなぁ。
透也は、"情欲に溺れたことが罪ではなく、愛の罠(文中では「陥穽」)にはまったことが罪" と言ってます。うーん、わからない、難しいです。

さて、そんなことよりも穂高です。
性格が破綻している、と噂されている彼ですが、破綻どころか…。
「好き」という感情を表現できないのなら、いっそ黙っていてください。その鬼畜な行動だけはやめてほしかったです。自分のやり口を棚に上げて、透也のことを「娼婦以下」とまでののしるんです、もうホントたちの悪い。この人こそ、"有罪"ですよ。

でも、たいして経験もないくせに、躰を賭けてビリヤードをする透也もなんだかね… 
穂高の、
「君はわざわざ、負けに来ているのか?」
には笑いました。そのとおりだもん。

そして、ラスト。
体当たりで飛び込んできた透夜に、さすがの穂高も少し人間らしい気持ちに。最後まで、
「たぶんそれが、好きということなんだろう」
なんて、寝ぼけたこと言ってますが、このとんちんかん加減は今後もたいして変化ないので、気にしてもしかたないのでした。

話の内容からもわかるように、エロ度高めです。何がやらしいって、透也のセリフが。
これじゃ、淫乱といわれてもしかたないです。
(★★★☆☆)

シリアスとコメディの合間を漂う、そんな雰囲気の作品です(ぜったいにコメディではないのですが・笑)

ノベルズの表紙が、みんな同じ雰囲気で、タイトルもこんなだから、いまだに順番があやふやな私。
文庫になっても、またまた似てます(イラストは、引き続き、高永ひなこさん)
ノベルズの在庫もあるみたいなので、待てない人はぜひぜひ続きを。
このあと、残り3冊の感想も書く予定です。よろしかったらまた覗きにいらしてくださいね。


追記 : その後の感想はこちら

ルチル文庫の 1-1。じゃ、1-2はどれなんだろうと見てみたら、今月発売になった5冊はぜんぶ 1-1なんですね。そういうものなのか?。


駆け引きのレシピ
和泉 桂
幻冬舎コミックス (2005.5)
ISBN : 4344805674
価格 : \560



【こんな話】
高橋若菜は、将来カフェ開業を志す19歳。現在は、大学を休学して、カフェでアルバイトをしている。ある日、接客上のトラブルがきっかけで、藍原という男に出会った若菜だが、何度か会ううちに 「偽装恋人になってほしい」 と頼まれる。

【ひとこと】
藍原は、デパ地下のバイヤー。よいお店を見つけ出して、誘致するのが仕事です。
綺麗な藍原と "デパート" という言葉がなんだかミスマッチなんですが、それがまた意外で魅力的でした。
そんな藍原はゲイで、くたびれた感じの中年男性が好みなんだそうです。そういうタイプを見ると、ぎゅっと抱きしめて守ってあげたくなる… とか語り出すもんだから、私はすっかりそっちに気持ちがいってしまって…(笑) 藍原と中年男性との、ちょっとしたエピソードでも交えてくれたら、この妄想もおさまったんですけど、なんの言及もなくて残念でした。

さて、結婚しろとうるさい、藍原の実家を黙らせるために、若菜は偽装恋人を頼まれるんですが、
「僕の守備範囲から完全に外れているから、うっかり好きになってしまう心配がない」って、ちょっと無神経じゃないですか。
もう少し、何か言い方があるんじゃないかと思いました。
もちろん、藍原は若菜を安心させたかったんだけど、やっぱり、いい気持ちはしませんよね。
でも、そこで若菜がハッキリ「傷ついた」と言ってくれたので、安心しました。
この場面に限らず、若菜ってすごく真っ直ぐで、思ってることをちゃんと言える青年なんです。この子のおかげで、ちょっとウジウジしてる藍原との物語が、爽やか風味になっているのかもしれません。

そして。
最初は偽装のつもりでも、やっぱり人間だから、情も移っていきます。
若菜は、今から思えば一目惚れみたいなもんだからおいといて、と。
藍原は、自分は中年しか好きにならないはずなのに… と少し葛藤に悩まされることになるんですよね。そんなの、ウジウジ悩むな!
これには彼の過去が深く関係していて "若菜と出会ったから、その過去が吹っ切れた" という感じに描かれています。でも! 私は単に「情が移った」と思ってます(笑) 愛に理屈はいらないんだよ。

一切ふれていませんが、脇キャラもイイ感じです(とってつけたように… すみません)
(★★★+0.5)


ところで、藍原って中年男性と付き合ってたときも、攻めだったんでしょうか。違うと思いませんか。
あんまりおとなしい話なんで、そんなことばっかり考えてました、ホントにもう。
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