ボーイズラブの小説やマンガの感想です.★3つが「面白い」であとはプラスマイナスアルファかな.お気軽にどうぞ.

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榊さんの本は、久しぶり。




【こんな話】
角膜移植により、3年ぶりに視力を取り戻した真昼 (まひる) は、ゲームセンターで商社マンの久野木と出会った。久野木は、クレーンゲームで手に入れたぬいぐるみと名刺を真昼に差し出し、去って行った。
この出会いが心に引っかかった真昼は、名刺にあった番号に連絡を取り、ふたりの "デート" が始まった。
久野木は真昼のことが好きだと言うが、真昼は久野木に惹かれつつも、彼が時折見せる暗い部分が気になって…。


【ひとこと】
臓器 (角膜) 移植が行われるとき、患者さんにはいっさいドナーに関する情報は知らされないそうです。
それはなぜかといえば、この本のようなことが起こらないようにするためです。

(ネタバレしてます)
この話の設定、そしてどこか気味の悪い久野木の言動から、真昼に角膜を提供した人間が久野木の大切な人であったことは、すぐわかります。
目を舐めちゃうくらいだから、婚約者? ちょっと気持ち悪いけど、母親? あ、恋人(♂)? あれこれ考えてはいたものの、まさか弟とはね…。
久野木によれば、その弟とは 「深く深く愛し合っていた」 そうですが、この設定って必要かしら。
彼の亡き弟への執着は、そんな愛がなくたって、よーく理解できます。
愛する家族の角膜が、新しい環境でどんなふうに役立っているのか、深く愛してようがなんだろうが、気になって当たり前だと思うんです。
まぁ、眼球にキスをするというネタには、このくらいあやしい伏線がないとつじつまが合わないかもしれませんが。

でも、
「君の目の本当の持ち主だよ」
というセリフは怖かったです。
こんなふうに言われたら、どうしようもありません。今になって、君になんて提供しなければよかった、言ってるのと同じでしょう。

私が真昼だったら、大ダメージくらっちゃうところですが、このときの真昼は、もう久野木のことが大好きで大好きでしかたなくて、そっちのほうに気がいってしまっていたようでがっかり。
もうちょっと、久野木の気持ちをわかろうとしてあげてもよかったんじゃないかな。これは全編に渡って感じました。

ただ…。
ここまで心にしこりがあって、むちゃくちゃに傷つけてやりたいとまで思った真昼のことを、久野木は好きになれるんでしょうか。
いくら真昼が可愛くても、純真でも、ぜったいにほだされないような気がします。
まして、弟と 「深く深く愛し合っていた」 のなら (どうしてもここにこだわる私)

それに、真昼は本当に久野木でいいの?
久野木が真昼を愛しているのは、おそらく本当なんでしょうけれど、真昼の瞳にはいつも亡くなった弟がいるわけでしょう。
久野木が本当に自分を見てくれているのか、それとも弟の面影を追っているのか、不安になったりはしないのかしら。
(★★★☆☆)


続編で、真昼に冷たくされて困っている久野木は好き。

読んでくださってありがとう


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二宮さんが挿絵、というのが意外に思えたんですけど、読んでみたらそっちはOKで。
その代わり、榊先生がこういう話を書いたことが、ちょっと意外でした。


ごきげんカフェ
榊 花月 著
新書館 (2005.8)
ISBN : 4403521134
価格 : \588


【こんな話】
高校生の陽 (みなみ) が、中学のときから通っているカフェ 「レイン・ツリー」 。
店長のレンは、10歳も年上で、背が高くて、カッコよくて、優しくて、それでいてちょっとミステリアスなところがあって。陽は、そんなレンが大好きだった。
しかし、ある日のこと、陽は、レンが店の裏で青年と抱き合っているところを目撃してしまい…。

【ひとこと】
行きつけの店長さんに抱いている感情が、ただの憧れではなく恋とわかったとき、それは失恋の瞬間で…。
ここまでで、全体の3分の1。この先、どんな人間模様が描かれていくんだろうと思ったら、意外や意外、陽が芸能界に首を突っ込むお話でした。

とはいっても、陽が自分で行動を起こしたのではなく、同じくカフェの常連である みゆきが勝手に スーパーボーイフレンドコンテスト に応募したのが始まりでした。
みゆきは、同人でホモマンガを描いているのですが、この人がどうしたってうるさい。彼女を好きになれるかどうかで、この小説をどのくらい楽しめるかが決まると思います。私はダメだった?。

