ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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をかし、うつくし、なまめかし。


王朝月下繚乱ロマンセ
秋月 こお
徳間書店 (2005.6)
ISBN : 4199003525
価格 : \600



2冊目の外伝です。

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 王朝月下繚乱ロマンセ
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タイトルどおり、雅やかなこのお話は、お花見の席での3人 ─ 業平と千寿、そして国経 ─ の会話で幕を開けます。
相変わらず、業平は千寿と国経をかわりばんこにからかって楽しんでいます。ちょっとだけ、国経も言うようになったかな。傍目にはわかりにくいけれど、ふたりがちゃんと仲良くしているようでひと安心。

さて、千寿の出自が明らかになった今、できるなら先のことは考えたくない諸兄にとってショッキングなできごとが起こります。皇太后から千寿に、お花見の誘いがあったのです。もし皇太后に気に入られでもしたら、さっさと召されてしまうのでは… と、意気消沈の諸兄に、さらに追い打ちをかけるように業平が詠んだのが

月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身ひとつは元の身にして

という胸の詰まるような歌でした。
ただこの場面、諸兄だけじゃなくて、歌を詠んだ業平もとても哀しそうなのです。で、それを複雑な思いで見ている国経もことさら不憫です。

朱雀院でのお花見でも、業平はまたこの歌を詠むのですが、諸兄ってば、皇太后の前で泣いてしまうのです。現代人では考えられないことです、上司や同僚の前で、恋人と引き離されるかもしれない、と涙をこぼすなんて。
でも、これに関しては、いささか業平の策略もあったんですよねぇ。ひとりでくよくよしてないで、もう公衆の面前でぶちまけてしまえよ! と。
ここからのやりとりが、また雅なのでございます (内緒)

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 王朝十六夜ロマンセ
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国経のおじさん所有の別荘に、4人で遊びに行くお話。
この話には、3つの柱があります。

柱1 : 千寿、鷹匠の子・アシカビに会う
柱2 : 国経、千寿への嫉妬を認める

せっかく4人水入らずなのに、業平がちゃっかり女官なんて連れて来るもんだから、国経は面白くないし、千寿も諸兄もまったくもって理解不可能。周りの目をごまかすためのカモフラージュだというのが、私たちにはわかっても、あのボケっとした3人にはわからないんですよね…
ひょんなことから、自分の本心を吐露することになった国経と、なんだか嬉しそうにデレっとしている業平。この話のクライマックスは、きっとここだと思います。

柱3 : 諸兄、少し大人になる

諸兄ときたら、ひとりっ娘の父親みたいで、千寿じゃなくてもいい加減イライラします。でも、カラダを張って、千寿のためにアシカビを獲得したことで、ひと皮むけた… と思いたいのですが、その様子がまた鈍くさい。ホント、憎めないお人です。

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 雷神絵巻
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業平、龍神を召喚す。
業平にとっての鬼門、不思議な双子ちゃん・瑠璃王と延珠が登場します。

日照り続きというので、帝のご機嫌とりにでもなれば… と、業平と国経が雨乞いの舞いを舞うのですが、演目が 『唐紅ロマンセ』 でふたりが一生懸命に練習した 「納曾利」 なのです。
ここで業平が国経に 「そなたが相手だと 心地よう舞えた」 って言うんですよ。国経のこと、からかって遊んでばっかりと思うと、こういうことサラっと言うのよね。本物の業平も、こんなふうに根っから恋愛体質だったんでしょうか。

双子の話と聞いて、最初はどうでもよかった私。でも、業平と国経が好きな人にとっては、このうえもなく素敵な話です。

(今さらながらネタバレ) 業平が体を張って、雷から国経を守ったかと思うと、今度は国経が業平をかばって、雷獣の前に立ちふさがる… ああ、やっぱりこのふたりは、しっかり愛し合っているんだなぁって、とっても嬉しかったです。
(★★★★☆)


「過ぎにし春の思い出を おぬしは歌にして残せる。 羨ましい才だ」
諸兄の業平に向けたセリフです。
写真もなにもなかった時代、人と別れるときの喪失感は、今とは比べようもないほど大きかったのではないでしょうか。
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"からくれないのロマンセ"と読みます。王朝ロマンセシリーズ外伝です。
bk1に、秋月先生のコメントがあります。


王朝唐紅ロマンセ
秋月 こお
徳間書店 (2004.6)
ISBN : 4199003088
価格 : \660



これが学園ものだったら。
品行方正な優等生くんが、どうしようもない不良の先輩に、いいように振り回されている……
そんなところかな。
もちろん、優等生くんは藤原国経、先輩が在原業平です。
つかみどころのない業平に、かわいそうな国経は、怒ったり泣いたり、もう大忙しです。
そして、気の毒なのが、心が(カラダも)通い合ったあとも、「自分は次善の策」と割り切っているところ。
本当は、業平の気持ちはどうだったんでしょう。
国経にかくまってもらったあたりから、千寿への気持ち35%、国経への気持ち65%くらいに変化してたらいいんですけど。
それとも、国経が千寿と似てるのを、照れ隠しに利用してただけで、ほんとは「次善」じゃなくて「最善」だったならいいのに…。

でも、自分の将来を捨てても、業平のために行動しようとした国経に、業平が
「俺はこれ以上、お前を巻き込みたくない」
って言うでしょう。
普段の業平じゃ、ぜったい言わない。
だから、さらっとあんなことを言い出したときは、ああ このふたりはもう大丈夫なんだなぁ?って嬉しかったです。

あ、ちなみに、業平が国経の屋敷にかくまってもらうところは、
先生やら他校の不良グループに目をつけられて行き場をなくした先輩を、優等生くんが助ける感じ?(笑)
推薦入学がダメになろうが、内申書を書いてもらえなくなろうが、「僕は在原センパイのためなら何でもします!」ってね。
読んでみたいわ、「唐紅高校物語」。サブタイトルは、"後輩の心、先輩知らず" で。

藤原家が最強だった時代、自分の思うように生きられないゆえのクシャクシャとした気持ちが、ああいった挑戦的な態度や、女あさりのような行動に向けられていたと思うと、業平も可哀想な人でした。

先生がおっしゃってるように、本編を読んでなくても大丈夫です。
むしろ、本編が読みたくなって、それはそれでいいことです。
(★★★★★)


本物の業平の話を少し。
この話にも出てくる、国経の妹 高子。
実際の業平は、高子のおかげで出世してるんですね。
高子が東宮に入内して、その子ども(陽成天皇)が即位した年(高子は皇太后)から、業平はどんどん偉くなっていきます。
その頃、もう業平は50歳のおじさんだけど、高子が業平のことをまだ気にかけていたのだったら素敵です。

その高子はなんと、出入りの僧侶と浮気して、后位を剥奪(っていうの?)されてしまいます。
幼い頃、業平と出逢ったことで、情熱的な性格になっちゃったんでしょうかね(笑)
そしてそして、高子の息子 陽成天皇は、かなりSMちっくな人だったらしいですよ。
鞭で女性を叩いたり、女性を縄で縛ったりしたそうです、きゃっ!
こちらも皇位剥奪です、そりゃそうだろう。

高校の古典の先生が、こういった話をよくしてくれました。
そのときに教えてもらった、業平の辞世の歌はいまでも覚えています。

つひにゆく 道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを

涙が出そうな歌です。享年56歳。
ちなみに国経は80歳まで生きました。
今とは違う、そんな時代、80年はさぞかし長かったでしょうね。
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