ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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タイトルが素晴らしいです。


微熱の引力
可南 さらさ 著
幻冬舎コミックス (2006.4)


【こんな話】
大学の研究室を訪れた有村は、同学年の堀井譲 (以下 譲) が教授の手にそっと頬を寄せている姿を目撃する。
見たことを黙っていてくれるなら何でもする という譲に、有村はからかい半分で 「奴隷にでもなるつもりか」 と言ったのだが、どうも譲は本気で有村の言いなりになろうと思っているようで…

【ひとこと】
まぁ、いやな男もいたものです。
傲慢で、自惚れてて、冷たくて、他人のこと見下して…
でも、有村がそんな最低な奴だったからこそ、愛が生まれたんでしょう。
本を読むときは、いつも受け視点の私は、いくら攻めキャラが嫌いでも、話が終わる頃には大抵ほだされてしまう傾向にあります。
でも、この有村には、最後まで心を許せませんでした。
(大好きな看病シーンもあったけどね、そのくらいじゃダメだったよ・笑)

教授の部屋にいるところを有村に目撃されたとき、譲はもう お先真っ暗な気分だったはずです。
他でもない、有村に見られてしまったのだから、最悪です。
「誰にも言わねぇよ」
と有村が言っているのにもかかわらず、追いかけて、
「どうしたら黙っててもらえる?」
って、腕にすがって。

このときの、譲の卑屈な態度が、有村の嗜虐心に火をつけてしまったんですね。
だからといって、普通の人間だったら 「奴隷」 なんて言葉は出てこないと思うんですが。
ま、そこはBLってことで。

有村の嫌いなところを挙げろと言われたら、何百字書いても足りないほどです。
特に頭に来たのは、友だちの美沙が 「譲の好きな人はかなり年上らしい」 と話すシーン。
有村はそれを聞いて怒るんです。なぜかって、とっくに教授のことは諦めて、自分のことを好きになってくれてると思っていたからです。

譲のこと、さんざんこき使って、罵って、乱暴三昧しておいて、何をどう勘違いしたら、譲に好かれてる なんて おめでたい結論に行き着くんでしょうか。
どこまでも自分中心な有村に、ほとほと呆れ果てました。

逆上した有村は、譲を乱暴に犯してしまうのですが、終わったあとの譲のセリフに頭を殴られたような気分に。
「なにか、嫌なことでもあった?」
わーん、なんて優しい子なんでしょう。
それに対する有村の返事が
「…嫌なこと、あった…」
って。幼児化?
ちょっと可愛いじゃんか。

さて。
この話を読んでいると、譲が "薄幸の美青年" のような気がしてきますが、実は違います。 
家庭に問題があるわけでもなく、何か辛い過去があったのでもなく、端的に言えば気が弱いだけなのです。
だからかな、譲にも感情移入しにくかったのかもしれません。

確かに、有村の言動はちょっと行き過ぎです。
でも、譲だって単に奴隷として有村に尽くしていたわけではないと思うんです。
時には、ほだされることだってあったと思うし、有村のこと嫌いなだけではなかったはずでしょ。
姿をくらますにしても、有村にだけはちゃんと話をするべきだったのです。

譲のことを好きだと自覚してからの有村は少し不憫です、少しね (笑)
優しくしてあげたいのにできないんです。そりゃそうですよね、今までがあんなだったのに、急に優しくするなんて彼のプライドが許さないんでしょう (←イヤミ)
ああ、このまま 傲慢攻め×気弱受け で落ち着いちゃうのかなと残念に思ったのですが…
なんと、変わりましたね! あの有村が!
もう、譲のことが好きで好きで好き過ぎて、自分が変わったことにも気がつかない、そんな雰囲気です。
ちょっと、ザマミロな気分?

本編は、ハッピーエンドのようなそうでないような、ちょっと心にひっかかる終わりかた。
でも、有村にはこんなエンディングだって、おつりがくるくらいでしょう。
ある意味、リアルな結末だと思いました。

                          ■□■
                          
書き下ろし 「キスの温度」 は、譲視点。
こちらでは、譲に 「はぁ?!?」 という気持ちにならざるを得ませんでした。
決死の覚悟で有村が告白したっていうのに、思いは通じてなかったんでしょうか。

でも、有村が変わったように、譲も変わりました。愛の力は大きいのですね。
譲の一生懸命な様子に、こちらも手に汗握りました。頑張ったね!
(★★★★☆)

登場人物にまったく思い入れができなかったのに この充足感。
私の周りでは、ちょっと話題の本です。

読んでくださってありがとう

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新刊ですが、2001年の作品です。2段組で、久しぶりに読むのに時間がかかったけど、満足。


蒼天の月
蒼天の月
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5. 5
可南 さらさ
幻冬舎コミックス (2005.2)
ISBN : 4344805313
価格 : \898



【こんな話】
ある晩、庭先で、大学生・遙は牙威(がい)という青年と出会う。牙威は、神から選ばれた "龍神" だった。龍神が、神通力を使うには、巫覡(みこ)と契約して気をもらわなければならない。牙威は、遙に契約を持ちかける。

【ひとこと】
牙威は、冠城家に身をおいて、怨念と戦ったり、封じ込めたりする仕事をしています。そして、牙威が仕事で負った傷を回復させたり、失った力を戻すために、遙の力が必要になるのです。遙が手をあてたり、キスすることで、少しは気が伝わるのだけど、深く交わることで、もっと大きな気を牙威にあげることができる、そう、つまりそういうことです(*^-^*)

1作目「蒼天の月」では、ふたりの出会い、そして、遙がアルバイトしている予備校に現れた、怨霊(物の怪?)を退治する話になっています。やっていることは物騒で気味が悪くても、牙威と遙(特に、遙)が真っ直ぐな気持ちで戦っているのが救われます。
戦いの最中、余裕が全然ないときでも、牙威は遙に「どうしたいか?」と尋ねてくれるんですが、このときの遙の選択は "怨霊となった人々を助けたい" という、理想的だけれど少々面倒なもの。牙威にとっては、まとめて全部やっつけちゃったほうがラクなんです。でも、牙威は笑って「分かった」って。この思いやる関係がいいです。

2作目「蒼天の月 2」は、私の苦手な「児童虐待」がテーマでした。虐待を受けて命を落としていった子供たちが餓鬼となり、やはり虐待を受けている少女・万里に取り憑くという話。万里に接する遙が優しくて優しくて、和みます。そして、それに嫉妬する牙威も、まあ可愛らしいです。
実は、牙威にも万里と似た経験があって、言葉は辛辣ながらも、万里のことを心から考えて、最善の方法を取ろうとします。カッコいいです。それと遙の思いやりが相まって、涙々の結末です。

描き下ろし「やがて祈りになる日まで」は、牙威と遙の仲が深まる、初々しい感じの短編。
恥ずかしがり屋の遙と、ぶっきらぼうの牙威が、それぞれ素直な気持ちを口にする様子にほのぼの。
(★★★★☆)

私、2時間ドラマはよく見るほうです。でも、児童虐待と誘拐、闘病ものだけは、ぜったい見ないんです。引きずって次の日まで暗くなってしまうから。この本の「2」もいたたまれないものがありました。


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