そして、そのコンテストで知り合ったのが、またまた強烈なキャラ、朝倉姉&弟。
弟のコンテストに姉がついてきたわけですが、弟は関西弁、お姉ちゃんはそれを隠したいのか それともなんかのマニアなのか、バカ丁寧口調です。
このお姉ちゃんが、すっごく面白い。ヤル気なしの弟に 「いったいどういうおつもりなのですか!」 なんて怒ってる。
私が思うに 「サクラ大戦」 とか好きなタイプです。

この本、もちろん陽とレンが主役なんでしょうが、中盤はこの若者たちが中心になっています。
陽とみゆき、この朝倉姉弟、そして、やっぱりカフェの準常連?で陽の同級生 日下部がうまく絡んで、ワイワイやるシーンは、とっても楽しいです。5人の趣味・嗜好が一致してるわけじゃなくて、少しずつ、かすってる感じ (芸能界だったり、イイ男だったり、ミステリー小説だったり、ホモだったり、萌え談義だったり)
でも、楽しいんだけど、なんか物足りないというのが本音。
なんでかなぁ、レンが蚊帳の外っぽいからかしら。

結局、陽の失恋は勘違いだとわかるのですが、そこで一役かって出たのが玲二。上記あらすじで、レンと抱き合っていた青年です。
玲二は俳優で、前にレンと一緒にモデルをやっていたのでした。ここの玲二の話が、とてもいいんです。そして、玲二の雰囲気も。イラストもいいですよねー。
もっと出番が欲しかったです。

ほら、カフェに来たとき、あのときに陽と話せばよかったのにと思います。
そうしたら、こんないざこざにならなくて済んだのに。

そして、陽とレンのハッピーエンディング。
ここのエッチシーンって、必要でしょうか。
キスして、お茶飲みながらお話して、イチャイチャして… そういうのがよかったなぁ。

「第一印象から決めてました!」 みたいな情熱的なレンもかわいかったけど v
(★★★☆☆)


「なんであの人、三年連続、紅白歌合戦で同じ曲歌ってんの?」
これ、榊先生がそう思ってるんだよね、きっと(笑)


拳はいけません。


そのわけを
榊 花月
竹書房 (2005.7)
ISBN : 4812422442
価格 : \600


【こんな話】
大手デパートに勤める志紀 (志紀) にとって、倉方 (くらかた) の第一印象は最悪だった。
人を見下したような視線、そっけない口調、どれをとっても下請けのデザイナーとは思えない態度の男だった。
しかしある時、酔った勢いで倉方に絡んでしまった志紀は、そのまま倉方に抱かれてしまう。
「お前がしつこいから抱いた」 その後志紀に倉方はそっけなく言い捨てたが、志紀には倉方があからさまに他人を拒否する理由が気になり始めていた。

【ひとこと】
ゲイとしてのキャリアは長いのに、おそらく幸せな思いはしたことがない… 志紀はそんな青年です。
表向きは爽やか好青年でも、心の中では常に葛藤を抱えているような気がします。

この日も、密かに思いを寄せていた同僚が結婚することを知り、ひとり飲みに出かけます。べろんべろんになった志紀は、同じ店で飲んでいた若者3人にヤられちゃいそうになるんですが、普通のバー (ですよね?) でこんなことってあるもんなんでしょうかね。

…という疑問はさておいて。
この窮地から救ってくれたのが、倉方でした。でも、助けてもらったのに、暴言吐きまくりの志紀。
ここだけに限らず、志紀の自虐的な態度は見ていて胸が痛くなります。
この 「俺はどうしようもない人間なんだ」 という感じが、会社での志紀とまったく合わないのにとまどってしまいました。

さらに、仕事にかこつけながらも、倉方に抱かれに行ってしまう志紀にも驚きました。押しが強いっていうの、それとも、不屈っていうの?

「あなたが切れたから」
(「切れた」 は 「キレた」 ではありません。おわかりですよね・笑)

って、そんな恥ずかしいこと、普通言えないでしょ!
だって、仕事も一緒にしてるんですよ!
で 「ここに来たのは、俺と寝たいからか」 って訊かれて、やっと "少し恥ずかしい" なんて言ってる。
遅い!

