ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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『君も知らない邪恋の果てに』 『愛で痴れる夜の純情』 に続く、花降楼シリーズの3作目。
あの綺蝶と蜻蛉が、ちゃんと話に絡んでいるのが嬉しい。
特に "心の底から悪い人はいない" が信条の人には、ぜひ読んでもらいたいです (笑)


夜の帳、儚き柔肌
鈴木 あみ著
白泉社 (2005.11)



【こんな話】
忍 (しのぶ) は幼い頃、拾われてこの花降楼にやってきた。
やがて、成長した忍は、見世に出るようになったが、おとなしい顔立ちと性格のせいで、思うように客はつかなかった。
しかしある日、ひょんなことから、名家の御曹子・蘇武貴晃 (そうぶたかあき) と一夜をともにすることに。
蘇武は、決まった相手をもたないともっぱらの噂で、もう会うことはないと悲しく思っていた忍だったが、蘇武はその後も忍のところを訪れて…。

【ひとこと】
1作目は、幼なじみとの駆け落ちに失敗、その後、遊郭で再会…
2作目は、色子同士の恋。
こうして考えてみると、この3作目がいちばんオーソドックスなシンデレラストーリーです。

忍。
イラストではこんなに可愛いのに、花降楼ではからっきしです。
お客がつかないと、自分のおこづかいもなくて、食べ物が買えなかったり、身の回りのものが買えなかったりするんですが、ここで1作目2作目とこらえていた気持ちが爆発してしまいました、私。

しつこいようですが、このシリーズは 「売春防止法が廃止された現代の話」 なんです。
その設定は、まぁいいとしても、現代ならば従業員の食事事情くらいはしっかりしてると思うんですよ。

忍がひもじかったり、不自由な思いをしたりするのが、ストーリーを盛り上げるためなのはわかるんですけど、なけなしのお金で漬け物を買ったりだとか、ましてや "明日はお魚を買おう" なんて… 従業員をそんな目に合わせているお店があったら、すぐ通報されてしまうはず。

もったいないです、話はとっても面白いのに。
読んでいると、つい昔の話を読んでるような気になるんです。
でも、そのままぽわーんと雰囲気に浸っていると 「蘇武の携帯電話が鳴り出した」 なんていう文章が出てくる。
すると、えっ、携帯? あっそうか、現代の話なんだっけ… と我に返る。
これって、興醒めじゃないですか??

でもね、それを除けば、こんなに幸せ話はありません。
優しくて素敵な蘇武が、売れっ子でもなんでもない忍に目をかけて、最後には身請けもしてくれて、ふたりで幸せになる話… あまりに、オーソドックス過ぎて、他に書くこともないくらいだけど、いい気持ちで読むことができます。

こういう話につきものの、意地悪な同僚 (椿) や、イヤな客 (原) も出てきます。
ですが、最後の最後、ちょこっと名誉挽回してるんです、ふたりとも。
映画だったらホロリくるシーンです。

特に、原。
彼は、蘇武の知人で、嫉妬か嫌がらせか、金に物を言わせて 蘇武と忍の仲を邪魔するのです。
でも、口ではああ言いながら、忍のこと可愛いと思ってたんじゃないでしょうか。
なんだかかわいそうでした。

そして、もうひとつ気がかりなことが。
蘇武の誤解って、解けたのかな。
初めての夜、忍が蘇武を部屋に上げたのは、休ませてあげたかったのと、純粋に一緒にいたいと思ったからなのに、蘇武は 忍の計算ずく みたいなことを言ってたでしょう?
わかってないなぁ、そんなところ、金持ちのボンボンっぽいですよね。

綺蝶と蜻蛉の番外編は、短くてものたりませんが、すっごくラブラブです v (エッチなし)
(★★★★☆)


「小説花丸 冬の号」 の表紙が、綺蝶と蜻蛉です。
2作目がマンガ化されているようで、あんなシーンこんなシーンが樹さんの絵で見れるかと思うと、いてもたってもいられないんですが、私の住んでる市には入荷されてないような…?


1作目2作目の感想は、下のカテゴリ名「鈴木あみ」をクリックしてください。
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花降楼シリーズ (?) の第2弾。
前作 『君も知らない邪恋の果てに』(感想) とは違い、ほぼ遊郭街の中でのお話なので、現代設定もさほど気になりません。


愛で痴れる夜の純情
鈴木 あみ著
白泉社 (2004.10)


【こんな話】
男の遊郭・花降楼。
そこでトップを争っているのが、蜻蛉と綺蝶だった。
プライドが高く、客に笑顔すら見せない蜻蛉と、誰とでも親しみやすく、客とも友だちのように接する綺蝶。
何かと正反対で、ろくに言葉もかわすことのないふたりだったが、吉原に来たばかりの頃はふたりで過ごすことも多かったのだ。

