ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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たこ焼きはおかずにならないけど、お好み焼きはOKかな。


わけも知らないで
久我有加 著
新書館 (2005.9)
ISBN : 4403521142
価格 : \588


【こんな話】
悪いこと続きでヤケ酒をくらっていた哲哉が、ついからんでしまった男 遠山。
第一印象は最悪だったはずなのに、なぜか気になってしかたがない。
ある晩、哲哉は、雨の中ずぶぬれのままたたずんでいる遠山を見かける。
しかし、どう見ても遠山の様子はおかしく、気になった哲哉は傘を差しかけてやるのだが…

【ひとこと】
東京が舞台。哲哉は、大阪から上京、東京の大学に通う2年生。
学費だけは、親に出してもらっていますが、あとはぜんぶ自分で稼いでいる苦学生です。
そんな哲哉が、ヤケ酒を飲んで愚痴をぶちまけていると、隣には、同じ大学生ながらブランド品に身を包んだ小ぎれいな男が。これが遠山。

普段の哲哉は、泣き言もいわないし、人のことを中傷したりもしない、まっすぐな若者なんですけど、不幸続きでイラついちゃったんでしょうね。遠山に、派手にからんでしまいます。

不愉快そうに軽くあしらう遠山は、一見クールです。だけど、一緒にいる男がど?もあやしい!
そして、遠山はクールでもなんでもなくて、そのあやしい男に弱みを握られてるというか、苛められてるというか、危険な香りが…

この話、このあたりから、とたんに捨て子系の匂いがただよいはじめます。

遠山は、いいとこのお坊ちゃまなのでした。でも、両親の愛には恵まれなくて。
その状況をいいことに、遠山を囲って、いいように手なずけてきたのが 先のあやしい男、元家庭教師の典之 でした。
最初ね、"家庭教師の異常な愛情" てな感じかと思ったんです。でも違った。
愛情なんかこれっぽっちもなくて、遠山んちの金と遠山のカラダだけが目当ての不埒な男でした。

この男が! 一介のサブキャラのくせに 陰湿 陰険 狡猾 偏執… 許せません!
遠山は、この男ナシでは生きられないカラダに作り替えられてしまっていたのです。こう書くと、なんだかヤラしいけど、肉体関係だけじゃなくて精神的にも、です。
ネチネチした感じが、すっごく気持ち悪くて、もう限界でした。

でも、哲哉が一生懸命がんばったおかげで、遠山を縛っていた鎖もだんだんほどけていって、外の世界に出ることができました。
水戸黄門みたいに、スッキリサッパリ一件落着! で、爽快でした。

久我先生の話の好きなところは、 (もう何回も書いてるんですが) ノンケな青年が同性を好きになるまでの過程と、「よし!」 と決心する瞬間っていうのかな、そこです。

今回、遠山のほうは元からゲイ。そして、それを知ってからも哲哉は、ヘンに意識することなく、ただ 「いい友だち」 になってやろうと思い続けていました。
でも、それだけじゃ満足できない自分に気がついて、あれこれ考えて、その結果…
そういう流れが、やっぱり面白かった。ご都合主義じゃなくて、あぁこれなら有り得るなぁって。
これ、大事でしょ? (笑)

続編 「わけを知りながら」 では、再び危険な元カテキョが登場!
もう、勘弁してよ… という感じなのですが、最後はちょっとだけかわいそうです。こっそり、エールを送りたくなってしまった私です… (ダメ男には弱いのだ)
(★★★★☆)


ああ、もう少し遠山について書くべきでした、失敗?
とっても素直で、可愛くて、ほっとけない感じの青年です (とってつけたような説明だ…)

このふたり、貧乏な哲哉のほうが、遠山に貢いでいくような気がします。
遠山は、哲哉の前ではお金つかいたくないんじゃないかな、きっと。
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久我先生の時代もの… あ、もしかしたら初の江戸弁?
と思ったら、やっぱり関西弁でした。


落花の雪に踏み迷う
久我 有加
新書館 (2005.6)
ISBN : 4403521088
価格 : \630




【こんな話】
母は街一番の美貌を謳われた芸妓。
その母に生き写しの廉は、客として花街にやってきた学生・達臣と出会い、急速にひかれあう。ふたりは街を出て共に暮らそうと誓いあうが、約束の日、達臣は現れなかった。
桜の花弁舞う中、廉はいつまでも待ち続けた ──。
その日から二年。達臣を忘れ、街で生きることを決めた廉は、娘を買いに訪れた寒村で、鉱山社長となった達臣と再会する…。
(カバー裏あらすじ)