多分ね、倉方も、デパートのプランナーとしての志紀と、こんな娼婦みたいな志紀のギャップを可愛いと思っちゃったのではないでしょうか。
でも、倉方も志紀以上に、心に暗いものをため込んでいる男でした。
詳しくは書きませんが、これまでの人生で何度か他人に裏切られ、かならずそこに 「死」 が絡んでいたのでした。

「誰も本気で愛せない」 という倉方ですが、愛せないというよりも、愛さないようにしているんですよね。
志紀に 「お前が嫌い」 とか 「淫乱」 とか 「メス豚」 とか 「期待するな」 とか… そりゃひどいことばっかり言うんだけど、カラダの欲望だけで人を抱くような人にはとても見えないから、無理しているのがバレバレで気の毒でした。

そんなとき、倉方のかつての恋人の弟・稜が現れます。
この稜が、どらまちっくに当て馬を演じてくれるもんだから、倉方はヒートアップ。
でも、殴るのはダメでしょう… しかも、拳。加えて、平手打ち…。
倉方の 「俺は、お前に惚れてなんかいない!」 という言葉がはとてもせつないのに、この暴力沙汰で腰が引けてしまった私です (注: 暴力シーンに嫌悪感はありません)

志紀だってせつないですよ。
必死で自分の気持ちを伝えるのに
「俺は最低な人間です。 淫乱なメス豚なんです」
「サカリのついた醜い豚なんです」
なんて口走るんです。
ここは聞いていられませんでした。
そんなこと言わないで?! って心の中で絶叫してました。

倉方の心にある氷の塊が、やっと溶けかかったかなというところで、この話は終わっています。
最後まで甘い言葉は聞けなかったけれど、これが倉方なりの最大限の譲歩ということで。
本来なら、これに書き下ろしがプラスされそうなところですが、このお話自体が書き下ろしなのでしかたありません。
(★★★☆☆)


志紀はMですね。
「あなたがつけた疵は、あなたが癒して」 って、もう演歌ですか。

今日はだいぶ前に読んだ本です。最近の榊作品には、悩まされることが多いですが、これはかなり好きです。

耐えがたく甘い季節
榊 花月
大洋図書 (2003.8)
ISBN : 4813010083
価格 : \903


【こんな話】
医大に通う真は、血が苦手。今日も授業で手術を見学し、倒れてしまった。しかし、志望は外科。その理由は、担当講師の五島にあった。真は五島に、憧れよりもちょっと強い、自分でも整理のつかない想いを抱えており、できるならその後を追いたいと思っていたのだ。
一方、親友の戸川も、五島を意識していていた。

【ひとこと】
お坊ちゃまで何から何まで親がかりの真と、早くに両親を亡くし自力で頑張ってきた戸川。生活も価値観もまったく違うふたりが、とってもいい関係なのです。
真は、大学進学を機に、豪華なマンションを買ってもらい、学費や生活費もすべて親からの仕送りです。そして、そんな環境も当たり前と思っていたところに、戸川と出会って、認識を改めることになりました。何もかも自分で頑張ってる戸川を見て、心から「立派だ、カッコいい」って、素直に認めて尊敬することができる、心のきれいな子なんです。
戸川は、奨学金をもらいながらバイトをして、それでも成績はトップ。キャンバス内はおそらく金持ちばっかだろうに、卑屈になることもなく、あっけらかんと「まこっちゃん(真のこと)はいいよなー」って羨ましがってるんです。でも、決して取り入ったり、話を合わせたりするんではなくて、真の優柔不断なところを叱ったり、辛辣にゲキを飛ばしたりと容赦ない面もあって、男の中の男って感じでしょうか。

ちょっと意外だったのは、戸川が真に一目惚れだったことです。ホイホイと人を好きになるようなタイプに見えないのになぁ、と考えた末、苦労人だから人を見る目があるんだろうという結論に落ち着きました。入学式で隣りの席をすすめてくれた真を見て、真のすべてがわかっちゃたんでしょう(笑)
五島を押し倒してみたい、なんて言ったのも、本当だったのか、嘘だったのか。真に妬かせたかったのかもしれませんよね。
でも、もし戸川から告白しなければ、真は何も気がつかなかったんじゃないかと思うと、ちょっと寂しい気もします。