【ひとこと】
前作で、年季の明けた綺蝶がどうして花降楼を出て行かないのか… と、主人公の蕗苳が不思議がるシーンが出てくるのですが、綺蝶は蜻蛉の年季が明けるのを待っていたんですね。
花降楼に来たばかりの頃、屋根の上に腰かけてふたりで約束するんですよ、指きりして。
「一緒にあの門を出て行こう」
このエピソードとイラストだけで、かなり満足。

綺蝶は、艶っぽい外見とは裏腹、気前のいいダンナさんタイプです。
どうせお客と寝なくちゃいけないんだったら、楽しまなくちゃ、と割り切れるんですね。
でも、本当に楽しんでるように見えても、綺蝶だって彼なりに思うところがあるわけで、この本ではそんな裏側もチラリとうかがい知ることができました。

そして、蜻蛉。
花降楼で働く覚悟はしたものの、とても綺蝶のように愛想をふりまくことはできません。
おまけに、綺蝶がお客をとるたびに嫉妬までする始末。まさしく "お姫様" です。
嫉妬したなら、そう綺蝶に言えばよかったのに、蜻蛉は素直な子じゃないですからね、ふたりの仲はだんだん疎遠になってしまいました。

うーん、蜻蛉がもうちょっと素直になって、優しく可愛く綺蝶に接してくれればよかったのになぁ、と思いました。これは、もう最初から最後までずっと。
ただ、救いなのは、綺蝶がちゃんとわかってくれていたことかな。蜻蛉が素直になれないのなんか、ちゃんとお見通しでしたよね。

最後は…

ひとあし先に身請けされた綺蝶が、男性の装いで蜻蛉をさらいに来るという "お姫様" にぴったりのエンディングでした。
乙女な私は (?) いくつになっても、こういうのが好きです。
(★★★★☆)


3作目は 『夜の帳、儚き柔肌』 。
別カップルの話ですが、綺蝶と蜻蛉のお話も入ってます。
感想は、下のカテゴリ名「鈴木あみ」をクリックしてください)

よそで、「花町物語」 のプレイ日記を書いていたとき、web拍手で教えていただいた本です。
こんな設定、いいのかな… 戸惑いつつもシリーズ3冊一気買い。


君も知らない邪恋の果てに
鈴木 あみ著
白泉社 (2004.6)


【こんな話】
旅館 "長妻" の次男・蕗苳 (ふき) は、借金の形に吉原へ売られていくことになった。
"長妻" は、父が病に倒れたあと、兄の浩継に受け継がれていたのだが、才もなければやる気もない浩継は借金を増やすばかりで、"長妻" は明日にもつぶれてしまいそうだった。

しかし、吉原へ立つ前の晩、蕗苳がひそかに思いを寄せていた 旺一郎が迎えに来る。遠くへ逃げよう、という旺一郎のことばが嬉しくて、喜んで支度をする蕗苳だったが…

【ひとこと】
売春防止法が廃止され、吉原が復活。
そんな設定の、現代のお話です。
世の中に 「ゼッタイ」 はない とはいうものの、これだけはゼッタイありえない、ゼッタイあってはいけない設定だけに、な?んかひっかかっちゃった私。
ちょっと時代設定を前にずらしてくれるだけで素直に楽しめたのに、残念です。

とはいえ、「遊郭」 に妖しく淫靡な萌えがひそんでいることも確か。
細かいことは忘れて、感想に行きましょうね。


かわいそうです、蕗苳。
兄は、蕗苳が吉原へ行かなければ、お父さんの生命保険で借金を払う… つまり、お父さんを殺すと脅してくるし。
落ち着いて考えれば、ここで蕗苳が吉原へ行ったとしても、このバカ兄貴に旅館の建て直しなんてできるわけないのは、明らかなんですけどね。
中学を卒業したばかりの蕗苳には、どうしようもありませんでした。

そこへ、迎えに来たのが、蕗苳の大好きな旺一郎。
旺一郎は、旅館の使用人の息子で、蕗苳の身の回りの世話や遊び相手をしていた 3つ年上の青年でした。
嫌われているとばかり思っていた旺一郎が迎えに来てくれて、嬉しいやら驚くやらの蕗苳ですが、ここ、昔の映画みたいでいい感じなんですよ (使用人の息子、っていう設定からしてじゅうぶん昔っぽい)

蕗苳が寝てると、旺一郎が雨戸をトントンって…
ね、いいでしょう。雪が降ってたらもっと素敵なんだけど、残念ながらこの日は雨でした。

しかし。
手に手をとって逃げるふたりの前に、バカ兄貴が…

結局、蕗苳は旺一郎の将来を考えて駆け落ちを諦め、ひとり吉原へ売られていきます。
苦渋の選択で、蕗苳は
"駆け落ちして、逃げ隠れしながら生きていくより、カラダでも売ったほうがまし"
と、心にもないことを言って、旺一郎をつっぱねるのです。