【ひとこと】
人生に、こういう行き違いってたくさんあるんだろうなぁ、と思いました。
この物語に出てくる人は、いつも、そのときに自分ができる精一杯のことをやってるんです。だけど、それぞれがよかれと思ってとった行動が、少しずつすれ違って、誤解を生んで、気がつくとみんな傷ついている…。
それはもう、読むのが嫌になるくらいで、ずいぶん泣かされました。

自分を捨てた達臣を、2年かけて忘れて、やっと "人買い" として新しい人生を送る決心がついたのに、訪れた村で廉を待っていたのは、その達臣でした。
あんなに憎んで、もう忘れたはずなのに、やっぱり会えば大好きで、しかも、話を聞けば、自分のことを捨てたわけではないと言う。でも、いまの達臣は、村民をはじめ、あちこちから恨みを買う、卑劣な鉱山社長 ── 廉とは敵対する立場になっていて…。
ここの辺りの、揺れ動く廉の気持ちが、かわいそうでたまりません。

一方、達臣も同じくらい、いやそれ以上に不憫です。
父親に軟禁されながら、廉に手紙を送っても返事ひとつ来ない。それじゃ早く一人前になって迎えに行かなければ、と急ぐあまり、周りも見ずに突っ走って、性格が歪んでしまったのでしょう。
でも、本当は達臣が悪い人間でないのは、彼の友人や女中さん、秘書の様子を見れば一目瞭然で、こうなる前はいい人だったんだなぁと思うと、余計に悲しくなりました。

これを、ハッピーエンディングと呼んでいいのか、実はよくわかりません。達臣と廉は一緒になれたけど、辛い道を辿った人も少なくないからです。でも、達臣がこれ以上、非情な言動をとらないことだけは確かで、そうしたらこれは、やっぱりハッピーエンドなのかな。
(★★★★★)

久我先生は、ストーリーも文章もしっかりしてらっしゃるから、よくありがちな 「あれ、このセリフ、誰が喋ってるの?」 なんてことや、最後まで読んで 「ん? あの人はどうなっちゃったんだろ」 ということは、まずありません。でも、その丁寧さゆえに、登場人物の気持ち(特に、廉)が、これでもかこれでもかというほど伝わってきてたまりませんでした。


誰にでもある経験 ?好きな人はいるのに、新しく好きな人ができてしまったときの気持ち? を、多田が丁寧に説明してくれるんですが、う?ん、わかったような、わからないような。


スピードをあげろ
久我 有加
新書館 (2005.2)
ISBN : 4403521045
価格 : \588



【こんな話】
家業の外食チェーンを継ぐはずだった兄が突然海外へ!? 最初は、跡を継ぐ気などさらさらなかった蓮見裕志(はすみゆうじ・大学生・21歳)だったが、売り言葉に買い言葉で「俺にかて やれる!」と父に啖呵を切ってしまった。
まずは父が紹介してくれた居酒屋で修行…、しかし、皿洗いなんて地味なバイトは初体験で、どうもうまくいかない。おまけに、スゴ腕のオーナー・多田義信(29歳)はイヤミで意地悪な態度をとってくるし。
だが、そんな多田が片想い真っ最中(しかも男性に)であることを知って…。

※「スピードをあげろ」「ブレーキをかけろ」「ドライブイン」(書き下ろし)の3編収録。

【ひとこと】
多田は仕事もデキるし、頭もよくて、そして外見もいい。女性からはモテても、男性からはものすごく嫉妬されそうなタイプです。裕志も、多田に会って、まず "この男にはゼッタイ負けへん" と思ったわけです。でも、悲しいかな、多田はカッコよすぎました。
そして、知らず知らずのうちに多田に惹かれ始めた頃、彼に片想いの男性がいるのを知ったことで、裕志の中の見えないスイッチが入っちゃったのかもしれません。

で、多田。
ある事件がきっかけで、多田が裕志の送り迎えをするようになります。ふたりが一緒にごはんを食べたり、買い物をしたりする様子があんまり楽しそうで、このままラブラブになればいいのになぁと思うと同時に、多田は篤也(片想いの男性)のことをどう整理するのかと、もう心配で。

しかし、事態は急展開で、多田は裕志に対する「本気の手前」な気持ちを告白することに。ここで、29歳の多田が "自分は篤也が好きや、けど…" と、心の内を説明してくれるのだけど、裕志としては複雑ですよね。だって、自分は2番目って言われてるんだから。
でも、意外にもあっさり落ちてしまう裕志なのでした(笑)
よく納得したよなぁ?。

さて、これで安泰かと思うと、今度はフランスから兄が帰ってきます。フラリと裕志のマンションに立ち寄ったお兄さんのイラストが、哀愁を誘います。さて、ハスミチェーンを継ぐのは、お兄さん?それとも裕志?(内緒です)