そんな二人と仲間たちとの友情を描くいいシーンも多かったです。いつも笑ってバカやってる彼らにも、ひとりひとりの事情があって、それなりに悩んでいる。それを、ベタベタした友情ではなくて、最適な距離で支え合っているのが実に清々しいです。ショッキングな事件も起こるので、詳しくは書きませんが、いい友達を持った彼らが羨ましくてしかたありません。
(★★★★+0.5)

この話を読んで、今だから思うことがふたつありました。
まず、1つめ。戸川が真に「五島先生に憧れてるだけで外科志望なのはどうか」と問うところがあります。厳密には、もうひとり同じようなことを言う人が出てきます。私も、学生の頃だったら、そんな不純な動機って考えたかもしれません。でも今は、そんな動機もアリなんじゃないかと思います。確かに、職業は一生を左右するのかもしれないけれど、そのくらいの想いでいたほうが試練や困難にも案外耐えられるような気がします。

そしてもうひとつ。仲間のひとり 山下が、飲み会のたんびに彼女の栞ちゃんを連れてくるんです。私が学生の頃も、よく彼氏や彼女を連れてくる子がいました。私は、せっかく集まるんだから、内輪だけのほうが楽しいのになぁと思いつつ、彼氏(彼女)も仲間に入れてやってほしいってことなのかなぁ?と納得するようにしていました。
でもね、この山下と栞ちゃんのおかげでわかりました。単に、ふたりで一緒にいたいから連れてくるんだって(^^)
こーんな簡単なこと、ぜんぜん気がつかなかった。
と、同時に、彼氏なんかゼッタイ連れて行かなかった私の醒めた気持ちが今さらながら痛いです(笑)

慎司は、これでいいのかな?。


ドースル?
ドースル?
posted with 簡単リンクくん at 2005. 5. 2
榊 花月
新書館 (2005.4.9)
ISBN : 4403521061
価格 : \590
通常24時間以内に発送します。



【こんな話】
(ネタバレ)
居酒屋でバイト中、酔っぱらい客からいきなり「ミドリ!」と呼ばれてキスされてしまった慎司は、後日、その男がキャンパス内の有名人・瀬名だったことを知る。
しかし、単なる合コンマニアなイケメンとして有名なのかと思えば、実は瀬名には2歳になる息子がいるのだった。

【ひとこと】
慎司は、まじめ?な男の子で、すぐ近くに自分のこと大好きな女の子がいるのに、それにも気がつかない天然クンです。合コンなんて大嫌いで、いつか女の子とマンガみたいに運命的な出会いがしたい!なんて思ってる。
そこへ現れたのが、瀬名だったわけです。子持ちで事実上バツイチな男。
いきなりキスされれば、そりゃ劇的だし、マンガみたいな出会いには間違いないけれど、合コンひとつ出席しないような保守的な慎司が人生のパートナーに瀬名を選ぶかなぁ。まぁ、家庭的な慎司だから、○○本能くすぐられちゃったのかもしれませんね。事実、「ままー」って呼ばれちゃったわけだし。

さて、瀬名。合コンで息子の母親を探そうったって、そうそう見つかるわけありません。
狙って保育科の子と合コンしたりしてる瀬名が、「女の子が "子ども大好き、保母さんになりたい" なんて言うのは、家庭的で優しいってことを男にアピールしたいだけ"」って言うところがあります。なるほど、そうかもしれません。でもね、私、幼稚園の先生をしていたからわかるんですけど、合コン相手に「家庭的で子ども好き」を求めてる男の子ってほとんどいなかったような… そんな昔話はいいか。
さて、そんなとき、亡くなった彼女・ミドリにそっくりな慎司に出会って、恋に落ちて…はいません(笑) とりあえず、この時点では「ミドリに似た人」なんです。彼の息子にとっても、「ママに似た人」なんです。こういう出会いで始まった関係って、そんなに燃え上がらないんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。だって、瀬名父子はいつまでもミドリさんのこと思い出しちゃうだろうし、慎司も「どうせ顔が似てるから、俺のこと好きになったんだろ」ってやさぐれちゃうじゃないですか。
瀬名はともかく、気弱な慎司は早くふっきらないと、遅かれ早かれ悩むことになりそう。

最後にこれだけ。
奈々のキャラが、ボーイズラブ小説に出てくるには、あまりにもうざったすぎるんですけど。
おまけに、諦め悪いのか、ただのおせっかいなのか、いつまでもいつまでも出てるし。露出狂だし。そういえば、こういう女、いたいた!って、あれこれ想い出に浸ってしまいました。