でもね、旺一郎って、医学部に行くほどの頭のいい青年なんです。ちょっと考えれば、蕗苳が本心でそんなことを言ったわけじゃないことくらいわかるだろうに、どうして蕗苳の手を放してしまったんでしょうね。
ここがちょっと納得いきませんでした。

だけど、ここで駆け落ちしちゃったら、話が終わっちゃうしね (笑)


吉原へ行ってからの蕗苳は、怖い思いや悲しい思い、いろいろあったものの、先輩の綺蝶 (きちょう) が優しい人でひと安心。
この綺蝶、名前は優雅だけれど男前でイイなぁって思っていたら、2作目はこの人がメインだそうで、大喜び (何も調べないで一気買いする私…)
あまり詳しくは書かれていないけど、キーパーソンでもあります、綺蝶。
頼りになるおにいさんって感じかな。

そしてそして、旺一郎再び。
いったい何があったんでしょうね、すっかり極悪人になっていました。
おまけに、駆け落ち未遂のとき、最後の最後に蕗苳に拒絶されたこと (前述) を引きずっているのか、なかなか優しくしてくれないし。延々と続くエッチシーンは、エロいよりも痛々しいです。

でも、どんなに冷たくされても酷くされても 「二度と会えないよりはよかった」 という蕗苳が、健気でいじらしかったです。

結局、ふたりでちゃんと話して、あの日の誤解は解けましたが、そんなのいちいち説明しなくてもわかってほしかったです。旺一郎には、そういう懐の深いキャラが似合います。

終わりは、ちょっとあっけなかったかな。
でも、最後の旺一郎のセリフには、思わずニッコリ。よかったね、蕗苳。
(★★★☆☆)


表紙イラスト (樹要さん) にうっとり。
本文中のイラストだと、p.215 のちょっとラフな感じのキスシーンがお気に入り。


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今日は、萌えトークvv 女装だったり、兄弟(妹)だったりで、ひょっとして敷居は高いのかもしれないけど、私的には、満足度200%でした。





【こんな話】
雫(しずく)は、吉川伯爵が訳あって他所にあずけていた令嬢・珠子の身代わりとして、吉川家で暮らすことになる。吉川伯爵に疑われず、楽々屋敷に入った雫だが、すぐに異母兄の夏威(かい)に女装がばれ、ニセモノと知られてしまう。夏威は雫に、見逃す代わりに「俺の玩具になれ」と、セックスを強要。夏威はなぜ、雫がニセモノと知っても黙っているのか?
冷たいようで優しい夏威に、自然と雫は惹かれていく…。(上巻カバー裏より)

【ひとこと】
読んでいてドキドキしましたよ?、夏威が白馬の王子様に見えて。BL版シンデレラストーリーかな。

雫はもちろん、夏威にも自覚はなかったのかもしれないけど、「俺の玩具になれ」といった時から、もう雫はただの「身代わり」じゃなかったんですよね。
夏威が、雫のイヤがることをしたり酷くしたりするのは、珠子のこと考えてイライラするのもあっただろうけど、ほとんどが趣味みたいなもんだと思うし(笑)

雫が困ったときに手助けしてくれたり、どっか連れていってくれるときの夏威が、あんまり素敵すぎてですね、雫にすっかり同調してしまいました。お茶の席から連れ出して、包帯を巻いてくれるところとかね、変態の実紀につかまったときに駆けつけてくれるところとかね、BLとはまったく違う感覚で、萌えでした!
だんだん雫が、夏威のことを頼りにするようになるのも、乙女な気持ち半分+打算的な気持ち半分で、自然でよかったです。

ただ、夏威が帽子を買ってくれるところは、ちょっと微妙だったかな。女物の帽子をプレゼントしてくれるってことは、やっぱり雫は珠子の身代わりでしかないのかな?って。
まぁ。最後まで読んだら、夏威はそこまで考えてなくて、単に「雫に似合うから」だったみたいだけど。

鞠子の登場には、雫以上に落胆しました、私。雫の、な?んだ、そんな人がいたんだ、やっぱりね…という乾いたような気持ちが、ひしひしと伝わってきて悲しかったです。でも、そこに絡んでくる、義弟・炯司(けいじ)の屈折した優しさが、あまりにも色っぽくてびっくりしました。
「待たせたね…」に、コロっといってしまいましたよ(笑)

まるで土曜ワイド劇場のようなラストも、なかなかよかったです。まさに、シンデレラストーリーにふさわしいエンディングで、それに、ご都合主義なところもなくて、大満足です。

その後の話「楽園より愛をこめて」は、酔っぱらった雫の相手をする夏威がやっぱり素敵すぎてですね…(以下略)
(★★★★★)

雫が最後まで女の子の格好してるのは、可愛くていいんだけども、少し残念。


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