後半、裕志は意地っ張りが減って、ますますかわいく。そして、上述の告白シーンでは、まだまだ余裕だった多田は、心配性になったり嫉妬したりで落ち着かなくなります。そんな多田も、またかわいいです。
(★★★+0.5)

「春の声」の篤也と浩明が、その後も幸せそうでホッとしました。

久我先生の小説のいいところは、登場人物が当たり前のようにボーイズラブを受け入れていないところ。
そうだよね、やっぱり抵抗あるよね? みんながみんなさっさと流されちゃうわけじゃないよね? って、ついつい頷いちゃう。


春の声
久我 有加
新書館 (2003.12)
ISBN : 4403520812
価格 : \588


【こんな話】
桜ビールの営業を勤める岬篤也は関西人。関西から飛ばされて、東京へやってきた。しかし、東京の何もかもが気に入らない。きざったらしい言葉も仕事のやり方も何もかも。一緒にコンビを組むことになった浩明の話す標準語も、厭味に聞こえてむしゃくしゃしてたまらない。
そんなある日、篤也は偵察のために入った居酒屋で、懐かしい関西弁を話すバーテン・多田に話しかけられる。

※「春の声」 「夏の声」 「君の声」 の3編収録。

【ひとこと】
私の周りにも、大阪出身の人が何人もいます。でも、歌を忘れたカナリア…じゃないけど、みんな標準語。関西っぽいイントネーションもちっとも覗かせない。それどころか、「東京に来たら、大阪弁しゃべれなくなっちゃったよ」とヘラヘラ笑ってるような人ばかりです。だから、篤也のバリバリ頑固な関西人ぶりが、カッコいいような鬱陶しいような(笑)

でも、篤也は、東京のやり方や標準語にイライラすると同時に、それが自分の八つ当たりなことも、心の奥底ではわかってたんですよね。多田に、関西弁で話しかけられたり、マンションに誘われたりして、ホッとして気がゆるんでいく傍らで、ときどき少しだけ現実に引き戻されてる。ここの篤也が脆くて、読んでてハラハラです。

一方、東京人の浩明は、この1冊であれこれ変化した感じです。
「春の声」では、篤也をピンチから救う正義の人、そして、一途な愛の人。
「夏の声」では、不安にかられ、嫉妬に狂う、ちょっとストーカーな人。
そして、「君の声」では、少しだけ成長した、愛と包容力の人。
でも、結局のところ、いちばん似合う形容詞は「かわいい」かな。
(ただ、女性にはかなり冷たくて苦笑。特に笑ったのは、p.203の後ろから2行目)

ラブシーン(死語か?)が、すごく丁寧で、まどろっこしいと思う人もいるかもしれないけど、じりじりしてていいじゃないですか♪ ここが冒頭で書いた、"なんとなくBL" じゃないところなんです。本当っぽいな、と思う瞬間です。
(あ、誤解のないように言っておきますが、嘘っぽくてやたらエッチなのも好きです)

多田が、あまりにもしっかりしていて、ついつい引きずられてしまいます。結末はわかってるんだけど、なんか迫力ありすぎて、篤也がとられちゃう、どうしよう!って。
(★★★★+0.5)

もっとラブラブなシーンを入れて、と言われたそうですが、じゅうぶんラブラブです。ソファでイチャイチャするところ(「夏の声」)は、まるで乙女ゲーのワンシーンみたいで、私はとっても萌えました。

昨日の続きです。


何でやねん! 2
久我 有加
新書館 (2004.10)
ISBN : 4403520944
価格 : \588



【こんな話】
土屋と相川がお笑いコンビ バンデージを結成して、早9年。
ルックスのよさも手伝って、超売れっ子へと急成長したふたりは、お笑い番組や舞台だけでなく、個人でドラマの仕事までこなしていた。
秒刻みのスケジュールに、ふたりともボロボロ。おまけに、下積みもせずスターになったふたりに嫉妬する者もいて、ストレスもピーク。
しかし、優しいマネージャーや親切な先輩らに支えられ、そして何よりも、土屋は相川が…そして相川は土屋がいれば、どんなことでも耐えられた…のだが。
(ご注意、ここから激しくネタバレします)

そんなある日、小学校時代に相川がいじめられていたことが、週刊誌の記事になってしまう。
頭では、そんなこと笑い飛ばせばいいとわかっていても、頭の中が昔の嫌な思い出でいっぱいになる相川。
そのうちに、お客さんの笑い声に恐怖まで覚えるようになり、
「土屋に迷惑をかけたらあかん」
自分が相方でなかったらよかった…と自分を責め、仕事を辞めることを決意する相川だった。