天尾さんをフったとき、彼女の後ろ姿を見送りながら「もったいなかったかなぁ」って思う慎司は好きです。そうです、もったいなかったんです、慎司くん。
(★★★☆☆)


旧ブログのトラックバック
燈香亭

29日のブログに書いた、近所の本屋ですが、今日行ってみたら、レジに「寒冷前線コンダクター」のコミックが積み上げられてるじゃないですか。それも、限定版「ドラえもん 1」の隣りに…。またまた心拍数上がっちゃった私です。犯人は誰だ!
ということで、今日は年下攻め。


もっとも高級なゲーム
榊 花月
徳間書店 (2005.3)
ISBN : 4199003428
価格 : \540



【こんな話】
大手メーカーAMSの役員室長を務める、萩原泰臣(30歳)。周りの者は知らなかったが、泰臣は、AMSの会長が愛人に産ませた血の繋がった息子だった。
ある日、会長に呼ばれた泰臣は「息子を教育してほしい」と、異母弟 ─つまり、会長と本妻の息子・瞬矢(25歳)─ の教育係を命じられる。しかたなく引き受けたものの、同じ課に配属されるやいなや、瞬矢は泰臣を高級ホテルに連れ込み、乱暴に抱くのだった。

【ひとこと】
最初に言っちゃうと、今日は書きたいことがうまく書けませんでした。どうか、行間から私の気持ちを読み取ってください(笑)

会長の跡を継ぐのは、実の息子である瞬矢。
愛人の息子というだけでも惨めなのに、瞬矢の教育係をしろなんて、会長も酷い男です。それに、やってきた異母弟ときたら、とんでもない放蕩息子(あとで名誉挽回したけどね)。おまけに、あろうことか、その異母弟に何度も何度も犯されて…。
そして、会長の呪縛から逃れられない泰臣。

でもね、泰臣が本当にイヤだったら、解雇されようがどうなろうが、教育係なんかすっぽかして、瞬矢のもとから逃げられたんです。会長親子の前から、完全に姿を消すことだって、できたはずなんです。でもしなかった。いくら乱暴されても、瞬矢のことを放っておけなかったから。
一方、瞬矢も、幼い頃から泰臣とその母の悪口を聞かされて育ってきたせいで、ある種の恨みや妬みを抱いて、泰臣の前に現れたわけです。なのに、会ったとたん戦意喪失。だって、会ってみたら「悪魔だと思っていたのに、天使だった」から(このセリフ、好きです)。
つまり、泰臣も瞬矢も、実に趣味の悪い、最低な出会い方をしたにもかかわらず、対立することはなかったんですよね。

ん?、何が言いたいかというとですね…
このふたりの間に生まれたのは、普通の恋とは違うんじゃないかってことなんです。
結局は血が繋がっていなかったけれども、同じ父親をもった者同士の、やはり「兄弟の愛」なんじゃないかと。
確かに、いま大人になった同士、惹かれあってはいるものの、長い間のいろいろな感情が絡み合ったからこそ、離れることができなかったんだと思うんです。
そう、兄弟愛で、かつ家族愛。

でも、だからこそ、これからも、ふたりの結束は固いと思いますよ?。
瞬矢が会長になったら、きっといつも偉そうにしてるんでしょうね。で、傍についてる泰臣もいたってクールですましてるの。だけど、ひとたび会長室でふたりきりになったら、ぜんぜん違う顔して話すんです。ニコニコと楽しそうに。ふふ、いいなぁ?、そんなツートップがいる大企業(笑)
今すぐ引退してください>会長
(★★★★☆)

瞬矢には泰臣のこと、名前じゃなくて「兄さん」って呼んでほしかったなぁ。今だけでいいから。


旧ブログのトラックバック
B-Life.SS

あのセリフさえなかったらなぁ。


恋になる
榊 花月 / 榊 花月著
白泉社 (2004.12)



【こんな話】
ピアニストとして将来を嘱望されていた高校生の在瀬 律は、交通事故に遭いピアノが弾けなくなってしまった。それ以降、将来になんの希望も見いだせずにいたが、ある日病院で鷺沢潤哉という男と出会う。恋人と死別した過去を持つ鷺沢に律は少しずつ惹かれ始めていたが、鷺沢はかつての恋人をいまだ忘れられずにいた……。(カバーあらすじ)

