ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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人間っていろいろあるよなぁ、と思いました。この本に出てくる人たちも、そんな人ばっかり。誰が悪いとか、悪くないとかじゃなくて、それぞれに事情や言い分があるんだけれど、ひとたびぎくしゃくしてしまったら、もう分かり合うきっかけすらなくなってしまうんですよね。
世の中、みんながいいようにはならないのです。


好きと言えない
椎崎 夕
大洋図書 (2005.3)
ISBN : 4813010458
価格 : \903

【こんな話】
主人公の晴は15歳。5歳のときに母が家を出てから、父と叔父の3人暮らしという奇妙な共同生活を送っていた。しかし、父が他界したことで、今はもう再婚している母のもとへ引き取られることに。晴は、自分を置いて出て行った母をずっと憎んでいたため、どうしても母を、そして、その再婚相手や息子(慶司)のことも受け入れることができない。しかし、何かと干渉してくる慶司から、いろいろと聞かされるうちに、事実が自分が思っていたのとは違うことを知り…。

【ひとこと】
母が家を出てから15年間の晴の生活が、憐れです。父とふたりきりではなく、なぜ叔父(父の弟)が? ここがまず異常です。
父は飲んだくれで暴力をふるうし、叔父は病弱。一家を養っていたのが、子どもの晴だったというのだから呆れてものもいえません。
でも晴は、母の悪口を言っては自分を殴る父のことを、それほど憎くは思っていないんです。それよりも、幼い自分を置いていった母を憎み続けてきたんですね。

だから、柚木家(母の再婚先)に引き取られてからも、家族とろくに話もしないし、食事もとらない。ただ、晴が無視しても、向こうからかまってくるのが義兄にあたる慶司でした。
この慶司、晴より13歳上の28歳なんですが、実は私、なかなか好きになれませんでした。だって冷たい…。確かに、やっていることは親切なんです。でも、自分の言動で、多感な15歳の少年がどんな思いをするか、どれだけ傷つくかがわかってないような気がしました。接し方がわからなかったのはわかります。晴も反発してたし。
でも、ものの言い方ってあるじゃないですか。もう少し、暖かさが欲しかったです。
でも、その慶司から真相を教えられ、晴はやっと目が覚めたのだから、それはそれでよかった。

離婚や再婚をはじめ、15歳の少年に金をせびる大人、人の配偶者を好きになったり手を出したりする大人…、そりゃ人間だものね、そんなこともあるはずです。でも、この話を読んで、自分から幸せになろうと思わなければ、ぜったいに幸せにはなれないんだなと思いました。

結局、晴は慶司と付き合うことになります。慶司の友人が、晴が慶司を慕うのを "生まれたてのヒヨコが最初に見たものを親だと思う" のになぞらえるところがあります。晴も慶司も否定していますが、私はズバリそのものだと思います。そして、慶司のほうは "庇護愛" という感じ。

だから、このふたりは、兄弟としてやっていったほうがいいのではないでしょうか。
晴は15年もの間、異常な環境に身を置いてきたのだから、リハビリ期間が必要だと思うのです。家族や友達と普通に過ごして、親にわがままを言ったり、学校でかけがえのない仲間を作ったり、女の子(男でもいいけど・笑)を好きになってつきあったりふられたり…、そんな普通の体験をしてほしいです。
そして、慶司がよきアドバイザーとなって、晴を支えてあげるのが理想じゃないのかな。そして、時が過ぎて、それでも恋愛感情が芽生えたら、そのときはより幸せになれるのだろうし。
(★★★★☆)

気持ちよく読める本ではないですが、好きな本です。だんだん、慶司も優しくてしゃれたことを言うようになるんですよ。とても同じ人とは…(笑)
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