【ひとこと】
相川の頑張りが痛々しいほどです。
疲れてもそんな様子は見せないし、不安に思うことがあっても土屋には隠していて。
ついに仕事中に倒れてしまった相川に、土屋は、
「しんどかったな。気付けんでごめん」
って謝るんだけど、気がつかなくて当たり前です。
相川は、"相方として精一杯頑張らないと、土屋に迷惑がかかる" っていうんで、本当に頑張りすぎてたから。

でも、実は、土屋も同じだったんですよね。
自分がそれこそストーカーみたいに誘って、トラウマがあるのも知ってて、コンビを組んでもらったことに負い目があったわけです。
ふたりの互いを思いやる優しさに、ちょっと圧倒されました。

相川が、
「もう仕事できんかもしれん」
ってつぶやいて、土屋が、
「ええよ、一緒にやめよ」って即答するところは、もう感動。
土屋がやりたい「漫才」とは、他ならぬ "相川と一緒にやる漫才" であって、相川なくしては絶対成り立たないものだったんですよね。
相川と土屋も泣いてたけど、私もずいぶん泣きました。

最終的に相川を立ち直らせたのは、(このあたり、賛否両論あるかもしれませんが)私は、高校時代の友人 優勝が訪ねてきてくれたからだと思います。
会って話すのは久しぶりなのに、優勝はふたりのこと、ちゃんとわかってくれてて、相川に "もっと土屋に甘えたらいい" ってアドバイスしてくれます。
「1」でも優しかった優勝だけど、大人になってもっと優しくなりました。

もちろん、コンビ解消はなし、気持ちも新たに再スタートです。
お互いに、程よく頼ることを覚えたふたりはもう怖いものなし、そんな感じです。
最後、ちょっと甘過ぎです?、あてられました?(笑)
(★★★★☆)

もうひとつ収録されている短編が、よいです。
この視点は、久我先生ならではなのです。


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月と凌霄花

家族が関西人だったり、私自身も関西に住んだことがあるせいか、大阪弁には抵抗もないし、むしろ好きなほうです。
でも、小説の中で登場人物が大阪弁をしゃべるのは、なぜか苦手で。
そんな私が、この本はまったく平気でした。とっても勢いのある本です。


何でやねん! 1
久我 有加
新書館 (2004.5)
ISBN : 4403520898
価格 : \588



【こんな話】
高校の入学式早々、「俺の相方になって」と土屋から言い寄られた相川。相川と漫才がしたいのだと言う。
どんなに邪険にしても諦めない土屋に、相川は「俺は笑われるんは嫌や」と断る。
実は、相川は東京の小学校に通っていたときに大阪弁をからかわれたことがトラウマとなり、笑われることに抵抗があるのだった。

そんなことは知らずに、土屋は相川をお笑いライブに誘うのだが、帰り際、なんと東京で相川をいじめた主犯格の女に出会ってしまう。
思わず席を蹴って退場する相川だが、後日、その女が土屋と一緒に、それも楽しそうにしているところを目撃してしまい、ショックを受け…

↑これが1のちょうど半分くらいまでのあらすじ。
相川の「ショック」、これこそまさに嫉妬。もちろん、土屋も同じ気持ちですからね。
その後、土屋とは真っ正面からぶつかり、そしてがっちりと和解(=両想い)するわけです。

【ひとこと】
一応、土屋×相川です。なぜ、"一応"かというと、性格的には土屋のほうがフニャフニャでなよなよしていて、相川がボクシングジムに通うほどの剛健だから。
そんな二人が初めてエッチするとき、お互いに乱れて、何も考えられなくなったような段階になってから、相川が、
「抱くのか、抱かれるのか」
って、考えるところがあるんです。そして、そのあと、"針の先ほどしか残ってない理性で" 「どっちでもええ」って。

ここが、リアルで好きです。
どちらかが経験者ならいいけど、ふたりとも初めてだったらやっぱり迷うでしょう?(推測でしかないけど)
とまどうだけのシーンなら何回か読んだことがあるような気もするけど、こういうシチュエーションは初めてでした。
「抱くのか抱かれるのか」のひとことが、私をずしんと説得してくれました。
ああ、やっぱり迷うんだ!って(笑)
久我先生に感謝です。

土屋が優しいんです。
それも、女の子がもってるような優しさです。
相川が立ち止まってしまったときも、いい子いい子しながら引き上げてあげる、そんな優しさが涙を誘います?。ちょっと泣きました。
(★★★★☆)

さて、土屋の一生懸命なアタックが実を結び、無事コンビを組むことになった二人。高校生コンビ、バンデージとして活動を始めます。

続く


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月と凌霄花
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