【ひとこと】
ただの友だちや知り合いだったのが、悩みを相談したり(聞いてあげたり)、お互いに慰めあったり、同情しあったりするうちに、キスしちゃったり寝ちゃったりすることはよくあることだと思うし、別に悪いことだとも思いません。むしろ、そんなふうに始まる恋は多いのではないかしら。
鷺沢と律も、それ。

律が「つきあって」って言って、鷺澤がOKしたときは、まだ恋じゃなかった。
鷺沢にとって、元恋人に似ている律はじゅうぶん慰めになったし、律は律で、鷺沢なら自分のそばにいてくれるという確信があったから告白した。
お互い、本当に好きかどうかは問題ではなかったんですよね、きっと。

でも、そんなふうに始まった関係だからこそ、普通の恋人同士よりも思いやりをもたないといけないんだと思いました。律が、遺品のペーパーウェイトをさわったときの鷺沢のキツい態度とセリフは、あまりにもデリカシーなさすぎでした。律はこの先、何かあるたびに、このときのことを思い出すんじゃないでしょうか。すごく悲しかったと思います。
忘れられない過去があるという点でふたりは同じだけど、律が抱える問題がピアノという「物」なのに対して、鷺沢の「恋人の死」というのはあまりにもウェイトが大きいです。律は本当に、過去もひっくるめた鷺沢のすべてを愛していけるのかしら。ちょっと疑問です。

脇で登場する小説家。彼が、ゲイである必要はないような気もするけど、鷺沢よりもこの人のほうが律には合ってるような気がします。いきなりさらわれて襲われたのに、また自分から電話をかけて会いに行ってしまうくらいには魅力のある人らしいので。
この人に拾われるエンディングもアリでしょう。

「会いにいく」という短編も入っています。
タイトルを見て、律が鷺沢に会いにいくのだと思いきや、鷺沢視点なんですね。鷺沢は、それこそウジウジ言わせたらキリがないキャラなので、読んでいて居心地悪かったです。どうせなら、かわいらしい律のひとりごとを読んだほうがよかったわ。
(★★★☆☆)

「ふれていたい」の悪役 衛藤先輩の汚名返上ストーリー。

いけすかない
いけすかない
posted with 簡単リンクくん at 2005. 4.19
榊 花月
新書館 (2004.10)
ISBN : 4403520952
価格 : \588



【こんな話】
衛藤国春 21歳。カッコいいけど、すんごいわがまま。恋人は男女問わず、しかも複数。自分の都合でいいように遊んで、飽きたらサヨナラ。
だけどある日、恋人のなかのひとり 夕雨(ゆう♂)にふられて、初めての失恋を体験することに。
遊び相手なんて他にもいるさ…と強がってはみたものの、実は結構本気で惚れてたのかもしれないな…なんて、ガラにもなく悩む衛藤の前に、ちょっとだけ夕雨に似てる青年・彗(すい)が現れて…。

【ひとこと】
「ふれていたい」では、本当にイヤな男だったんですよ、衛藤。
だから最初は、まあ読んでやろうじゃないの、くらいの気持ちでした(笑)
でも、すっかり凹んで、しかもちょっと反省してたりもする衛藤が、すごくしおらしいじゃないですか。
前の恋人に似てる彗とは、ちょっとからかうだけのつもりが、思いもかけず同居することになってしまうんだけど、あの遊び人の衛藤が、彗には手ひとつ出さないで仲よく暮らしてる様子が、もうなんとも微笑ましくて、ほんとに同じ衛藤ですかーって感じです。

でも、彗が雑貨屋さんで働くエピソードは、ちょっと間延びした感じがしました。彗の兄がもっと早く登場してもよかったような。変態兄との対決で、衛藤がやられ役に徹したのは立派だったけど、こてんぱにやっつけてほしかった!と思ったのは私だけではないはず。

やっと結ばれたところからラストにかけてのふたり、特に衛藤がいいです、可愛い。
いろいろあって(ほんと深刻)やっとこハッピーエンド。読んでよかった。
(★★★★☆)

「ふれていたい」の夕雨もかわいくて、おすすめ。夕雨のお相手は、夕雨より10才年上、29歳の翻訳家さんです。
Copyright © 小夜すがら 其ノ壱. all rights reserved.
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